1. 統合失調症における「攻撃的な行動」とは攻撃的に見える行動の背景見え方本人の体験の可能性急な怒り刺激が強い脅威として感じられる大声恐怖や不安の高ぶりが表れている物にあたる緊張が高まり処理しきれない状態統合失調症でみられる攻撃的な行動は、多くが本人の意思や性格とは無関係で、脳の情報処理のバランスが乱れた状態で起こります。周囲の刺激(音・光・視線)が過剰に強く感じられたり、被害的に解釈されることで、「身を守らなければ危ない」という切迫した感覚が生まれます。家族には「突然怒ったように」見えても、本人は恐怖の中で混乱している状態であり、多くは“攻撃”ではなく“防御反応”です。この理解があるだけで、家族の不安や自責感が軽くなることにつながります。(出典:厚生労働省「統合失調症の理解」)本人が感じている不安や恐怖について体験例被害的な解釈視線や物音が“攻撃”に感じられる感覚過敏音や光が刺すように不快に感じる現実感のゆらぎ「意味づけ」が変わって見える攻撃的な行動の背景には、本人が体験している「強い恐怖」が隠れています。脳の情報処理が過敏または混乱した状態になると、周囲の音や言葉が本来よりも脅威的に感じられ、家族の何気ない声かけが「攻撃」に変換されることがあります。これは意志ではなく、脳の情報処理が一時的に偏った結果であり、誰にでも起こり得る現象です。本人にとっては“必死に守っている”状態であることを理解することで、家族の恐怖感・戸惑いが少し軽減します。(出典:日本精神神経学会「統合失調症診療ガイドライン2021」)家族がまず理解しておくべき視点視点内容症状である家族への怒りや性格ではない家族の責任ではない誘発したわけではない安全確保が最優先近づくより距離を置く方が適切攻撃的な行動が家族へ向けられた場合でも、家族が責任を負う必要は一切ありません。症状が強い時期には、最も身近な人ほど誤って“脅威”に見えてしまう傾向があるためです。まず大切なのは、関わるより安全確保。距離を取る、別室に避難する、刺激を減らすといった行動は「逃げる」ではなく、医学的に推奨される本人と家族を守る対応です。(出典:厚生労働省「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けて」)2. 攻撃的な言動が起こりやすい状況ときっかけ感覚過敏・刺激過多による混乱刺激本人に起こる反応大きな音驚きと恐怖の急上昇強い光焦燥感・不快感の増大会話量の多さ情報処理が追いつかず混乱統合失調症では、脳が外部刺激に敏感になり過ぎる「感覚過敏」が起こることがあります。家族には問題ない程度の音や気配でも、本人には“攻撃されているような刺激”として感じられる場合があります。この刺激の蓄積が興奮につながり、怒りや物に当たる行動として現れることがあります。刺激を減らす環境調整は、ご家族ができる大切な予防的支援です。(出典:国立精神・神経医療研究センター「包括型地域生活支援プログラム(ACT)」)妄想・誤解による防御反応妄想の種類攻撃的行動につながる理由被害妄想家族の声かけが“攻撃”に感じられる関係妄想TVや会話が自分へのメッセージに思える誤認周囲の状況を危険と感じやすい妄想が強い時期には、周囲の出来事が“本人に向けた攻撃”と誤って感じられることがあります。「見張られている」「攻撃される」という感覚が強くなり、本人にとっては自衛行為が“攻撃行動”として表れます。家族は「自分が原因かもしれない」と考えやすいですが、これは脳の情報処理の偏りによる反応であり、対人関係とは無関係です。(出典:日本精神神経学会「統合失調症診療ガイドライン2021」)生活リズムの乱れ・ストレス乱れやすい点行動の変化睡眠不足イライラ・興奮の増加食事の乱れエネルギー低下・思考の混乱昼夜逆転不安・被害感の増大睡眠・食事・活動量の乱れは、統合失調症の症状悪化と大きく関係します。とくに睡眠不足は不安・緊張を高め、攻撃的な行動の引き金になりやすいと報告されています。生活ドミノのように、一つの乱れが他の悪化を招きやすく、早期の生活リズム調整が重要です。(出典:厚生労働省「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」)3. 絶対にやってはいけない対応否定・説得・大声での応答が逆効果な理由家族がしがちな言葉本人が受け取る感覚「そんなわけない」否定された・理解されない説得しようとする支配されている・追い詰められる大声で返す脅威が増幅し興奮悪化攻撃的な言動が出ると、家族は必死で止めようとして強い口調になりがちです。しかし、否定・説得・大声は本人にとって脅威を増やし、症状を悪化させる要因となります。興奮状態の本人には、長い説明は処理できません。短く穏やかに「ここにいるよ」「落ち着いたら話そうね」と伝えることが最も安全です。刺激を減らすことが、状況の沈静化に最も効果があります。