高齢化社会が進行する中、親の一人暮らしや老々介護の増加により「高齢者の見守り」は家庭内の大きな課題となっています。特に、認知症の進行や転倒のリスクが高い高齢者にとって、常時見守りが可能な見守りカメラは、安心して在宅生活を送るための重要なツールです。本記事では、見守りカメラの仕組み、導入によるメリット、選定時のチェックポイントなどを詳しく解説します。1. 見守りカメラとは?基本的な仕組みと用途見守りカメラとは、遠隔地から高齢者の様子を確認できるカメラのことです。Wi-FiやSIMカードを介してスマートフォンと連携し、リアルタイムで映像を確認したり、録画したデータを後からチェックしたりすることが可能です。見守りカメラの主な種類種類特徴主な利用者層Wi-Fi対応型インターネット接続で映像送信が可能自宅にネット環境がある家庭SIMカード内蔵型ネット環境がない場所でも使える高齢者単身世帯、地方居住者録画専用型長時間録画が可能、映像保存重視転倒・徘徊リスクの高い人主な用途日常生活の様子を確認(食事・睡眠・排泄など)長時間動きがない場合の異常検知転倒や発作などの緊急事態の早期把握徘徊など認知症に伴う行動の見守り2. 見守りカメラのメリットとは?見守りカメラの最大の利点は「安心感の可視化」です。離れて暮らす家族がいつでも様子を確認できることは、高齢者本人にも介護者にも大きな安心をもたらします。介護者の精神的負担の軽減:電話や訪問では得られない情報が常時映像で得られ、頻繁な確認の必要が減ります。認知症高齢者への対応:夜間の徘徊や服薬忘れなどの行動を確認できるため、適切なタイミングで支援が可能になります。リスク対応の迅速化:転倒や体調不良などの異変があった場合、通知機能により即座に家族へ知らせることができます。訪問看護との連携:訪問看護では「緊急訪問看護加算」を算定している利用者に限り、家族が見守りカメラで異常を確認し、看護師に連絡を入れることで、看護師の緊急訪問対応が可能になります。これはカメラを活用した在宅支援の一つの手段として有効です。3. カメラ選びで失敗しないための5つのチェックポイントカメラは価格だけで選ぶのではなく、使用目的や環境に合った機能を備えているかが重要です。チェックポイント解説通信方式の選択Wi-Fi環境があればネット接続型、無い場合はSIMカード対応型を選びましょう。双方向通話機能声かけや応答ができることで、孤独感や認知症による混乱の軽減につながります。録画・保存機能映像を録画して後から確認することで、見落としや誤解を防げます。異常検知機能一定時間動きがないと通知される機能は、転倒・体調不良時の早期対応に有効です。設置・操作の簡易性高齢者宅に設置するため、簡単な設置・操作が可能な機種を選びましょう。4. 見守りカメラ導入時の注意点と課題見守りカメラは便利な反面、導入にあたって配慮すべき点があります。プライバシー尊重:映像を常時撮影することに対して、本人の同意が必要です。設置前にしっかり話し合いを行いましょう。カメラの設置位置:トイレや浴室は避け、リビング・寝室・玄関付近など生活の中心になる場所に設置を。通信障害や電源切れ:非常時に備え、バッテリー内蔵型や電源自動復旧機能付きの機種が安心です。5. 法的・倫理的に気をつけるべきポイント見守りカメラは、監視ではなく「見守り」のためのツールであることを忘れてはいけません。導入時には以下の点に留意が必要です。同意の原則:本人の理解と同意なしに設置するのはトラブルのもとです。映像の取り扱い:映像データは家族や医療職など、限られた関係者のみで管理するようにしましょう。プライバシーマーク取得事業者の利用:サービス提供業者が情報管理に関して信頼できるかどうかも選定基準に。まとめ高齢者の見守りカメラは、在宅介護・医療の支援ツールとして大きな可能性を持っています。転倒や認知症といった医療的リスクを抱える高齢者にとって、見守りカメラは安全な生活環境を維持する上で有効な選択肢となります。カメラ導入には、適切な製品選定、本人の理解、プライバシーへの配慮が重要です。また、訪問看護と連携する際は、緊急訪問看護加算を取得しているケースであることを確認し、必要時の対応体制を整えておくことが求められます。関連記事認知症の種類と特徴を徹底解説!違いがわかる一覧表&訪問看護の活用方法 高齢者がキレるのはなぜ?感情の変化から考える病気の可能性高齢者の足のむくみは病気のサイン?訪問看護で行う観察・ケア・予防と家族支援ピース訪問看護ステーションのご案内自宅での療養や介護に、不安やお悩みはありませんか?ピース訪問看護ステーションでは、東京都町田市を中心に、医療依存度の高い方や在宅でのリハビリを希望される方への支援を幅広く行っています。24時間緊急対応が可能な体制を整えており、看護師・リハビリ職(PT・OT・ST)・ケアマネジャーが在籍。医療と介護の両面から、ご本人とご家族を多職種で支え、安心して在宅生活を続けられるようサポートしています。退院支援を担う医療機関の皆さま、地域のケアマネジャーの皆さま、訪問看護をご検討中のご本人・ご家族も、どうぞお気軽にご相談ください。新規のご依頼・ご質問は、お電話またはお問い合わせフォームより承っております。📞 鶴川本部 直通TEL:042-860-4404(平日9:00〜18:00)▶ お問い合わせフォームはこちら▶ 訪問看護・訪問リハビリのサービス詳細はこちら本記事の執筆者・監修者プロフィール【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。