家族の介護が始まると、「毎月いくらかかるの?」「制度はどこまで使えるの?」が最大の不安になります。本記事は在宅介護・施設介護・訪問看護の費用を生活者目線でやさしく解説。厚生労働省や日本看護協会、国立長寿医療研究センター、町田市の情報をもとに、「制度で守られる部分」と「自己負担」を見分け、無理のない家計設計につなげるコツをまとめました。1. まずは介護費用の全体像:ここを抑えれば迷わない!介護の支出は、大きく次の4つに分けると整理しやすくなります。箱中身制度の守り家計の見どころ① 介護サービスの自己負担訪問介護・訪問看護・通所・短期入所など原則1~3割負担。ただし月ごとの上限(高額介護サービス費)がある上限を把握して、払い過ぎを防ぐ② 施設の居住費・食費特養・老健などの部屋代・食事代所得・資産要件を満たせば補足給付(負担限度額認定)で軽減入所前に申請準備を進める③ 初期費用住宅改修、福祉用具購入住宅改修は生涯20万円、福祉用具購入は年10万円まで給付対象事前申請・領収書の保存が必須④ 保険外・雑費おむつ、日用品、交通費など制度の対象外月の固定費として見込んでおく要点:介護費用は「保険の自己負担」×「上限」が基本軸。施設の居住費・食費、保険外費用は別枠で考えると迷いません。出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料(自己負担割合など)」https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html2. 自己負担は1~3割でも“上限”がある:高額介護サービス費を味方に介護サービスの自己負担は原則1割(所得により2割・3割)。ただし、同一月に払った自己負担の合計が一定額を超えると、高額介護サービス費により超えた分があとから戻ります。割合が高くても、上限で守られる仕組みです。区分(例)月の上限(世帯)月の上限(個人)市民税非課税(一定要件)24,600円15,000円一般(課税世帯)44,400円―現役並み所得①93,000円―現役並み所得②140,100円―ここが大事:「割合(1~3割)」と「月の上限」は別物。どちらも確認し、払い戻しの申請を忘れないことが家計防衛の第一歩です。なお個人上限(15,000円)は低所得段階のみで、一般や現役並み区分には適用されません。出典:厚生労働省「高額介護サービス費の負担上限」https://www.mhlw.go.jp/content/000334526.pdf3. 在宅介護の“予算づくり”:支給限度額(単位)を超えないのがコツ在宅で使える介護サービス(訪問介護、通所、訪問看護など)は、要介護度ごとに「使える上限(支給限度額)」が決まっています。上限を超えた分は全額自己負担になるため、ケアプランを上限内に収めるのが鉄則です。要支援・要介護何が決まる?超えると?組み立てのコツ要支援1・2、要介護1~5月ごとの支給限度額(単位)全額自費(払い戻し対象外)介護度に応じて訪問・通所の配分を調整夜間・早朝・深夜割増がつく1回あたりの負担が増えやすい必要な時間帯だけプロに任せる短期入所(ショート)期間・回数で費用に差連続利用は上限に注意在宅の休憩として計画的に活用現場の工夫:「要介護者の疲れやすい時間帯だけ訪問、他は家族や地域資源」で配分。上限内に収めつつ、高額介護サービス費の上限も活用すると、月の支払いが安定します。出典:厚生労働省「区分支給限度基準額の考え方(社保審 資料)」https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000049257.pdf4. 施設介護の“思わぬ盲点”:居住費・食費は補助で軽くできる特養や老健などの施設では、介護サービスの自己負担に加えて居住費・食費がかかります。所得・資産要件を満たせば、「補足給付(負担限度額認定)」で部屋代や食費の自己負担を軽減できます。入所の相談と並行して、認定の申請を準備しましょう。項目基本の考え方事前準備のポイント介護費1~3割負担(施設でも同じ)利用説明で上限額を確認居住費・食費補足給付で軽減可申請書類と資産要件の確認払い戻し高額介護サービス費も適用領収書・明細を保管して申請注意:補足給付は自動ではありません。要件の確認と早めの申請が肝心です。なお2025年8月から居住費(基準費用額)が一部引き上げ予定ですが、第1~3段階の低所得者は補足給付で負担が増えない取扱いが明示されています。出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料(補足給付の概要)」https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html出典:厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1377(基準費用額の見直し)」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001469270.pdf5. 