「点滴の日は病院で看てもらえます。こわいのは、家に帰ってからの数日なんです」。抗がん剤治療を受けている方のご家族から、訪問先でよく聞く言葉です。外来で抗がん剤治療を行うことが増え、副作用と向き合う場所は病院から自宅へ移りました。吐き気が強い日、熱が出る日、何をする気も起きない日。そのとき隣にいるのは医療者ではなく家族です。どこまでが想定内で、どこからが連絡すべき異常なのか。この線引きが分からないと、我慢しすぎて重症化させることも、不安から夜中に何度も電話することも起こります。抗がん剤の副作用は出る時期がある程度予測できます。予測できれば備えられます。この記事では抗がん剤の副作用が起こる理由と時期、症状別のセルフケア、病院へ連絡する基準、家族のサポート、排泄物や洗濯物の扱いまでを、町田市・相模原市で在宅の方に伺っている訪問看護の視点で整理します。いま熱が出ていて迷っている方は、3つ目の見出し「発熱・感染症などすぐに病院へ連絡すべき症状の目安」から読んでください。37.5度以上で治療先へ連絡、38度以上が続くときは夜間休日でも受診が目安です。この記事でわかること抗がん剤の副作用が起こる理由と、いつからいつまで続くのかという時期の目安脱毛・吐き気・食欲不振・口内炎・しびれ・倦怠感の、自宅でできるセルフケア発熱をはじめ、すぐ病院へ連絡すべき症状の基準と、電話で伝えるべき内容家族が担うと助かる役割と、かえって本人の負担になりやすい関わり方投与後48時間の排泄物・洗濯物の扱いと、訪問看護に頼める具体的な内容抗がん剤治療中に自宅で副作用が起こる理由と過ごし方の基本抗がん剤の副作用が自宅で強く出るのは、薬の影響が数日から数週間かけて現れるためで、過ごし方の基本は時期を予測し、記録を家族と共有しておくことです。抗がん剤が正常な細胞にも作用するしくみ|副作用が出る場所影響を受けやすい場所現れる症状目立ちやすい時期(目安)骨髄(血液を作る場所)感染しやすさ、貧血、出血しやすさ投与後7〜14日ごろ口や消化管の粘膜口内炎、吐き気、下痢、食欲不振投与後数日から2週目毛根(毛母細胞)髪や眉毛・まつ毛の脱毛投与後1〜3週目から末梢神経手足のしびれ、力の入りにくさ2週目ごろから全身倦怠感(だるさ)投与直後から治療期間中化学療法で使う細胞障害性抗がん薬は、細胞が増殖する仕組みの一部を阻害してがんを攻撃します。正常な細胞も影響を受けるため、細胞分裂が活発な場所ほど副作用が出ます(出典:国立がん研究センター がん情報サービス「薬物療法 もっと詳しく」)。自覚できるのは、治療直後のアレルギー反応、1〜2週目の吐き気や食欲低下、だるさ、口内炎、2週目ごろからの脱毛やしびれ。採血ではじめて分かる副作用もあります。肝機能障害、白血球減少、貧血の3つ。白血球のうち細菌と戦う主力が好中球で、これが減ると感染しやすくなります。採血が治療日程に組み込まれているのは、この見えない部分を確かめるためです。抗がん剤の副作用はいつからいつまで続くのか|時期別の見取り図時期(目安)起こりやすいこと家庭で見るところ2〜7日目吐き気、だるさ、下痢や便秘食べた量、飲めた量7〜14日目白血球が減り感染しやすくなる体温、のどの痛み、口内炎2〜3週目脱毛が始まる、しびれが出始める頭皮の痛み、手の使いにくさ治療終了後多くは回復に向かうしびれだけ長く残ることがある抗がん剤の副作用がいつまで続くのかは、外来治療中の方から最も多く受ける質問です。吐き気や嘔吐は、ほとんどが5日から1週間程度でおさまります(出典:国立がん研究センター がん情報サービス「吐き気・嘔吐」)。脱毛は投与から1〜3週間後に始まり、治療が終わると再び生え始めます。3〜6カ月で短い毛が生えそろうことが多いと、がん情報サービスは説明しています(出典:国立がん研究センター がん情報サービス「脱毛」)。一方、しびれは治療後も数カ月、人によっては1年以上続くことがあります。この時期の違いが分かると焦りが減ります。自宅での過ごし方の基本|記録・生活・治療前の確認記録することいつ測るか医療者に伝わること体温朝夕と、体調が変わったとき感染の兆候、発熱の持続体重週2〜3回、同じ時間帯食事量の低下、脱水やむくみ食べた量・飲んだ量毎食後にひと言栄養と水分が足りているか気になった症状気づいたとき口内炎や発疹の進み方治療前に確認したいのは「どんな症状が出たら、いつ、どこへ連絡するか」。