家族がノロウイルスにかかった今、同居する高齢者にうつさないために知っておきたいことノロウイルスの家庭内感染対策は、手洗いと嘔吐物の正しい処理、塩素系の消毒で高齢者にうつさないことが中心です。「孫が夜中に吐いてしまった」「同居の父にうつったらどうしよう」。寒くなると、こうしたご相談が増えます。ノロウイルスは一年を通して発生しますが、11月ごろから増え始め、12月から翌年1月にピークを迎える傾向があります(出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」)。健康な人は軽症で済むことが多い一方、お年寄りでは重症化することもあります。この記事では、うつる経路から嘔吐物の処理、受診の目安までを訪問看護の視点でまとめます。この記事でわかることノロウイルスの症状・潜伏期間と、家庭内でうつる経路高齢者がいる家庭で今日からできる感染対策嘔吐物・排泄物の処理手順と消毒液の作り方高齢者が感染したときの重症化のサインと受診の目安訪問看護でできる感染対策と家族への支援高齢者にうつしたくない理由高齢者に起きやすいこと理由家族が気をつけたいこと脱水嘔吐と下痢で水分を失いやすい少しずつでも水分をとれているか誤嚥・窒息吐いたものが気道に入りやすい吐いた後にむせや息苦しさがないか体力の低下食事がとれず寝込む時間が増えるトイレまでの移動がふらつかないかノロウイルスにはワクチンがなく、効果のある抗ウイルス薬もありません。治療は輸液などの対症療法(症状をやわらげる治療)に限られます(出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」)。同じ資料では、高齢者は水分と栄養の補給を十分に行うことが大切とし、脱水がひどい場合は輸液(点滴で水分や塩分を補う治療)が必要になるとしています。相模原市保健所のマニュアルでも、高齢者は窒息や誤嚥(食べ物や吐いたものが気管に入ること)を起こしやすく、重症化しやすい対象とされています(出典:相模原市保健所「ノロウイルス感染対策マニュアル」)。在宅では、寝込む間に足の力が落ち、トイレまでふらつく方もいます。薬で治すことが難しいぶん、同居する高齢者には「うつさない」ことが一番の守りになります。家族が発症した日からの過ごし方の全体像時期起きていること家庭でやること発症した当日嘔吐や下痢が強い嘔吐物の処理、寝る場所とトイレを分ける症状が続く間1〜2日続くことが多い水分補給、手洗い、ドアノブなどの消毒症状が治まった後便からウイルスが出続ける手洗いとトイレの消毒を続け、調理は控える大切なのは、発症した日だけで終わらせず、症状が治まった後まで一続きで考えること。発症した当日は、吐いたものや便に大量のウイルスが含まれます。まず嘔吐物を片づけ、寝る部屋やトイレを分けられないか考えます。症状は1〜2日で治まることが多いものの、症状がなくなった後も便からウイルスが出続けることがあります(出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」)。厚生労働省は、家庭で調理する人も含む食品取扱者について、症状が改善した後もしばらくは直接食品を取り扱わないよう示しています。回復したご家族は、しばらく食事づくりを別の人に任せると安心です。治った後も、しばらくは手洗いと消毒を続けるつもりで過ごしましょう。ノロウイルスの症状と家庭内でうつる感染経路ノロウイルスはごく少量でも感染し、嘔吐物や便、手指を介して家庭内感染が広がるため、高齢者を守る対策は経路を知ることから始まります。主な症状と潜伏期間・回復までの日数項目内容潜伏期間24〜48時間主な症状吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、軽い発熱症状が続く期間1〜2日続いた後に治ることが多い回復までの経過通常3日ほど(相模原市保健所のマニュアル)症状の出方感染しても症状が出ない人や、軽い風邪のような症状の人もいる潜伏期間(感染してから症状が出るまでの時間)は24〜48時間で、症状は通常1〜2日続いた後に治り、後遺症もないとされています(出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」)。