「夜中に3回も起きるんです。でも、もう年だから仕方ないですよね」。町田市のご自宅に伺うと、こう言って話を切り上げようとする方に何度も出会います。夜間頻尿は、年齢のせいだけで片づけられるものではありません。尿が作られすぎている、膀胱がためておけない、そもそも眠りが浅い。原因は3つの型に分かれ、型によって打つ手が変わります。もう一つの危険もあります。暗い部屋を寝ぼけたまま歩く回数が増えることです。高齢者の転倒・転落は死亡者数も救急搬送者数も多く、骨折や頭部外傷から介護が必要な状態になることもあると消費者庁は注意を促しています(出典:消費者庁「みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故」)。夜間頻尿の対策は、家の安全の話でもあります。この記事では、東京都町田市・神奈川県相模原市で在宅の方に伺っている訪問看護の視点から、原因の切り分け方から夜の移動を安全にする家の整え方までをまとめます。この記事でわかること夜間頻尿と呼ぶ回数の目安と、受診を考えはじめるタイミング夜間多尿・蓄尿障害・睡眠の質低下という3タイプの見分け方排尿日誌のつけ方と、泌尿器科など何科にかかればよいかの判断水分・塩分・夕方の運動・薬を飲む時刻を変えるときの優先順位夜のトイレ移動で転ばないための照明・動線・手すりと、費用の考え方読む時間がない方へ。今夜ひとつだけやるなら、寝床から手の届く位置に明かりを用意してください。原因を調べるのは明日からで間に合いますが、転倒は今夜起こりえます。高齢者が夜中に何度もトイレに起きる「夜間頻尿」とは夜間頻尿とは、高齢者が夜中に何度もトイレに起きて睡眠や生活に支障が出ている状態を指し、夜に2回以上起きるかどうかが原因を調べはじめる目安になります。夜間頻尿の回数の目安|夜2回以上が調べはじめる合図夜間の排尿回数体で起きていること目安の対応0〜1回加齢の範囲に収まっていることが多いしばらく様子をみる2回医学的に頻尿と数えられる回数排尿日誌を2〜3日つける3回以上眠りが細切れになり日中に影響が出やすいかかりつけ医か泌尿器科に相談回数は少ないが尿が出にくい排尿の通り道に問題が隠れていることがある数えるより先に泌尿器科へ日本腎臓学会「腎臓がわるくなったときの症状」では、頻尿を「1日8〜10回以上、夜間2回以上トイレに起きる状態」と説明しています。回数だけがすべてでもないのです。1回起きただけで朝まで寝つけない方もいれば、3回起きてもすぐ眠りに戻れる方もいます。判断の軸は回数ではなく、本人と家族が困っているかどうか。ここが出発点です。回数の話に混ぜてはいけない症状もあります。尿の勢いが弱い、出しきれた感じがしない、下腹部が張るという訴えです。膀胱に尿が残ったままあふれていることがあり、腎臓に負担がかかる前に泌尿器科で調べたい状態です。加齢で夜の尿が増えるのはなぜか加齢に伴う変化夜の尿への影響腎臓の尿を濃縮する働きが落ちる夜でも薄い尿が多く作られる抗利尿ホルモンの日内リズムが崩れる夜間に尿量が絞られにくくなる日中に足へたまった水分が横になって戻る就寝後の数時間に尿量が増える膀胱の容量と弾力が小さくなる同じ尿量でも起きる回数が増える眠りが浅くなる尿意で目覚めやすくなる日本腎臓学会は、腎機能が低下した方や高齢の方では尿を濃縮する働きが落ちるために夜間多尿になると説明しています。さらに、ナトリウムを日中に排泄しきれず、夜間に血圧を上げて排泄しようとすることも夜間多尿の原因になると記しています。在宅で伺っていると、足にたまった水分が夜に戻る現象が想像以上に大きいと感じます。日中ほとんど座って過ごし、夕方に靴下の跡がくっきり残る方は、横になった直後から尿量が増えます。むくみの背景については高齢者の足のむくみは病気のサイン?訪問看護で行う観察・ケア・予防と家族支援もあわせてご覧ください。眠りが細切れになると、日中と介護にどう響くか起きること本人への影響家族・介護への影響睡眠が2〜3時間ごとに分断される日中の眠気、意欲の低下昼夜逆転が進み生活リズムが崩れる起き上がりと歩行が夜に増えるふらつき、転倒の危険夜間の見守りが必要になる眠れない不安が募る睡眠薬に頼りたくなる薬の管理の負担が増える水分を自分で控えはじめる脱水、便秘、脱力体調不良の原因が分かりにくくなる夜間頻尿で困るのは本人だけではありません。