急いで受診が必要な場合を医療者から十分に聞いておくと安心につながると、がん情報サービスは案内しています(出典:国立がん研究センター がん情報サービス「家族が治療を始めてから」)。内服薬の管理も自宅の仕事です。飲む期間と飲まない期間が決まっている薬もあるため、お薬カレンダーで家族も確認できる形にすると飲み忘れが減ります。町田市内で外来治療を続けている方のお宅では、体温計と体重計をリビングへ移しただけで記録が続くようになりました。続かない記録は、意志ではなく置き場所の問題です。症状別にみる副作用と自宅でできるセルフケア(脱毛・吐き気・食欲不振・口内炎・しびれ・倦怠感)抗がん剤の副作用は症状ごとに自宅でできる工夫が決まっており、家族が手順を知っておくだけで、本人が一人で耐える時間を減らせます。脱毛への備えとケア|治療が決まった時点でできること時期できる準備・ケア注意点治療が決まったら帽子やウィッグの種類・価格を調べるあわてて高額な物を買わない脱毛が始まる前髪を短く整え、寝具の準備をする頭皮を強くこすらない生えそろうまで帽子やスカーフで日差しを避ける発毛を促す確立された製品はないウィッグは数千円から数十万円までと幅があり、高額なら自分に合うとは限りません。重さや通気性、つけ心地から予算の範囲で選んでください。購入費用を助成する自治体もあります。脱毛は髪だけでなく眉毛、まつ毛、鼻毛にも起こります。まつ毛が減るとほこりが目に入りやすく、鼻毛が減ると鼻水が出やすい。見た目だけでなく生活の不便にもつながります。治療前は不要だと思っていても、始まると気持ちが変わることがあります。家族が「せっかく買ったのに」と口にしないことが、本人の負担を減らします。吐き気・食欲不振|食べられないときの食事の工夫場面食べやすいもの避けたほうがよいものにおいがつらい室温に冷ましたご飯、冷たい麺、ゼリー炊きたてのご飯、焼き魚飲み込みにくい茶わん蒸し、アイスクリーム、果物硬いもの、パサつくもの少ししか入らない栄養補助食品、高たんぱくの小皿料理大皿に盛った通常量の食事吐き気はにおいが引き金になります。窓を開けて空気を入れ替える、食事を室温程度に冷ますといった工夫で食べられる量が変わります。1日3回である必要はありません。保存のきくものを小分けにしておく方法もあり、栄養バランスが1日単位で整わなくても心配しすぎなくてよいとされています(出典:国立がん研究センター がん情報サービス「食欲がない・食欲不振」)。体重は定期的に量って診察で伝えてください。数字があると点滴や栄養補助食品を検討する判断が早まります。高齢の方の食欲低下は高齢者の食欲不振に潜むリスクとその対策法も参考になります。口内炎と口の乾燥|治療が始まる前からの口腔ケア場面具体的なケアポイント治療開始前歯科を受診し、虫歯や歯石を整える起きても軽くすみやすい毎日柔らかい歯ブラシで1日2〜4回みがく歯茎を傷つけないようにうがい水か生理食塩水で1日4回以上アルコール入りは刺激になる口内炎(口腔粘膜炎)は、がんの薬物療法を受けた約半数の人に起こります。唾液が減ると口の中をきれいに保つ働きが落ち、感染症のリスクも高まります(出典:国立がん研究センター がん情報サービス「口内炎・口内の乾燥」)。口が乾くときはこまめな水分補給と保湿ジェルを。うがいに使う生理食塩水は、500ミリリットルの水に小さじ1杯の食塩を溶かせば作れます(出典:同「口内炎・口内の乾燥」)。刺激が少なく、うがい薬を切らしたときにも使えます。痛みで食事も睡眠もとれなくなると体力が落ち、治療の継続が難しくなります。しみる、痛いと感じた時点で伝えてください。手足のしびれと倦怠感|転倒とやけどに気をつける症状自宅でできる工夫起こりやすい事故しびれ(感覚が鈍い)入浴で温める、ゆったりした靴下鍋や湯たんぽでのやけどしびれ(力が入らない)かかとの覆われた靴、床に物を置かない段差でのつまずき、転倒倦怠感調子のよい時間帯に用事を寄せる無理をした翌日の寝込みしびれによって熱さや冷たさを感じにくくなるため、やけどに注意が必要です。低温やけどにも気をつけ、冷たいものに触れるときはゴム手袋を使うなど、刺激を避ける方法が挙げられています(出典:国立がん研究センター がん情報サービス「しびれ」)。