訪問看護の費用:介護保険と医療保険の“どちらを使うか”で変わる在宅で医療的ケア(点滴、褥瘡の処置、終末期の緩和ケアなど)が必要なときは訪問看護を使います。費用の考え方は次の通りです。介護保険で使うとき:自己負担は1~3割。夜間・早朝・深夜は割増がつきます。医療保険で使うとき:年齢や所得区分で自己負担が決まり、高額療養費制度(医療側の上限)も働きます。ポイント:主治医の指示書とケアプランの整合がとれていると、不要な自費を避けられます。看護師・リハ職・ケアマネで情報共有を。なお、夜間・深夜加算は制度上存在しますが、すべての訪問看護ステーションが対応できるわけではありません。事前に夜間訪問やオンコール体制の有無を確認しておくことが重要です。出典:日本看護協会「訪問看護の基礎知識(制度と役割)」https://www.nurse.or.jp/home/visiting-nurse/about/出典:厚生労働省「訪問看護の提供体制等(制度関連資料)」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001123919.pdf6. 初期費用の山を越える:住宅改修(生涯20万円)・福祉用具購入(年10万円)在宅生活のしやすさを左右するのが住宅改修と福祉用具。介護保険では、住宅改修:生涯20万円までが給付対象(手すり、段差解消、滑り防止、便器の取替など)。給付は7~9割で、原則は事前申請です。福祉用具購入:年10万円までが給付対象(腰掛便座、入浴補助用具など)。自治体によっては受領委任払いが使え、手元資金の負担を抑えられます。制度上限自己負担申請のコツ住宅改修20万円(生涯)1~3割理由書と写真、見積をそろえ事前申請福祉用具購入10万円/年1~3割指定事業者を選び領収書保管ここが重要:対象外(美装・増築など)に注意。PT/OT等のリハ職が関わると、必要性の説明が具体的になり、審査がスムーズです。出典:厚生労働省「介護保険における住宅改修」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001016043.pdf出典:町田市「福祉用具購入費(受領委任払い)」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/kaigo/business/fukushiyogu/yogu_konyu.html出典:町田市「住宅改修(受領委任)手続き」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/kaigo/business/jutakukaisyu/jyukai_jyuryoinin.html7. 高額介護サービス費の上限を“徹底活用”する介護費用の支払いで特に重要なのが高額介護サービス費。同じ月に支払った自己負担が上限を超えると、その分が払い戻されます。世帯単位での合算も可能です。区分月の上限額留意点市民税非課税世帯24,600円(世帯)/15,000円(個人)要件確認(所得・年金収入など)一般(課税世帯)44,400円最も利用者が多い層。申請を忘れない現役並み所得①93,000円課税所得380~690万円が目安現役並み所得②140,100円課税所得690万円以上重要:支給は申請制。領収書や明細をまとめて提出し、払い戻しを確実に受けましょう。2年間はさかのぼって請求できます。なお個人15,000円の上限は低所得段階のみです。出典:厚生労働省「高額介護サービス費の負担上限」https://www.mhlw.go.jp/content/000334526.pdf出典:厚生労働省「介護保険の解説(利用料と制度の仕組み)」https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html8. 具体例でわかる!1か月の支払いイメージ(在宅+訪問看護)実際の支払いは、利用するサービスの組み合わせや回数によって変わります。ここでは要介護2・自己負担1割・在宅中心という条件でイメージしてみましょう。サービス回数・時間10割額の目安自己負担(1割)通所介護週2回×4週約60,000円約6,000円訪問介護(身体介護)週1回×4週約40,000円約4,000円訪問看護(昼間30分)週1回×4週約45,000円約4,500円小計(自己負担)約14,500円おむつ代・雑費など月約5,000円合計(目安)約19,500円見方:実際には単位や加算で細かく変動します。ですが、「自己負担割合」×「回数」でざっくり把握し、月合計が上限(例:44,400円)を超えれば払い戻しがあると理解しておくと安心です。なお訪問看護は夜間・早朝25%、深夜50%の加算があるため、必要な時間帯に絞る工夫が大切です。出典:日本看護協会「訪問看護の基礎知識(費用の考え方)」https://www.nurse.or.jp/home/visiting-nurse/about/出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料」https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html9. 