(出典:国立精神・神経医療研究センター「家族心理教育プログラム」)身体を押さえる・無理に止める危険性家族がやりがち危険性手で動きを止める反射的に抵抗し悪化抑え込む負傷リスクが高い近づき過ぎる興奮が増大しやすい興奮状態では、本人自身も行動をコントロールできません。ここで無理に止めようとすると、本人・家族双方にケガのリスクが高まります。医療機関でも、身体的介入は専門職が多数で安全環境の中で行う特別な手段です。家庭内で行うべきものではありません。(出典:厚生労働省「精神保健福祉相談体制の整備」)家族が「責められている」と感じる必要がない理由家族が思いやすいこと実際の背景「自分のせいかも」症状であり家族の責任ではない「嫌われているのか」不安の高まりによる反応「もっと優しくすべきだった」本人の体験と家族の態度は無関係家族が攻撃的行動を受けると、自責感が強くなり「自分の対応が悪かったのでは」と感じやすくなります。しかし、本人の攻撃的な反応は家族の言動の問題ではなく、症状が生み出す誤った認識です。責める必要はまったくなく、まずは安全確保・専門職との連携により負担を分けることが何より重要です。(出典:厚生労働省「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けて」)4. 安全を確保するための初期対応家族が危険を感じたときの行動手順優先順位行動①自分と家族の安全な場所へ移動する(距離を取る)②本人を刺激しないよう静かに状況を離れる③必要に応じて110番・119番を利用する攻撃的な言動が見られたとき、最も重要なのは「家族自身の安全を最優先にすること」です。興奮や恐怖で反応が強まっている状態では、本人に近づかず、説得を試みない方が安全です。安全な場所へ移動し、距離を置くことは「逃げる」のではなく、本人と家族双方を守るために必要な、医学的にも妥当な行動です。また、暴力の恐れが強い場面では、110番・119番を利用することにためらう必要はありません。警察・救急は「身の危険があるとき」に利用できる公的支援として明確に位置付けられています。(出典:厚生労働省「精神保健福祉相談体制の整備」)落ち着くまでの距離の取り方・声かけ状況声かけ例興奮が強い「ここにいるよ」「落ち着いたら話そうね」不安が強い「怖かったね」「今は安全だよ」会話が止まらない「少し休もうね」など短く伝える興奮が高まっている時期には、本人の脳が情報を十分に処理できず、周囲の言葉や表情が強い刺激に感じられやすくなります。このため、長い説明や説得は逆効果になることが多く、本人の不安や被害感をさらに強めてしまう可能性があります。最も安全なのは、「短い言葉・穏やかな声・刺激を最小限にする」対応です。すぐそばまで近づく必要はなく、距離を置くこと自体が刺激減弱につながり、結果的に本人を落ち着かせる助けにもなります。家族が安全な位置を確保したうえで、落ち着いた後に必要な支援につなげることが大切です。(出典:日本精神神経学会「統合失調症診療ガイドライン2021」)緊急時の相談先と町田市で使える支援支援先内容町田市保健所(精神保健相談)家族相談・訪問支援・医療機関との調整東京都 精神保健福祉センター専門職による相談、医療につなぐ支援警察・救急危険時の保護・緊急搬送町田市には、統合失調症の家族を支えるための相談先が複数用意されています。保健所の精神保健相談では、症状の変化や家族の不安について相談でき、必要に応じて医療機関や訪問看護へと橋渡しを行ってくれます。また、夜間・休日で受診先が見つからない場合には、東京都の精神科救急情報窓口を通じて医療機関を案内してもらえる体制があります。相談は「困ったとき」だけではなく、「悪化しそう」「対応が不安」と感じた段階で利用して良いものです。家族の負担を軽減し、危険な状況を未然に防ぐための重要な支援資源です。(出典:町田市「精神保健福祉相談窓口」)5. 攻撃的行動の背景を理解した関わり方感情への共感と境界線のバランス大切な姿勢説明感情への共感「怖かったんだね」など感情を受け止める境界線危険な行動には距離を置くことで示す冷静さ感情的に反応せず、伝える言葉は短く本人が興奮状態のときは、脳の情報処理が偏り、周囲の出来事を脅威として受け取っていることが多いです。このような時期に家族が怒りや不安のまま感情的に反応すると、本人の「自分は攻撃されている」という誤解を強めてしまうことがあります。しかし、「優しくする=近づく」ではありません。危険な行動がある時期には、距離を保つこと自体が正しいケアです。その上で、「怖かったんだね」「ここにいるよ」と感情に寄り添う短い言葉が、緊張を少し和らげる効果を持ちます。家族の安全を守りながら共感を示すことが、最も無理のない関わりです。