町田市でワクチン(予防接種)を受けるとき、「どこで?」「いくら?」「何を持っていけばいいの?」と迷う方は多いでしょう。さらに、小児期・学齢期・成人・高齢者など、年齢ごとに対象となるワクチンが異なり、費用や予約方法もバラバラです。本記事では、定期接種と任意接種の違い、対象年齢、費用、予約の仕方、当日の流れ、在宅療養中の工夫までを、町田市の公式情報と医療現場の視点を交えて徹底的にまとめました。お子さんから高齢者まで、そして在宅療養中の方も安心して読める実用的なガイドです。1. 町田市のワクチン制度ってどうなってるの?まず知っておきたいのは、町田市の予防接種は「定期接種」と「任意接種」に分かれるということです。定期接種:予防接種法に基づき国が決めたワクチン。対象年齢や回数が細かく決められており、町田市が実施主体。自己負担は基本的にありません(一部負担ありの例も)。任意接種:法律で義務付けられてはいないものの、学会やWHOが推奨するワクチン。生活状況やリスクに応じて受けることが多く、費用は自己負担が基本です。例としてインフルエンザ、帯状疱疹、渡航ワクチンなどがあります。大事なポイント:町田市の公式サイトでは、定期・任意ごとに窓口や申請方法が異なります。特に任意接種は医療機関に直接予約する必要があるため、「どこで受けられるのか」必ず事前に確認しましょう。1-1. 定期接種と任意接種のちがい(比較表)区分対象費用手続き相談先定期接種赤ちゃん・子ども・高齢者など国が定めた対象無料または一部自己負担市から届く予診票を使用し、委託医療機関で接種健康づくり推進課など任意接種インフル、帯状疱疹、渡航ワクチンなど自己負担医療機関へ直接予約主治医・専門医・WHO情報など訪問看護の現場から:在宅療養中の方でも、医師が必要と判断すれば外来や往診で接種が可能です。訪問看護師は「接種の可否を整理」「副反応の観察」「同意のサポート」などを行い、安心して接種できるように支援します。2. 子どものワクチン(0歳〜中学生)赤ちゃんから中学生までに接種するワクチンは数多くあり、時期を逃さないように計画的に進めることが大切です。町田市では「まちだ子育てサイト」で、対象年齢、接種回数、必要な持ち物、予診票の使い方、市外で接種する際の手続きが詳しく案内されています。2-0. 接種間隔と同時接種の基本注射生ワクチン同士を別日で受ける場合は、27日(4週間)以上間隔を空けます。それ以外の組み合わせは、原則として間隔の制限なし(同一ワクチン内の規定は順守)。複数ワクチンの同時接種は安全とされ、通院回数を減らすのに有効です。2-1. 年齢ごとのワクチン早見表年齢主なワクチンポイント生後2か月〜Hib、肺炎球菌、B型肝炎、ロタ、四/五種混合同時接種で通院回数を減らせる。体調が良い時期にまとめて受けましょう。1歳〜MR、水痘、追加分保育園・幼稚園の集団生活前に計画的に接種。感染リスクが高まる時期です。小学生日本脳炎、二種混合(DT)学校健診や行事と重なる場合もあるので、スケジュール調整を忘れずに。中学生HPV(対象学年ごとに異なる)保護者と本人がよく話し合って決めることが大切です。2-2. 在宅や里帰り出産での工夫母子手帳のページをスマホで撮影しておくと、接種記録を家族や医療者と簡単に共有できます。市外で接種する場合、南多摩五市(八王子・日野・多摩・稲城・相模原)の指定医療機関なら事前手続き不要。それ以外は予防接種実施依頼書の事前申請が必要です。熱が出やすい子は体調の波を踏まえ、体調の良い時期を狙って接種すると安心です。3. 思春期〜若い世代のワクチン中学生から20代前半までの世代に特に重要なのが、HPVワクチンと風しん対策です。HPVワクチン:子宮頸がんの予防効果が期待され、対象年齢であれば定期接種として無料で受けられます。キャッチアップ接種の条件は年度ごとに変わるため、最新情報を確認しましょう。風しん:抗体が少ない世代があり、妊娠を希望する女性やその配偶者は抗体検査を受け、不足があれば接種が推奨されています。現場からの工夫:大学進学や就職で町田を離れる前にまとめて接種を済ませると安心です。予診票や住民票の有無を早めに確認しておきましょう。4. 高齢者のワクチン(インフル・肺炎球菌・コロナ)65歳以上になると、市の補助を受けて安く接種できるワクチンが複数あります。代表的なものはインフルエンザ、肺炎球菌、新型コロナワクチンです。最新動向(2025年4月1日現在):2024年度の高齢者インフルエンザは2025年1月31日で終了、高齢者コロナは2025年3月31日で終了。2025年度の実施詳細は9月中旬以降に公表予定です。助成の例(2025年度):高齢者肺炎球菌は4,000円助成(市への事前手続き不要)。帯状疱疹ワクチン:指定介護老人福祉施設等の入所者など条件に該当する方への費用助成あり。ワクチン対象自己負担時期高齢者インフルエンザ65歳以上など数百円〜(年度により変動)秋〜冬新型コロナ65歳以上など無料または一部負担秋〜年度末肺炎球菌65歳到達時など一部自己負担通年医療現場の注意点:抗凝固薬内服中でも接種可能。接種後は接種部位を2分程度しっかり圧迫することが推奨されています。発熱している場合は接種を延期し、体調が安定してから受けることが推奨されます。5. 接種当日の流れと持ち物予約前にチェックすべきこと接種対象年齢に当てはまっているか前回の接種から十分な間隔があいているかアレルギー歴や持病があるかを主治医と共有しているか当日の持ち物接種券・予診票・本人確認書類母子手帳(小児の場合)、お薬手帳健康保険証、必要な場合は自己負担金※町田市では母子健康手帳の持参がない場合、原則として接種できません。記録の残し方母子手帳や接種記録にロット番号を記入し、スマホで写真を撮っておくと紛失防止になります。在宅療養中の方は、訪問看護師が接種内容を記録し、多職種で共有することが安心につながります。6. よくある質問Q. 副反応はどのくらい出ますか?腕の腫れや発熱はよくある反応で、数日以内に治まることがほとんどです。