倦怠感は周囲に理解されにくい症状です。強い時間帯と弱い時間帯を把握し、弱い時間帯にその日いちばん大事な用事を持ってくる。この組み立てが効きます。体調が許す範囲での運動やストレッチも、全身の血液やリンパ液の流れをよくして倦怠感を軽くするのに役立ちます(出典:国立がん研究センター がん情報サービス「倦怠感(だるさ)」)。痛みが強いときは我慢せず鎮痛薬の調整を相談してください(出典:日本緩和医療学会「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版」)。麻薬への不安は在宅でがんの痛みを和らげる医療用麻薬への不安とレスキュー薬の使い方でも扱っています。発熱・感染症などすぐに病院へ連絡すべき症状の目安抗がん剤の副作用のうち最も急を要するのが発熱で、37.5度以上なら治療先へ連絡し、38度以上が続く・意識がもうろうとする・尿が極端に少ないときは夜間休日でも受診します。発熱したときの連絡目安|37.5度と38度の意味状況目安の対応理由37.5度以上の発熱治療先に連絡し受診の要否を確認感染が急速に進むことがある38度以上が続く夜間・休日でも速やかに受診重篤な感染症の可能性がある意識がもうろうとする夜間・休日でも速やかに受診全身状態の悪化を示す尿の量が極端に少ない夜間・休日でも速やかに受診脱水の進行を示す普段より血圧が低い夜間・休日でも速やかに受診循環が保てなくなっている好中球の数が血液1マイクロリットルあたり500個未満、または1000個未満で48時間以内に500個未満まで減ると予測される状態で、体温が37.5度以上になったものを発熱性好中球減少症と呼びます。重症化しやすく長引きやすいため、早急な対応が必要です(出典:国立がん研究センター がん情報サービス「感染しやすい・白血球減少」)。この数値は採血でしか分かりません。家庭で判断できるのは体温だけなので、37.5度という線を目安にします。白血球が少し下がっただけで直ちに該当するわけではなく、逆に自己判断で「まだ大丈夫」と決めないための線引きです。38度以上の発熱が続く、意識がもうろうとしている、尿の量が極端に少ない、普段より血圧が低い。この4つは重篤な感染症の可能性があるため、夜間・休日でも速やかに受診するよう明記されています(出典:国立がん研究センター がん情報サービス「発熱」)。ここで大切なのは、解熱剤で熱を下げてから様子を見るという判断を家庭でしないことです。使ってよいタイミングは治療内容で異なります。治療開始前の1週間の体温も記録し、平熱を知っておいてください。発熱以外で見逃せない症状症状考えられること対応悪寒、体の震え感染症の始まり体を温めつつ、すぐ連絡傷口の赤み、発疹皮膚からの感染写真を撮って連絡水分もとれない吐き気脱水の進行我慢せず速やかに連絡白血球が減っている時期にこれらの症状が出たら、感染症が起こっている可能性があります。治療先にすみやかに連絡し、受診の要否を仰いでください。感染症の人と接触したときも同じです。吐き気止めを使っても水分がとれないときも、我慢せず連絡を。明日の外来まで待つうちに脱水が進み、点滴のために入院になった例を在宅で何度も見ています。判断に迷ったときの原則はひとつ。迷ったら連絡する。医療機関は電話で聞いて「様子を見て大丈夫」と答えることも想定して体制を組んでいます。連絡するときに伝えること・夜間休日の備え伝える項目具体例いつからか今日の15時ごろから熱の経過37.8度が続く、38.5度まで上がった熱以外の症状咳、痰、発疹、吐き気、下痢、腹痛飲んだ薬16時に解熱剤を1回、吐き気止めは朝治療の状況前回の点滴は5日前食事と水分昼から水しか飲めていないこの6項目をメモにして冷蔵庫に貼れば、誰が電話しても同じ情報が伝わります。夜間の連絡先や薬局の番号も同じ場所に。相模原市に伺っているご家庭では、点滴の日から数えたカレンダーを冷蔵庫に貼り、7日目から14日目に色を塗っています。同じ37.5度でも色の付いた日なら迷わず電話する、という約束にしています。保険証と診察券、お薬手帳、記録メモを1つの袋にまとめておくと、受診が決まってから慌てずにすみます。なお訪問看護は医療保険か介護保険のどちらかで使え、費用の相談窓口もあります。