猛暑が続く中、なんとなく体調が悪く「吐き気」や「胃のムカつき」を感じている方はいませんか?もしかするとそれは「夏バテ」が原因かもしれません。特に「胃腸型夏バテ」は自律神経の乱れや消化器官への負担から、吐き気や食欲不振といった不調を引き起こします。この記事では、夏バテによる吐き気の原因や症状、対策法を専門的な視点も交えて解説し、少しでも快適な夏を過ごせるようサポートします。1. 夏バテによる吐き気の正体とは?夏バテは大きく「全身型」「胃腸型」「自律神経型」に分類され、その中でも**「胃腸型夏バテ」**は、食欲低下や吐き気が主な症状として現れます。これは単なる夏の暑さだけではなく、生活環境や食習慣、ストレスなど複数の要因が関係しています。原因説明高温多湿発汗による水分・ミネラルの喪失で胃腸の機能が低下。特に日本の夏は湿度が高いため、汗が蒸発しにくく、体内の熱がこもりやすくなります。冷房の効きすぎ長時間冷房の効いた環境にいると体温調節がうまくできず、自律神経のバランスが崩れて消化不良や吐き気を誘発します。冷たい飲食物の摂取暑さから逃れるために冷たい飲み物やアイスを摂りすぎると、胃腸が冷えて動きが鈍り、吐き気や下痢の原因になります。これらが重なると、体は「だるい」「食べたくない」「ムカムカする」といった不快な状態に陥ります。特に高齢者や子どもは体温調節機能が未発達・低下しているため、影響を受けやすくなっています。出典: 厚生労働省「熱中症関連情報」2. 症状チェックリスト〜あなたも胃腸型夏バテかも?以下の症状に当てはまるものが多い場合、胃腸型夏バテの可能性が高いです。症状が軽くても、積み重なれば日常生活に支障をきたすこともあるため、注意深く観察しましょう。チェックリスト:少し食べただけで満腹になる胃がムカムカして吐き気がある冷たいものばかり飲んでいる朝起きたときから食欲がない便秘または下痢気味胃が重い、食べるのが億劫になる食後に胃がもたれる感じがある眠りが浅く、疲れが取れない2つ以上該当する方は、胃腸の働きが弱っているサインと考えられます。特に胃のムカムカや吐き気は、他の消化器疾患の前兆である場合もあるため、軽視せず早めに対策を講じましょう。出典: 厚生労働省「熱中症を防ぐために」3. 熱中症との違いは?夏の不調で注意したいのが「熱中症」との区別です。どちらも吐き気や頭痛、倦怠感を伴うことがありますが、症状の進行や危険度が異なります。症状胃腸型夏バテ熱中症発熱ほぼなしあり(38度以上のことも)吐き気緩やかに継続急に激しくなる汗通常程度大量の汗または無汗状態になることも意識障害なしあり(意識がぼんやり・言動がおかしい)脈拍普通速く弱くなる傾向熱中症は命に関わる緊急状態となる可能性があるため、発熱・意識障害・めまい・脱水症状がある場合はすぐに受診してください。一方、胃腸型夏バテは日常の見直しとセルフケアで改善可能なケースが多いです。出典: 厚生労働省「職場における熱中症予防対策マニュアル」4. 胃腸をいたわる食事と生活習慣胃腸型夏バテの症状を改善するには、日常の中で胃腸にやさしい食事と生活習慣の見直しが有効です。特に消化器への負担を減らすための工夫が重要とされています。食事のポイント:水分は常温で、少量をこまめに摂取する冷たい飲食物は控えめにし、温かい食事中心に消化の良いメニュー(雑炊、うどん、野菜スープなど)を選ぶ生姜や味噌など、胃腸を温める食材の活用食欲がない場合は、無理に食べずゼリー飲料などで栄養補給生活習慣の工夫:冷房の使用は適温(27〜28℃)を維持入浴は湯船(38〜40℃)にゆっくり浸かる睡眠をしっかりとり、生活リズムを整える軽いストレッチやウォーキングで自律神経を安定させるこれらの方法は厚生労働省や自治体の健康指導でも推奨されており、特に高齢者には家庭での実践がすすめられています。出典: 厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準」5. 受診の目安と注意点自己対処が難しい症状や、体の異変を感じた場合には、速やかに医療機関を受診することが重要です。以下のようなケースでは、単なる夏バテではない可能性もあります。吐き気が1週間以上続く、または徐々に悪化している発熱や悪寒を伴う(感染症の可能性)食事・水分がほとんど摂れない状態が続く意識がぼんやりする、反応が鈍くなる体重が急激に減少した特に高齢者や基礎疾患を持つ方、小児の場合は重症化しやすいため、少しでも異常を感じたら医師に相談することが大切です。出典: 厚生労働省「健康づくりのための情報発信」6. 訪問看護でのサポートが必要な場合高齢者や基礎疾患を抱える方は、夏バテの影響が重症化しやすく、在宅療養中であれば訪問看護の活用も選択肢になります。訪問看護では:看護師によるバイタルチェック(体温、血圧、脈拍、呼吸数など)栄養・水分摂取のアドバイスや、調理支援の提案胃ろう・経管栄養のケア(必要な場合)医師との連携による体調管理や緊急対応家族への健康教育や心理的サポート特に独居の高齢者や通院が難しい方にとって、定期的な訪問看護は安心材料となります。地域連携が重要となる場面でも、訪問看護ステーションがハブとなって支援体制を構築できます。出典: 厚生労働省「在宅医療・介護連携推進事業」まとめ夏バテによる吐き気は、胃腸や自律神経に負担がかかることで生じる不調です。食生活や生活習慣を見直し、必要に応じて市販薬や訪問看護などの支援も活用しましょう。無理をせず、身体の声に耳を傾けることが何よりも大切です。夏の不調でお悩みの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。関連記事日焼けの重症度と適切な対処法、症状別チェックと予防のポイント高齢者の熱中症対策完全ガイド、予防・症状・室内での注意点まで高齢者の水分摂取量ガイド:健康維持のために必要な知識と実践法を紹介本記事の執筆者・監修者プロフィール【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。