相模原市保健所のマニュアルは、潜伏期間を1〜2日とし、経過を「通常3日ほどで回復」と示しています(出典:相模原市保健所「ノロウイルス感染対策マニュアル」)。厚生労働省の1〜2日は症状が続く期間、相模原市の3日ほどは回復するまでの経過全体を表した目安です。家族が発症したら、その1〜2日後の高齢の方の体調を特に気にかけてください。症状が出ない不顕性感染(ふけんせいかんせん)もあり、元気な家族がウイルスを運ぶこともあります。家庭内でうつる4つの感染経路経路起きること家庭で多い場面経口感染汚染された食品を口にする感染した家族が調理した料理接触感染便や嘔吐物に触れた手から口に入る排便後のトイレのドアノブ飛沫感染床に飛び散った嘔吐物のしぶきを吸い込む吐いた直後の片づけ塵埃(じんあい)感染乾いた便や嘔吐物がほこりと一緒に舞い、口に入る拭き残したカーペットや寝具政府広報オンラインは、ノロウイルスの主な感染経路としてこの4つを挙げています(出典:政府広報オンライン「ノロウイルスに要注意!感染経路と予防方法は?」)。4つ目は資料によって「空気感染」と書かれることもあります。ただ、医療の現場で空気感染といえば結核などの感染を指すため、ほこりを介する経路は塵埃感染と呼び分けます。家庭内で多いのは接触感染です。感染した家族が触れたドアノブを高齢の方が触り、その手で食事をしてうつります。見落としやすいのが塵埃感染です。便や嘔吐物が乾くと、ウイルスがほこりと一緒に舞い上がります。厚生労働省のQ&Aには、12日以上前に汚染されたカーペットを通じて感染が起きた事例も紹介されています(出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」)。調理と食品の扱いは「食中毒の原因と予防対策、家庭でできる安全な食事管理」もあわせてご覧ください。いつまでうつる?症状が治まった後も注意したい理由「いつまでうつるのか」は、ご家族からよく聞かれる質問です。厚生労働省は、下痢などの症状がなくなっても、通常1週間程度、長いときには1か月程度ウイルスの排泄が続くことがあるとしています(出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」)。相模原市保健所のマニュアルは症状が治まっても2〜3週間は便にウイルスが出るとし、佐世保市も1週間から1か月程度としています(出典:佐世保市「家庭でできるノロウイルス対策について(消毒液の作り方・嘔吐物の処理)」)。期間に幅はありますが、「症状が治まったら終わり」ではない点は共通しています。回復した家族が使った後のトイレは、しばらく消毒を続けると安心です。症状のない家族がウイルスを運ぶこともあるため、手洗いは家族全員の習慣に。高齢者がいる家庭で今すぐできる感染対策の基本(手洗い・消毒・生活動線の分離)高齢者を守るノロウイルスの家庭内感染対策は、石けんでの手洗い、塩素系の消毒、生活動線を分けることの3つが基本になります。政府広報オンラインは、ウイルスを「持ち込まない」「つけない」「やっつける」「ひろげない」の4つを予防の原則とし、自宅でもこの4つを徹底して家族に広げないよう呼びかけています(出典:政府広報オンライン「ノロウイルスに要注意!感染経路と予防方法は?」)。石けんと流水による手洗いが基本洗うタイミング理由トイレの後便のウイルスを手から落とす食事の前・調理の前口や食品にウイルスを運ばない嘔吐物の処理・おむつ交換の後手袋をしていても手に付くことがある帰宅した後外からウイルスを持ち込まない厚生労働省は、手洗いを「手指に付着しているノロウイルスを減らす最も有効な方法」としています(出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」)。おむつ交換や汚物の処理の後は、手袋をしていても必ず手を洗うよう示されています。爪を短く切って指輪を外し、石けんを泡立てて洗い、流水でよくすすぎます。石けんにウイルスを失活させる力はありませんが、手の脂などを落としてウイルスを剥がれやすくします。相模原市保健所のマニュアルでは、手洗いに30秒以上かけ、指先、指の間、親指の周り、手首、手のしわを丁寧に洗うよう示しています。タオルは家族で共用しないようにしましょう。