慢性腎臓病(CKD)と診断され自宅で療養を続ける高齢のご家族を支える方にとって、毎日の悩みは「何を食べさせればいいのか」「どこまで気をつければ腎臓を守れるのか」ではないでしょうか。減塩と言われても加減が分からない、むくみが出てきたが受診すべきか迷う、薬を本人が飲み忘れる——こうした困りごとは、知識が足りないからではなく、CKDが「自覚症状が乏しく、生活全体で支える必要がある」性質を持つために生まれます。慢性腎臓病は多くの場合ゆっくり進む病気です。だからこそ保存期(透析に至る前の段階)のうちに食事・血圧・服薬を整えれば、進行をゆるやかにし自宅で穏やかに暮らし続けることが十分に可能です。一方で脱水や感染、自己判断での薬の中断をきっかけに一気に悪化することもあり、そばで見守る家族が「日々の観察ポイント」と「悪化のサイン」「やってはいけないこと」を知っておくことが、在宅療養の質を大きく左右します。この記事では、町田市・相模原市で在宅療養を支えてきた訪問看護の経験をふまえ、ご家族が今日から実践できる関わり方を整理しました。この記事でわかること慢性腎臓病(CKD)とは何か(腎臓の働き・ステージ・eGFR・自覚症状の乏しさ)在宅で家族が支える食事療法(減塩・たんぱく質・カリウム・水分と、高齢者の低栄養への注意)家庭でできる血圧・体重・むくみ・尿の観察ポイント服薬管理で家族が気をつけること(自己中断の危険・腎臓に影響する薬)見逃したくない悪化・受診のサインと「シックデイ」の考え方透析・腎代替療法を見据えた心構えと、町田・相模原での訪問看護の活用慢性腎臓病(CKD)と在宅療養の基本慢性腎臓病(CKD)とは、腎臓の働きの低下や尿の異常(たんぱく尿など)が3か月以上続く状態の総称で、在宅療養では「進行をゆるやかにすること」を家族と一緒に目指します。初期は自覚症状がほとんどないのが大きな特徴です。腎臓は、血液をろ過して老廃物や余分な水分・塩分を尿として出し、血圧やミネラルのバランス、赤血球をつくるホルモンの調整まで担う臓器です。日本腎臓病協会の解説によると、CKDは「たんぱく尿などの腎障害」または「eGFRが60mL/分/1.73㎡未満の腎機能低下」が3か月以上続く状態と定義され、進行すると透析や移植が必要になる場合があるとされています(出典:日本腎臓病協会「CKDについて」)。CKDは生活習慣病とも深く関わるため、厚生労働省も予防・管理の重要性を呼びかけています(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「CKD / 慢性腎臓病」)。在宅で支えるご家族にまず知っておいてほしいのは、CKDは付き合いながら進行を遅らせる病気であること、初期はほとんど症状が出ず本人が「元気だから大丈夫」と油断しやすいこと、そして腎臓の働きはいったん大きく失われると元に戻りにくく、日々の管理が将来を左右することの3点です。CKDの進行を早める主な要因は、高血圧・高血糖(糖尿病)・喫煙・脱水・腎臓に負担をかける薬などです。裏を返せば、血圧と血糖を整え、禁煙し、脱水や不要な薬を避けることが、家族と一緒に取り組める「進行を遅らせる生活」になります。これらは特別な医療ではなく、毎日の暮らしの積み重ねで効いてきます。CKDのステージ(重症度)とeGFRCKDの重症度は、腎臓のろ過機能を示すeGFRの値でG1からG5の5段階に分けられ、家族が「今どのあたりか」を把握しておくと支援の見通しが立ちます。数値の意味を知ることが、過度な不安と油断の両方を防ぎます。ステージeGFRの目安(mL/分/1.73㎡)腎機能の状態G190以上正常または高値(腎障害はあり)G260〜89正常または軽度低下G3a45〜59軽度〜中等度低下G3b30〜44中等度〜高度低下G415〜29高度低下G515未満末期腎不全なお、G1・G2はeGFRの数値だけ見ると正常〜軽度低下ですが、たんぱく尿など腎障害の所見がある場合にCKDと分類されます。「数値は正常なのに病気?」と戸惑う必要はありません。