在宅での不安が続くときは、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。副作用が出たときに家族ができるサポート抗がん剤の副作用が出たときに家族ができるのは、症状を記録して医療者へ渡すこと、生活の負担を引き受けること、食事や気持ちの面で本人を追い込まないことの3つです。症状を記録して医療者に渡す家族が担うと助かること具体的な動き体調の記録体温・体重・食事量をカレンダーに一言変化の発見つまずきが増えた、声が出にくいなど受診への同行説明を一緒に聞き、メモを取る本人の体調や困りごとを家族がメモしておき、医療者に伝えると役立ちます。副作用のつらさは主観的で、診察室では控えめに答えてしまう方が少なくありません。しびれについても、つまずく回数が増えたことに本人が気づいていなかったり、我慢していたりします。周囲が代わりに伝えてください。記録は「7日 37.4度 昼食は半分 だるさ強い」の一行で十分。受診時は聞きたいことを3つまでに絞って紙に書くと、限られた時間で答えを持ち帰れます。家事・食事・通院の分担場面家族が引き受けやすいこと外部に頼めること食事少量ずつ小分けにして冷凍しておく配食サービス、栄養士への相談掃除・洗濯感染しやすい時期の水回りの清掃家事支援、介護保険サービス通院送迎、待ち時間の付き添い介護タクシー、通院同行洗濯や買い物といった手助けが支えになります。制度を調べる、手続きを行うなど離れていてもできる支援もあり、遠方のきょうだいが調べ役を担う形もあります。食事づくりは手間とお金をかけすぎないこと。凝った料理は、食べてもらえなかったときの落胆が大きくなります。市販品も取り入れてください。白血球が減る時期は調理の衛生にも配慮を。まな板を使い分ける、調理後は2時間を目安に食べるといった基本です。負担の偏りは介護疲れを防ぐ!訪問看護で変わる家族の介護負担、疲弊しないための実践ガイドも参考にしてください。気持ちの支え方|「食べて」が負担になるとき家族の言動本人が受け取りやすい形もっと食べないと治らないよ今日はゼリーなら入りそう?がんばって今日はどのくらいしんどい?良いと聞いた健康食品をすすめる使う前に医師や薬剤師へ確認する治ってほしいという思いからサプリメントをすすめたり、食欲のない本人に食べることを強く促したりすることが、かえって心の負担になる場合があります。最終的には本人の意思や希望を尊重することが大切だと案内されています(出典:国立がん研究センター がん情報サービス「家族が治療を始めてから」)。健康食品やサプリメントは薬ではありません。成分によっては抗がん剤の効きが弱くなったり、逆に強く出て副作用につながったりするため、自己判断で使わず相談してください(出典:日本臨床腫瘍薬学会「『抗がん剤』Q&A」)。町田市で長く伺っているご家族から、「励ますのをやめて天気と近所の話だけにしたら本人の表情が戻った」と聞いたことがあります。病気の話をしない時間をつくることも、立派なサポートです。抗がん剤の曝露を防ぐために家庭で気をつけたいこと(排泄物・洗濯物の扱い)抗がん剤の曝露対策として家庭で必要なのは、投与終了後48時間を目安に、排泄物や体液に触れるとき手袋を使い、付着した衣類を分けて2回洗うことです。投与後48時間の考え方と排泄物の扱い対象目安の期間家庭での扱い尿・便・汚物投与終了後48時間以内触れる場合は手袋を使う嘔吐物投与終了後48時間以内手袋を使い、密閉して捨てる汚れた衣類・タオル投与終了後48時間以内手袋で扱い、他と分けて洗う食器・寝具・入浴制限なしいつもどおりでよい抗がん剤を使用したあとの排泄物や体液には、一定期間、抗がん剤の成分が含まれます。投与が終了したあとも少なくとも48時間以内は、便・尿・汚物、大量の発汗、それらが付着した衣類やタオルに触れる場合に手袋を使用するよう案内されています(出典:日本臨床腫瘍薬学会「『抗がん剤』Q&A」)。手袋は使い捨てのものをトイレの近くに置き、外したら石けんで手を洗います。手袋は家族の身を守るためで、本人を遠ざけるためではありません。言葉にしないと、本人が汚いものとして扱われたと感じることがあります。食器や寝具を分ける必要はなく、同じ湯船に入ってはいけない決まりもありません。制限が必要なのは排泄物や体液に直接触れる場面だけ。範囲を正しく知ることが、過剰な自粛を防ぎます。