はじめに「子どもとの時間を大切にしながら、もう一度看護師として働きたい」そんな思いを持っている子育て中の看護師さんは、きっと少なくないはずです。結婚や出産を経てライフスタイルが大きく変わると、それまで当たり前だった働き方が難しく感じられることがあります。特に看護師のようなシフト制・夜勤ありの職場では、仕事と育児の両立に悩み、復職をためらってしまう方も多いのではないでしょうか。看護師の現場では、日勤・準夜勤・深夜勤といった交代勤務が一般的で、突発的な残業や休日出勤が発生することも珍しくありません。こうした勤務形態は、子どもが小さいうちは特に大きな負担となります。なかでも「夜勤」は、多くのママ看護師が復職をためらう大きな理由のひとつです。夜間に子どもを預ける施設は限られており、両親やパートナーのサポートがあっても対応が難しい場合もあります。また、夜勤明けの疲労がたまると、家庭での育児や家事にも影響が出てしまいます。このように、「看護師として働きたいけれど、子育てとの両立が不安」という方に、今注目されているのが 訪問看護 という働き方です。訪問看護は、病院ではなく患者さんの自宅を訪問し、必要な看護ケアを提供する仕事です。特徴的なのは、日勤中心で夜勤がほとんどないこと、そして働き方に柔軟性があることです。非常勤や短時間勤務などの選択肢も多く、自分の生活に合わせて働くことができます。本記事では、子育て世代の看護師にとって訪問看護がなぜおすすめなのか、その理由を5つの視点から詳しくご紹介していきます。自分らしく、家族ともしっかり向き合いながら働ける方法を探している方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。第1章:柔軟な働き方ができる訪問看護が子育て中の看護師におすすめされる理由の一つは、病棟勤務に比べて柔軟な働き方がしやすいことです。ただし、「完全に自由なスケジュールが組める」というわけではありません。患者さんとの訪問予定があるため、一定のスケジュール調整は必要です。それでもなお、子育て世代にとって訪問看護は働きやすい職場である理由を、以下にご紹介します。◆ 日勤中心で勤務時間が明確訪問看護は基本的に日中の時間帯に訪問するのが一般的です。多くのステーションでは訪問時間が「9時〜18時」や「9時〜17時」などと定められており、夜勤がない勤務体制がベースです。病棟勤務でよくある「早出」「遅出」「夜勤」「夜勤明け」といった不規則なシフトがないため、子どもの生活リズムに合わせやすいという利点があります。◆ 非常勤・パートなど選べる雇用形態訪問看護ステーションでは、常勤のほかにも非常勤やパートといった雇用形態が豊富です。週3日、午前のみ、扶養内勤務など、家庭の状況に応じた働き方を相談しやすい職場が増えています。常勤でも時短勤務や週4勤務など様々な働き方を選択できるところが増えています。「フルタイムは難しいけれど、少しずつ仕事に復帰したい」と考える子育て中の方にとって、無理なくキャリアを継続できるのは大きなメリットです。◆ 比較的、残業が少ない訪問件数は1日あたり5〜7件程度(時間にして5時間)が一般的です。訪問先もあらかじめ決まっているため、突発的なトラブルによる残業は起きにくい傾向があります。事務作業や記録は勤務時間内に終わらせる体制を整えているステーションも多く、家庭との時間をしっかり確保できます。もちろん、急変対応やオンコール体制がある場合はその限りではありませんが、病棟勤務のような長時間の残業に比べると、負担は比較的小さいといえます。◆ 子育てに理解のある職場も多い訪問看護ステーションには、同じように子育て中の看護師が多く働いている職場もたくさんあります。そのため、急な子どもの発熱や学校行事などにも理解があり、助け合いの風土があるという声が多く聞かれます。訪問スケジュールに関して完全に自由というわけではありませんが、それでも日勤中心で時間が読みやすい・働き方のパターンを選びやすいといった点で、子育てとの両立に適している働き方と言えるでしょう。第2章:夜勤がない or 少ない「夜勤がきつくて、仕事と育児の両立が難しい…」そんな悩みを抱えている看護師さんにとって、訪問看護の夜勤がない or 非常に少ない働き方は大きな魅力の一つです。◆ 夜勤は基本的に“なし”が多い訪問看護の多くは、日中の訪問が中心です。ステーションによってはオンコール(夜間の電話対応や必要時の緊急訪問)を実施しているところもありますが、非常勤やパートのスタッフにはオンコールを求めないケースも多く見られます。