「これは、もう近いということでしょうか」。町田市のご自宅に伺うと、玄関先で小さな声でこう聞かれることがあります。食事が減った、眠っている時間が長くなった。目の前の変化が何を意味するのか、確かめる相手が家の中にはいません。自宅での看取りが病院と違うのは、24時間そばにいるのが家族だという一点に尽きます。ナースコールを押せば誰かが来る環境ではないぶん、ご家族は「今どの段階にいるのか」を自分の目で読み取ることになります。ただ、最期が近いサインは行き当たりばったりに現れるわけではありません。数週間前、数日前、当日と、時期ごとに現れる順番がおおよそ決まっています。順番を知って変化に名前が付けば、慌てる時間は短くなります。令和6年(2024年)の日本の死亡数は1,605,378人でした(出典:厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」)。自宅で最期の時間を過ごす選択も、特別なことではなくなりました。東京都町田市・神奈川県相模原市で在宅に伺う訪問看護の視点から、看取り期の体の変化を時期別に整理します。この記事でわかること最期が近いサインが数週間前・数日前・当日でどう変わっていくか食欲低下・傾眠・呼吸の変化が、それぞれ体の中で何を意味しているか死前喘鳴や下顎呼吸が現れたときに、家族の手でできることお迎え現象など、説明のつかない出来事にどう向き合うか夜間の連絡先の決め方と、息を引き取った後にまずすること読む時間がない方へ。今日ひとつだけ決めるなら、夜中に何かあったときに最初に電話する番号を紙に書いて電話機のそばへ貼ってください。サインを見分ける知識より、迷わず連絡できる状態のほうが先に効きます。自宅での看取りで「最期が近い」とわかるサインとは自宅での看取りで最期が近いサインは、食べる力・眠りと意識・呼吸と循環という3つの系統に集約され、数週間前から当日にかけて段階を追って現れます。死が近い人に見られる兆候は3つの系統に分けられる系統家族が気づく変化体の中で起きていること食べる力食事量が減る、水も一口ずつになる消化・吸収にエネルギーを回さなくなる眠り・意識起きている時間が短い、反応が鈍い脳へ届く血液と酸素の量が減る呼吸・循環呼吸のリズムが乱れる、手足が冷たい心臓が全身へ血液を送る力が落ちるばらばらに見える変化も、この枠で眺めるとひとつながりの流れになります。体が使うエネルギーの配分を変えているのです。食事が入らなくなるのは胃腸だけの問題ではありません。全身の代謝が落ち、食べ物を処理する作業そのものが負担になっています。眠る時間が延びるのも同じ理屈。起きて話すのは想像以上に消耗する作業で、体はそこを削り、心臓と呼吸へ配分を寄せています。ご家族が「衰えていくのを黙って見ている」と感じるのはこの段階です。実際には、体が最後まで優先順位をつけて働いています。「最期が近いサイン」は時期によって現れ方が変わる時期の目安代表的なサインご家族の動き方数週間前食欲低下、日中の傾眠、動ける範囲が狭くなる訪問回数の相談、連絡先の整理数日前呼吸のリズムの乱れ、意識の混濁、手足の冷感会いたい人へ連絡、夜間の体制確認当日下顎呼吸、のどが鳴る音、脈が触れにくいそばで過ごす、慌てて動かさないこの「時期の目安」は大まかな順番です。がん、心不全、老衰、神経難病で進み方が違い、同じ病気でも数週間が数日に縮みます。見るべきは日付ではなく、前の段階のサインが出そろっているかどうか。食欲が落ちただけの段階と、そこに呼吸の乱れが重なった段階では意味がまったく違います。順番が前後することもあります。心不全の方は呼吸の変化が早く、老衰の方は食べられなくなってから穏やかな時間が長く続きます。だからこそ、迷ったときに聞ける相手を決めておくことが要。訪問看護師はそのために伺っています。病院との違いは、変化に最初に気づくのが家族だということ場面病院自宅変化に気づく人看護師(定時の観察)家族(24時間そばにいる)判断する人その場の医師・看護師電話でつながる主治医・訪問看護師夜間の対応当直がすぐ来る24時間対応の連絡先へ電話家族の役割面会・見守り観察・記録・連絡・ケアの一部自宅で家族が担う役割は、病院より明らかに広くなります。