同居のご家族も物音で目を覚まし、付き添いで廊下を歩き、朝には二人とも寝不足という日が続きます。相模原市に伺っていてよく見かけるのは、ご本人より先に介護している配偶者が参ってしまう流れです。夜中に2回3回と起こされる生活が数か月続き、日中に居眠りが増え、通院の付き添いや食事の支度が回らなくなる。ご本人の受診より先に、支える側の生活が崩れます。眠れないつらさから、水分を自分の判断で極端に減らす方も少なくありません。逆効果になりやすく、脱水や便秘、日中のふらつきを招きます。眠りの分断と転倒は、ひとつながりの問題として扱うと対策の順番が決めやすくなります。夜間頻尿の原因|夜間多尿・膀胱の蓄尿障害・睡眠の質低下の3タイプ夜間頻尿の原因は、夜に尿が作られすぎる夜間多尿、膀胱がためておけない蓄尿障害、尿より先に眠りが浅くなる睡眠の質低下の3タイプに整理すると、対策の優先順位が決まります。タイプ1 夜間多尿|夜に尿が作られすぎている見分けのヒント背景にあること1回の尿量が多く、便器にしっかりたまる夜間の尿産生そのものが増えている夜に出る量が1日の量のかなりの割合を占める尿が作られる時間帯が夜へ偏っている夕方に足がむくみ、朝には引いている日中に足へ移動した水分が夜に戻っている就寝前にお茶やお酒をよく飲む水分と利尿作用が就寝前に集中している高血圧・心不全・糖尿病・腎機能低下がある尿量を増やす病気が背景にある日本腎臓学会は、睡眠時無呼吸で高血圧をきたした場合や、心不全、糖尿病などで夜間の尿量が増えることがあると説明しています。薬や寝る前の水分の摂りすぎが原因になる場合にも触れています。このタイプで見ておきたいのは1回ごとの尿量。夜に3回起きても毎回少量なら、次のタイプ2の色合いが濃くなります。では、どのくらい夜に偏っていれば多尿と考えるのでしょうか。医師が使う見方の一つは、夜に出た量が1日の量のおよそ3分の1を超えるかどうかです。ご自身で判定する必要はありません。日中と夜間を分けて書いておけば、医師がその場で判断できます。在宅では、夕方の足のむくみと朝の体重も手がかりです。訪問時に同じ時刻で体重計に乗ってもらうよう相談するのは、この確認のためです。背景に心臓や腎臓の病気があるときは、生活の工夫だけで押し切らないでください。もとの病気の治療が動くと夜間の尿量も動きます。タイプ2 蓄尿障害|膀胱がためておけない見分けのヒント背景にあること1回の尿量が少ないのに回数が多い膀胱にためられる量が減っている急に強い尿意が来て我慢しにくい過活動膀胱の尿意切迫感間に合わず漏れてしまうことがある切迫性尿失禁男性で勢いが弱く、出し終わりが長い前立腺肥大症が関わっていることがある日本腎臓学会は、狭い意味での頻尿で最も多い原因は高齢男性の前立腺肥大であり、膀胱炎による粘膜への刺激や過活動膀胱も原因になると説明しています。過活動膀胱については、日本排尿機能学会と日本泌尿器科学会が過活動膀胱診療ガイドライン 第3版を出しています。このガイドラインには「夜間頻尿と過活動膀胱」という章が置かれ、高齢者・フレイルの章では生活指導や行動療法が推奨されるかという臨床上の問いが立てられています。在宅での見え方はこうです。間に合わずに困っている方は、尿量そのものより「間に合わない」ことに参っています。排泄の失敗を家族に知られたくなくて、水分も相談も控えてしまう。この心理的な連鎖を解くところから支援が始まります。関連して高齢者の尿失禁、在宅ケアと家族の対応ガイドもご覧ください。タイプ3 睡眠の質の低下|尿ではなく眠りが先見分けのヒント背景にあること目が覚めたついでにトイレへ行っている尿意より覚醒が先に来ている尿量は少なく、行かなくても眠れる日がある膀胱の問題は軽いいびきが大きく、日中に強い眠気がある睡眠時無呼吸が疑われる早い時刻に就床し、寝床にいる時間が長い眠れる量に対して寝床が長すぎる日本腎臓学会は、眠りが浅く日中と同じように尿意を感じてしまう睡眠障害を起こしやすいことも、夜間に何度もトイレへ行く原因になると挙げています。判別のこつは、目が覚めた瞬間に強い尿意があったかを思い出してもらうことです。「起きたから、ついでに行っている」なら眠りが主役です。