洗濯物・嘔吐物・トイレまわりの具体策場面具体的な手順汚れた衣類の洗濯他の洗濯物と分けて2回洗う汚れていない衣類48時間以内でも一緒に洗ってよい嘔吐物の処理手袋を着けて拭き取り、密閉して廃棄トイレ使用後は蓋を閉めてから流す排泄物や体液が付着した衣類などは、他の洗濯物と分けて2回洗濯します。一方、48時間以内でも付着していない洗濯物は他の物と一緒に洗って構いません。嘔吐物は手袋を着けて使い捨ての布で拭き取り、袋に入れて口を縛って捨てます。処理後は換気を。トイレは蓋を閉めてから流す、男性も座って排尿する。この2つだけで飛散をかなり減らせます。訪問先では、48時間の間は便座と床を1日1回拭くことをお伝えしています。小さな子どもや妊娠中の家族がいる家庭で家族の状況気をつけること小さな子どもがいる排泄の後始末は大人が行い、手洗いを習慣に妊娠中・授乳中の家族排泄物や汚れた衣類の処理を代わってもらうペットがいるトイレの世話は手袋を使い、終わったら手を洗う感染しやすい時期体調不良の人を避け、人混みではマスク小さなお子さんがいる家庭では、トイレの後始末を大人が担当し、子どもには手洗いを丁寧に教えます。子どもを本人から遠ざける必要はありません。抱っこもふれあいも、いつもどおりで。妊娠中や授乳中の家族がいる場合は、排泄物や汚れた衣類の処理を代わってもらいましょう。誰がどの作業を担当するかは、治療が始まる前に決めておくと迷いません。白血球が減る時期は体調不良の人との接触を避け、混雑した場所ではマスクを。一切外出してはいけないわけではありません。訪問看護師に相談できること|町田市・相模原市での在宅支援の実例抗がん剤の副作用に対する訪問看護では、症状の観察と対処、点滴のポート周囲の管理、家族への手技指導、主治医への橋渡しまでを自宅で受けられます。抗がん剤治療中に訪問看護師が見ていること観察の対象具体的に見ていること全身状態体温・血圧・脈拍、脱水やむくみ感染の兆候口の中、皮膚の傷、咳や痰栄養と水分食べられた量、体重の推移、飲水量家族の疲れ睡眠時間、抱え込んでいる作業訪問看護師は症状だけでなく、その症状が生活のどこで問題になっているかを見ています。しびれのある方なら、台所のやかんの位置や浴室の床の滑りやすさまで確認します。点滴の差し込み口を胸の皮下に埋め込むポート(中心静脈ポート)を使っている方では、その周囲の赤みや腫れも毎回確かめます。口の中を見るのは訪問看護の得意分野。少ししみると言っている段階で粘膜の赤みを見つけ、歯科受診につなげられると、食事がとれなくなる前に手を打てます。家族の疲れも観察対象です。介護する側が倒れると在宅療養は続きません。眠れているかを毎回尋ねるのはそのためです。利用の入口と費用|医療保険と介護保険のどちらか状況使う保険相談先要介護認定がない医療保険主治医、病院の相談窓口要介護・要支援の認定がある原則として介護保険ケアマネジャー末期の悪性腫瘍と診断された医療保険が優先される主治医、訪問看護ステーション費用が心配なとき高額療養費制度などの確認がん相談支援センター、市区町村訪問看護を始めるには主治医の訪問看護指示書が必要です。入口は主治医かケアマネジャーで、どちらからでも同じ手続きにつながります。まず電話で相談するだけでも構いません。費用は、使える制度の説明を含めてがん相談支援センターや市区町村の窓口で相談できます。医療や介護の領収書は医療費控除で使うため、捨てずに保管を。在宅療養全体の進め方は癌末期の安心自宅ケアとは?訪問看護の現場から解説でも扱っています。町田市・相模原市での在宅支援の実例相談の入り口訪問看護で行ったこと熱が出たとき電話していいのか分からない連絡の目安を紙にして冷蔵庫に貼った排泄物の扱いを知らなかった48時間の手順と手袋の置き場所を決めた介護する側が眠れない訪問の曜日を調整し休息時間を確保した町田市・相模原市で訪問看護を提供する中で、抗がん剤治療中のご家庭から最初にいただく相談は、症状そのものより「連絡していいタイミングが分からない」という内容が最も多くなっています。判断の基準がないことが不安の正体です。町田市内で老老介護の世帯に伺うときは、介助する側の体調も同時に確認します。80代の方が同年代の配偶者の排泄介助を担う場面では、手袋を着ける動作そのものが負担になり、置き場所を腰の高さに変えるだけで続けられるようになった例もありました。