それを負担と受け取るか、そばにいられる時間と受け取るかは、事前の説明の量で変わります。不安の正体は、多くの場合「知らないこと」そのものです。呼吸がゴロゴロ鳴りはじめたとき、それが何なのか知らなければ窒息すると感じます。知っていれば、顔の向きを変えてそばに座っていられます。訪問看護が先回りして伝えるのはそのためです。在宅での看取り全体の流れは看取り期でも自宅で過ごせる?町田市の訪問看護ができることでも整理しています。数週間前に見られる変化|食欲・活動量・眠る時間の変化看取りの数週間前には、食欲の低下・活動量の減少・眠る時間の増加という3つの変化がゆるやかに進み、ご家族が最初に「何かが違う」と感じる時期にあたります。食欲が落ちる|弱ったから食べられなくなる食事の様子週単位での変化家族の対応好きな物なら食べる主食が減り、おかずを選ぶ量より本人の食べたい物を優先数口で箸が止まる一食が小皿一枚ほどになる回数を分け、時間を決めない水分だけになるゼリーやアイスを少量口の中を潤すケアへ切り替える飲み込みにくそうむせが増える姿勢を起こし、無理に勧めないご家族が最も苦しむのが「食べさせられなかった」という後悔です。栄養を摂れば持ち直すのではないか。訪問先でよく聞く言葉です。順番が逆だとお伝えしています。弱ったから食べられなくなるのであって、食べないから弱っていくのではありません。この時期に無理な栄養補給を続けると、むくみや痰の増加につながることもあります。点滴や胃ろうの判断に迷ったときは終末期に食べられない時、点滴や胃ろうの判断と自然な経過も参考にしてください。食べる量が減っても、味わう楽しみは消えません。量ではなく「口にできた」という事実を数えてください。眠っている時間が長くなる|1日の大半を横になって過ごす覚醒の様子目安そばにいる人の関わり方日中にうとうとする会話の途中で目を閉じる短い声かけを何度かに分ける半日以上眠っている食事とトイレで起きる程度起こさず、起きた時間に用事を寄せる呼びかけて薄く目を開ける返事は単語かうなずき手を握り、名前を呼んで話しかけるほとんど目を開けない反応は表情やまばたき聞こえている前提で話す眠る時間が延びると、家族は「話せる時間がなくなる」ことに焦ります。伝えたいことがあったのに言えなかった。そう振り返る方は多いのです。ですから、伝えたい言葉は早い時期に渡してください。会話が成り立つあいだに一度伝えておくと、あとの時間の重さが変わります。眠りが深くなること自体は苦痛のサインではありません。痛みや息苦しさが強いときは、そわそわと落ち着かない、うめき声が出るといった別の様子が現れます。夜と昼が逆転することもあります。夜中に起きて話しかけてくるなら、交代で休む段取りを。動ける範囲が狭くなる|トイレ・入浴・起き上がりが難しくなる動作変化のサイン在宅での工夫歩行ふらつく、途中で座り込む手すりの位置を見直す、付き添うトイレ間に合わない、疲れるポータブルトイレ、尿器を近くへ入浴湯船をいやがる訪問入浴、清拭と部分浴に切り替え起き上がり自力で寝返れない介護ベッド、体位変換の頻度を上げる活動の範囲が縮むにつれ、必要な道具は変わります。介護保険の福祉用具貸与や訪問入浴を組み合わせるため、ケアマネジャーへ早めに連絡してください(出典:厚生労働省「介護・高齢者福祉」)。道具の手配には数日かかります。町田市内のご家庭で、金曜の夕方に「そろそろ介護ベッドを」と相談を受け、搬入が翌週の火曜になったことがありました。その三日間、ご家族は布団の脇に膝をついて、二人がかりで上半身を起こしていました。腰を痛めてから慌てるより、歩き方がふらついた時点で相談を。自力で寝返れなくなったら床ずれに注意します。ただし最期が近い時期は無理な体位変換が苦痛になることもあり、頻度は訪問看護師と決めます。入浴をいやがるのはわがままではありません。蒸しタオルで顔と手足を拭くだけでも表情は変わります。数日前に見られる変化|呼吸・意識・体温・皮膚の変化看取りの数日前には、呼吸のリズムの乱れ・意識の混濁・手足の冷感と皮膚の色の変化が現れ、当日が近づいていることを示す段階に入ります。