訪問看護は大規模化するべきなのか株式会社isLandは現在、町田市内で3つの訪問看護ステーションを運営しています。ありがたいことに、創業から4年で町田市内では最も拠点数の多い訪問看護事業所となりました。創業当初から僕たちが大事にしてきたのは「依頼は断らない」という姿勢です。身体疾患、精神疾患、小児、難病、終末期。地域で依頼があればできる限り受ける。それが地域にある訪問看護としての責任だと考えてきました。しかし事業を続ける中で、あることを強く感じるようになりました。それは当たり前ですが訪問看護は決して一つの看護ではないということです。訪問看護は大きく3つに分かれる僕自身、そして現場の看護師からの意見として訪問看護は大きく次の3つに分かれると考えています。・身体ケア・精神ケア・小児もちろんもっと細かく分けることもできます。ですが、この3つは訪問看護の性質が大きく変わります。必要な知識関わり方リスク管理スタッフの適性などすべてが違います。つまり訪問看護=同じ訪問ではないということです。オールジャンル対応への違和感僕がこれまで目指してきたのは町田市で依頼があったらすべて対応できる訪問看護でした。ただ、ある時ふと思いました。ケアに不安のあるスタッフを訪問に行かせるのは本当に正しいのか。それは地域のためではなく僕のエゴなのではないか。と。考えてみれば、医療の世界では当たり前のことです。クリニックも・内科・精神科・整形外科・小児科などに分かれています。それぞれ専門があります。訪問看護だけが「全部見れる前提」になっているのは少し無理があるのではないかと感じました。法律上は「正当な理由なく断れない」訪問看護にはルールがあります。指定居宅サービス等の運営基準では正当な理由なくサービス提供を拒否してはならないとされています。(指定居宅サービス等の人員・設備及び運営に関する基準 第9条)これは地域のインフラとして訪問看護が重要な役割を担っているからです。ただ同時に対応できないケアを無理に提供することが正しいわけでもないとも思っています。介入する以上対応できるスタッフを送る責任があります。そこで出した結論今回僕たちが出した結論は事業所を分けることでした。オールジャンルを「1つの事業所」で見るのではなく法人として対応する。つまり・身体中心のステーション・精神専門ステーションといった形です。これは診療科を作る感覚に近いです。なぜ訪問看護は大規模化するべきなのかこの判断の背景にはもう一つあります。それは訪問看護は大規模化するべき事業だという考えです。現在、日本の訪問看護の多くは看護師5名程度の小規模事業所です。制度上も小さく始められるためこの形が多くなっています。ただ、実際に経営をしていると小規模事業所にはいくつかの限界があります。小さい訪問看護ステーションの限界① 対応できるケースが限られる例えば精神は見れない小児は経験がない医療処置は難しいなどといったケースです。これは事業所の問題ではなく人員構成の問題です。スタッフが5人いれば専門性はどうしても偏ります。結果として断るケースが増えることになります。② 24時間体制の負担訪問看護には24時間対応があります。小規模だと・オンコール負担・休暇調整・急な欠勤これらが重くなります。結果として働き続けにくい職場になりやすい。③ キャリアの選択肢が少ない小規模ステーションではポストがほとんどありません。・管理者・スタッフほぼこの2つです。つまりキャリアの階段がないということです。これは採用にも定着にも大きく影響します。大規模化すると何が変わるのか訪問看護が大規模化すると組織は大きく変わります。例えば・専門チームが作れる・オンコール負担が分散できる・働き方が安定するそして何よりポストが増えるという点があります。ポストが増えると報酬を上げられる組織が大きくなると・リーダー・拠点責任者・エリアマネージャー・教育担当・専門チームリーダーなど様々な役割が生まれます。ポストが増えるということは給与を上げられる構造になるということです。僕は経営者として強く思っていることがあります。会社は利益を出さなければ続かないということです。これは冷たい言い方に聞こえるかもしれません。ですが利益がなければ・給与は払えない・雇用は守れない・事業は継続できないつまり会社は続きません。経営者としての責任僕にはスタッフに給与を払い、生活を守る責任があります。どれだけ理念が良くても継続できなければ意味がない。それは山奥でラーメン屋をやるのと同じです。どれだけ美味しくても人が来なければ続きません。だからこそ事業は拡大し続ける必要があると思っています。「頼む理由」ではなく「頼まない理由」を減らす今回精神訪問看護を作る理由は実はもう一つあります。正直に言うと町田市にはすでに精神専門の訪問看護ステーションは存在しています。なので「精神をやるから選ばれる」とは必ずしも思っていません。僕たちが考えているのは頼む理由を作ることではなく頼まない理由を減らすことです。例えば精神は見れない小児は難しい医療処置は対応できないこういった理由があると依頼は来なくなります。だからこそ法人として見れない領域を減らしていくことが重要だと考えています。八百屋からスーパーマーケットへこの話はよく例え話で説明しています。昔は八百屋のような専門店が多かった。専門性は高いけれど扱うものは限られています。その後スーパーマーケットが生まれました。利便性が高く一通りのものが揃う。そして今は商業施設のような形に進化しています。食事買い物娯楽すべてが揃う場所です。訪問看護も同じような流れになると僕は思っています。僕たちが目指しているもの株式会社isLandが目指しているのは町田市で依頼があったら必ず対応できる法人です。そのために訪問看護・居宅・訪問介護と事業を運営しています。それは「1つのステーション」では難しい。だから法人として体制を作る。身体精神小児それぞれの専門性を持ちながら町田の訪問看護を支えるインフラになる。それが僕たちの目標です。精神専門の訪問看護を立ち上げるのはその最初の一歩です。