1. うつ病の後遺症とは?回復後に残りやすい不調を理解するうつ病の「後遺症」とは何か主な後遺症の種類説明認知機能の低下集中力・判断力・記憶力などの働きが弱まりやすい感情面の不調不安・意欲低下・気分変動などが続く可能性身体的な不調倦怠感・睡眠リズムの乱れ・体が重い感覚などうつ病は、治療が進み症状が落ち着いた後でも、以前の状態とは異なる不調が残る場合があるとされています。一般的には「後遺症」と呼ばれますが、医学的には残遺症状と表現されることが多く、永続するものではなく、回復過程の一部としてみられることがあります。これらの不調は、脳の働きやストレスへの反応機能が回復途上にあることに関連すると考えられています。また、外見上は元気に見えるため周囲に理解されにくく、本人が負担を抱え込みやすい点も特徴です。症状が強まった場合には再発と区別がつきにくいこともあり、医療職や訪問看護による観察支援が有効と考えられています。後遺症は個人差が大きいため、焦らず段階的な回復を支える環境づくりが重要です。うつ病の治療・寛解と完全回復の違い状態説明寛解症状が大きく改善し、日常生活がある程度送れる状態完全回復認知・感情・身体機能がほぼ以前の水準に近づいた状態残遺症状寛解後も軽度の不調が残る状態うつ病には「症状が落ち着く段階」と「本来の生活機能が戻る段階」があり、その間には一定の時間差が生じるとされています。寛解の段階では、外から見ると体調が良さそうに見えても、本人は「集中しづらい」「疲れやすい」「気分が安定しにくい」などの内的な不調を抱えることがあります。これは治療が不十分という意味ではなく、脳や心身がゆっくりと回復している途中段階と理解されています。完全回復を急ぐより、医療者・家族・地域支援が連携し、生活リズムや活動量を整えながら段階的に生活機能を取り戻すことが推奨されます。訪問看護は、その過程を見守りながら安全な回復を支える役割を担います。後遺症が残る可能性と再発との違い比較項目後遺症再発主な特徴寛解後に残る軽度の不調症状が再度悪化した状態原因の例体力の低下、ストレス耐性の揺らぎ環境変化、治療継続の中断など対応の目安状態の観察、生活調整医療受診の早期相談が推奨うつ病の回復過程では、治療により症状が軽くなった後にも、集中力の低下や疲労感、不安定な気分などが残ることがあります。こうした不調は回復の途中でみられる可能性があり、必ずしも再発を意味するわけではありません。一方で、症状が明らかに強まってきた場合には再発の可能性が考えられ、早期の相談が推奨されています。後遺症と再発は本人だけで判断することが難しいため、訪問看護などによる日常生活の変化のチェックが役立ちます。特に生活環境の変化、復職前後、負荷が高まった時期には慎重な観察が必要とされています。支援者とともに状況を整理し、必要に応じ医療機関につながる体制を整えることが、安心した生活につながります。2. 起こりやすいうつ病の後遺症の症状認知機能の低下(集中力・判断力・記憶力の不調)認知機能の不調説明集中しにくい作業に取りかかるまで時間がかかる判断が遅い選択や情報整理に負担を感じる記憶のしづらさ予定を忘れやすい、思考がまとまりにくいうつ病の回復期にみられる認知機能の変化は、比較的多く報告されています。これは、脳の処理速度や注意の向け方が本来の状態に戻るまでに時間を要するためと考えられています。集中が続かない、段取りを組みにくい、ミスが増えるなどの困りごとが生じ、日常生活や仕事に影響が及ぶことがあります。こうした認知面の不調は、環境調整や活動量の工夫により改善が期待されます。訪問リハビリでは、日常生活の中で認知負荷が生じる場面を整理し、段階的にできる動作を増やすトレーニングを行うことがあります。焦らず見通しを持ちながら取り組むことで、回復を促すことが可能とされています。感情の波・意欲低下・不安感などのこころの症状こころの不調説明意欲の低下行動を起こすまで気力が湧きにくい気分の波小さな出来事で落ち込みやすい不安感将来への心配が強まりやすいうつ病が寛解しても、感情の揺らぎや不安感、意欲の低下が続くことがあります。これらは病状が悪化しているというより、心のエネルギーが徐々に回復している途中であると理解されています。気持ちの変化は本人にもコントロールが難しく、「やりたいのに動けない」といった葛藤を生むことがあります。