呼吸のリズムが乱れる|浅い呼吸と休止をくり返す呼吸の様子見え方家族ができること数が増える浅く速い呼吸が続く上半身を少し起こす、空気を入れ替えるリズムが波打つ浅い呼吸が深くなり、また浅くなって止まる時計を見ず、そばで様子を見る肩や胸が大きく動く息を吸うのに力を使っている締めつける衣類をゆるめる口を開けたまま口の中が乾く綿棒やスポンジで口を湿らせる浅い呼吸が次第に大きくなり、また小さくなって、しばらく止まる。これをくり返す呼吸をチェーンストークス呼吸と呼び、止まっている間、ご家族は息をのんで見守ります。ここで多くの方が救急車を呼ぼうとします。ただ、この呼吸は看取り期の自然な経過のひとつ。慌てて動かすより、まず訪問看護ステーションか主治医へ電話してください。息苦しさへの対応には指針があります。日本緩和医療学会が2023年に発行した「進行性疾患患者の呼吸困難の緩和に関する診療ガイドライン2023年版」は、がんだけでなくCOPDや心不全など非がんの進行性疾患も対象にしています(出典:日本緩和医療学会「進行性疾患患者の呼吸困難の緩和に関する診療ガイドライン 2023年版」)。苦しそうかどうかは呼吸の音や回数だけでは判断できません。眉間にしわが寄る、体をよじる、落ち着かず手が動く。こうした様子があれば我慢させずに連絡を。意識がもうろうとする|つじつまの合わない発言と、お迎え現象様子具体例対応時間や場所の混乱季節や居場所を取り違える訂正せず、話に合わせる見えないものが見える「そこに人がいる」と言う否定も肯定もせず受け止める亡くなった人の話をする「迎えに来た」と語る誰が来たのか穏やかに聞く落ち着かず動こうとする起き上がろうとする転落を防ぎ、そばに座る亡くなった家族や親しい人が見える、迎えに来たと語る。ご家族が最も驚く出来事で、一般に「お迎え現象」と呼ばれています。医学的にひとつの原因で説明できるものではなく、終末期のせん妄や幻覚と重なることもあります。現場で大切にしているのは、否定しないこと。「そんな人いないよ」と返すと本人は混乱し、話すことをやめてしまいます。「どんな人だった?」と聞き返すと表情がやわらぎます。一方で、強い不安を伴って落ち着かない場合は、痛みや薬の影響、脱水が背景にあることも。眠れないほどそわそわするときは、様子を記録して主治医へ伝えてください。意識がはっきりしない時間が増えても、聞こえている前提で話しかけてください。名前を呼ばれたときに表情がわずかに動く場面には何度も立ち会ってきました。手足が冷たくなり、皮膚の色が変わる|チアノーゼと網状の斑点部位見られる変化意味すること手足の先冷たくなる、青白い末梢まで血液を送れなくなっている唇・爪紫がかった色になる血液中の酸素が減っている(チアノーゼ)膝・すね紫色の網目状の斑点皮膚表面の血流が滞っている全身の皮膚白っぽく、しっとりする血圧が下がってきている膝から下に紫色の網目模様が広がると、循環の変化が進んでいるサインです。湯たんぽで温めたくなりますが、感覚が鈍っている状態では低温やけどの危険があります。温めるなら、毛布を重ねる、握った手のひらで包む。触れられていること自体が本人の安心につながります。体温は上がることも下がることもあり、この揺れも自然な経過です。血圧が下がると脈は速く、弱くなります。数値を追うより、皮膚の色と手足の温度のほうが在宅では実用的な手がかりです。尿が減り、飲み込みが難しくなる変化具体的な様子家庭でのケア尿量の減少おむつが重くならない記録して訪問時に伝える尿の濃縮色が濃く、においが強い無理な飲水は控える嚥下の低下水が口にたまる、むせる口を湿らせるケアに切り替える口の乾燥唇が割れる、舌が乾くスポンジブラシとリップで保湿尿がほとんど出なくなるのは、腎臓へ流れる血液が減っているためです。この段階で水分を無理に入れると、行き場のない水が肺や手足にたまります。口から飲めなくなったあとのケアの中心は、水分量ではなく口の中の快適さに移ります。スポンジブラシで湿らせ、唇に保湿剤を塗る。家族の手でできて、本人にはっきり伝わるケアです。「何もしてあげられない」と感じる時期に、手を動かせる場所があることには意味があります。飲み込みが難しくなっても、味を感じる力は残っています。好きだった飲み物をスポンジに含ませて唇に当てると、口が動きます。