重いアレルギー反応はまれですが、接種後30分は必ず観察することが大切です。Q. 複数のワクチンを同時に受けても大丈夫?はい、同時接種は医学的にも安全とされています。通院回数を減らすメリットもあります。ただし体調や持病に応じて医師と相談してください。Q. 持病や薬を飲んでいるけど接種できる?多くの慢性疾患を持つ方でも接種可能です。免疫抑制剤を使用中、妊娠・授乳中などの場合は必ず主治医に確認を。7. 海外渡航・留学に必要なワクチン旅行や留学で必要なワクチンは、国や地域によって異なります。例えば、アフリカや中南米では黄熱ワクチンの国際証明書(イエローカード)が入国に必要な場合があります。これらは一部の専門医療機関でしか接種できないため、数か月前から計画する必要があります。8. 訪問看護ができるサポート通院が難しい方や在宅療養中の方にとって、ワクチン接種の判断や管理は大きな課題です。訪問看護師は以下のような支援を行います。接種歴や体調の整理主治医との連絡調整副反応が出た際の観察と家族への説明記録を多職種と共有現場の工夫例:デイサービスの日と接種日が重なる場合は、体調の負担を考えて日程を変更。複数の往診やリハビリがあるときは、注射部位を交互にしたり、日を分けるなど柔軟に対応。条件(事故防止対策・副反応対策等の準備)を満たす場合、自宅や入院施設で定期接種を実施可能とする制度運用が示されています。9. 情報のチェックは“更新日”を忘れずに市の公式サイトは年度ごとに内容が更新されます。必ず「更新日」を確認し、古い年度の情報を参照しないようにしましょう。特に高齢者向けインフルエンザやコロナワクチンは年度ごとに対象や自己負担額が変わります。まとめ町田市でのワクチン接種は、年齢や健康状態によって対象や費用が変わる点に注意が必要です。子ども、高齢者、そして在宅療養中の方まで、それぞれの状況に応じて準備を進めましょう。迷ったときは主治医や訪問看護師、市の相談窓口に遠慮なく問い合わせてください。ご不明点や個別相談は、ピース訪問看護ステーション にお気軽にご相談ください。関連記事町田市の高齢化と介護支援、訪問看護が果たす重要な役割とは町田市の介護相談はここ!高齢者支援センター・あんしん相談室の利用ガイド介護保険で受けられるリハビリのすべて、種類・内容・利用の流れを解説参考文献一覧町田市「予防接種」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/iryo/yobousessyu/index.html町田市「子どもの予防接種」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/iryo/yobousessyu/kodomo_yobousessyu.html町田市「子どもの予防接種の概要—異なる予防接種の接種間隔について」https://kosodate-machida.tokyo.jp/soshiki/3/1/9/1187.html日本小児科学会「A-予防接種の意義(同時接種)」https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_A-souron_20250228.pdf町田市「小児定期予防接種の南多摩五市相互乗入れ」https://kosodate-machida.tokyo.jp/soshiki/3/1/9/1187.html町田市「町田市外で子どもの定期予防接種を希望される方へ」https://kosodate-machida.tokyo.jp/soshiki/3/1/9/7807.html町田市「高齢者インフルエンザ・新型コロナワクチン定期接種」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/iryo/yobousessyu/koureishainnfuruennza.html町田市「高齢者肺炎球菌予防接種(2025年度)」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/iryo/yobousessyu/seijin.html町田市「帯状疱疹予防接種(指定介護老人福祉施設等への助成)」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/iryo/yobousessyu/taijouhoushin.html町田市「2025年度 帯状疱疹予防接種(ポスター)」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/iryo/yobousessyu/taijouhoushin.files/20250331_2025_Taijou_Poster.pdf厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A(抗凝固薬)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_qa.htmlWHO「Yellow fever vaccination requirements and recommendations by country(国別要件一覧)」https://www.who.int/docs/default-source/documents/emergencies/travel-advice/yellow-fever-vaccination-requirements-country-list-2020-en.pdf厚生労働省「定期接種実施要領(令和7年3月31日改正)」https://www.mhlw.go.jp/content/001471610.pdf本記事の執筆者・監修者プロフィール【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。