町田市での手続きの勘どころ(住宅改修・福祉用具・申請書類)町田市では、福祉用具購入費の受領委任払いや住宅改修の受領委任に対応しています。これにより、自己負担分だけの支払いで済み、手元資金の負担を抑えられます。申請前に、指定事業者の確認、必要書類(理由書、写真、見積、ケアプラン写し等)をそろえましょう。項目町田市のポイント確認事項福祉用具購入(受領委任)9割・8割・7割分を市が事業者へ直接支払い指定事業者かどうか、領収書の様式住宅改修(受領委任)登録事業者制度。工事完了後の実績報告が必要工事前の申請、写真の撮り忘れに注意出典:町田市「福祉用具購入費(受領委任払い)」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/kaigo/business/fukushiyogu/yogu_konyu.html出典:町田市「住宅改修(受領委任)手続き」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/kaigo/business/jutakukaisyu/jyukai_jyuryoinin.html10. 専門職に相談するメリット介護費用は制度が複雑で、自己判断では損をしてしまうこともあります。ケアマネジャー、訪問看護師、リハビリ職、地域包括支援センターなどに相談すると、制度の最新情報をもとにプランを調整してもらえる家族の負担や状況に合わせた最適なサービス組み合わせを提案してくれる補助制度や助成金の取りこぼしを防げる出典:国立長寿医療研究センター「在宅医療と介護の連携」https://www.ncgg.go.jp/hospital/department/zh/homecare.html11. まとめ介護費用は「思ったより高い」と感じがちですが、実際には自己負担割合と上限の仕組み、補助制度、申請すれば戻るお金がしっかりあります。大切なのは、制度を正しく理解し、申請を忘れないこと支出を見える化して、上限内に収める工夫をすること地域の制度や専門職を積極的に活用することこれらを押さえるだけで、介護費用はずっと安心してコントロールできます。町田市在住の方で詳しいご相談はピース訪問看護ステーションまでお気軽にどうぞ。関連記事介護疲れ対策のすべて、セルフチェック・制度活用・訪問看護でできること訪問リハビリとは?在宅のリハビリ費用・メリット・デメリットを解説うつ病で悩むあなたに、訪問看護という安心のカタチ参考文献一覧厚生労働省「サービスにかかる利用料(自己負担割合など)」https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html厚生労働省「高額介護サービス費の負担上限」https://www.mhlw.go.jp/content/000334526.pdf厚生労働省「区分支給限度基準額の考え方(社保審 資料)」https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000049257.pdf厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1377(基準費用額の見直し)」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001469270.pdf日本看護協会「訪問看護の基礎知識(制度と役割/費用の考え方)」https://www.nurse.or.jp/home/visiting-nurse/about/厚生労働省「訪問看護の提供体制等(制度関連資料)」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001123919.pdf厚生労働省「介護保険における住宅改修」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001016043.pdf町田市「福祉用具購入費(受領委任払い)」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/kaigo/business/fukushiyogu/yogu_konyu.html町田市「住宅改修(受領委任)手続き」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/kaigo/business/jutakukaisyu/jyukai_jyuryoinin.html国立長寿医療研究センター「在宅医療と介護の連携」https://www.ncgg.go.jp/hospital/department/zh/homecare.html本記事の執筆者・監修者プロフィール【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。