2025年夏、新型コロナウイルスの新しい変異株「ニンバス(NB.1.8.1)」が全国的に広がりつつあります。のどの痛みや発熱などの症状を訴える人が増えていますが、今のところ従来の株より重症化しやすいという証拠はありません。本記事では「ニンバス」の特徴や症状、感染が広がる背景、予防のためにできること、在宅療養を支える訪問看護について、専門機関の情報をもとにわかりやすく解説します。※本記事は2025年8月18日に最新情報を更新しました。WHO・厚生労働省の発表や国内の感染状況を反映し、今後も随時追記していきます。1. 新型コロナ変異株「ニンバス」とは「ニンバス(Nimbus)」は、正式にはNB.1.8.1と呼ばれるオミクロン系統の一つです。世界保健機関(WHO)は2025年5月23日、NB.1.8.1を**監視中の変異株(VUM)**に指定しました。世界各地で増えているものの、追加的なリスクは低いとされています。日本でも東京や沖縄を中心に報告が増えており、全国的な感染拡大の一因となっています。「ニンバス」という呼び方「ニンバス」という名前はメディアなどで広く使われています。研究や医療の場では「NB.1.8.1」という系統名で呼ばれます。出典WHO『TAG-VE Risk Evaluation: NB.1.8.1(2025/5/23)』厚生労働省『新型コロナウイルス感染症の発生状況(週報)』2. 「ニンバス」の主な症状と特徴「ニンバス」でも、のどの痛み・咳・発熱・体のだるさなど、これまでのオミクロン株と同じように上気道の症状が中心です。「のどが特に痛い」という声が目立ちますが、重症化しやすいという証拠は確認されていません。症状は人によって異なり、体質やワクチン接種歴なども影響します。主な症状のどの痛み(飲み込み時に悪化することも)発熱(軽い熱から中程度が多い)咳や痰(乾いた咳が長引くことも)強いだるさや関節の痛み味やにおいを感じにくい症状は少なめ症状ニンバス(NB.1.8.1)これまでのオミクロンのどの痛み多い多い発熱軽〜中程度中程度咳中程度中〜強い味覚障害少なめやや多い倦怠感中程度中程度出典WHO『TAG-VE Risk Evaluation: NB.1.8.1(2025/5/23)』日本医師会『新型コロナウイルス感染症』3. 感染状況の現状と拡大要因2025年夏、日本での報告数は増加を続けています。第30週(7/21〜7/27):全国 4.12、東京都 3.44、沖縄県 14.13第31週(7/28〜8/3):全国 5.53第32週(8/4〜8/10):全国 6.13拡大の背景には以下のような要因があります。夏の旅行やイベントなどによる人の移動増加マスクや換気などの対策の緩み予防接種や過去の感染から時間が経ち、免疫が下がっていること出典厚生労働省『新型コロナウイルス感染症(第30週:2025/8/1公表)』厚生労働省『新型コロナウイルス感染症(第32週:2025/8/15公表)』日本医師会『新型コロナウイルス感染症』4. 従来株との違い現時点での研究によると、NB.1.8.1には以下の特徴があります。広がりやすさ:他の系統より割合が増えやすい傾向免疫の回避:過去の株よりも免疫をすり抜けやすい可能性がある重症度:これまでの株と比べて重症化のしやすさは変わらないワクチン効果:今のワクチンは重症化を防ぐ効果を維持している指標ニンバス(NB.1.8.1)コメント広がりやすさやや高い流行中の他株より増加傾向免疫のすり抜けやや強い中和抗体が少し効きにくい重症度変わらない大きな違いは確認されず治療薬影響なし既存の薬は有効とされる出典WHO『TAG-VE Risk Evaluation: NB.1.8.1(2025/5/23)』5. 感染者増加を加速させる要因「ニンバス」特有の危険性よりも、人の動きや季節の要因が大きな理由とされています。高齢者施設や学校、職場などではクラスターが起きやすいため、換気・手洗い・咳エチケットの徹底が大切です。出典厚生労働省『新型コロナウイルス感染症について』日本医師会『新型コロナウイルス感染症』6. 予防策と生活上の注意点基本の感染対策換気(窓を開ける・換気設備を使う)手洗い・咳エチケット場面に応じたマスク(混雑や医療機関など)体調不良時の外出を控える・検査の活用睡眠・栄養・水分補給で体調を整えるのどの痛みへの対処法こまめに水分をとる、加湿を心がけるアルコールや辛い食べ物を控える必要に応じて市販ののど飴や鎮痛薬を使う飲み込みにくさ・強い息苦しさ・強いだるさがあるときは医療機関へ受診の目安状況対応高熱(38.5℃以上)が続く医療機関に相談水分がとれない脱水のおそれ。早めに受診息苦しさや胸の痛みすぐに受診強い倦怠感が長引く医療機関の受診を検討出典日本医師会『新型コロナウイルス感染症』厚生労働省『新型コロナウイルス感染症について』7. 訪問看護の活用自宅療養の際には訪問看護を利用することで、体調チェックや薬の管理、水分・栄養のサポートを自宅で受けることができます。特に高齢者や基礎疾患のある方、妊娠中の方は、体調の変化に早く気づくためにも訪問看護が役立ちます。家族への感染対策のアドバイスも受けられるため、安心して療養を続けやすくなります。出典日本医師会『新型コロナウイルス感染症』厚生労働省『新型コロナウイルス感染症について』8. 今後の見通しと注意喚起NB.1.8.1は世界的に増えている株であり、日本でもしばらく流行が続く可能性があります。ただし、現時点では重症化リスクが高まったという報告はなく、基本的な感染対策とワクチン接種による予防が重要です。流行状況は変化するため、厚生労働省やWHOなど公的機関からの最新情報をこまめに確認することが推奨されます。今後も季節性の流行と重なり、インフルエンザなど他の呼吸器感染症と同時に広がることが懸念されています。そのため、引き続き体調管理と早めの受診判断が求められます。出典WHO:TAG-VE Risk Evaluation: NB.1.8.1(2025/5/23)厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について9. 新型コロナ変異株『ニンバス(NB.1.8.1)』の最新情報2025年8月18日の最新情報2025年8月18日時点で、WHOおよび厚生労働省から「ニンバス(NB.1.8.1)」に関する新たな公式発表は確認されていません。2025年8月19日の最新情報2025年8月19日時点で、WHOおよび厚生労働省から「ニンバス(NB.1.8.1)」に関する新たな公式発表は確認されていません。本記事では「ニンバス(NB.1.8.1)」に関する最新情報を、今後も随時更新していきます。まとめ新型コロナの変異株「ニンバス(NB.1.8.1)」は、のどの痛みなど上気道の症状が中心で、国内では報告数が増加しています。ただし、重症化しやすいという証拠はありません。換気・手洗い・マスクなどの基本的な対策や、体調に応じた受診、必要に応じた訪問看護の利用を組み合わせて、安心して夏を過ごしましょう。関連記事コロナと酸素濃度の関係性とは?自宅療養で知っておくべきポイント経口補水液の正しい作り方と飲み方、脱水症・熱中症を防ぐ家庭の知恵介護保険で受けられるリハビリのすべて、種類・内容・利用の流れを解説本記事の執筆者・監修者プロフィール【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。