夜8時に床に就いて朝6時まで寝床にいる方が、10時間ぶんの眠りを必要としていることはまずありません。寝床にいる時間を眠れる長さに近づけるだけで、目覚める回数が減る方もいます。いびきや日中の強い眠気があるときは、睡眠時無呼吸の検査を相談してください。何科を受診すべきか|自宅でできるセルフチェックと受診の目安夜間頻尿は、まずかかりつけ医に排尿日誌を持って相談し、尿の出にくさや切迫感が強ければ泌尿器科、むくみや息切れを伴えば内科というのが受診先の基本の分け方です。排尿日誌のつけ方|2〜3日分で十分記録する項目書き方分かること排尿した時刻24時間ぶん、夜に起きた回数も含めて夜間の回数と時間帯の偏り1回の尿量計量カップで数回だけでもよい多尿型か蓄尿障害型かの手がかり飲んだ時刻と量種類(茶・酒・汁物)も添える就寝前への集中の有無尿意の切迫や漏れ「間に合わず」など一言過活動膀胱を疑う材料起床時の体重・足のむくみ数字とむくみの有無水分の移動と心腎の状態過活動膀胱診療ガイドライン 第3版にも、基本評価として排尿日誌が推奨されるかという臨床上の問いが置かれています。医療者が判断材料に使う記録です。完璧を目指す必要はありません。訪問先では「2日で十分です。全部の量を測らなくても、夜の分だけ測りましょう」とお伝えしています。紙は市販のものでなくてかまいません。町田市内では、カレンダーの裏に時刻と量を書いて持参される方もいます。「夜中の2時と4時に200mLずつ」と示せれば、それだけで医師の見立てが変わります。何科にかかるか|症状別の入口目立つ症状最初の入口補足回数が多いだけで他は落ち着いているかかりつけ医(内科)服用中の薬を含めて全体を見てもらう尿が出にくい・残る感じ・強い切迫感泌尿器科男性の前立腺、女性の骨盤底も含めて診る足のむくみ・息切れ・体重増加を伴う内科(循環器・腎臓)心不全や腎機能低下の確認が先いびき・日中の強い眠気を伴う呼吸器内科・睡眠外来睡眠時無呼吸の検査を検討認知症があり本人が説明しにくいかかりつけ医とケアマネジャー家族と支援者の観察を持ち込む迷ったときはかかりつけ医から始めてください。夜間頻尿は複数の原因が重なることが多く、血圧の薬や利尿薬など、すでに飲んでいる薬が関わっていることもあります。紹介状の有無で悩む方もいます。薬手帳と排尿日誌を持ってかかりつけ医へ、必要なら紹介してもらう。この順番がいちばん早いというのが在宅での実感です。高齢のご本人だけでは症状を伝えきれないこともあります。同席が難しければ、家族が気づいた点を紙1枚にまとめて持たせるだけでも診察の精度が上がります。早めに受診したほうがよいサインサイン考えられること対応尿が出ない、下腹部が張って苦しい尿閉その日のうちに受診発熱と背中や腰の痛みを伴う腎盂腎炎などの感染早急に受診尿に血が混じる尿路の出血・結石・腫瘍早めに泌尿器科へ数日で足のむくみと体重が急に増えた心不全の悪化主治医に連絡夜間に転倒し、頭をぶつけた頭部外傷受診し経過を見てもらう様子を見ているうちに悪化させないよう、症状の組み合わせで判断してください。とくに尿閉は我慢していても改善しません。「出そうで出ない」「下腹がぱんぱんに張る」という訴えは、時間帯を問わず受診の対象です。夜間に転んで頭を打った場合は、その場で元気に見えても油断できません。しばらく経って様子が変わることもあるため、翌日以降も家族に見ていてもらいます。今日からできる夜間頻尿対策|水分・塩分・運動と薬を飲むタイミング夜間頻尿の対策は、水分の総量を減らすことではなく、飲む時間帯を前へ動かし、塩分を控え、夕方に足の水分を戻し、薬の時刻を主治医と調整することの4本立てで進めます。水分は減らさず、飲む時間帯を前へ動かす時間帯進め方理由朝〜昼1日分の多くをこの時間に日中に排泄しきれる夕食時汁物とお茶を重ねすぎない就寝前の尿量を抑える就寝前口を潤す程度にとどめる入眠直後の尿量を減らす夜間・起床時起きたら一口飲む脱水と血栓のリスクを避けるいちばん多い誤解が、夜のトイレを減らすために1日の水分を減らすというやり方です。高齢の方は口渇を感じにくく、脱水に傾きやすい。夏場に「夜が心配だから」と水分を控えて、日中にふらついて動けなくなる方に何度も出会っています。減らすのではなく、前へ動かす。この言い換えが伝わると実行してもらえます。