eGFR(推算糸球体ろ過量)は、血液中のクレアチニンという老廃物の値と年齢・性別から計算され、腎臓が1分間にどれだけ血液をろ過できるかの目安を示します(出典:日本腎臓病協会「CKDについて」)。数値が小さいほど腎機能が低下している状態です。高齢になると腎機能は自然に下がるため、70代でeGFRが60前後になること自体は珍しくありません。大切なのは一度の数値より前回からどう変化しているかという流れです。ご家族も「前回と比べてどうか」を主治医に確認しておくと、生活の力の入れどころが分かります。在宅療養で目指したいことCKDの在宅療養のゴールは「腎機能を元通りにすること」ではなく、「進行をゆるやかにしながら、その人らしい生活を保つこと」です。家族が支える柱は、①進行を遅らせる(減塩・血圧・服薬・血糖)、②体調を保つ(低栄養・脱水・感染を防ぐ)、③異変に早く気づく(体重・むくみ・尿の観察)、④心を支えるの4つです。これらは互いに関係し、減塩を意識しすぎて食欲が落ち低栄養になると、感染から腎機能が悪化する悪循環も起こりえます。だからこそ「制限」と「栄養」のバランスが重要で、ご家族が完璧に管理しようと気負う必要はありません。続けられる小さな習慣を一つずつ整えることが、本人の腎臓を最も守ります。在宅で家族が支えるCKDの食事療法(減塩・たんぱく質・カリウム・水分)CKDの在宅療養で家族が支える食事の柱は、減塩・たんぱく質の適正化・カリウムやリンの調整・水分管理ですが、高齢者では低栄養を防ぐバランスが何より大切です。食事療法はステージ・年齢・体格・合併症によって内容が大きく変わるため自己流は危険で、個別の指示は主治医・管理栄養士が決めることが前提です(出典:日本腎臓学会「慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル」)。減塩・たんぱく質・カリウムの基本減塩は1日6g未満が一つの目安で、たんぱく質やカリウムはステージに応じて調整しますが、高齢者では「減らしすぎ」が低栄養を招くため必ず指示量を確認します。やみくもな制限はかえって体を弱らせます。栄養素在宅での考え方家族の工夫塩分1日6g未満が目安。むくみ・血圧対策の要だし・酸味・香味で薄味を補う、加工食品を減らすたんぱく質ステージにより制限することがある。ただし高齢者は不足に注意指示量内で良質なたんぱく質を。自己判断で極端に減らさないカリウムステージが進むと制限することがある野菜・果物の量に注意。ゆでこぼしで減らせるリン進行期に制限することがある加工食品・乳製品の摂りすぎに注意減塩は、血圧を下げてむくみを抑え、腎臓の負担を減らす最も基本的な対策です。日本腎臓学会の食事療法基準でも、食塩は1日6g未満(3g以上6g未満)が目安とされています。ハム・ちくわ・漬物・干物・インスタント食品など加工食品は塩分が多いため、頻度を減らすだけでも効果があります。物足りないときは、だし・酢やレモンの酸味・こしょう・しょうがの香りを活かしてください。薄味でも満足しやすくなります。カリウムは進行すると制限が必要になることがあり、その場合は野菜を小さく切ってゆでこぼす(ゆで汁を捨てる)とある程度減らせます。カリウム制限の具体的な工夫は腎臓病のカリウム制限も参考になります。一方で見落とせないのが、高齢のCKDの方ではたんぱく質や食事量を制限しすぎると低栄養や筋肉減少(サルコペニア)を招き、かえって体力と生活機能を落とす点です。日本腎臓学会の食事指導でも、高齢のCKD患者では画一的な制限より、低栄養・サルコペニアを避ける配慮が重要とされています。たんぱく質を制限するか、どの程度かは必ず主治医・管理栄養士の指示に従い、自己判断で肉や魚を抜かないでください。抜くと筋力が落ちて、転倒・寝たきりのリスクが上がります。低栄養を防ぐ具体策は高齢者が避けたい低栄養とその予防法も参考になります。水分・外食・市販品とのつき合い方水分は、むくみや心臓の状態によって「控えめ」がよい場合と、脱水を避けるため「しっかり」がよい場合があり、CKDでは一律に決められません。