高齢者にとって、脱水症は命に関わる重要な健康リスクの一つです。特に気温の上がる夏場や、食欲・飲水量が落ちやすい季節の変わり目には注意が必要です。在宅での生活を支える訪問看護では、脱水の早期発見と対応が重要な役割となります。この記事では、訪問看護師が現場で行っている「脱水症の見分け方」と「その場でできる対応」、さらにご家族へのアドバイスまでをご紹介します。1. なぜ高齢者は脱水になりやすいのか?加齢に伴い、以下のような身体的・生活的な変化が脱水症を引き起こしやすくします。のどの渇きを感じにくい(視床下部の感覚鈍化)腎機能の低下により、尿で水分を多く失いやすい食事摂取量の低下に伴う水分不足利尿剤や糖尿病薬の服用による体内水分の喪失認知症や独居生活による自己管理の困難こうした背景を理解した上で、脱水の兆候を“見逃さない視点”が訪問看護に求められます。2. 脱水症を疑う兆候とは?|訪問時に見るべきポイント脱水は「目に見える症状」と「ささいな変化」の両方から早期に察知することが重要です。訪問看護師が観察する代表的なポイントは以下の通りです。観察項目チェックするポイント意識・会話反応が鈍い、ぼーっとしている皮膚の状態乾燥、弾力がない(ツルゴール低下)舌や口腔内舌が乾いている、唾液が少ない尿の状態尿量の減少、色が濃いバイタル体温上昇、頻脈、軽度の低血圧など飲水量前回訪問からの飲水記録や食事量ちょっとした「なんかおかしい」を見逃さず、脱水の兆候を拾い上げていきます。3. 脱水が疑われたときの訪問看護師の対応軽度の脱水が疑われる場合経口補水液や水分の摂取を促す氷やゼリーなど、摂取しやすい形で提供家族に対してこまめな水分補給の声かけを依頼尿量やバイタル変化の継続観察を実施医師へ報告、必要時に指示を仰ぐ中等度以上が疑われる場合医師への緊急連絡点滴や外来受診の調整家族への情報提供と協力依頼必要に応じてケアマネジャーへの報告訪問看護では「医療職がその場で対応できる」強みを活かして、状況に応じた迅速な判断と支援を行います。4. ご家族・介護者に伝えたい予防のポイント訪問看護師からご家族・介護者へ、日常生活で意識していただきたい脱水予防の工夫をお伝えしています。飲み物を見える場所に置く(常に視界に入れる)食事と一緒にスープやみそ汁を出す日中に2回は尿の色を確認「のどが渇いた」と言う前に飲んでもらう夏以外の季節もこまめな水分補給を習慣化脱水は「重症化しないうちの対応」が鍵です。5. 脱水に気づけたおかげで大事に至らなかった事例〈架空事例〉町田市にお住まいの男性(88歳・要介護2)は、独居で食事・水分摂取が減っていた状態でした。訪問看護師が訪問時に会話の反応が鈍いこと、舌が乾燥していたことから軽度の脱水を疑い、経口補水液の摂取を促しながらバイタル確認。結果として、軽い発熱と頻脈があり、すぐに主治医へ連絡し翌日点滴処置が行われました。ご家族にもこまめな水分補給の重要性を伝えたことで、その後の再発予防につながりました。6. まとめ|脱水症の“早期発見”にこそ訪問看護の力を脱水症は、早期に対応すれば重症化を防げる疾患です。訪問看護では、医療的な視点から日々の変化に気づき、必要に応じて医師と連携しながら迅速な対応が可能です。「なんとなく元気がない」そんな変化にも気づけるのが、継続してかかわる訪問看護の強みです。関連リンク訪問看護に関するその他のコラムはこちら👉【町田市の訪問看護相談】制度と窓口をわかりやすく解説!👉【事例で解説】町田市で在宅酸素療法を支える訪問看護の役割👉 通院が大変な町田市の高齢者に訪問看護をおすすめする理由町田市で訪問看護や介護サービスについて知りたい方は、ピース訪問看護ステーションの公式サイトもあわせてご覧ください。▶ https://island-piece.jp/service/houmonkango