高齢の方が洗いにくいときは、声をかけながら一緒に洗うと続けやすいでしょう。アルコール消毒だけでは不十分な理由方法ノロウイルスへの効果使いどころ石けんと流水の手洗いウイルスを手から洗い流す手指の基本消毒用アルコール効きにくい手洗いができないときの補助次亜塩素酸ナトリウム効果がある物や床、トイレなど(手指には使わない)加熱効果がある食器、衣類、リネン類玄関のアルコールで手をこすれば安心、と考えるご家庭も多いでしょう。ところがノロウイルスには、アルコールが効きにくいとされています。佐世保市も、ノロウイルスにはアルコールが効きにくいため、消毒には次亜塩素酸ナトリウム液を使うよう呼びかけています(出典:佐世保市「家庭でできるノロウイルス対策について(消毒液の作り方・嘔吐物の処理)」)。手が荒れることがあるため、手指の消毒には使いません。厚生労働省も、消毒用エタノールによる手指消毒は石けんと流水の手洗いの代わりにはならず、すぐに手洗いができない場合の補助として使うよう示しています。消毒に使う次亜塩素酸ナトリウムは、家庭用の塩素系漂白剤で代用できるとされています。トイレ・タオル・入浴など生活動線を分ける場面分け方の例分けられないときの工夫トイレ感染した家族と高齢者で使い分ける使うたびにドアノブ、便座、水洗レバーを拭くタオル共用しないペーパータオルに切り替える入浴感染した家族は最後に入る浴室の手すりや蛇口を拭く食器分けて洗う熱湯か塩素系の消毒液で消毒する生活動線とは、家の中で人が動き、物に触れる流れのことです。動線が重なるところほどウイルスが移りやすくなります。厚生労働省は、介護が必要な高齢者がいる家庭では、トイレや風呂などを衛生的に保つ工夫を求めています(出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」)。政府広報オンラインは、感染した人が使ったものは他と分けて洗い、食器は85℃以上の熱湯で1分以上加熱するか塩素消毒液に浸して消毒するよう示しています(出典:政府広報オンライン「ノロウイルスに要注意!感染経路と予防方法は?」)。トイレが1つのご家庭では「分けられないところは拭く回数で補う」とお伝えしています。相模原市保健所のマニュアルは、ドアノブや手すりなど手が触れる場所を1日3回程度消毒するよう示しています。入浴の順番は、感染した家族が最後。シャワーだけで済ませるのも一つの方法です。おむつ交換や嘔吐の片づけを家族だけで続けるのが不安なときは、訪問看護に相談できます。看護師がご自宅に伺い、感染対策の手順をご家族と一緒に整えます。ピース訪問看護ステーションへのお問い合わせからお気軽にご連絡ください。嘔吐物・排泄物の正しい処理方法と次亜塩素酸ナトリウムでの消毒手順ノロウイルスの嘔吐物は乾く前に静かに取り除き、次亜塩素酸ナトリウムで消毒することが、高齢者への家庭内感染を防ぐ対策の要です。処理の前にそろえておきたい道具道具使い道使い捨て手袋(2枚重ね)手に直接触れないようにするマスク・使い捨てエプロンしぶきや服への付着を防ぐ新聞紙・ペーパータオル嘔吐物を覆って拭き取るビニール袋(大きめを2枚以上)二重にして口を縛って捨てる足を入れる小さめのポリ袋靴下や室内履きの汚れを防ぐ塩素系漂白剤・空のペットボトルその場で消毒液を作る困るのは、嘔吐が夜中など予期しないときに起こること。慌ててティッシュで拭くと、かえって感染を広げやすくなります。佐世保市は、大きめのポリ袋で作るエプロン、足を覆うポリ袋、2枚重ねた使い捨て手袋、新聞紙、ペーパータオル、消毒液を嘔吐物の処理に使う道具として紹介しています(出典:佐世保市「家庭でできるノロウイルス対策について(消毒液の作り方・嘔吐物の処理)」)。同じ資料では、これらをセットにして備えておくと、いざという時に便利だとしています。厚生労働省も、床に飛び散った吐ぶつや便を処理するときは、使い捨てのガウン(エプロン)、マスク、手袋を着けるよう示しています。トイレの近くに置き、家族全員が場所を知っておくと、夜間でも落ち着いて動けます。家庭用塩素系漂白剤で作る消毒液の濃度と作り方濃度使う場所水500mLに入れる量(5%の漂白剤)水2Lに入れる量(5%の漂白剤)0.1%(1000ppm)嘔吐物や便で汚れた床、トイレ、衣類10mL(ペットボトルのキャップ2杯)40mL(キャップ8杯)0.02%(200ppm)ドアノブ、手すり、調理器具、食器2mL(キャップ約半分)約8mL(キャップ約1杯半)表は、濃度5%の家庭用塩素系漂白剤を使う場合の目安です。