利尿薬を使っている方やむくみのある方は、主治医から1日の目安量を聞いておき、体重と尿量を見ながら調整します。逆に夏場や発熱時は脱水で腎臓に負担がかかるため、ふだんより意識して水分をとる場面もあります。外食や中食(惣菜・弁当)は塩分・リンが多くなりがちです。毎日でなければ神経質になりすぎる必要はありませんが、麺類の汁を残す、丼より定食を選ぶ、漬物・佃煮を別皿にする、といった小さな工夫で塩分はかなり減らせます。リンは、ハムなどの加工肉、練り物、インスタント食品、一部の清涼飲料に「リン酸塩」として多く含まれます。進行期でリン制限がある方は、家族が原材料表示の「リン酸塩」「pH調整剤」に気づいてあげると役立ちます。食事療法でいちばん難しいのは、「腎臓のための制限」と「食べる楽しみ・低栄養予防」のさじ加減です。とくに高齢の方では、制限を厳しくしすぎて食が細るより、主治医・管理栄養士と相談しながら「食べられる範囲で塩分とリンに気をつける」ほうが、結果的に体力と腎臓の両方を守れることが少なくありません。家族が「あれもダメこれもダメ」と管理役になりすぎると食卓が窮屈になり、本人も家族も疲れてしまいます。週に一度は好きなものを少し、という緩やかさも、長く続けるためには大切です。CKDの食事で「制限と栄養のバランスが分からない」というときは、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。主治医・管理栄養士と連携し、続けられる食事の工夫を一緒に考えます。血圧・体重・むくみ・尿の観察で家族ができることCKDの在宅療養では、家庭での血圧・体重・むくみ・尿の観察が、腎臓の負担と悪化の早期発見につながる最も実用的な家族の役割です。特別な医療知識がなくても毎日の小さな変化に気づくことが力になります。CKDは自覚症状が乏しいぶん、数字と見た目の変化が「腎臓からのサイン」を教えてくれます。本人は体調の悪さに慣れがちなので、客観的に見ている家族のほうが先に異変に気づけることが少なくありません。毎日チェックしたい4項目血圧・体重・むくみ・尿の4点を毎日同じタイミングで確認し、記録しておくと、変化に早く気づき受診の判断がしやすくなります。完璧でなくても、続けることに意味があります。観察項目見るポイント注意したい変化血圧毎日同じ時間・座って測定普段より高い日が続く、急な上昇体重朝起きてトイレ後など条件をそろえる数日で1〜2kg以上の急な増加むくみすね・足の甲・顔・まぶた靴下の跡が深い、押すとへこむ尿量・色・泡立ち・回数量が急に減る、泡が消えにくい、血尿血圧は高い状態が続くと腎臓の細い血管を傷め、悪化を早めます。座って安静にしてから測り、毎日記録してください。体重は、数日で急に増えた場合は脂肪ではなく水分がたまっているサインです。むくみは、すねや足の甲を指で5秒ほど押してへこみが残るかで分かります。朝のまぶたの腫れも見るポイントです。尿は、量が急に減る・泡がなかなか消えない(たんぱく尿の可能性)・赤や茶色っぽい(血尿の可能性)といった変化に注意します。むくみの見分け方は腎臓が原因の足のむくみとはでも取り上げています。これらはカレンダーの余白に「血圧135/82」「体重58.0」「足むくみ少し」と一言ずつ書く程度で十分です。町田市内でCKDの方を訪問していると、ご家族が「最近むくみがひどい気がする」とおっしゃっても、いつからどの程度かが曖昧で判断に困る場面があります。逆に毎日メモしているご家庭では「3日で1.5kg増えてむくみも出た」と具体的に伝えられ、早めに主治医へつないで入院を避けられたこともありました。記録は、家族の「なんとなく心配」を、医師が動ける情報に変える道具です。記録を続けるコツは、完璧を目指さないことです。血圧計は目につく場所に置き、体重計は脱衣所に出しっぱなしにしておくと、「ついで」に測りやすくなります。毎日でなくても、週に数回・同じ条件で測れていれば傾向はつかめます。スマートフォンのメモやアプリ、市販の血圧手帳でも構いません。