当日(最期の瞬間が近づいたとき)に見られる変化最期の数時間から当日にかけては、下顎呼吸・死前喘鳴・脈が触れにくくなるという変化が現れ、そばで静かに過ごす時間へ移ります。下顎呼吸|顎を動かす呼吸が始まったとき呼吸の形見え方そばにいる人の対応下顎呼吸顎を上下させて息を吸う体を揺すらず、そばに座る呼吸の間隔が延びる止まっている時間が長くなる時間を測らず、手を握る肩で息をする首や肩が大きく動く上半身を少し高くする呼吸が浅くなる胸の動きが小さい部屋を静かにし、声をかける顎を上下に動かして息を吸う呼吸を下顎呼吸と呼び、亡くなる数時間前に現れることが多い変化です。これが始まると、ご家族の緊張は一気に高まります。苦しんでいるように見えるかもしれません。ただ、この時期には意識がすでに深く落ちていることが多く、本人が苦痛を感じているとは限らないと説明されています。表情や体の動きに苦悶がなければ、呼吸の形だけで苦しさを判断しないでください。このタイミングで会わせたい人に連絡します。到着までの時間を無理に埋めなくて構いません。手を握って名前を呼ぶ。それで十分です。死前喘鳴|のどが鳴る音への対応状況見え方・聞こえ方家庭でできることのどが鳴るゴロゴロ、ゼロゼロという音顔を横に向け、体位を変える口の中に唾液がたまる飲み込めずに残るガーゼやスポンジで拭き取る音が大きくなる部屋に響くように聞こえる訪問看護師・主治医へ連絡家族が眠れない音が気になり付き添えない交代を組み、短時間でも休むのどや気道にたまった分泌物が呼吸のたびに震えて鳴る音を、死前喘鳴といいます。窒息しかけているように聞こえるため、ご家族にとって最もつらい音のひとつ。けれども、音の大きさと苦しさは比例しないとされています。吸引器で無理に吸うと、かえって刺激になって分泌が増えることもあります。家庭でできる第一の対応は、顔を横に向けて分泌物が流れやすい姿勢にすること。口の中に見えている唾液は、ガーゼやスポンジで静かに拭き取ります。薬で分泌を抑える方法もあり、日本緩和医療学会は「がん患者の治療抵抗性の苦痛と鎮静に関する基本的な考え方の手引き(2023年版)」などの指針を公開しています(出典:日本緩和医療学会「ガイドライン」)。脈が触れにくくなり、反応がなくなる確認する場所変化意味手首触れなくなる末梢の血流がほぼ止まっている首・胸弱く、遅くなる心臓の動きが落ちている目半分開いたまま動かない意識が深く落ちている皮膚顔色が変わり、冷たくなる全身の循環が止まりつつある手首で脈が触れなくなっても、首や胸の近くではまだ拍動が感じられます。この段階で無理に確かめようと体を動かす必要はありません。呼吸の間隔が長くなり、やがて胸が動かなくなります。最後の一息がいつだったのか、はっきり分からないまま静かに終わることのほうが多いのです。そのとき、時計を見なくて構いません。到着した医師が死亡時刻を確認します。息が止まっても、あわてて救急車を呼ばないでください。在宅での看取りの準備は末期癌の在宅看取りで後悔しないために、訪問看護・リハビリと準備のすべてにもまとめています。訪問看護師が見てきた「最期が近いサイン」の見分け方(町田・相模原の現場から)訪問看護師は、検査値や日数ではなく「前回の訪問との差」でサインを見分けており、ご家族が同じ視点を持つと不安の量が減ります。数字より「昨日との差」で見る|訪問時に最初に確かめること見るところ前回との比較差が意味すること起きていた時間昨日より短いか全身の消耗が進んでいる口にした量一口でも入ったか嚥下と意欲の変化手足の温度冷たさが上へ広がったか循環の変化が進行呼びかけへの反応目を開けるか、表情が動くか意識レベルの変化表情苦悶がないか苦痛の有無町田市・相模原市で訪問看護を提供する中で、ご家族に必ずお願いしているのが、この5点を寝室のメモに書き残すことです。数字は要りません。「昨日より短い」で十分です。なぜ差で見るのか。看取り期には絶対値の意味が薄れるからです。血圧が下がっていても穏やかに眠れる方がいます。電話で相談を受けるとき、いちばん役に立つのがこのメモ。「昨日はお茶を飲めたが、今日は口にためたまま飲み込まない」。この一文で見立ての精度が変わります。相模原市に伺っているご家庭では、日めくりカレンダーの裏に書き留めている方がいました。