朝食と昼食でしっかり飲み、夕方以降は控えめにする。それだけで夜の1回が減る方がいます。過活動膀胱診療ガイドライン 第3版でも、生活習慣の改善が治療として推奨されるかという問いが立てられ、高齢者への生活指導の項目も置かれています。生活の調整は薬の前に来る選択肢です。心不全や腎臓病で水分量の指示が出ている方は、必ず主治医の指示を優先してください。塩分を控え、夕方に足の水分を戻す工夫やり方ねらい減塩汁物を1日1杯に、漬物と練り物を控える夜間の尿量とむくみを抑える夕方の足上げ夕食前に30分ほど、足を心臓の高さ近くに就寝前に水分を尿として出す夕方の歩行・体操買い物や室内歩行、かかとの上げ下ろしふくらはぎのポンプを働かせる弾性ストッキング主治医の許可を得てから日中に着用足に水分をためにくくする日本腎臓学会のエビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023では、慢性腎臓病の方の食塩摂取量として1日6g未満が示されています。腎臓や心臓に負担のある方ほど、塩分の管理が夜の尿量に効いてきます。相模原市に伺っていると、夕方のニュースの時間を足上げの時間と決めて習慣づいた方に出会います。大切なのは就寝直前ではなく夕方に行うことです。寝る前に足を上げると、水分が戻る時間帯がそのまま夜になります。夕食前に済ませて、寝る前までに出しきる流れを作ってください。弾性ストッキングは動脈の血流が悪い方には使えません。自己判断で購入せず、主治医か訪問看護師に相談してから始めてください。薬を飲む時刻は自己判断で変えない薬の種類夜間頻尿との関わり相談のしかた利尿薬服用後数時間に尿量が増える朝や昼への時刻変更を主治医に相談血圧の薬種類により夜間の尿に影響することがある排尿日誌を見せて調整を依頼睡眠薬・安定剤夜間のふらつきと転倒に関わる減らし方も含めて医師と決める過活動膀胱の薬系統によって口渇・便秘・残尿が出やすいものがあるつらい症状が出たら我慢せず報告薬の時刻をずらすだけで夜の回数が変わることがあります。ただし、これは医師が決めることです。利尿薬を勝手にやめ、数日で足がむくんで息苦しくなった方を実際に見ています。日本睡眠学会は睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドラインを公開しています。睡眠薬は、始め方だけでなく減らし方も医療者の管理下で判断するものです。過活動膀胱の薬には、抗コリン薬とベータ3受容体作動薬の2系統があります。口の渇きや便秘、残尿の増加が出やすいのは主に抗コリン薬で、ベータ3受容体作動薬ではこれらが出にくいとされています。ガイドライン第3版にも副作用への対処法や、残尿がある方への安全性を問う項目が置かれています。症状が強くなったときは、次の受診を待たずに連絡してください。在宅では、薬手帳と排尿日誌を並べて主治医に渡すところまで訪問看護が担うこともあります。「夜中の2時と4時に起きていて、利尿薬は夕方に飲んでいます」という1行が伝われば、調整の話が進みます。夜のトイレで困りごとが続くときは、ピース訪問看護ステーションへのお問い合わせからご相談ください。夜中のトイレ移動での転倒を防ぐ、安全な家の工夫夜間の転倒対策は、寝室からトイレまでの明かりと動線を整え、つかまる場所を用意し、夜だけの排泄手段を持っておくという3点を、寝る前の準備として仕組み化することが要になります。明かりと動線を、寝る前に作っておく場所整え方ねらい枕元手が届く位置に明かりのスイッチ起き上がる前に点ける廊下・階段足元灯を常時点灯か人感センサーまぶしさを避けて足元を照らすトイレ入口段差と敷居に印を付けるつまずきの起点をなくす通り道電源コード・新聞・スリッパを片づける引っかかりを消す寝室〜トイレ家具の角を通らない経路に整えるぶつかりとよろけを減らす消費者庁は高齢者の転倒・転落を防ぐため、生活環境の確認、身体の状態の確認、事故が起きたときの対処方法の確認という3点を挙げています。段差など危険な箇所を減らし、転んでも大けがに至らない工夫がすすめられています。現場で効果が大きいのは、明るさよりまぶしくないことです。真っ暗な廊下で天井の照明を点けると、目が慣れるまでの数秒がいちばん危ない。