在宅の支援は小さな段取りの積み重ねです。分からないことを分からないまま夜を越えない、それが訪問看護に頼んでいただく一番の理由です。不安があるときは、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。よくある質問Q1. 抗がん剤の副作用はいつからいつまで続きますか。症状ごとに違います。吐き気や嘔吐は治療後5日から1週間程度でおさまり、脱毛は投与から1〜3週間後に始まって治療終了後3〜6カ月で生えそろうことが多いとされています。手足のしびれは数カ月から1年以上続くことも。白血球が減る時期は投与後7〜14日ごろです。Q2. 抗がん剤治療中、何度の熱が出たら病院に連絡すべきですか。白血球が減る時期に37.5度以上の発熱がみられたら、治療を受けている医療機関へ連絡し、受診の要否を確認してください(出典:国立がん研究センター がん情報サービス「感染しやすい・白血球減少」)。38度以上の発熱が続く、意識がもうろうとする、尿の量が極端に少ない、普段より血圧が低い場合は、重篤な感染症の可能性があるため夜間・休日でも速やかに受診するよう案内されています(出典:国立がん研究センター がん情報サービス「発熱」)。Q3. 抗がん剤治療中に家族が気をつけることは何ですか。体調の記録を残して受診時に渡すこと、家事や通院の負担を引き受けること、食事や励ましで本人を追い込まないことの3つです。加えて、投与後48時間の排泄物や洗濯物の扱いを家族全員で共有してください。Q4. 抗がん剤は家族にうつりますか。排泄物や洗濯物はどう扱いますか。がんが人にうつることはありません。ただし抗がん剤を使用したあとの排泄物や体液には一定期間成分が含まれます。投与終了後少なくとも48時間以内は、便・尿・汚物や大量の発汗、それらが付着した衣類やタオルに触れるとき手袋を使い、汚れた衣類は他と分けて2回洗濯してください。付着していない洗濯物は一緒に洗って構いません(出典:日本臨床腫瘍薬学会「『抗がん剤』Q&A」)。Q5. 抗がん剤治療中、食欲がないときはどうすればいいですか。無理に食べる必要はありません。冷たいもの、のど越しのよいもの、やわらかいものが比較的食べやすく、1日3回にこだわらず食べたいときに少量ずつとる方法もあります。体重を定期的に量り、食べられない日が続くときは医師や看護師へ相談してください。Q6. 抗がん剤の副作用がつらいとき、家でできる対処法はありますか。症状ごとに手立てがあります。吐き気はにおいを断って冷たいものを少量ずつ、口内炎は柔らかい歯ブラシと生理食塩水でのうがい、しびれは温めることとやけど・転倒の予防、倦怠感は調子のよい時間帯に用事を寄せること。効果が乏しければ次の外来を待たずに連絡してください。Q7. 抗がん剤治療中、家族はどんなサポートをすればいいですか。体調の記録、受診への同行とメモ、食事の小分け準備、感染しやすい時期の掃除や買い物の代行が中心です。離れて暮らしていても、制度を調べる、電話で話を聞くといった支援ができます。ひとりで抱えず、訪問看護や介護保険サービスも組み合わせてください。Q8. 抗がん剤治療中、外出や人混みは避けた方がいいですか。白血球が減っている時期は、混雑した場所を避けたほうがよく、やむを得ず行くときはマスクを着けます。ただし、白血球が少ないからといって一切外出してはいけない、人と会ってはいけないというわけではないと明記されています。気分転換の外出に心配があるときは、担当医や看護師に相談してください(出典:国立がん研究センター がん情報サービス「感染しやすい・白血球減少」)。まとめ抗がん剤の副作用は、出る場所も時期もある程度予測できます。投与後7日から14日は感染しやすい時期、2週目からは脱毛としびれ。この見取り図を家族が共有するだけで自宅での過ごし方は落ち着きます。連絡の目安は37.5度以上で医療機関へ相談、38度以上が続く・意識がもうろうとする・尿が極端に少ない・普段より血圧が低いときは夜間休日でも受診です。家族の役割は治すことではなく、記録を残し、生活の負担を引き受け、本人を追い込まないこと。投与後48時間は手袋と分け洗いという曝露対策も共有しておいてください。