このメモを手元に置いて電話をいただければ、訪問が必要かどうかもその場でお答えできます。24時間対応の訪問看護をお探しの方は、一度お問い合わせください。訪問先で必ず聞かれる3つの問い問い現場での答え方①あと何日ですか日数は約束できないが、次に来る変化は説明できる②苦しそうに見えるのですが呼吸の音より表情と体の動きで判断する③私が席を外している間に亡くなったら立ち会えたかどうかで看取りの価値は決まらない①の「あと何日ですか」は、訪問先でいちばん多く受ける問いです。正直に申し上げると、日数は誰にも約束できません。ですからお答えするのは、日数ではなく次の段取り。「次はこういう呼吸が出ます」「そのときは連絡してください」。予定が立てば、心の準備の置き場所ができます。③は、看取りが終わったあとまで尾を引きます。少し目を離した間に息を引き取った。そう自分を責め続ける方がいます。お伝えしているのは、最期の瞬間に立ち会えなくても、看取りが失敗したわけではないということです。認知症の方の看取りで迷う場面は認知症の終末期ケア、在宅看取りで家族が迷う選択肢にまとめています。サインに気づいたら家族がしておくこと|連絡体制・心構え・後悔しないための準備在宅で看取るご家族が事前に整えておくべきことは、夜間を含む連絡先の一本化、本人の意向の共有、そして息を引き取った後の手順の確認の3つです。連絡先を1枚の紙にまとめる|夜間・休日にどこへかけるか場面最初にかける先備考日中の変化訪問看護ステーション状態を伝えて訪問を相談夜間・休日24時間対応の連絡先契約時に番号を確認しておく息を引き取ったとき訪問看護ステーションか主治医救急車ではない制度や介護の相談ケアマネジャー、地域包括支援センター昼間の相談窓口紙に書いて、電話機のそばと冷蔵庫の扉に貼ってください。夜中の2時に、携帯電話の連絡先一覧をたどれる人はほとんどいません。迷ったらまず訪問看護ステーションに電話すると決めておけば、判断の負担がひとつ消えます。介護保険や在宅サービスの相談先が分からないときは、お住まいの地域の窓口が入り口です(出典:町田市「高齢者支援センター(地域包括支援センター)」、相模原市「地域包括支援センター(高齢者の健康、福祉、介護の相談・支援)」)。同居していない家族への連絡順も、この紙に書いておきます。決めておかないと、当日は同じ人が何十件も電話をかけます。本人の意向の共有も備えのひとつ。厚生労働省は「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を2018年3月に改訂し、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)に「人生会議」という愛称を付けて普及を進めています(出典:厚生労働省「『人生会議』してみませんか」)。そばで何を話しかければいいか|聞こえている前提で場面かける言葉の例避けたい関わり目を開けているとき今日の天気、家族の近況病状の説明を長く続ける反応が薄いとき名前を呼ぶ、ありがとうを伝える枕元で今後の相談をする呼吸が変わったときそばにいることを伝える体を揺すって呼び起こす何も言えないとき手を握る、髪を整える無理に言葉を探す「何を話しかければいいか分かりません」。この相談も多く受けます。特別な言葉は要りません。今日の天気、庭の花、孫の様子。日常の話でいいのです。意識がはっきりしなくなっても、聞こえている前提で話しかけてください。枕元で「あとどれくらいでしょうか」と相談するのは避けます。伝えたいことがあるなら、返事がなくても声に出してください。返事を待つ会話ではなく、渡す言葉として。言葉が出てこないときは、手を握るだけで構いません。触れられている感覚は最後まで残るとされ、無言でそばに座る時間も立派な関わりです。息を引き取った後にすること|救急車を呼ばない理由と最初の連絡順番すること補足1訪問看護ステーションか主治医へ電話24時間対応の番号へ2そのまま静かに待つ体を動かさない、着替えさせない3医師の到着と確認を待つ死亡診断書が交付される4葬儀社へ連絡医師の確認後で間に合う5家族・親族へ連絡事前に決めた順番で在宅での看取りで最も多い混乱が、救急車を呼ぶことです。呼べば救急隊は蘇生を試み、警察の確認が必要になることもあります。