高齢社会を迎えた現在、在宅での療養や生活支援を選ぶ高齢者が増える中で、訪問看護や介護サービスを上手に活用するためには、要支援1〜2、要介護1〜5といった区分の意味や基準を正しく理解することが欠かせません。これらの区分は、介護保険のサービス利用に直結し、受けられる支援の内容や量、費用の支給限度額までも左右します。この記事では、認定区分ごとの具体的な状態像やサービス内容の違い、申請から認定までの流れ、さらに現場でよくある実情や工夫も交えて、わかりやすくご紹介します。1. 要支援と要介護の違い要介護認定には、大きく「要支援」と「要介護」の2種類があります。違いを一言でいえば、「生活支援中心か、身体介助中心か」です。要支援は、自立を促すための軽度なサポートを目的とし、介護予防の意味合いが強い区分です。要介護は、身体的・認知的な問題により、日常生活を送る上で継続的な介助が必要な状態を指します。厚生労働省が定める「要介護認定等基準時間」に基づき、全国一律で区分が判定され、必要なサービスの範囲が決まります。2. 要支援1〜2・要介護1〜5それぞれの目安要介護認定は、心身の状態に応じて7段階(要支援2つ・要介護5つ)に区分されます。それぞれの区分の目安を以下の表にまとめました。区分主な状態の目安必要な支援・介護内容要支援1基本的な日常生活は自立しているが、一部に不安あり買い物、掃除、服薬管理などの一部支援要支援2身体機能の低下が進行、歩行や家事などに軽度の支障あり軽度の身体介助や日常生活の支援が必要要介護1立ち上がりや歩行などに一部介助が必要部分的な身体介助や見守りが必要要介護2一部の動作が困難で、日常生活全般に介助が必要入浴・排泄・移動などに一部介助が必要要介護3自力での動作がかなり困難になり、常時介助が必要食事・排泄・移動などに全面的な介助が必要要介護4ほぼ寝たきり状態で、自力での移動や意思表示が困難全面的な介助が必要要介護5完全に寝たきりで、意思疎通にも支障がある状態24時間体制の全面的な介護が必要要支援は「できるだけ自立を保つ」ことが目的で、主に生活支援中心のサービスを利用します。一方、要介護は身体機能や認知機能の低下に対応するため、入浴・排泄・食事などに対して直接的な身体介助が中心となります。3. 認定手続きと流れ介護保険のサービスを受けるには、要介護認定の申請が必要です。申請から認定までは以下のステップで進みます。申請:市区町村の介護保険課に申請します。本人または家族、ケアマネージャーなどが代行可能です。訪問調査:市区町村の調査員が自宅等を訪問し、日常生活の状況を聞き取り・観察します(74項目)。主治医意見書の提出:かかりつけ医が本人の病状や認知症の有無などを記載します。一次判定:コンピュータによるスコア計算(認定基準時間)が実施されます。二次判定:介護認定審査会(医師・保健師・介護福祉士など)による総合判断が行われます。結果通知:通常30日以内に通知が届きます。有効期間は原則6カ月で、以後は12〜24カ月ごとの更新が必要です。4. 利用できるサービスと支給限度額認定された区分ごとに、介護保険で利用できる月ごとの上限額(支給限度基準額)が決まっています。超過分は全額自己負担となります。区分月額の支給限度額(目安)要支援1約50,320円要支援2約105,310円要介護1約167,650円要介護2約197,050円要介護3約270,480円要介護4約309,380円要介護5約362,170円この範囲内で、訪問看護、訪問介護(ヘルパー)、デイサービス、福祉用具の貸与・購入などのサービスを組み合わせて利用できます。5. 現場からみた“あるある”と工夫訪問看護や介護の現場では、認定区分と実際の支援ニーズに差が出ることもあります。要支援2の方でも転倒リスクや孤独感の問題を抱えているケースが多く、予防的な運動や見守り支援が効果的です。要介護1でも認知症がある場合、夜間の徘徊や服薬ミスなど、見守りと家族の負担が増える傾向にあります。要介護3以上になると、24時間体制での支援が求められるため、訪問看護と訪問介護を組み合わせた対応や、ショートステイの活用が必要になることもあります。6. よくある質問(Q&A)Q1:要支援2と要介護1の違いは?→ 一見似ていても、認知機能や日常動作の安定性などで区分が分かれます。主治医の意見も大きく影響します。Q2:認定結果に納得できない場合は?→ 通知を受けてから60日以内に、市町村の介護保険担当課へ「不服申し立て」が可能です。再調査・再審査が行われることもあります。Q3:認定区分は変えられる?→ 身体の状態に変化があった場合は、期間中でも再申請により変更が可能です。ケアマネージャーに相談しましょう。まとめ要支援・要介護の区分は、在宅介護や訪問看護の計画を立てる上で極めて重要な指標です。それぞれの区分に対応した適切なサービスを選択することで、本人の生活の質(QOL)を維持し、家族の負担も軽減できます。制度や区分に迷ったときは、地域包括支援センターやケアマネージャーに相談して、最適なサービスの組み立てをサポートしてもらいましょう。関連記事訪問看護の始め方 申し込み方法と利用条件をわかりやすく解説【今すぐわかる!】介護保険で使えるサービスまとめ訪問看護ってなに?費用やリハビリ内容をやさしく解説【どちらに相談?】地域包括支援センターと居宅介護支援事業所の違いをわかりやすく解説町田市で訪問看護や介護サービスについて知りたい方は、ピース訪問看護ステーションの公式サイトもあわせてご覧ください。▶ https://island-piece.jp/service/houmonkango