訪問時には、昼ではなく夜と同じ条件で通り道を歩いてもらいます。昼に見て何もないと思っていた廊下に、夜だけ出すごみ袋が置かれていた。町田市内で実際にあったことです。寝る前の5分で、明かり・履物・通り道の3つを確認する。この習慣が根づくと家族が夜中に起きる回数も減ります。詳しくは高齢者の転倒予防と対策:健康寿命を延ばすためにできることにまとめています。つかまる場所をつくる|手すりと住宅改修の費用手を入れる場所具体策費用の入口寝床からの起き上がりベッド柵、立ち上がり用の手すり介護保険の福祉用具貸与廊下・トイレ入口縦手すり・横手すりの取り付け介護保険の住宅改修段差・敷居段差解消、すべりにくい床材へ変更介護保険の住宅改修トイレの便器洋式便器への取り替え介護保険の住宅改修置き型で済ませたい場合据置式手すり、突っ張り式手すり福祉用具貸与・購入町田市の案内によると、介護保険を使った住宅改修の支給限度基準額は1人につき20万円で、負担割合に応じて9割・8割・7割が支給されます。対象は手すりの取り付け、段差の解消、床材の変更、扉や便器の取り替えなどです(出典:町田市「介護保険を利用した住宅改修」)。見落とされがちなのが、工事前の事前申請が必要だという点です。市の審査が終わる前に着工すると支給の対象外になります。町田市には住宅改修アドバイザー制度もあります。市が委託した建築士や理学療法士、作業療法士から助言を受けられ、費用負担はありません。手すりの高さや向きは体の動きで変わるため、専門職に見てもらう価値は大きいところです。相談の入口はケアマネジャーか高齢者支援センターです。まだ介護保険を使っていない方も、市区町村の窓口から始められます。履物・寝具・睡眠薬との付き合い方見るところ危ないパターン変えかた履物かかとのないスリッパかかとの覆われた室内履き、または裸足寝床の高さ低すぎて立ち上がりにくい足裏が床につく高さに調整寝具まわり敷布団の縁、めくれたラグラグを外すか滑り止めを敷く服装裾の長いパジャマ足首が出る丈にする薬睡眠薬を飲んだ直後の歩行服用後の動きを医師と相談スリッパは転倒対策の盲点です。脱げやすく、つまずきの原因になります。冷えるからと履いている方には、かかとまで覆われた室内履きへの切り替えを提案しています。消費者庁は、加齢による身体機能の低下だけでなく、転倒につながりやすい疾患や薬の副作用の可能性も確認するよう挙げています。睡眠薬を飲んだ直後に尿意で起きる場面は、ふらつきが強く出やすいところです。夜だけポータブルトイレを使う選択もあります。移動距離が短くなるだけで転倒の危険は下がります。抵抗を感じる方が多い道具ですが、「夜だけ」と区切ると受け入れやすくなります。選び方は夜間の排泄も安心!介護保険利用でポータブルトイレを選ぶ7つのポイントを参考にしてください。訪問看護でできること|町田・相模原での夜間頻尿サポート事例訪問看護は、夜間頻尿を排尿の問題としてだけでなく、住まいの安全と家族の睡眠を含めた生活全体の問題として捉え、記録・環境調整・医療連携の3方向から支えます。訪問看護師が夜の家の中で見ているもの見ているところ具体的に確認することつながる対応排泄の記録夜の回数、1回量、切迫や漏れの有無タイプの見分けと主治医への報告体重とむくみ起床時体重、足のむくみの左右差心不全や腎機能の悪化の早期発見薬利尿薬と睡眠薬の時刻、飲み忘れ服薬時刻の調整を医師に提案家の中夜の明るさ、通り道、履物環境整備と福祉用具の提案家族付き添いの回数、睡眠不足の程度サービス調整と介護負担の軽減訪問看護の強みは、家の中を実際に見られることです。診察室では「夜に3回起きます」で終わる話が、自宅では通り道の暗さ、ベッドの高さ、スリッパの状態まで見えてきます。町田市・相模原市で在宅の方に伺って印象に残るのは、家族が困りごとを口にするまでの時間の長さです。夜の付き添いが半年続いていても「まあ、なんとかやっています」と話されます。排尿日誌が続かない方には、書式そのものを一緒に作り直します。時刻だけの日と量も測る日を分けたり、家族が代わりに書いたり。続く形にすることが最優先です。背景に心不全や腎機能低下が隠れていることもあり、むくみと体重は毎回の訪問で確認しています。数字が動いたときに主治医へ連絡できると、入院に至る前に手を打てます。