自宅で看取ると決めているなら、最初にかけるのは訪問看護ステーションか主治医。医師が生前に診ていた病気に関連した死亡だと判断できれば、その場で死亡診断書が交付されます。「最後の診察から24時間以内なら診察なしで書いてもらえる」という話も耳にしますが、これはごく限られた場面の例外です。厚生労働省は、亡くなったあとに改めて診察するよう努めてほしいとしています(出典:厚生労働省「死亡診断書(死体検案書)について」)。つまり、在宅で息を引き取ること自体は想定された経過であり、慌てて病院へ運ぶ必要はありません。到着までどれくらいかかるかは、事業所の体制や自宅までの距離で変わります。契約のときに「夜中に連絡したら、どのくらいで来てもらえますか」と一度たずねておいてください。待ち時間の見当がつくだけで、当日の落ち着きが違います。その待ち時間は、ご家族だけで過ごせる最後の時間でもあります。声をかけても、手を握っても、黙って座っていても構いません。着替えや体を清める処置は、看護師が伺ってから一緒に行います。亡くなった直後の流れは自宅で看取り 息を引き取ったとき最初にすべきこと|連絡先と流れで手順ごとに整理しています。よくある質問Q1. 死が近い人にはどんな兆候がありますか食べる力・眠りと意識・呼吸と循環の3つの系統に変化が現れます。食事量が減り、眠る時間が長くなり、呼びかけへの反応が鈍くなる。当日が近づくほど呼吸の乱れと手足の冷えがはっきりします。Q2. 亡くなる数日前にはどんな症状が出ますか口から飲めなくなり、眠っている時間がさらに延びます。呼吸のリズムが波打つように乱れ、つじつまの合わない発言が出ることも。手足が冷たくなり、唇や爪が紫がかり、膝から下に紫色の網目状の斑点が広がります。Q3. 死の直前、呼吸はどのように変化しますか浅い呼吸が大きくなり、また小さくなって止まる。これをくり返すチェーンストークス呼吸が現れます。さらに近づくと、顎を上下に動かして息を吸う下顎呼吸に変わります。苦悶の表情がなければ、音や形だけで苦しさを判断しないでください。Q4. あと何日くらいですか。余命は分かりますか日数を言い当てる方法はありません。数日と見込んだ方が2週間過ごされることも、その逆もあります。訪問看護師がご家族にお伝えするのは日数ではなく、次に現れる変化と、そのときにかける電話番号です。見当をつけたいときは、前回との差を手がかりにしてください。起きている時間が短くなり、口にする量が減り、手足の冷たさが上へ広がってきたら、段階が進んでいます。Q5. お迎え現象とは何ですか、本当に起こるのですか亡くなった家族や親しい人が見える、迎えに来たと語る出来事を、一般にお迎え現象と呼びます。医学的にひとつの原因で説明できるものではなく、終末期のせん妄や幻覚と重なることもあります。否定せず、誰が来たのかを穏やかに聞いてください。Q6. 死が近づくと手足や皮膚はどう変化しますか心臓が全身へ血液を送る力が落ち、手足の先から冷たくなります。唇や爪が紫がかるチアノーゼ、膝やすねに紫色の網目状の斑点が出るのもこの段階です。湯たんぽは感覚が鈍って低温やけどを起こす危険があるため、毛布を重ねる、手のひらで包むといった温め方に。Q7. 在宅で看取るとき家族は何を準備しておくべきですか夜間・休日を含む連絡先を1枚の紙にまとめて電話機のそばに貼ること、本人の意向を家族で共有すること、息を引き取った後の手順を先に確認することの3つ。介護ベッドなどの福祉用具は手配に数日かかるため、動ける範囲が狭くなった時点でケアマネジャーへ相談を。Q8. 最期が近いとき、そばで何を話しかければいいですか特別な言葉は要りません。今日の天気や家族の近況といった日常の話で十分です。意識がはっきりしなくなっても、聞こえている前提で名前を呼び、伝えたいことを声に出してください。言葉が出ないときは、手を握るだけでも関わりになります。Q9. 息を引き取った後、まず何をすればいいですか救急車ではなく、訪問看護ステーションか主治医へ電話してください。体を動かしたり着替えさせたりせず、そのまま静かに待ちます。医師が到着して確認を行い、死亡診断書が交付されます。葬儀社への連絡はその後で間に合います。