500mLの欄は、相模原市保健所のマニュアルに示された量です(出典:相模原市保健所「ノロウイルス感染対策マニュアル」)。2Lの欄は、その4倍にあたる量を載せています。佐世保市の資料は、2Lのペットボトルに半分ほど水を入れて漂白剤を加え、蓋をして混ぜてから2Lまで水を足す作り方を紹介しています(出典:佐世保市「家庭でできるノロウイルス対策について(消毒液の作り方・嘔吐物の処理)」)。ppmは100万分の1を表す単位で、1000ppmは0.1%です。ペットボトルのキャップは約5mLです。漂白剤は製品によって濃度が異なるため、必ずラベルで確かめてから薄めてください。6%の製品なら、水500mLに対して0.1%は約8.3mL(キャップ約1杯半)、0.02%は約1.6mLと同じマニュアルにあります。厚生労働省のQ&Aは嘔吐物を取り除いた後の床を約200ppmで拭くとし、自治体の家庭向け資料は汚れた床に1000ppmを勧めています。この記事では、汚れた場所は0.1%、手が触れる場所は0.02%で説明します。消毒液はその都度作り、その日のうちに使い切りましょう。酸性の嘔吐物に原液をかけると有毒なガスが出る場合があるため、原液のまま使わないでください。誤飲を防ぐため、ペットボトルには「消毒液」と書き、認知症のある方の手の届かない場所に置きます。嘔吐物を処理する手順順番やることポイント1周りの人を離し、窓を開ける高齢の方は別の部屋へ2手袋、マスク、エプロン、足カバーを着ける手袋は2枚重ねにする3嘔吐物を新聞紙などで覆い、静かに取り除く外側から内側へ一方向に集める4消毒液を含ませた布で周りを覆い、10分置く見えないしぶきも消毒5消毒液を拭き取り、水拭きする金属は特に丁寧に拭き取る6ごみを二重の袋に入れて口を縛る袋の中にも消毒液を入れる7防護具を外し、石けんで手を洗う外す順番を守る相模原市保健所のマニュアルでは、嘔吐を見つけたら周りの人を半径2m以上離し、吐いた人にはその場にいてもらい、着替えてから移動させるよう示しています(出典:相模原市保健所「ノロウイルス感染対策マニュアル」)。嘔吐物は乾く前に、外側から内側へ静かに拭き取ります。同じマニュアルは、見えない嘔吐物が半径2mまで飛ぶことがあるとして、周囲を0.1%の消毒液を含ませた布などで覆い、10分置いてから拭くよう示しています。使った新聞紙や布はビニール袋に入れて消毒液を注ぎ、袋を二重にして縛ります。厚生労働省は、ノロウイルスは乾燥すると空中に漂いやすいため、乾かないうちに速やかに処理し、処理した後は空気の流れに注意しながら十分に換気するよう示しています(出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」)。防護具は手袋、エプロンと足カバー、マスクの順に外し、最後に石けんで手を洗います。色落ちするカーペットには、スチームアイロンで1分ほど加熱する方法を佐世保市が紹介しています。おむつ交換・汚れた衣類や寝具の扱い対象処理の方法おむつ便を包むようにすぐ閉じ、床に置かずに袋へ入れる汚れた衣類・シーツ汚物を取り除いて静かにもみ洗いし、熱湯か消毒液で消毒するすぐに洗えない布団よく乾かし、スチームアイロンや布団乾燥機を使う下洗いした場所消毒液で消毒した後、洗剤で掃除する厚生労働省は、11月ごろから2月の流行期は乳幼児や高齢者の下痢便や吐ぶつに大量のウイルスが含まれることがあるとして、おむつの扱いに注意を呼びかけています(出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」)。相模原市保健所のマニュアルは、手袋を1回ごとに交換し、外したおむつは床に置かずすぐ袋へ入れる手順を示しています。汚れた衣類は、しぶきを吸い込まないよう洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いし、85℃で1分以上の熱水洗濯か次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。