大切なのは数字をきれいに残すことではなく、「いつもと違う」に早く気づくことです。受診のときにその記録を見せれば、限られた診察時間でも医師が状態を把握しやすくなります。CKDの服薬管理で家族が気をつけることCKDの服薬管理で家族が最も気をつけるべきは、降圧薬や利尿薬などを自己判断で中断・増減しないことと、腎臓に負担をかける薬を無断で使わないことです。薬は腎臓を守る重要な治療の一部です。CKDの方は血圧・むくみ・貧血・ミネラルの調整などで複数の薬を飲んでいることが多く、種類が多いほど飲み忘れや自己中断が起こりやすくなります。「調子が良いから」と勝手にやめると、血圧が上がって腎臓の悪化を早めてしまいます。自己判断での中止は避けてください。服薬で家族がサポートできること薬を指示どおり続けられるよう支え、市販薬やサプリを使う前に必ず確認することが、家族にできる重要な服薬サポートです。飲み忘れと自己判断の両方を防ぐ視点が役立ちます。サポート場面望ましい対応避けたい対応飲み忘れ対策お薬カレンダー・一包化・声かけ本人任せで管理しない自己中断中断したくなったら医師に相談「調子が良い」で勝手にやめる市販薬使う前に薬剤師・医師に確認痛み止めなどを自己判断で常用受診・処方残薬を確認し受診に同行残薬を伝えず重複・不足が起こる特に注意したいのが、痛み止めの一部(NSAIDsと呼ばれる解熱鎮痛薬)は腎臓の血流を減らし、腎機能を悪化させることがある点です。市販の鎮痛薬や風邪薬にも含まれるため、使うときは自己判断せず薬剤師や主治医に相談してください。サプリメントや健康食品もカリウムやリンを多く含んで腎臓に負担をかけることがあります。管理が難しいご家庭では、お薬カレンダーや一包化(複数の薬を1回分ずつまとめる方法)を薬局に相談すると飲み忘れ・飲み間違いを減らせます。CKDでよく使われる薬を家族がざっくり知っておくと、飲み忘れの重大さが伝わりやすくなります。血圧と腎臓を守るARB・ACE阻害薬と呼ばれる降圧薬、むくみをとる利尿薬、貧血を補う薬や鉄剤、リンやカリウムを下げる吸着薬などが、その人の状態に合わせて組み合わされます。いずれも「症状を抑える」より「腎臓の負担を減らし進行を遅らせる」ための薬で、調子が良くても続ける意味があります。種類や量はその人ごとに細かく決められているので、家族が良かれと思って量や時間を変えるのは禁物です。複数の病院・診療科にかかっている場合は、お薬手帳を一冊にまとめ、CKDであることをどの医師にも伝えておくと、腎臓に負担をかける薬の重複を防げます。たくさんの薬の管理に不安がある、市販薬を使ってよいか迷う——そんなときはピース訪問看護ステーションにご相談ください。服薬の確認から多職種連携まで、ご家族と一緒に支えます。見逃したくない悪化・受診のサインとシックデイCKDで「急なむくみ・体重増加・尿量の減少・強いだるさ・息切れ」が現れたときは腎機能悪化のサインの可能性があり、ためらわず医療につなぐことが大切です。CKDの悪化は本人が気づかないうちに進むことがあり、だからこそ家族が「いつもと明らかに違う」変化を知っておくことが、重症化や緊急入院を避ける助けになります。受診・相談を考える目安いつもと違うむくみ・体重・尿・呼吸の変化が出たら、自己判断で待たずに主治医や訪問看護に相談することが、悪化を防ぐ基本姿勢です。迷ったら相談する、が安全側の選択です。状況対応の目安むくみが急に強くなった、数日で体重が1〜2kg以上増えた早めにかかりつけ医・訪問看護へ相談尿の量が急に減った、ほとんど出ない速やかに受診・相談強いだるさ・食欲低下・吐き気が続く主治医に連絡し指示を仰ぐ息切れ・横になると苦しい・顔のむくみ体に水分がたまっている可能性。早めに受診意識がもうろう、けいれん、呼びかけへの反応が鈍いためらわず救急要請を検討これらは一般的な目安です。個別の判断基準は必ず主治医に確認し、緊急時の連絡先を家の見える場所に貼っておいてください。