訪問看護では、こうした感情の変化を丁寧に把握し、環境調整やストレスマネジメントの助言などを行います。支援者が寄り添いながら状態を確認することで、不安の軽減や安定した生活の維持につながるとされています。身体症状(疲労感・睡眠の不調・頭が働かない感じ)身体症状説明強い疲労感少しの活動でも疲れが残りやすい睡眠の乱れ浅い睡眠・中途覚醒・過眠など身体が重い感覚動作が遅く感じられる、頭がぼんやりするうつ病の影響はこころの面だけでなく、身体面にも及ぶことがあります。特に睡眠の乱れは疲労感や集中力の低下を助長し、後遺症が長引く要因の一つと考えられています。体力が低下している時期には、少ない活動でも疲れやすく、動作や思考のスピードが落ちることがあります。訪問リハビリでは、活動量の調整や無理のない運動、生活動作の見直しを行い、身体の回復を促します。体と心の状態は密接に関連しているため、身体面のケアが気分の安定につながる可能性もあります。3. うつ病の後遺症が生じるメカニズム脳内の神経伝達物質とストレス反応の変化要因説明神経伝達物質の調整遅延情動や思考の調整機能が十分に戻るまで時間がかかる可能性ストレス反応の過敏化負荷に対して緊張・疲労が出現しやすい自律神経の乱れ睡眠・食欲・体調の不安定さにつながる場合があるうつ病では、脳内の神経伝達物質の調整機能が影響を受けることがあり、症状が改善した後も調整が徐々に戻っていくと考えられています。そのため、治療が進み寛解状態になっても、脳の働きが本来の状態に回復しきっていない時期には、集中力の低下、疲れやすさ、気分の変動などの後遺症がみられることがあります。また、ストレス反応が過敏になりやすく、以前なら問題にならなかった刺激でも緊張や疲労につながる可能性があります。さらに、自律神経のバランスが不安定となり、睡眠リズムの乱れや胃腸症状などの身体的な不調として現れる場合があります。こうした変化は回復期に多くみられるもので、本人が「元の自分と違う」と感じて不安になりやすいため、支援者が背景要因を理解したうえで寄り添うことが大切とされています。休職・療養による生活リズムの変化と体力低下影響説明活動量の低下外出・家事などの活動量が減りやすい体力の低下少しの活動でも疲れやすくなるリズムの乱れ睡眠・食事の時間にばらつきが生じる療養期間中はどうしても活動量が減るため、体力や生活リズムが以前とは大きく変化することがあります。体力が落ちると、軽い家事や短時間の外出でも強い疲労を感じることがあり、その疲労が気分の落ち込みにつながる場合もあります。生活リズムの乱れは睡眠の質を低下させ、集中力や意欲に影響することがあるため、回復の妨げとなりうると考えられています。訪問リハビリでは、実際の生活環境に合わせて活動量を調整し、無理のない範囲で体力を回復させる支援が行われます。生活リズムの整備は後遺症緩和に重要であり、段階的に活動幅を広げることで、回復へ向かう流れを作ることが期待されます。性格が変わったように感じる理由とその背景感じやすい変化説明感情が揺れやすい気分の安定に時間を要することがある刺激に過敏になるストレス耐性が低下している可能性自信の低下思考のスピードや集中力の変化による影響うつ病の後遺症が続くと、本人が「以前と性格が変わってしまった」と感じたり、家族が「以前のように振る舞えない」と心配することがあります。これは性格そのものが変わったわけではなく、認知機能や情動調整機能が回復途中で、不安定さが表に出ている状態と考えられています。刺激に対して敏感になりやすく、落ち込みやすい、怒りっぽくなるなどの変化が見られることがありますが、これらは脳や心のエネルギーが完全に戻っていないことの反映であることが多いとされています。適切な支援を継続し、生活リズムの整備や体力回復を図ることで、こうした状態が徐々に落ち着いていくことが期待されます。支援者や家族が背景を理解し、急がず見守る姿勢をもつことが、本人の安心感につながり、回復を後押しします。4. うつ病の後遺症が日常生活・仕事に与える影響家事・育児・趣味など日常生活への影響日常生活の場面起こりやすい困りごと家事段取りが難しい、継続が負担になる育児気力の低下により対応が負担に感じられる趣味興味が湧きにくく楽しさが戻りづらいうつ病の回復期には、家事や育児、趣味などの日常生活に以前とは異なる負担が生じることがあるとされています。