主治医・ケアマネジャー・地域の窓口をつなぐつなぐ相手依頼すること得られること主治医排尿日誌と体重の報告、服薬時刻の相談薬の調整、必要な検査の指示ケアマネジャー福祉用具や住宅改修の調整手すり、ポータブルトイレの導入福祉用具専門相談員実際の動きに合った用具の選定体に合った高さ・位置での設置地域包括支援センター介護保険がまだの方の相談窓口申請の入口、地域資源の紹介家族夜の状況の共有見守りの負担配分の見直し介護保険をまだ使っていない方の入口は、地域の相談窓口です。町田市では高齢者支援センター(地域包括支援センター)、相模原市では地域包括支援センターが相談を受けています。介護保険制度の全体像は厚生労働省「介護・高齢者福祉」にまとまっています。費用が分からないと相談しにくいものです。訪問看護は介護保険か医療保険で利用でき、自己負担は保険と所得に応じて1割から3割です。要介護認定を受けている方は介護保険が優先されます。負担割合は保険証や負担割合証で確認でき、問い合わせや初回の相談に費用はかかりません。橋渡しには時間がかかります。医師には医学的な情報、ケアマネジャーには生活の情報、家族には次の一手。相手に合わせて言い換える作業が、夜の1回を減らします。よくある質問Q1. 夜間頻尿は夜に何回トイレに起きたら異常ですか日本腎臓学会は、頻尿を1日8〜10回以上、夜間2回以上トイレに起きる状態と説明しています。夜2回以上が原因を調べはじめる目安です。ただし1回でも眠れずに困っているなら相談の対象です。回数より生活への支障で判断してください。Q2. 夜間頻尿は何科を受診すればいいですかまずはかかりつけ医に排尿日誌を持って相談してください。尿が出にくい、強い切迫感がある、漏れるといった症状が中心なら泌尿器科です。足のむくみや息切れを伴うときは内科、いびきと日中の強い眠気があるときは睡眠時無呼吸を扱う医療機関を検討します。Q3. 夜間頻尿の主な原因は何ですか夜に尿が作られすぎる夜間多尿、膀胱がためておけない蓄尿障害、眠りが浅くて目が覚める睡眠の質の低下の3タイプに整理できます。日本腎臓学会は、前立腺肥大や膀胱炎などの排尿障害、睡眠障害、睡眠時無呼吸に伴う高血圧、心不全、糖尿病、就寝前の水分の摂りすぎを原因に挙げています。Q4. 高齢者はなぜ夜中に何度もトイレに起きるのですか加齢によって尿を濃縮する働きが落ち、夜でも薄い尿が多く作られるためです。日本腎臓学会は、腎機能が低下した方や高齢の方は尿の濃縮機能が低下するために夜間多尿になると説明しています。日中に足へたまった水分が横になって戻ること、膀胱の容量が小さくなることも重なります。Q5. 夜間頻尿は治りますか、改善は見込めますか原因によります。就寝前の水分や塩分、夕方の過ごし方、薬を飲む時刻を整えることで回数が減る方は少なくありません。前立腺肥大症や過活動膀胱、心不全など背景の病気があれば、その治療が進むと夜の回数も変わります。ゼロではなく、眠れる長さの確保を目標にしてください。Q6. 夜間頻尿と転倒リスクにはどんな関係がありますか夜間に暗い部屋を歩く回数が増えるほど、転倒の機会が増えます。消費者庁は、高齢者の転倒・転落は死亡者数も救急搬送者数も多く、骨折や頭部外傷が原因で介護が必要な状態になることもあると注意を促しています。回数を減らす取り組みと、明かり・手すり・履物を整える取り組みは同時に進めてください。Q7. 寝る前の水分補給はどのくらい控えればいいですか1日の総量を減らすのではなく、飲む時間帯を前へ動かします。朝から昼にかけて多めに飲み、夕食時は汁物とお茶を重ねすぎず、就寝前は口を潤す程度にとどめるのが在宅での目安です。心不全や腎臓病で水分量の指示が出ている方は、主治医の指示を優先してください。Q8. 夜間頻尿は睡眠薬で治りますか、睡眠薬との関係を教えてください睡眠薬は夜間頻尿そのものの治療薬ではありません。眠りが浅いことが主な原因のときに医師の判断で使われることはありますが、服用後のふらつきは夜間の転倒につながります。日本睡眠学会は睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドラインを公開しており、始め方も減らし方も医師と決めるのが前提です。自己判断で増減しないでください。