(出典:国立精神・神経医療研究センター「家族心理教育プログラム」)危険な行動がない時の日常的なコミュニケーションコミュニケーション内容否定しない事実の正誤より気持ちを優先する強要しない会話は本人のペースに合わせる生活リズムの共有起床・就寝・食事の時間を整える攻撃的な行動が落ち着いているときこそ、本人と家族が信頼関係を築きやすいタイミングです。この時期は、病気の体験を無理に聞き出す必要はなく、「日常の話を無理なく自然に続ける」ことが大切です。否定される経験が積み重なると、本人の不安や被害感が強まる可能性があります。そのため、「そう感じたんだね」「そういうふうに見えたんだね」と事実ではなく“感情”を受け止める姿勢が役立ちます。家族が消耗し過ぎないように、距離感の調整も大切にしましょう。(出典:厚生労働省「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けて」)生活リズム・環境調整でできる予防的な関わり調整項目効果睡眠興奮・不安・妄想の悪化を防ぐ食事体力維持・脳疲労の予防刺激量過覚醒の抑制・混乱の軽減生活リズムの乱れは、統合失調症の症状悪化と強く関連します。睡眠不足が続くと、脳が過敏な状態になり、被害的なとらえ方や興奮が強まりやすいことが知られています。また、刺激の多い環境(音・光・会話量の多さ)は、本人の混乱を高めてしまう要因となります。家族が環境を整えることは、攻撃的行動の“予防”として効果があります。部屋を落ち着けた明るさにする、話しかけは短くゆっくりと、生活リズムを整えるなど、日常の小さな工夫が大変重要です。(出典:厚生労働省「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」)6. 医療機関・支援機関と連携するポイント主治医への相談の仕方と伝えるべき内容伝えるべき情報具体例行動の変化攻撃的な言動の日時・きっかけ生活リズム睡眠・食事・活動量の変化本人の訴え不安・恐怖・被害的な解釈の有無攻撃的な行動が見られたとき、主治医にできるだけ正確な情報を伝えることが治療の質を左右します。本人が受診を拒否していても、家族がメモをまとめて医師に伝えることは可能です。統合失調症の症状悪化には、薬の調整が必要な場合、ストレスや生活リズムの乱れが大きく関係している場合など、複数の要因が絡み合います。医師は、家族からの情報をもとに治療の方向性を判断するため、できる範囲で変化を記録しておくと役立ちます。(出典:日本精神神経学会「統合失調症診療ガイドライン2021」)保健師・精神保健福祉センターの活用支援先サポート内容市町村保健師家族相談・自宅訪問・支援調整精神保健福祉センター専門職による相談・医療との連携家族会経験者との交流・負担軽減家族が攻撃的行動に長期間向き合うと、精神的・肉体的に疲労が蓄積します。保健師は自宅訪問を通じて、家族の悩みや不安に寄り添いながら、必要な支援につなぐ重要な役割を果たします。精神保健福祉センターはより専門的な相談や医療への橋渡しが可能です。また、家族会では「同じ経験を持つ家族」とつながり、孤立感が軽減される効果があります。対応が難しい時期に一人で抱え込まず、複数の支援を組み合わせることが大切です。(出典:厚生労働省「精神保健福祉相談体制の整備」)訪問看護・訪問リハビリを導入するための流れステップ内容1主治医へ「訪問看護を利用したい」と相談する2医師が訪問看護指示書を作成3訪問看護ステーションと契約し初回訪問へ訪問看護は、症状の変化を細かく観察し、再発予防につなげる上で非常に有効な支援です。第三者の専門職が自宅に入ることで、本人が安心しやすく、家族が一人で状態を判断する負担が減ります。訪問リハビリでは生活リズムを整え、運動習慣の形成をサポートします。ただし、訪問リハビリは介護保険や医療保険など制度の種類により負担額が異なるため、自立支援医療制度の「精神通院医療」と同一の1割負担ではないケースもあります。利用したい場合は、まず主治医・自治体窓口・訪問看護ステーションに相談し、最も適した制度で始められるよう調整することが重要です。(出典:厚生労働省「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けて」)7. 在宅で受けられる支援(訪問看護・訪問リハビリ)訪問看護ができるサポートサポート内容説明症状の変化の観察不安・興奮・妄想などの兆候を早期に把握服薬支援飲み忘れの予防、副作用の相談家族支援関わり方の助言、緊急時の相談先の整理訪問看護は、統合失調症の方が在宅で安心して生活を続けるための非常に重要な支援です。症状の悪化は、生活リズムの乱れやストレス、薬の影響などが複雑に絡み合って起こるため、定期的に専門職が訪問し、日々の変化を把握することが再発予防につながります。また、攻撃的な行動が見られたとき、家族が第三者の専門職に相談できることは大きな安心につながります。