これは、集中力や意欲の低下、活動を続ける体力の不足が影響していると考えられています。特に家事の段取りが難しくなったり、育児の対応が思った以上に負担となる場合があります。趣味に対して「楽しめない」「興味が戻らない」という感覚が続くこともあり、本人が自信を失ってしまうこともあります。しかし、これらの変化は回復過程でみられる可能性があり、無理を避け、段階的に生活リズムを整えていくことで改善が期待されます。訪問看護では、日常生活の負担の大きさを一緒に整理しながら、無理のない活動量を整える支援を行います。職場でのパフォーマンス低下と復職への不安生じやすい課題内容集中力の低下作業効率の低下、ミスの増加につながる体力の不足長時間勤務が負担となる可能性プレッシャー評価や期待への不安が強まりやすい復職に向けて不安を抱えることは珍しくありません。うつ病の後遺症が残っている場合、認知面や体力面の影響により、仕事のパフォーマンスにばらつきが生じることがあります。特に「以前と同じように働けるだろうか」という不安や、周囲の期待に対するプレッシャーが大きく感じられる場合があります。復職は段階的に進めることが推奨されており、短時間勤務や負荷の少ない作業から開始するなど、徐々に適応を広げていく方法が有効とされています。訪問看護は体調の変化を客観的に確認し、無理のない働き方を一緒に考える役割を担います。人間関係・家族関係への影響とコミュニケーションの難しさ人間関係で起こりやすいこと説明感情の不安定さ気分の変動により関わりが負担になる会話の疲れ集中力の低下で対話が続けにくい誤解されやすい外見から不調が伝わりにくいうつ病の後遺症は対人関係にも影響するとされています。感情が揺らぎやすいことや、人と話すことに強い疲労を感じることで、家族や友人とのコミュニケーションが難しくなる場合があります。外見上は元気そうに見えることも多く、周囲に不調が理解されにくいという特性もあります。このギャップが本人のストレスを高める原因となることがあるため、家族や周囲が病状を理解し、話しやすい環境づくりを行うことが大切です。訪問看護では、家族への助言やコミュニケーション方法の調整を支援し、関係性の改善につながる取り組みを行っています。5. 在宅で支えるうつ病の後遺症ケアと地域支援訪問看護の支援内容支援内容説明症状の観察気分、睡眠、生活リズムなどを継続的に確認服薬の見守り飲み忘れの予防、薬に関する相談対応生活支援家事や金銭管理、外出などの支援家族支援接し方や再発予防の助言など訪問看護は、うつ病の後遺症による生活上の困りごとを丁寧に把握し、安心して生活を継続できるよう支援する役割を担います。気分の変動や睡眠の乱れは本人が気づきにくい場合があり、生活全般の観察を行うことで早期対応につなげることが可能です。服薬管理のサポートや日常生活の組み立てに関する助言も、生活の安定を助けるとされています。また、家族は負担が偏りやすいため、接し方や支援方法を一緒に検討し、家族全体が安心して関われる環境づくりも行います。訪問リハビリの取り組み取り組み説明体力回復負荷量を調整した運動による疲れにくさへの働きかけ生活動作の練習家事や外出など、実生活に沿った動作訓練認知面の支援注意・記憶・段取りの工夫を日常の中で練習社会参加の準備復職や趣味活動に向けた段階的な外出支援うつ病の後遺症では、体力の低下や活動量のばらつきがみられることがあります。訪問リハビリでは、無理のない運動負荷によって体力の再構築を図り、日常生活に必要な動作を実際の環境で練習していきます。認知面に課題がある場合は、注意の切り替えや作業の段取りなど、生活に直結する視点で改善を目指します。さらに、復職に向けた外出練習など、社会参加のステップを整える支援も行われます。これらの介入は、日常生活の自信回復や再発予防につながる可能性があります。町田市在住の方へ:ピース訪問看護ステーションのご案内スタッフ体制スタッフ体制人数特徴看護師9名心疾患・循環器疾患のケアに精通理学・作業・言語療法士14名運動・呼吸・生活動作の専門支援ケアマネジャー7名医療・介護・リハの包括連携ステーションの特徴と地域連携特徴詳細精神科訪問看護の実施うつ病の後遺症に伴う生活課題や気分の波に寄り添い、生活リズムを整える支援を実施認知・生活機能への多職種連携リハビリ職と連携し、集中力の低下や体力不足に合わせた生活訓練を提供地域医療との連携体制医療機関や地域相談窓口と連携し、必要時の受診や支援につなぐ体制を整備うつ病の回復過程では、気分の揺らぎや疲れやすさ、集中力の低下など、生活に大きな影響が現れることがあります。