特に尿がほとんど出ない・息苦しさや強いむくみが急に進む状態は、体に水分や老廃物がたまっている危険なサインのことがあり早い対応が必要です。腎臓が悪いときの症状は腎臓が悪い時の症状とはでも整理しています。「シックデイ」への備えシックデイとは、発熱・下痢・嘔吐・食欲不振などで体調を崩した日のことで、CKDの方は脱水や薬の影響で腎機能が悪化しやすいため、あらかじめ対応を決めておくことが重要です。「ただの風邪」と油断しないことが腎臓を守ります。シックデイの場面家族の対応発熱・下痢・嘔吐がある水分がとれているか確認し、ひどければ早めに相談食事・水分がとれない脱水に注意。主治医にお薬をどうするか確認普段の薬をどうするか自己判断せず、事前に決めた方針・主治医の指示に従うぐったりして尿が少ない速やかに受診・相談発熱や下痢・嘔吐で水分がとれなくなると体が脱水に傾き、腎臓へ流れる血液が減って腎機能が急に悪化することがあります。一方で利尿薬など一部の薬は、脱水時にかえって負担をかけます。シックデイに薬をどうするかは、あらかじめ主治医に確認しておくと安心です。高齢者は脱水に気づきにくいもの。口の渇き・尿の減少・ぐったり感を家族が見てあげてください。脱水の見分け方は高齢者の脱水症状に要注意も役立ちます。ただし水分は「とればとるほど良い」わけではなく、心臓やむくみの状態によっては制限が必要なこともあるため、適切な水分量は主治医の指示に従ってください。シックデイに備えて、家庭で決めておくと安心なことがあります。発熱や下痢のときに飲める経口補水液を常備しておく、いつから食べられない・飲めないかを時刻でメモする、体温と尿の回数を記録する、そして「どの薬を休み、どの薬は続けるか」を前もって主治医に一覧で確認しておく——これらがあると、いざというとき家族が迷わず動けます。特に高齢の方は「食べられないけれど水分はとれている」と思っても実際は不足していることがあり、半日以上ほとんど飲めない・尿が出ないときは様子を見ずに連絡してください。あわせて、かぜや胃腸炎などの感染もシックデイの引き金になります。手洗い・うがいを家族ぐるみで習慣にし、流行期は人混みを避け、ワクチンについては主治医に相談しておくと、悪化のきっかけを減らせます。透析・腎代替療法を見据えた心構えと家族の関わり方CKDが進行した場合に備え、透析や腎移植といった腎代替療法を「脅し」ではなく「選択肢」として穏やかに知っておくことが、本人と家族の安心につながります。腎機能が大きく低下するといずれ透析や移植が必要になる場合がありますが、これは「終わり」ではなく生活を続けるための治療の選択肢です。怖いイメージが先行しがちですが、早めに正しく知っておくことで落ち着いて向き合えます。腎代替療法を知っておく意味透析(血液透析・腹膜透析)や腎移植には複数の方法があり、早めに知っておくことで、本人の希望や生活に合った選択を医師と相談しやすくなります。知識は不安を減らす力になります。療法概要知っておきたい点血液透析通院して機械で血液をきれいにする通院頻度・時間の負担を生活と相談腹膜透析自宅で行える方法。在宅との相性がよい場合がある自己管理・家族の協力が関わる腎移植提供された腎臓を移植する適応・条件は医師と相談保存的療法透析をしない選択も含め話し合う本人の価値観・意思を尊重どの方法が合うかは、年齢・全身状態・生活環境・本人の希望によって異なります。大切なのは、進行してから慌てて決めるのではなく、保存期のうちから「もしものとき」を少しずつ話題にしておくことです。ただし透析の話は本人に不安を伴います。家族が先回りして脅すように伝えるのは避け、医師や訪問看護師と一緒に穏やかに共有してください。腎不全に進んだ場合の在宅ケアは腎不全患者の在宅ケア完全ガイドでも解説しています。家族の関わり方の原則本人のできることは見守り、できない部分をさりげなく支えるのが、CKDの長い療養を家族が無理なく続けるための関わり方です。抱え込みも放任も避けるのがコツです。CKDの食事制限や定期受診は、本人に「好きに食べられない」「ずっと付き合わなければならない」という負担を伴います。