訪問看護の現場では、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)によるリハビリテーションの提供が重要な役割を担っています。しかし、2024年度の介護報酬改定により、リハビリに関する減算制度が大きな注目を集めています。本記事では、リハビリ減算の内容とその影響、対策について詳しく解説します。1. 減算制度とは?減算とは、介護報酬の算定において、一定の条件を満たさなかった場合に報酬が減額される仕組みを指します。これは制度上、サービス提供に偏りが生じることを防ぎ、バランスの取れたケアを促すために設けられています。訪問看護ステーションでは、医療職種間の訪問回数のバランスや提供の継続状況が重要視されており、これに応じた減算が設けられています。2. 減算の主な適用条件2024年度の介護報酬改定では、訪問看護とリハビリの訪問頻度やバランスに関する新たな要件が加えられました。具体的には、リハビリ職の関与が多すぎるケース、看護職の訪問が少なすぎるケース、そして要支援者に対してリハビリだけを長期的に提供しているケースが問題とされ、減算の対象になります。初心者にも分かりやすく言えば、訪問看護は「医療ケア」と「リハビリ支援」の両輪で成り立っており、片方に偏ってしまうと制度上の評価が下がるということです。3. 減算の単位と影響減算は、具体的に何単位分の報酬が引かれるのかが定められています。以下に代表的なケースを整理しました。減算項目減算単位適用のイメージリハビリ過多8単位/回看護師よりもPT・OT・STの訪問が多い場合に毎回減額される長期リハビリ単独提供15単位/月看護師が12か月間一度も訪問していないケースで月ごとに減額要支援者に対する長期リハ継続15単位/月要支援の利用者に1年以上リハビリだけを提供している場合これらの減算は、累積的に適用される可能性もあり、収益への影響は軽視できません。4. 減算による現場への影響この制度により、現場ではリハビリ職と看護職のスケジュール調整に一層の工夫が求められるようになりました。また、利用者が「リハビリだけを受けたい」と希望しても、減算を避けるためには看護職の訪問を定期的に組み込む必要があります。これにより、ケアマネージャーや医師との調整の機会も増えています。5. 減算を回避するための対策減算を避けるためには、現場での計画的な対応とチームでの連携が不可欠です。以下に主な対策を整理して表にまとめました。対策項目内容と目的看護職の定期訪問の計画月1回以上の看護職による訪問をサービス計画に組み込み、医療的ケアの必要性を明記することで減算回避につながる。看護職の役割の明文化状態観察、服薬管理、褥瘡の有無確認など、看護が果たすべき役割を明文化しておくことで介入の正当性を強化。多職種間の記録共有リハビリ職と看護職が互いの記録を閲覧・活用することで、連続性と一貫性のあるサービスを提供できる。ケアマネ・医師との連携強化サービスの目的や頻度に関して関係職種と共有し、チームとしての整合性を図ることが減算回避とケアの質向上に寄与。単なる形式ではなく、実質的な連携とサービス提供の工夫が減算回避の鍵となります。6. 計画的なサービス提供体制の構築利用者の状態に応じて、「いつ」「誰が」「何の目的で」訪問するのかを明確にし、それを週単位で調整する仕組みが求められています。特に、利用者の状態が安定している場合でも、定期的なカンファレンスで支援の必要性を確認し、職種間での役割分担を見直すことが有効です。7. 今後の制度改定に向けた備え介護報酬は3年に一度見直されるため、今後も制度の変更に対応する柔軟性が重要です。現場では、訪問記録を定期的に分析し、傾向や偏りを把握する仕組みを整えましょう。また、スタッフ間で制度の理解度を高め、改定時に迅速な対応ができるよう研修やミーティングを重ねることも有効です。まとめ訪問看護におけるリハビリ減算制度は、制度理解とバランスの取れた運用が求められます。看護職とリハビリ職の連携を強化し、形式的な対応ではなく実質的なケアを目指すことが、減算回避とサービスの質向上の両立につながります。現場での工夫と連携が、質の高いサービスと事業継続の鍵となります。最新情報にアンテナを張りつつ、制度に適応した柔軟なサービス提供を目指しましょう。関連記事訪問看護における特別管理加算とは?要件・対象者・注意点まで徹底解説【訪問看護】別表7・8に該当するとどう変わる?保険・回数・処置のポイント総まとめ訪問看護は医療保険?介護保険?迷ったときの使い分けガイド町田市で訪問看護や介護サービスについて知りたい方は、ピース訪問看護ステーションの公式サイトもあわせてご覧ください。▶ https://island-piece.jp/service/houmonkango