ピース訪問看護ステーションでは、こうした後遺症に伴う困りごとを丁寧に把握し、日々の生活リズムや気分の変化を確認しながら、安心して暮らし続けられるよう支援しています。リハビリ職と協力して体力や生活動作の改善にも取り組み、利用者の「できること」を少しずつ増やしていくことを目指しています。また、家族への助言や地域資源との連携にも力を入れ、再発予防を見据えたサポート体制を整えています。町田市でうつ病の後遺症にお悩みの方は、ぜひご相談ください。6. うつ病の後遺症へのセルフケアと再発予防生活リズム・睡眠・食事を整えるためのポイントセルフケア項目説明睡眠リズムの調整就寝・起床時間を一定に保つ工夫食事リズムの安定無理のない範囲で規則的な摂取を意識する活動量のバランス調子が良い日も無理しすぎず休息を計画的にとるうつ病の後遺症は、生活リズムの乱れと関連することがあるため、睡眠・食事・活動量を整えることが重要とされています。特に睡眠は心身の調整に深く関わり、起床・就寝時間をそろえるだけでも安定につながる可能性があります。食事を抜くとエネルギーが不足し、疲労感や集中力の低下が強まることがあるため、少量でも規則的に摂取することが望ましいとされています。また、活動量については「良い日に頑張りすぎて翌日動けない」という状態が繰り返されやすく、後遺症の長期化につながる場合があります。訪問看護では、本人の生活状況に合わせて無理のないセルフケアの方法を一緒に整理し、再発予防に向けた安定的な生活リズムづくりを支援します。ストレスマネジメントと認知行動療法的な工夫工夫の例説明気分の記録体調・気分の波を客観的に把握する手助けとなる小さな目標設定達成感を積み重ね、自己効力感の回復を促す休息の計画化負荷を予測し、疲れをためないための調整後遺症が続く時期は、ストレスを受けやすく、日常の些細な出来事にも負担を感じる場合があります。ストレスマネジメントの方法として、気分や行動を簡単に記録し、日々の変化を客観的に捉える方法が役立ちます。これは認知行動療法の考え方にも通じ、状態の把握や対処法の整理に役立つとされています。また、小さな目標を設定し、達成を積み重ねることで自信を取り戻すことにつながります。疲労感が強い日は無理をせず休息を優先するなど、負荷の調整も重要です。訪問看護は、こうしたストレス対処法を一緒に検討し、本人が自分に合った方法を見つける支援を行います。再発サインのセルフチェックと早期受診の目安再発の可能性があるサイン説明睡眠の乱れが続く寝つきが悪い、中途覚醒が続くなど変化が強い気分の落ち込みの増加日常の活動が著しく負担に感じられる不安・焦りの増大日常生活に支障をきたすほど強まる場合うつ病は再発を繰り返しやすい特性があるとされており、後遺症のある時期は特に注意が必要です。日常生活の中で気づきやすい再発サインとして、睡眠の乱れや気分の落ち込み、不安の増大などがあります。これらの状態が続く場合や悪化していると感じたときは、早めに医療機関へ相談することが推奨されています。訪問看護では、日常生活の中で見られる変化を定期的に確認し、必要時には専門職につなぐことで早期対応を支えます。再発予防には、本人のセルフチェックと支援者による客観的な観察の両方が重要と考えられています。7. うつ病の後遺症と社会復帰・働き方の調整段階的な職場復帰ステップとリハビリ的な考え方ステップ内容生活リズムの安定起床・就寝・食事など、基本的な生活習慣の安定化生活行動の拡大家事・買い物・散歩など、負荷の軽い行動から再開試験的勤務短時間勤務や負荷の少ない業務から始める本格復帰状態に合わせて業務量・業務内容を段階的に調整うつ病の回復には個人差があり、復職を急ぐことが負担となることがあります。そのため、段階的なステップを踏みながら社会復帰を進める方法が推奨されています。まずは生活リズムを整え、日常的な活動を少しずつ広げていくことから始めます。家事や外出といった生活動作の安定がみられるようになった段階で、短時間勤務や軽作業などの試験的な復職を組み込みます。訪問看護や訪問リハビリは、これらのステップを客観的に確認し、負担が大きくならないよう調整しながら社会復帰の準備を支える役割を担います。