訪問看護を受ける際には、保険制度の中で定められたルールに従う必要があります。特に、「別表7」や「別表8」に該当する疾患・処置を受けている方に関しては、通常とは異なる取扱いがなされます。この記事では、訪問看護における別表7・8の具体的な内容や、適用される規定、実務でのポイントについてわかりやすく解説します。1. 別表7・8とは何か?別表の概要「別表7」および「別表8」は、厚生労働省が定める医療保険制度において、訪問看護の利用に関する特例対象を示した規定です。別表7は難病や末期がんなどの疾患名が列記されており、別表8は継続的な処置の必要性に基づくものです。2. 対象となる疾患・処置の詳細別表7:対象疾患一覧疾患名末期の悪性腫瘍多発性硬化症重症筋無力症スモン筋萎縮性側索硬化症(ALS)脊髄小脳変性症ハンチントン病進行性筋ジストロフィー症パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症など)多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ–ドレーガー症候群)プリオン病亜急性硬化性全脳炎ライソゾーム病副腎白質ジストロフィー脊髄性筋萎縮症球脊髄性筋萎縮症慢性炎症性脱髄性多発神経炎後天性免疫不全症候群(AIDS)頸髄損傷人工呼吸器を使用している状態別表8:対象となる状態・処置一覧区分対象状態・処置内容①在宅麻薬注射管理、腫瘍化学療法注射管理、強心剤持続注射管理、気管切開部管理(気管カニューレ使用含む)②自己腹膜灌流、血液透析、酸素療法、中心静脈栄養、経管栄養、自己導尿、人工呼吸器、持続陽圧呼吸療法、自己疼痛管理、肺高血圧症管理③人工肛門または人工膀胱の設置状態④真皮を超える褥瘡⑤訪問点滴注射管理指導料を算定している状態3. 該当すると何が変わる?利用回数の特例通常、訪問看護は週3回までの利用が原則ですが、別表7または8に該当する場合、1日2回以上、週4回以上の訪問看護が可能となります。区分通常の利用別表7・8該当時訪問回数週3回まで週4回以上、1日2回まで可保険適用制限あり緩和されるケアの柔軟性よりきめ細やかな対応が可能となり、状態変化への迅速な対応や、疼痛コントロールの強化が可能です。4. 医療保険と介護保険、どちらが適用される?原則と例外65歳以上の方は原則として介護保険が優先されますが、別表7・8に該当する場合は医療保険が優先されます。適用保険の比較条件適用保険65歳未満医療保険65歳以上(通常)介護保険65歳以上(別表該当)医療保険5. 医師の指示書が必要指示書の要件別表7・8に該当する訪問看護には、必ず医師による指示書が必要です。指示書には以下が記載されている必要があります:対象疾患名または該当する処置(別表該当)訪問頻度と時間帯必要な医療処置の内容6. 実務上の注意点現場での対応チェックリスト対象疾患や処置の記載ミスに注意指示書の有効期間と更新の管理レセプト請求時に届出や適用記載の確認スケジュールと連携訪問回数が多くなるため、スケジュールの調整と多職種との情報共有が欠かせません。7. 家族への説明と支援コミュニケーションの工夫別表に該当する場合、訪問頻度が増えることで家族の協力が重要になります。制度の内容を丁寧に説明し、安心して自宅療養できる環境を整えることが訪問看護師に求められます。まとめ別表7・8に該当する疾患または処置がある方にとって、訪問看護は医療・生活の両面を支える重要な制度です。制度を正しく理解し、適切に運用することが、質の高い在宅療養の提供につながります。訪問看護師や関係者は、日々の業務の中でこれらの規定に目を配り、患者と家族の安心に貢献していきましょう。関連記事通所リハビリと訪問リハビリは併用できる?制度と現場の実態を解説 訪問看護では出来ないこととは?制度上の制限と他サービスとの使い分けを紹介【要注意】屋外歩行訓練はできる?訪問看護・リハビリで実施するための条件と注意点町田市で訪問看護や介護サービスについて知りたい方は、ピース訪問看護ステーションの公式サイトもあわせてご覧ください。▶ https://island-piece.jp/service/houmonkango