迷う夜を一人で越えないために、訪問看護という選択肢があります。ピース訪問看護ステーションにご相談くださいこんな方はぜひご相談ください:外来で抗がん剤治療を受けていて、自宅で熱が出たときの判断に迷う方食事がとれない、しびれで転びそうなど、副作用への対応に困っているご家族排泄物や洗濯物の扱いを含め、家庭での注意点を確認しておきたい方ピース訪問看護ステーションができること:副作用の観察と対処、口腔ケアや皮膚の管理、連絡の目安づくり体調記録の整え方を一緒に決め、主治医や病院の看護師へ橋渡しすることケアマネジャーや薬局と連携し、介護負担が偏らないよう体制を調整すること東京都町田市・多摩市、神奈川県相模原市・大和市・川崎市麻生区を中心に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。関連記事在宅でがんの痛みを和らげる医療用麻薬への不安とレスキュー薬の使い方癌末期の安心自宅ケアとは?訪問看護の現場から解説高齢者の食欲不振に潜むリスクとその対策法介護疲れを防ぐ!訪問看護で変わる家族の介護負担、疲弊しないための実践ガイド高齢者の口腔ケアと誤嚥性肺炎の予防|在宅でできる手順と注意点参考文献一覧出典:国立がん研究センター がん情報サービス「薬物療法 もっと詳しく」https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/drug_therapy/dt02.html出典:国立がん研究センター がん情報サービス「発熱」https://ganjoho.jp/public/support/condition/fever/index.html出典:国立がん研究センター がん情報サービス「感染しやすい・白血球減少」https://ganjoho.jp/public/support/condition/FN/index.html出典:国立がん研究センター がん情報サービス「脱毛」https://ganjoho.jp/public/support/condition/alopecia/index.html出典:国立がん研究センター がん情報サービス「吐き気・嘔吐」https://ganjoho.jp/public/support/condition/nausea/index.html出典:国立がん研究センター がん情報サービス「食欲がない・食欲不振」https://ganjoho.jp/public/support/condition/anorexia/index.html出典:国立がん研究センター がん情報サービス「口内炎・口内の乾燥」https://ganjoho.jp/public/support/condition/stomatitis/index.html出典:国立がん研究センター がん情報サービス「しびれ」https://ganjoho.jp/public/support/condition/peripheral_neuropathy/index.html出典:国立がん研究センター がん情報サービス「倦怠感(だるさ)」https://ganjoho.jp/public/support/condition/fatigue/index.html出典:国立がん研究センター がん情報サービス「家族が治療を始めてから」https://ganjoho.jp/public/support/family/fam/fam03.html出典:日本臨床腫瘍薬学会「『抗がん剤』Q&A」https://jaspo-oncology.org/public-faq出典:日本緩和医療学会「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版」(日本医療機能評価機構 ガイドラインライブラリ掲載)https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00584/【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理、地域医療連携、在宅看取り支援に積極的に取り組んでいる。island-piece.jp 株式会社isLand|訪問看護・居宅介護支援・訪問介護|町田市