高齢化が進む現代、認知症高齢者の暮らしを支える「グループホーム」と、医療的ケアを提供する「訪問看護」の組み合わせが注目されています。しかし、「グループホームに訪問看護は入れるの?」「どんな制度なの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。この記事では、訪問看護がグループホームで提供可能なケースや、利用時のポイント、制度上の制限などを詳しく解説します。1. グループホームとは?基本的な仕組みと対象者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症の診断を受けた高齢者が、少人数で共同生活を送る介護施設です。家庭的な雰囲気の中で、入居者が自立した生活を継続できるよう支援します。項目内容対象者要支援2または要介護1以上で認知症の診断がある方利用形態住み込み(原則として住民票がある地域)定員1ユニット9名(最大2ユニットまで)ポイント:認知症に特化したケアを提供するのが特徴です。2. 訪問看護とは?提供されるサービス内容訪問看護は、看護師等が利用者の居宅を訪問し、医療的ケアを提供するサービスです。主治医の指示書に基づき、状態観察や服薬管理、点滴や褥瘡ケアなどが行われます。サービス内容具体例健康管理血圧・脈拍測定、体調観察医療処置インスリン注射、胃ろう管理、褥瘡処置など精神的支援認知症やうつ症状の相談対応重要:訪問看護は医療保険または介護保険で利用されます。3. グループホームに訪問看護は入れるのか?制度上の可否原則として、グループホームでは訪問看護(介護保険分)は利用できません。これは、グループホーム自体が「介護サービスを包括的に提供する施設」であるため、重複利用が避けられているからです。ただし、以下のようなケースでは訪問看護が「医療保険」で提供される可能性があります。利用可能なケース内容特定疾患がある悪性腫瘍、ALSなど、医療保険適用の訪問看護が必要な疾患医師の指示がある医療管理が必要で、主治医が訪問看護を指示している場合4. 医療保険で訪問看護が適用されるケースとは?以下の条件を満たすと、医療保険による訪問看護が可能です。厚生労働大臣が定める特定疾患(末期がん、ALS、パーキンソン病、筋ジストロフィーなど19疾患+人工呼吸器使用状態)に該当する緊急性や病状の悪化リスクがある医師が「訪問看護指示書」を交付している注目:医療保険を使う訪問看護は、介護保険のサービスと重複せず、グループホームでも可能です。特別訪問看護指示書の適用について通常の医療保険訪問看護に加え、状態が急変した際には「特別訪問看護指示書」による訪問が可能で、最長14日間の訪問が認められます。この間、毎日の訪問が可能になるケースもあります。5. 利用の流れと注意点訪問看護をグループホームで利用するには、以下の流れを確認しておきましょう。主治医による訪問看護指示書の発行訪問看護ステーションと契約グループホームとの連携確認サービス開始注意点グループホームの管理者と連携を取る必要がある訪問時間やサービス内容に制約がある医療連携体制加算を利用するには、施設と訪問看護事業所間の業務委託契約が必要6. 実務現場から見た「あるある」や工夫現場では、以下のような工夫や課題があります。訪問時間の調整が難しい(日中介護業務と重なる)連携帳票の共有が大切(情報共有の徹底)服薬ミス防止に二重確認体制訪問看護師が、施設スタッフと定期的なカンファレンスを行うことで、サービスの質が保たれます。7. 家族が知っておきたいQ&AQ1:訪問看護の費用はどれくらい? A1:1回あたりの費用は医療保険・介護保険の適用状況により異なりますが、自己負担は1割~3割です。医療連携体制加算は、1日あたり57単位(約570円程度)などが参考となります。Q2:看取りは可能? A2:医療保険の訪問看護であれば、在宅看取りにも対応可能です。Q3:どのくらいの頻度で訪問してくれる? A3:病状に応じて週1回〜毎日など柔軟に対応されます。まとめグループホームにおける訪問看護の利用は、原則として「医療保険」での提供に限られています。制度の理解と、主治医や施設との連携が必要不可欠です。正しい手順を踏むことで、グループホームにおいても質の高い医療的ケアを受けることが可能になります。関連記事訪問看護における特別指示書とは?交付条件や期間、料金まで徹底解説要介護者が特別養護老人ホームに入るための条件と注意点とは?【保存版】介護が必要になったら?要支援・要介護の違いと基準を徹底解説訪問看護は医療保険?介護保険?迷ったときの使い分けガイド町田市で訪問看護や介護サービスについて知りたい方は、ピース訪問看護ステーションの公式サイトもあわせてご覧ください。▶ https://island-piece.jp/service/houmonkango