訪問看護師は興奮の兆候を早期に察知し、医師との連携を図りながら、必要な支援や受診につなげることができます。これは「家族がすべてを抱え込まなくてよい」環境づくりにも直結します。(出典:厚生労働省「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けて」)訪問リハビリの役割支援内容効果運動・生活動作の支援活動量の増加、ストレス軽減外出・家事などの練習自信の回復、社会参加の準備生活リズムの調整昼夜逆転の改善、再発リスク軽減訪問リハビリは、身体機能だけでなく生活リズムを整える点でも重要な役割を果たします。統合失調症は睡眠・活動量・生活構造が乱れやすく、そこから不安や興奮が強まることが少なくありません。理学療法士・作業療法士が訪問し、負担のない運動、外出練習、生活動作の調整を行うことで、活動レベルが安定し、症状悪化の予防にもつながります。なお、訪問リハビリは介護保険または医療保険の適用で利用でき、自立支援医療(精神通院医療)とは異なる制度で費用が決まります。そのため、具体的な負担額は家庭ごとに異なり、利用希望時にはケアマネジャーや自治体窓口に確認することが推奨されます。(出典:日本リハビリテーション医学会「在宅リハビリテーションの役割」)町田市在住の方へ:ピース訪問看護ステーションのご案内職種人数特徴看護師9名統合失調症・精神症状のケアに精通理学・作業・言語療法士14名活動性・生活リズム改善に強みケアマネジャー7名医療・介護・福祉の連携がスムーズ特徴内容24時間連絡体制夜間の不安時にも相談可能リハビリ専門職の充実在宅での活動性向上・外出練習に強い地域医療連携市内の病院・クリニックと綿密に協働継続フォロー行動変化や生活リズムを定期的に把握ピース訪問看護ステーションは、町田市・相模原市エリアを中心に、精神疾患の在宅支援にも力を入れる看護・リハビリの専門チームです。統合失調症に伴う不安・興奮・生活リズムの乱れへの対応経験が豊富で、医師や地域支援機関とも迅速に連携ができます。また、ご家族の不安が強い時期には、電話相談や訪問調整など、柔軟な対応を行える体制が整っています。「家族だけで抱え込まない」ための地域支援として、ぜひご活用ください。8. 家族が疲れたときのセルフケア攻撃的な対応が続いたときの心身のサインサイン内容睡眠の乱れ中途覚醒・不眠・過眠気持ちの揺れ涙・怒り・無気力身体の症状だるさ・頭痛・食欲低下統合失調症の攻撃的行動に日々対応していると、家族には大きな負担がかかります。とくに長期間続くと、「自分のせいかもしれない」「もっと優しくすべきだったのでは」といった自責感が重なり、心のエネルギーが急激に消耗しやすくなります。しかし、家族が疲れてしまうのは自然な反応であり、決して弱さではありません。家族の疲労が蓄積しすぎると、危険な変化に気づきにくくなるため、早めの休息・相談が本人の安全にもつながります。睡眠の乱れや体調の変化に気づいたら、保健師・訪問看護・相談支援機関へ早めに相談することが大切です。(出典:厚生労働省「精神保健医療福祉の家族支援」)家族会・カウンセリングの活用支援内容家族会同じ経験を持つ家族同士の交流カウンセリング感情整理・ストレス軽減の支援ピアサポート経験者による実践的アドバイス家族会では、同じ経験を持つ家族と話すことで「自分だけではない」と感じられ、孤立感が軽減されます。カウンセリングでは、恐怖・怒り・疲労など複雑な感情を整理でき、心の負担を軽くする助けとなります。また、ピアサポートは、当事者や家族経験者が支援者として関わる仕組みで、実際に乗り越えてきた人の視点から助言を得られる安心感があります。複数の支援を組み合わせることは、家族が消耗しきってしまう前に必要な「予防的ケア」です。(出典:国立精神・神経医療研究センター「家族心理教育プログラム」)支援を分け合うための地域ネットワーク連携先サポート内容保健所家族相談・訪問支援・医療連携地域包括支援センター制度説明・生活支援の調整訪問看護ステーション症状管理・家族支援・緊急時対応町田市では、保健所・地域包括支援センター・訪問看護ステーションが連携し、家族の負担を分散できる仕組みが整っています。家族だけで支える必要はなく、複数の専門職・支援機関が関わることで、「危険な場面を早期に察知する力」と「家族自身の余力」が保たれます。とくに訪問看護が加わると、「急に興奮したらどうしよう」という不安が軽減され、家族の生活が安定しやすくなります。地域の支援は、家族と本人の安全を守る心強い味方です。(出典:町田市「精神保健福祉相談窓口」)9. よくある質問(Q&A)Q1:攻撃的になったとき、どう声をかければいい?攻撃的な行動が見られたときは、短く・穏やかに・刺激を減らすことが基本です。「ここにいるよ」「落ち着いたら話そうね」などの短い言葉で安心感を伝えるとよいとされています。