高温の乾燥機を使うと効果が高まります。相模原市保健所のマニュアルは、0.1%の消毒液に30〜60分浸し、ほかの洗濯物と分けて洗う方法も示しています。色柄物は漂白されることがあるため、素材に合わせて方法を選んでください。高齢者が感染した場合に注意したい重症化のサインと受診の目安高齢者がノロウイルスに感染したら、脱水と誤嚥のサインを見逃さず、迷ったら早めに受診や相談につなぐことが家庭での大切な対策です。高齢者が重症化しやすい理由厚生労働省は、子どもやお年寄りでは重症化したり、吐いたものを気道に詰まらせて亡くなったりすることがあるとしています(出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」)。高齢の方は飲み込む力が弱っていることが多く、寝たまま吐くと、吐いたものが気管に入りやすくなります。そこから起きるのが誤嚥性肺炎です。吐いたものなどが気管に入り、肺で炎症が起きる病気を指します。政府広報オンラインも、持病のある人や高齢者は脱水症状を起こしたり症状が重くなったりするケースがあるとして、注意を呼びかけています(出典:政府広報オンライン「ノロウイルスに要注意!感染経路と予防方法は?」)。吐き気があるときは、横向きか体を起こした姿勢にすると喉に詰まりにくくなります。誤嚥を繰り返さない工夫は「誤嚥性肺炎の在宅予防|繰り返さないための家族の対応ガイド」でも詳しく紹介しています。家族が見ておきたい重症化のサイン見るところ注意したいサイン水分飲んでもすぐに吐く、ほとんど飲めない尿回数や量がいつもより明らかに少ない、色が濃い口の中舌や口の中が乾いている様子呼びかけへの反応が鈍い、ぐったりしている呼吸吐いた後にむせが続く、息が苦しそう、熱が上がってきた便血が混じる、黒っぽい表は、私たちが訪問先のご家族にお伝えしている目安です。いつもと「何か違う」と感じたら、それも大切なサインです。高齢の方は喉の渇きを訴えにくいため、飲んだ量や尿の回数を確かめると脱水に早く気づけます。水分は少しずつこまめにとってもらい、経口補水液(水分と塩分を補える飲み物)も役立ちます。脱水の見分け方は「高齢者の脱水予防|在宅で気づくサインと家族の対策」をご覧ください。下痢がつらくても、自己判断で下痢止めを飲ませないでください。厚生労働省は、下痢止めは病気の回復を遅らせることがあるため、使わないことが望ましいとしています(出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」)。吐いた後のむせや発熱は誤嚥性肺炎の始まりのこともあるため、症状が治まった後も呼吸の様子を見てください。受診の目安と迷ったときの相談先状況相談先意識がおかしい、呼吸が苦しい、ぐったりして動けないためらわず119番救急車を呼ぶか、今すぐ受診すべきか迷う♯7119(東京都・神奈川県の救急相談)水分がとれない、症状が長引く、持病が心配かかりつけ医ノロウイルスへの感染が疑われる最寄りの保健所、かかりつけ医訪問看護を利用している契約している訪問看護ステーション厚生労働省は、感染が疑われる場合は最寄りの保健所やかかりつけの医師に相談するよう案内しています(出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」)。迷ったときは♯7119に電話できます。東京消防庁救急相談センターでは、医師や看護師、救急隊経験者などの職員が24時間365日対応しています。多摩地区からは042-521-2323でもつながります(出典:東京消防庁「東京消防庁救急相談センター」)。神奈川県の「かながわ救急相談センター」も24時間365日利用できます。看護師が症状を聞き取り、緊急性や受診の必要性を判断します。相模原市など神奈川県内の042から始まる固定電話からは、♯7119ではなく直通番号(045-232-7119または045-523-7119)にかけるよう案内されています(出典:神奈川県「かながわ救急相談センター(♯7119)」)。町田市など東京都内からは、上の東京消防庁の窓口を使います。相談の際に伝えたいのは、症状が始まった時刻、吐いた回数、飲めた量、尿の様子、飲んでいる薬の5つ。メモを見ながら話すと判断がスムーズです。