家族が管理者のように振る舞うと自尊心を傷つけ、逆に無関心では異変を見逃します。食事は監視するより一緒に工夫してできたことを認め、服薬・受診はさりげなく声をかけて同行する——「ここは手伝ってほしい」「ここは自分でやりたい」を本人と話し合っておくと、お互いに楽になります。そして家族だけで抱え込まないことも、同じくらい大切です。介護保険サービスや地域の支援、ケアマネジャーへの相談なども早めに活用し、支える側の負担も分散していきましょう。また、CKDと長く付き合う本人は、検査値の上下に一喜一憂し、将来への不安を抱えがちです。家族が数値を責めるように口にすると、本人は受診や食事の話を避けるようになりかねません。「よく頑張っているね」「一緒に考えよう」という姿勢のほうが、結果的に治療を続ける力になります。気持ちが沈みがちなときは、本人だけでなく家族も、訪問看護師やケアマネジャー、地域包括支援センターに気軽に相談してよいのだと知っておいてください。町田市・相模原市での訪問看護の活用訪問看護は、CKDの在宅療養を「医療」と「生活」の両面から支え、ご家族の不安を分かち合う身近な存在で、定期的な訪問で悪化の予兆を早期にとらえやすくなります。専門職が自宅に入ることで、家族だけで抱える負担が軽くなります。町田市・相模原市でCKDの方を訪問していて実感するのは、ご家族が「この食事で合っているのか」「このむくみは受診すべきか」の判断に強く悩んでいる点です。とくに保存期のCKDは自覚症状が乏しく、何を目安に生活すればよいか分かりにくいため、専門職が定期的に状態を見て助言する意味は大きいといえます。たとえば、夏場に発熱と下痢でぐったりしてしまったCKDの方のご家庭では、訪問時に「飲み水が進まず、尿の回数も減っている」というご家族の気づきを聞き取れたことがあります。あらかじめシックデイの方針を主治医と共有していたため、その場で利尿薬の扱いと水分のとり方を確認し、脱水が深まる前に受診へつなぐことができました。「いつもの体調管理」だけでなく、こうした体調を崩した日の判断を一緒に決めておけることも、訪問看護がご家族と二人三脚で取り組む強みです。通院が負担な方への自宅ケアは通院が大変な町田市の高齢者に訪問看護をおすすめする理由でも紹介しています。訪問看護をどう使えばよいか分からないというご家族も多いのですが、入り口はとても簡単です。かかりつけ医に「訪問看護を使いたい」と相談する、あるいはケアマネジャーや地域包括支援センターに声をかけるだけで、必要な手続きを案内してもらえます。CKDの方は、介護保険が使える年齢・状態なら介護保険で、そうでなければ医療保険で訪問看護を利用でき、血圧や体重の見方、食事の工夫、服薬や受診の不安まで、暮らしに沿って一緒に整理できます。「まだ大きな問題はないけれど不安」という段階こそ、早めに専門職とつながっておく意味があります。訪問看護でできること訪問看護では、血圧・体重・むくみなどの観察から、食事・服薬の助言、家族支援、多職種連携まで幅広く対応でき、ご本人の状態と希望に合わせて支援を組み立てます。「何を相談していいか分からない」段階でも構いません。支援内容具体例観察・記録血圧・体重・むくみ・尿・全身状態を継続的に確認食事・服薬減塩・低栄養対策の助言、飲み忘れ防止・市販薬の相談悪化の早期発見シックデイ対応、受診の見極めを家族と共有家族支援・連携不安への相談、主治医・ケアマネとの連絡調整糖尿病を併せ持つ方では血糖管理も含めた支援が必要で、在宅での糖尿病ケアは在宅で続ける糖尿病予防も参考になります。まずは現状の困りごとを話していただくことから、私たちは支援を始めます。まとめ慢性腎臓病(CKD)の在宅療養では、「進行を遅らせること」「体調を保つこと」「異変に早く気づくこと」「心を支えること」の4つが柱になります。最も実用的なのは、血圧・体重・むくみ・尿を毎日観察して記録し、「いつもと違う」変化を早くとらえることです。食事は減塩を基本にしつつ高齢者では低栄養を防ぐバランスが重要で、制限や服薬の自己判断は避けます。