長い説明や説得は脳の負荷を増やし、興奮が悪化することがあります。(出典:日本精神神経学会「統合失調症診療ガイドライン2021」)Q2:受診や薬を拒否したときは?本人への説得は逆効果になることがあり、訪問看護師や保健師など第三者を介した方が受け入れやすいケースが多くあります。無理に連れて行こうとせず、支援者と一緒に状況を共有しながら受診調整を進めてください。(出典:厚生労働省「精神保健福祉相談体制の整備」)Q3:暴力が起こりそうなときの具体的な対策は?まずは距離を取り、別室へ移動するなど家族自身の安全確保が最優先です。「話し合えば落ち着く」は誤解につながりやすく、興奮が強くなる可能性があります。危険を感じた場合は、迷わず110番・119番を利用してください。(出典:厚生労働省「精神保健福祉相談体制の整備」)Q4:家族が恐怖を感じたときの対応は?恐怖を感じた瞬間に距離を取ることは、本人を否定する行為ではなく、最も安全な対応です。家族が無理にそばにいる必要はありません。保健師・訪問看護・地域支援を使い、家族の安全と心の余裕を確保することが大切です。(出典:厚生労働省「精神保健医療福祉の家族支援」)Q5:支援にかかる費用はどれくらい?自立支援医療(精神通院医療)制度を利用すると、精神科通院・精神科訪問看護などの医療費が自己負担1割になります。ただし、訪問リハビリは介護保険・医療保険で利用する仕組みのため、負担額は別制度で計算される点に注意が必要です。詳しくは自治体窓口やケアマネジャーにご相談ください。(出典:厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)制度」)まとめ統合失調症の攻撃的な行動は、家族への怒りではなく、多くが恐怖・混乱・脳の情報処理の偏りから生じる「症状」です。家族が責任を感じる必要はありません。大切なのは、家族の安全確保距離を取るなど刺激を減らす対応早めの相談・支援者との連携です。町田市には保健所・精神保健福祉センター・訪問看護ステーションなど、家族を支える仕組みが整っています。「家族だけで抱え込まない」ことが、本人の安定にも家族の健康にもつながります。関連記事統合失調症の妄想への正しい対応とは?否定しない接し方と家族が限界を感じる前の支援活用ガイド統合失調症の家族へ:「疲れた」と思ったときに知っておきたい支援の選び方統合失調症の「迷惑行為」とは?誤解されやすい行動の理解と支援の方法統合失調症は親のせいじゃない、家族ができる正しい支え方統合失調症の初期症状とは?早期発見のために知っておきたいポイント参考文献一覧厚生労働省「統合失調症の理解」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188768.html厚生労働省「精神保健福祉相談体制の整備」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahoken/seishin/index.html厚生労働省「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188748.html厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)制度」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/jiritsu.html日本精神神経学会「統合失調症診療ガイドライン2021」https://www.jspn.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=4国立精神・神経医療研究センター「家族心理教育プログラム」https://www.ncnp.go.jp/nimh/seishin/family_education.html国立精神・神経医療研究センター「包括型地域生活支援プログラム(ACT)」https://www.ncnp.go.jp/日本リハビリテーション医学会「在宅リハビリテーションの役割」https://www.jarm.or.jp町田市「精神保健福祉相談窓口」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/kenko/seishin.html本記事の執筆者・監修者【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、OBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援に豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。