受診するときは、事前に電話で症状を伝えておくと医療機関も準備がしやすいでしょう。訪問看護師からみた高齢者がいる家庭でのノロウイルス対応(町田・相模原の在宅ケア事例)町田・相模原の在宅ケアでは、ノロウイルスの家庭内感染対策を高齢者の暮らしに合わせて整えることが、重症化を防ぐ近道になっています。町田市・相模原市のご家庭でよく出会う場面よくある場面ご家族の困りごと一緒に整えることお孫さんが発症した嘔吐をティッシュで拭き、アルコールをかけて済ませた「水500mLにキャップ2杯」と紙に書き、洗面所に貼る介護する家族が発症したおむつ交換を代われる人がいない手袋を1回ごとに替える手順と、処理セットの置き場所を決める高齢の方が発症した飲めているのか分からないコップで何杯飲めたかと尿の回数をメモし、主治医に報告する町田市内にある3つの事業所から町田市・相模原市のご家庭に伺っていると、冬に多いのが「孫が吐いた後、アルコールで拭いておいたけれど大丈夫でしょうか」というご相談です。アルコールは効きにくいことをお伝えし、その場で消毒液を作る手順をご家族と一緒に確認します。介護するご家族が発症すると、つらい中でおむつ交換を続けるため、1回ごとの手袋の交換を省きがちです。相模原市に伺っているご家庭でも、トイレの近くに処理セットを置き、手順を紙に書いて貼っておく方法を一緒に整えています。夜中でも、家族の誰が見ても同じ手順で動けるためです。訪問看護でできる感染対策と家族への支援訪問看護は、看護師がご自宅に伺い、主治医の指示のもとで体調の確認やケア、療養の相談を行うサービスです。流行期は、脱水や誤嚥のサインを確かめて主治医に報告するだけでなく、消毒液の作り方や嘔吐物の処理をご家族と一緒に確認します。トイレや寝室、おむつ交換の場所をどう分けるかも、間取りと介護の分担に合わせて決めていきます。ご家族が体調を崩したときは、ケアマネジャーと連携して介護サービスの調整を相談できます。「介護疲れ対策のすべて、セルフチェック・制度活用・訪問看護でできること」もあわせてご覧ください。冬はインフルエンザや新型コロナウイルスも広がりやすい季節です。「インフルエンザの潜伏期間はどれくらい?感染力・症状・予防のポイントをわかりやすく解説」や「【2025年】新型コロナ変異株の最新情報と対策 ― 感染状況・症状・在宅療養支援まで徹底解説」も参考にしてください。訪問看護で何ができるかは「訪問看護とは?できること・できないことをわかりやすく解説」で詳しく紹介しています。よくある質問(FAQ)Q1. ノロウイルスはどうやってうつりますか?汚染された食品による経口感染、便や嘔吐物に触れた手からの接触感染、しぶきによる飛沫感染、乾いた嘔吐物がほこりと舞う塵埃(じんあい)感染の4つです。家庭内ではドアノブなどを介した接触感染に特に注意してください。Q2. ノロウイルスの潜伏期間はどれくらいですか?厚生労働省によると、感染してから症状が出るまでの潜伏期間は24〜48時間です。Q3. ノロウイルスは何日で治りますか?吐き気や下痢などの症状は、通常1〜2日続いた後に治るとされています。相模原市保健所のマニュアルは、回復までの経過を通常3日ほどとしています。高齢の方は脱水で回復が長引くことがあるため、飲めているかを見ながら判断してください。Q4. ノロウイルスはいつまでうつりますか?症状が治まった後も、便からウイルスが出続けることがあります。厚生労働省は通常1週間程度、長いときには1か月程度としています。回復した後もしばらくは、トイレの後の手洗いとトイレの消毒を続けましょう。Q5. 嘔吐物はどう処理すればよいですか?手袋、マスク、エプロンを着け、乾く前に外側から内側へ静かに拭き取ります。0.1%の次亜塩素酸ナトリウム液で周囲を消毒し、ごみは二重の袋に入れて縛り、最後に換気と手洗いをします。Q6. アルコール消毒はノロウイルスに効きますか?ノロウイルスにはアルコールが効きにくいとされています。手指は石けんと流水でしっかり洗い、物や床、トイレの消毒には家庭用の塩素系漂白剤を薄めた次亜塩素酸ナトリウム液を使いましょう。Q7. 高齢者が感染したとき、どんな症状に注意すればよいですか?ほとんど水分がとれない、尿が明らかに少ない、口の中が乾いている、反応が鈍くぐったりしている、吐いた後にむせや息苦しさがある、といった様子は脱水や誤嚥のサインです。