何より、ご家族だけで抱え込まないこと。訪問看護は在宅療養を医療と生活の両面から支えます。ピース訪問看護ステーションにご相談ください慢性腎臓病(CKD)の在宅療養は、食事・血圧・服薬・観察とご家族が気を配る場面が多いものです。ピース訪問看護ステーションは、保存期CKDの在宅生活を医療と生活の両面からご家族と一緒に支えます。こんな方はぜひご相談ください:減塩や食事制限の加減が分からず、低栄養も心配な方血圧・体重・むくみの変化の見方や受診の目安に迷う方薬の管理や、市販薬を使ってよいか不安がある方ピース訪問看護ステーションができること:血圧・体重・むくみ・尿の観察と記録の仕組みづくり、悪化の早期発見減塩・栄養の助言(管理栄養士と連携)と服薬管理のサポートシックデイ対応や受診の見極め、不安への相談と多職種連携町田市・相模原市・多摩市など東京都南部を中心に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。関連記事腎不全患者の在宅ケア完全ガイド、訪問看護の専門視点から腎臓が悪い時の症状とは?初期のサイン・原因・在宅でのケア方法まで徹底解説腎臓病のカリウム制限ー食事の工夫・注意点・透析中の安全な管理方法を解説高齢者が避けたい低栄養とその予防法、訪問看護でできる栄養管理塩分とむくみの深い関係と予防法:高齢者・生活習慣病予備軍のためのやさしい健康知識参考文献日本腎臓病協会「CKDについて(定義・診断基準・GFR・病期分類)」 https://j-ka.or.jp/ckd/about.php日本腎臓学会「慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル」(診療ガイドライン一覧) https://jsn.or.jp/medic/guideline/厚生労働省 e-ヘルスネット「CKD / 慢性腎臓病」(厚労省の生活習慣病予防情報サイト)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-073.htmlよくある質問(FAQ)Q1. 慢性腎臓病(CKD)の家族として、まず何を観察すればよいですか?A. 「血圧・体重・むくみ・尿」の4点を毎日同じ条件で確認してください。血圧が高い日が続く、数日で体重が1〜2kg以上増える、すねや顔のむくみが強くなる、尿量が急に減る・泡が消えにくい・血尿といった変化は腎臓からのサインのことがあります。カレンダーに一言メモしておくと受診時に役立ちます。Q2. 減塩やたんぱく質制限は、家族が自己判断で進めてよいですか?A. いいえ。減塩は1日6g未満が目安ですが、たんぱく質やカリウムの制限はステージ・年齢・体格で大きく変わります。特に高齢者では制限のしすぎが低栄養や筋力低下を招きます。制限の有無と程度は必ず主治医・管理栄養士の指示に従い、自己流で肉や魚を抜かないでください。Q3. 本人が「調子が良いから」と薬をやめたがります。どうすればよいですか?A. CKDの薬は調子が良いときでも腎臓を守るために続ける必要があるものが多く、自己判断での中断は血圧上昇などから悪化を早めることがあります。やめたい気持ちがあるときは本人だけで決めず必ず主治医に相談してください。飲み忘れが多い場合は、お薬カレンダーや一包化が役立ちます。Q4. 市販の痛み止めや風邪薬、サプリメントは使ってもよいですか?A. 市販の解熱鎮痛薬の一部(NSAIDs)は腎臓の血流を減らし、腎機能を悪化させることがあります。風邪薬にも含まれるため、使う前に必ず薬剤師や主治医に確認してください。サプリメントや健康食品もカリウムやリンを多く含み腎臓に負担をかけることがあります。【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理、地域医療連携、在宅看取り支援に積極的に取り組んでいる。island-piece.jp 株式会社isLand|訪問看護・居宅介護支援・訪問介護|町田市