本人のペースに寄り添いながら、無理のない復職を目指すことが重要とされています。主治医・産業医・職場との連携と合理的配慮の相談連携先主な内容主治医症状の評価、復職時期の検討、適切な助言産業医勤務環境の調整、負荷の評価、配慮事項の検討職場業務内容の調整、勤務時間の相談、支援体制の確認社会復帰を安全に進めるためには、医療機関と職場の連携が欠かせません。主治医は体調や病状の観点から復職のタイミングや注意点を示し、産業医は職場環境の視点から負担の少ない働き方を検討します。職場側と相談しながら、勤務時間の調整や仕事内容の一時的な変更などの合理的配慮を受けることも可能です。訪問看護は、本人の生活状況や体調変化を把握しつつ、必要に応じて医療機関や職場と情報共有を図ることで、復職前後のサポートを行う役割があります。負担の少ない働き方を共に考えることが、安定した社会復帰につながります。働き方・キャリアの見直しと無理のない目標設定調整ポイント内容働き方の見直し勤務時間・仕事量・業務内容などの調整キャリア再検討自分に合った役割や働き方の方向性を再整理小さな目標設定無理のない範囲で達成可能な目標を積み重ねるうつ病の後遺症が残る時期は、働き方やキャリアの見直しを行う良い機会となる場合があります。体力や集中力が以前の状態に戻るまでには時間を要することもあるため、過度な負荷を避けた働き方を検討することが大切です。小さな目標を設定し、達成体験を積み重ねることで自信の回復が期待されます。訪問看護やリハビリは、生活全体を俯瞰しながらその人に合った調整方法を一緒に考える役割を担い、無理なく健やかに社会参加を続けられるよう支援します。8. 家族・周囲ができる支援とうつ病後遺症との付き合い方家族が知っておきたいうつ病後遺症の特徴特徴説明体調の波「できる日」と「難しい日」の差が生じやすい集中力の低下会話や作業に負担を感じやすい感情の揺らぎ気分が不安定で傷つきやすいことがある家族は最も身近な支援者であり、うつ病の後遺症の特徴を理解することは、円滑なサポートにつながります。後遺症は体調の波が大きく、日によって活動できる範囲が異なることがあります。また、集中力の低下や感情の揺らぎのため、些細なことにも疲れを感じたり、落ち込みやすくなったりする場合があります。これらは本人の意志や努力不足ではなく、脳と心が回復途中にあることによる自然な変化であると捉えられています。家族が背景を理解し、過度な励ましよりも見守りを重視する関わりが役立つとされています。声かけ・接し方のコツと避けたい言葉良い声かけ効果「無理しないでね」安心感を与える「できていることもあるよ」自信の回復につながる「一緒に考えよう」孤立感の軽減うつ病の回復過程では、本人が自信を失いやすく、否定的な言葉に敏感になることがあります。励ますつもりの言葉でも、「もっと頑張って」「前みたいにやってみて」は負担になる場合があります。一方で、安心感を与える言葉や、小さな成長を一緒に確認する声かけは、前向きな気持ちにつながりやすいとされています。また、話しやすい雰囲気づくりや、本人が休みたいときは尊重する姿勢も大切です。訪問看護では家族とともに関わり方を整理し、家庭内での支援が過度になりすぎないよう助言を行います。支援者自身のこころのケアと相談先支援者のケア内容相談先を確保する家族が一人で抱え込まないことが重要休息の確保支援者が疲弊すると適切な関わりが難しくなる専門機関の活用相談窓口・医療機関との連携が支えとなる長期にわたる支援は、家族自身が大きな負担を抱えることがあります。「支える側のケア」も回復を支えるうえで欠かせません。悩みや不安を共有できる相談先を確保し、家族も適度に休息をとることで、無理なく支援を継続しやすくなります。町田市には精神保健福祉相談窓口が設置されており、さまざまな相談に対応しています。訪問看護も、家族のつらさや不安に寄り添いながら、地域の専門機関と連携し、安心して支援を続けられる環境づくりをサポートします。9. よくある質問(Q&A)と誤解の解消Q1. うつ病が良くなってきても集中力が戻らないのはなぜ?うつ病では、症状が改善した後も集中力・判断力・記憶力などの認知機能が回復に時間を要することがあります。脳の調整機能が徐々に戻っていく過程でみられるとされており、本人の努力不足ではありません。