まとめ夜中に何度もトイレに起きる夜間頻尿は年齢のせいで片づけられがちですが、夜間多尿・蓄尿障害・睡眠の質の低下という3つのタイプに切り分けると打つ手が見えてきます。まずは2〜3日の排尿日誌をつけ、1回の尿量と起きる時刻を記録してかかりつけ医に相談してください。生活の工夫は、水分を減らすのではなく飲む時間帯を前へ動かすこと、塩分を控えること、夕方に足の水分を戻すことから。薬の時刻は必ず医師と相談して調整します。そして回数を減らす取り組みと同じ重さで、夜の明かり、手すり、履物を整えてください。ピース訪問看護ステーションにご相談くださいこんな方はぜひご相談ください:夜のトイレが増えて眠れず、年のせいと言われたまま相談先が分からない方夜間の付き添いでご家族も眠れず、在宅での生活が続けられるか不安なご家庭一人暮らしで夜のトイレ移動が怖い方、すでに夜間に転んだことのある方ピース訪問看護ステーションができること:排尿日誌の書き方を一緒に決め、体重・むくみ・服薬とあわせて主治医へ報告すること夜と同じ明るさで通り道を歩いて確認し、照明・履物・手すりの位置を整えることケアマネジャーや福祉用具専門相談員と連携し、ポータブルトイレや住宅改修を調整すること東京都町田市・多摩市、神奈川県相模原市・大和市・川崎市麻生区を中心に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。関連記事高齢者の尿失禁、在宅ケアと家族の対応ガイド夜間の排泄も安心!介護保険利用でポータブルトイレを選ぶ7つのポイント高齢者の転倒予防と対策:健康寿命を延ばすためにできること高齢者の足のむくみは病気のサイン?訪問看護で行う観察・ケア・予防と家族支援参考文献一覧出典:日本腎臓学会「腎臓がわるくなったときの症状」https://jsn.or.jp/general/kidneydisease/symptoms03.php出典:日本排尿機能学会・日本泌尿器科学会「過活動膀胱診療ガイドライン 第3版」(2022年)https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00740/出典:日本睡眠学会「ガイドライン(睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン)」https://jssr.jp/guideline出典:日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」https://cdn.jsn.or.jp/medic/guideline/pdf/guide/001-294.pdf出典:消費者庁「みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故」https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_009/出典:町田市「介護保険を利用した住宅改修」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/kaigo/business/jutakukaisyu/jukai.html出典:町田市「高齢者支援センター(地域包括支援センター)」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/old/shiminnokatae/mijikanasodan/koureisha_shien_center.html出典:相模原市「地域包括支援センター(高齢者の健康、福祉、介護の相談・支援)」https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kosodate/fukushi/1026635/korei_shien/1006373.html出典:厚生労働省「介護・高齢者福祉」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理、地域医療連携、在宅看取り支援に積極的に取り組んでいる。island-piece.jp 株式会社isLand|訪問看護・居宅介護支援・訪問介護|町田市