まとめ|自宅での看取りは一人で抱え込まなくていい自宅での看取りで最期が近いサインは、食べる力・眠りと意識・呼吸と循環の3つの系統に現れ、数週間前・数日前・当日と段階を追って進みます。日数を数えるより、前回との差を見るほうが在宅では役に立ちます。数日前には呼吸のリズムが乱れ、手足が冷たくなり、皮膚に紫色の斑点が現れます。当日は下顎呼吸や死前喘鳴が見られますが、苦悶の表情がなければ音だけで判断しないでください。ご家族が事前に整えるのは、夜間を含む連絡先の一本化、本人の意向の共有、息を引き取った後の手順の確認です。救急車ではなく訪問看護ステーションか主治医へ。この一点を家族全員で共有してください。最期の瞬間に立ち会えたかどうかで看取りの価値は決まりません。そばで過ごした時間のほうが、はるかに長く確かです。ピース訪問看護ステーションにご相談くださいこんな方はぜひご相談ください:食事量が減り、眠る時間が延びてきて、この先の見通しが分からない方自宅で看取りたいが、夜間の連絡先や手順が決まっていないご家庭呼吸の音や手足の冷たさが気になり、救急車を呼ぶべきか迷っている方ピース訪問看護ステーションができること:看取り期に次に起こる変化を先回りしてお伝えし、そのつど何をすべきかを一緒に決めること24時間つながる連絡体制のもとで、夜間の呼吸の変化や苦痛に電話と訪問で対応すること口腔ケア・体位の工夫・清拭など、ご家族の手でできるケアを一緒に行うこと東京都町田市・多摩市、神奈川県相模原市・大和市・川崎市麻生区を中心に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。関連記事自宅で看取り 息を引き取ったとき最初にすべきこと|連絡先と流れ看取り期でも自宅で過ごせる?町田市の訪問看護ができること末期癌の在宅看取りで後悔しないために、訪問看護・リハビリと準備のすべて認知症の終末期ケア、在宅看取りで家族が迷う選択肢終末期に食べられない時、点滴や胃ろうの判断と自然な経過参考文献一覧出典:厚生労働省「『人生会議』してみませんか」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02783.html出典:厚生労働省「死亡診断書(死体検案書)について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/sibousinndannsyo.html出典:日本緩和医療学会「進行性疾患患者の呼吸困難の緩和に関する診療ガイドライン 2023年版」https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00804/出典:日本緩和医療学会「ガイドライン」https://www.jspm.ne.jp/publication/guidelines/index.html出典:厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei24/index.html出典:厚生労働省「介護・高齢者福祉」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html出典:町田市「高齢者支援センター(地域包括支援センター)」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/old/shiminnokatae/mijikanasodan/koureisha_shien_center.html出典:相模原市「地域包括支援センター(高齢者の健康、福祉、介護の相談・支援)」https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kosodate/fukushi/1026635/korei_shien/1006373.html【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理、地域医療連携、在宅看取り支援に積極的に取り組んでいる。island-piece.jp 株式会社isLand|訪問看護・居宅介護支援・訪問介護|町田市