生活リズムの調整や環境の工夫により改善が期待できるため、焦らず回復を支えることが重要です。必要に応じて主治医や訪問看護師に相談してください。(参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」)Q2. 寛解しても気分の波が続くのは再発ですか?寛解後に気分の波が続くことは珍しくありません。これは「残遺症状」と考えられ、回復が進む過程でみられる可能性があります。ただし、落ち込みが強くなったり、日常生活に支障が現れる場合は再発の可能性もあるため、早めの相談が推奨されています。(参考:厚生労働省「精神疾患に関する相談支援資料」)Q3. 本人が受診をためらうとき、どう接したらよい?無理に受診を促すと負担となる場合があります。「一緒に相談してみない?」など、共に動くスタイルの声かけが効果的とされています。また、本人が同意しない場合でも、家族だけで自治体の精神保健福祉相談窓口に相談することができます。支援者が孤立しないことも非常に重要です。(参考:厚生労働省「精神保健相談の手引き」)Q4. 家族が支え続けるのがつらくなった場合は?家族も支援の当事者であり、過度な負担を抱え込まないことが大切です。家族会・家族教室・自治体の相談窓口などを活用することで、同じ経験をもつ人とつながり、安心感が得られます。町田市でも精神保健福祉相談窓口が設置され、家族の相談を受けています。(参考:国立精神・神経医療研究センター「家族支援プログラム」/町田市「精神保健福祉相談窓口」)Q5. 地域全体でできる「うつ病支援」にはどんな取り組みがある?自治体では、メンタルヘルスの普及啓発や相談体制の強化、地域連携会議の開催などを通じ、住民全体の理解促進と支援体制づくりを進めています。町田市でも、地域の精神保健活動や相談支援体制が整えられており、住民や家族が困ったときに相談できる環境が用意されています。(参考:町田市「精神保健福祉施策」)10.まとめうつ病の後遺症は、活動量の低下や集中力の低下、感情の揺らぎ、疲れやすさなど、日常生活のさまざまな場面に影響を与えることがあります。これらは回復途中にみられる自然な変化であり、本人の努力不足とは関係がありません。焦らず、自分のペースで生活リズムを整えていくことが重要です。訪問看護や訪問リハビリは、気分や生活リズム、体力などの変化を丁寧に観察し、必要に応じて医療機関と連携しながら回復を支える役割を担います。家族や地域の支援とともに、生活の安定を図ることが再発予防にもつながると考えられています。家族が後遺症の特徴を理解し、無理のない関わりを意識すること、本人が疲れたときには休息を認めることも大切です。町田市には相談機関も整っており、一人で抱え込まず支援を得ることで、安心して回復に向かう道が広がります。11. 関連記事うつ病で悩むあなたに、訪問看護という安心のカタチパニック障害の発作に備える、今日からできる対処法とセルフケア術不安障害の原因と対処法まとめ、脳・性格・ストレスとの関係とは統合失調症の初期症状とは?早期発見のために知っておきたいポイントうつ病の原因を完全解説、ストレス・遺伝・脳内物質が与える影響とは?12. 参考文献一覧厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」https://www.mhlw.go.jp/kokoro/厚生労働省「精神科訪問看護に関する資料」https://www.mhlw.go.jp/厚生労働省「精神保健福祉相談体制の整備」https://www.mhlw.go.jp/厚生労働省「家族支援に関する精神保健医療福祉資料」https://www.mhlw.go.jp/日本精神神経学会「統合失調症薬物治療ガイドライン2021」https://www.jspn.or.jp/国立精神・神経医療研究センター「家族支援プログラム」https://www.ncnp.go.jp/日本リハビリテーション医学会「在宅リハビリテーションの役割」https://www.jarm.or.jp/町田市「精神保健福祉相談窓口」https://www.city.machida.tokyo.jp/13. 本記事の執筆者・監修者【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。