つまり、日勤だけで働ける職場が珍しくないという点で、子育て中の看護師にとって非常に現実的な選択肢となります。◆ 夜間の預け先に悩まなくて済む小さなお子さんがいる家庭にとって、夜勤に対応するための保育環境の確保は大きな壁です。夜間保育や24時間対応の保育施設は限られており、身近にサポートしてくれる家族がいない場合は、夜勤を続けるのは現実的ではないこともあります。訪問看護であれば、日中の勤務だけで完結するため、保育園の時間に合わせて働けるのが大きな安心ポイントです。夜勤がないことで、家族全体の生活リズムも安定しやすくなります。またご家族との時間も大切にできます。◆ 体力的・精神的な負担が軽減される夜勤明けの疲労、寝不足、生活リズムの乱れ…。これは多くの看護師が経験する悩みの一つです。子育てが始まると、自分の体を休める時間さえ取りにくくなり、「疲れがとれないまま次の夜勤へ」という悪循環に陥ることも。訪問看護のように夜勤がない働き方を選ぶことで、体力的・精神的な負担を大幅に軽減できます。日中の仕事に集中し、夕方以降は子どもや家族としっかり向き合う生活が可能になります。第3章:地域でのつながりが深まる訪問看護は、病院での看護とは違い、「地域の中で生活する人々を支える医療」です。子育て中の看護師にとっても、地域とのつながりができることは、仕事だけでなく家庭や子育ての安心感にもつながる大きなメリットです。◆ 地域に根ざした看護ができる訪問看護では、患者さんの住まいを直接訪れてケアを行います。そのため、単なる医療行為だけでなく、その人の生活や家族背景、地域資源まで含めた支援が求められます。たとえば、以下のようなケースです。独居高齢者の見守りを兼ねた健康チェック家族と共に生活環境を整えるアドバイス地域の介護・福祉サービスとの連携こうした仕事を通して、看護師自身も自然と地域との関係性が深まり、「地域の一員として働く」という実感が得られるようになります。◆ 子育てと地域の関係づくりに好影響訪問看護で働くことは、自分の暮らす地域について理解が深まるきっかけにもなります。訪問先で地域の高齢者や福祉関係者と接する中で、行政サービスや子育て支援制度についての情報を得る機会もあります。たとえば、地域の保育施設や支援センターの情報を得られる学校や保健センターと連携する機会がある地元のイベントや防災体制に詳しくなるなど、子育てと仕事の両面で地域とのつながりが役立つ場面が多くなるのです。◆ チームで支える安心感訪問看護は「1人で患者の家に行く」というイメージが強いかもしれませんが、実際にはステーションのチーム体制で支える医療です。看護師、リハビリスタッフ、ケアマネジャー、医師など多職種と連携しながら看護を提供します。このチームの中でのコミュニケーションや連携も、地域との強い結びつきを生み出します。職場内だけでなく、外部との連携を通して広がる人間関係が、働くうえでの支えにもなります。地域で働き、地域と関わり、地域で子どもを育てていく。訪問看護は、そんな「暮らしと仕事がつながる」働き方です。単なる職場としてではなく、自分や家族の生活そのものに良い影響を与えてくれるのが、訪問看護の大きな魅力のひとつと言えるでしょう。第4章:スキルを活かしながら無理なくキャリア継続子育て中は、どうしても仕事よりも家庭を優先せざるを得ない時期があります。「ブランクができるのが不安」「病棟に戻れる自信がない」――そんな声をよく聞きます。しかし、訪問看護であれば、これまでの経験を活かしながら、自分のペースでキャリアを継続できる環境が整っています。◆ 病棟経験がしっかり活かせる訪問看護では、以下のようなさまざまな医療処置や判断が求められます。バイタルチェック・状態観察点滴、褥瘡処置、カテーテル管理呼吸管理(在宅酸素など)ターミナルケア(終末期の看護)これらは多くが病棟経験で培った技術や知識をそのまま活かせる分野です。特に内科や外科、整形、急性期病棟での経験は訪問看護に非常に役立ちます。また、患者の変化を早期に察知する観察力や、家族とのコミュニケーション能力など、病棟で身につけた力が、訪問現場で求められます。◆ 「家庭優先」でも看護師としての成長は続けられる訪問看護では、病棟のようなハイペースな環境ではなく、1人の患者さんにしっかりと向き合う時間が取れます。そのため、「忙しさのなかで流れ作業になってしまう」ことが少なく、看護の本質に立ち返ることができるとも言われています。子どもが小さくてフルタイム勤務が難しい時期でも、パート勤務で訪問件数を絞りながら、現場感覚を保ち、少しずつ学びを積み上げていくことが可能です。