いつもと違うと感じたら早めに相談してください。Q8. どのタイミングで受診すればよいですか?意識がおかしい、呼吸が苦しいときはためらわず119番に連絡します。迷うときは♯7119、水分がとれない、症状が長引くときはかかりつけ医に相談してください。まとめ|高齢者にうつさないために、今日から手洗いと正しい処理をノロウイルスの家庭内感染対策は、手洗いと嘔吐物の正しい処理、塩素系の消毒で高齢者にうつさないことが基本です。ノロウイルスは少量でも感染し、症状が治まった後も便から出続けることがあります。高齢の方は脱水や誤嚥から重症化しやすいため、家族が発症した日から手洗いと生活動線の分離を始めましょう。嘔吐物は乾く前に外側から静かに拭き取り、0.1%の次亜塩素酸ナトリウム液で消毒します。アルコールは効きにくいため、消毒には家庭用の塩素系漂白剤を薄めて使ってください。飲めない、ぐったりしているといったサインがあれば、かかりつけ医や♯7119に早めに相談しましょう。まずは処理に使う道具をひとまとめにしておくことから始めてみてください。ピース訪問看護ステーションにご相談くださいノロウイルスが家庭内で広がると、看病と介護が重なり、ご家族だけで抱えるのは大変です。ピース訪問看護ステーションでは、看護師がご自宅に伺い、高齢の方の体調を確かめながら、感染対策の手順をご家族と一緒に整えます。こんな方はぜひご相談ください:家族が胃腸炎になり、同居する高齢のご家族への感染が心配な方おむつ交換や嘔吐の片づけを、家族だけで続けるのが不安な方高齢のご家族の脱水や誤嚥のサインを、看護師に見てもらいたい方訪問看護を始めるには、主治医が出す訪問看護指示書が必要です。ご家族から直接ご相談いただければ、主治医やケアマネジャーへの連絡の進め方からご案内します。お問い合わせでは、いま困っていることを1つ伝えていただくだけで十分です。東京都町田市・多摩市、神奈川県相模原市・大和市・川崎市麻生区を中心に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。関連記事高齢者の夏の食中毒対策|重症化理由と家庭での対応食中毒の原因と予防対策、家庭でできる安全な食事管理高齢者の脱水予防|在宅で気づくサインと家族の対策インフルエンザの潜伏期間はどれくらい?感染力・症状・予防のポイントをわかりやすく解説【2025年】新型コロナ変異株の最新情報と対策 ― 感染状況・症状・在宅療養支援まで徹底解説参考文献一覧各URLは2026年9月25日に閲覧し、本文の引用箇所がページ内に記載されていることを確認しています。出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html出典:相模原市保健所「ノロウイルス感染対策マニュアル」https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/031/761/09.pdf出典:佐世保市「家庭でできるノロウイルス対策について(消毒液の作り方・嘔吐物の処理)」https://www.city.sasebo.lg.jp/hokenhukusi/seikat/noro-syoudoku-syori.html出典:政府広報オンライン「ノロウイルスに要注意!感染経路と予防方法は?」https://www.gov-online.go.jp/article/201811/entry-7449.html出典:東京消防庁「東京消防庁救急相談センター」https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kyuu_adv/soudan-center.html出典:神奈川県「かながわ救急相談センター(♯7119)」https://www.pref.kanagawa.jp/docs/t3u/kksc7119.html【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理、地域医療連携、在宅看取り支援に積極的に取り組んでいる。island-piece.jp 株式会社isLand|訪問看護・居宅介護支援・訪問介護|町田市