◆ ブランクがあっても安心の教育体制「訪問看護は1人で現場に行くから不安…」と思われるかもしれませんが、多くの訪問看護ステーションでは、同行訪問やマニュアル、研修制度など教育体制が整っています。具体的には:初めの数週間は先輩看護師が同行して丁寧に指導訪問看護未経験者向けの研修あり記録や訪問計画のフォロー体制がある困った時はステーションに連絡してすぐ相談できるこのように、無理なく、安心してスタートできる仕組みが用意されているため、ブランク明けや訪問看護未経験の方にもチャレンジしやすい環境です。「今は家庭が最優先。でも、看護師としても成長したい」訪問看護なら、その両方を大切にしながら、キャリアを切らすことなく積み重ねていくことができます。第5章:子育てへの理解がある職場が多い訪問看護ステーションは、子育て中の看護師が多く活躍している職場として知られています。だからこそ、家庭の事情や子どもの都合に対しても柔軟に対応してくれる環境が整っていることが多く、精神的な安心感が大きいのです。◆ 同じ境遇のスタッフが多いから、理解が深い多くの訪問看護ステーションでは、30代〜40代の子育て世代の看護師が中心になって働いています。中には育休明けや、保育園に通う子どもがいるスタッフが何人もいるケースも少なくありません。そのため、「子どもが熱を出したから休みたい」「保育園のお迎えに間に合うように早退したい」といったことに対して、自然と「お互いさま」という雰囲気があるのが特徴です。また、育児の悩みやライフスタイルに関する情報交換など、職場内のコミュニケーションが育児の支えになることも多いです。◆ シフトや勤務形態の相談がしやすい訪問看護では、常勤・非常勤・パートタイムなど、多様な働き方が認められています。そのうえで、「家庭の事情に合わせたシフトを柔軟に組んでくれる」職場が多いのも大きな特徴です。例えば:子どもが小さい間は午前中のみ勤務保育園の慣らし保育期間中だけ短時間勤務学校行事のある日はあらかじめ休みを取得といった柔軟な調整が可能な職場も少なくありません。面接時や採用前に「家庭の事情」を率直に相談しやすい雰囲気もあるため、無理のない勤務スタイルを実現できます。◆ 「子育てをしながら働ける環境づくり」を大事にする風土訪問看護は人材確保が大きな課題になっている業界のため、子育て中の優秀な看護師が安心して働けるよう、環境づくりに力を入れている事業所が多いです。たとえば、時短勤務制度の導入有給休暇の取りやすさ在宅勤務や記録作業のリモート対応(事業所による)「学校が終わった子どもを連れてきてもOK」という柔軟な事業所もといった配慮がされているところもあり、働くことを前提にした支援が現実的に行われているのです。家庭と仕事のどちらかを犠牲にするのではなく、両方を大切にできる働き方。それが、訪問看護の魅力のひとつです。同じように子育てと向き合っている仲間がいる環境だからこそ、無理なく、そして安心して看護師として働き続けることができます。おわりに子育てをしながら看護師として働くことは、決して簡単なことではありません。シフトの調整、夜勤の負担、急な呼び出しへの対応…。多くの看護師が、家庭と仕事のバランスに悩みながら、時にはキャリアを中断せざるを得ない状況に置かれています。しかし、「訪問看護」という働き方には、そんな悩みに対する答えが詰まっています。日勤中心で夜勤がない、または極めて少ない非常勤やパートなど柔軟な働き方が可能地域に根ざし、家庭との距離感が近いブランクがあっても、経験を活かして復職できる子育てに理解のあるスタッフと職場の風土があるこれらの特徴は、「子育て中でも看護師として働き続けたい」という方にとって、非常に大きな支えとなります。訪問看護は、単なる働き方の選択肢ではなく、あなた自身の「暮らし」と「キャリア」の両方を大切にできる道なのです。もちろん、すべての訪問看護ステーションが理想的な環境とは限りません。実際に働く前に職場見学をしたり、働いているスタッフの声を聞いたりすることで、より自分に合った職場を選ぶことが大切です。もし今、子育てとの両立に悩んでいるなら、一度、「訪問看護」という働き方を視野に入れてみてはいかがでしょうか。あなたの看護師としての力が、地域の誰かの支えになると同時に、あなた自身の生活を豊かにする選択肢になるかもしれません。町田市で訪問看護や介護サービスについて知りたい方は、ピース訪問看護ステーションの公式サイトもあわせてご覧ください。▶ https://island-piece.jp/service/houmonkango