胃ろう(PEG)とは?在宅療養を選ぶ家族が知っておきたい基本胃ろう(PEG)とは、お腹の皮膚から胃へ小さな穴(ろう孔)を通し、そこから栄養や水分を直接送り込む栄養補給の方法で、在宅療養を続けるうえで選択肢の一つになります。「食べる量が減ってきた」「肺炎を繰り返す」といった状況で、主治医から胃ろうを勧められると、多くのご家族が言葉を失います。命に関わる決断であること、そして造ったあとの在宅生活が想像できないことが、不安をいっそう大きくするのです。この記事では、胃ろうの基本から、造設を迷う家族の気持ちの整理、造ったあとに在宅生活が実際どう変わるか、そして訪問看護がどう支えるかまでを、町田市・相模原市で在宅ケアに携わる立場から順を追って解説します。この記事でわかること胃ろう(PEG)の仕組みと、経鼻胃管・点滴との違い「造るべきか」を家族が決めるときの考え方と、本人の意思の確かめ方胃ろうのメリット・デメリットと、よくある誤解造設後の1日の流れと、家族が担う在宅での管理訪問看護が家族の不安と在宅生活をどう支えるか胃ろう(PEG)の仕組みと種類胃ろうは、内視鏡を使ってお腹に作った穴にカテーテル(管)を留置し、そこから栄養剤を注入する仕組みです。造設手術はPEG(経皮内視鏡的胃ろう造設術)と呼ばれ、施設や本人の状態によって前後しますが、おおむね15分から30分ほどで終わることが一般的とされています。分類の軸種類特徴お腹の外側の形ボタン型出っ張りが少なく目立たない。自己抜去しにくいお腹の外側の形チューブ型栄養剤を接続しやすいが、管が引っかかりやすい胃の内側の固定バンパー型交換の間隔が長め(4〜6か月)。交換時に痛みを伴うことがある胃の内側の固定バルーン型交換が比較的容易だが1〜2か月ごとの交換が必要胃ろうのカテーテルは、お腹の外側の形(ボタン型・チューブ型)と、胃の内側で抜けないように固定する方法(バンパー型・バルーン型)の組み合わせで4タイプに分かれます。どのタイプを選ぶかは、本人の活動性、介護する家族の扱いやすさ、交換の負担などを踏まえて主治医が判断します。在宅では、衣類に引っかかりにくく自己抜去のリスクが低いボタン型が選ばれることが多くあります。栄養治療を専門とする日本栄養治療学会(JSPEN)でも、胃ろうは経管栄養の代表的な方法として位置づけられています。造設後しばらくは造った穴が安定していないため、扱いに慣れるまで医療者の支援を受けながら進めるのが安心です。経鼻胃管・中心静脈栄養との違い栄養を補う医療的な方法には胃ろうのほかに経鼻胃管や中心静脈栄養があり、それぞれ体への負担と管理のしやすさが異なります。方法栄養の入り口主な特徴胃ろう(PEG)お腹の穴から胃へ顔まわりに管がなく在宅向き。造設に内視鏡が必要経鼻胃管鼻から胃へチューブ手術不要だが、鼻・喉の違和感や自己抜去が多い中心静脈栄養太い静脈へ点滴消化管を使わない。感染リスク・管理の難しさがある経鼻胃管は鼻からチューブを胃まで通す方法です。手術が要らない反面、顔にテープでチューブを固定し続けるため違和感が強く、本人が抜いてしまうことも少なくありません。中心静脈栄養は消化管を通さず血管から栄養を入れる方法で、腸を使えない状態のときに選ばれますが、感染管理が難しく在宅では負担が大きくなりがちです。一方の胃ろうは、顔まわりに管がなく、表情や会話、口からの少量摂取を妨げにくいのが特徴です。そのため長期の在宅療養では選ばれやすい方法といえます。どれが最適かは、腸が使える状態か、どのくらいの期間栄養補給が必要かによって変わります。胃ろうが検討される主なケース胃ろうは、口から十分に食べられない状態が続き、その状態が一定期間以上見込まれるときに検討されます。検討されるケース背景嚥下障害脳梗塞・神経難病などで飲み込む力が低下している誤嚥性肺炎の反復食べ物や唾液が気管に入り肺炎を繰り返す経口摂取量の低下食欲低下・認知症の進行で必要な栄養がとれない内服の困難口から薬を飲めず、確実な服薬が難しい最も多いのは、脳梗塞の後遺症やパーキンソン病・ALSなどの神経難病で飲み込む力(嚥下機能)が落ち、必要な栄養や水分が口からとれなくなるケースです。脳卒中後の嚥下障害については日本脳卒中学会が、神経難病に伴う症状については日本神経学会や難病情報センターが情報を公開しています。誤嚥性肺炎を短期間で繰り返す場合も、口からの摂取が肺炎の引き金になっていることがあり、胃ろうが選択肢に挙がります。ただし胃ろうを造ったからといって、口から一切食べられなくなるわけではありません。安全に飲み込める範囲で「お楽しみ程度」に口から食べ続ける方も在宅では多くいます。造設を急かされていると感じたときこそ、なぜ今この選択が必要なのかを主治医に確認してください。「胃ろうにするべきか」造設を迷う家族の不安とどう向き合うか胃ろうを造るべきか迷うのは当然のことであり、家族だけで結論を出そうとせず、本人の意思と医療チームの見立てを合わせて考えることが後悔を減らす近道です。胃ろうの相談を受けたご家族の多くが「これは延命なのではないか」「本人はこれを望むだろうか」という重い問いに直面します。答えのない問いを前に、兄弟姉妹の間で意見が割れたり、決めた後に自分を責めたりすることも珍しくありません。ここで大切なのは、家族が一人で背負い込まないことです。本人の価値観、医学的な見通し、介護できる体制の三つを、医療者と一緒に並べて考えることで、納得できる決断に近づけます。家族が抱えやすい不安胃ろうの決断で家族が抱える不安は、「延命への迷い」「後悔への恐れ」「管理できるかの心配」の三つに大きく分けられます。不安の種類よく聞かれる声延命への迷い「本人を苦しめる時間を延ばすだけでは」後悔への恐れ「造っても、造らなくても後悔しそう」管理への心配「自分に在宅で管理できるのか」家族間の対立「きょうだいで意見が合わない」経済的な心配「費用がどれくらいかかるのか」これらの不安は、どれも自然な感情です。抱くこと自体が、家族として真剣に向き合っている証拠だといえます。特に「延命かどうか」という問いは、胃ろうを「栄養をとる手段」と捉えるか「命を引き延ばす処置」と捉えるかで感じ方が大きく変わります。栄養がとれることで本人の体調が安定し、表情が戻り、家で穏やかに過ごせるようになるケースもあります。一方で、意識レベルが低く回復の見込みが乏しい状況では、造設が本人の望みに沿うのかを慎重に考える必要があるでしょう。大切なのは、これらの不安を医療者に率直に言葉にすることです。抱えている不安を共有できれば、専門職が一つずつ情報を補い、判断の材料を増やせます。本人の意思をどう確認するか本人が意思を伝えられる場合はその希望を最優先に、伝えられない場合は過去の言動から本人ならどう望むかを家族と医療者で推し量ります。本人の状態意思確認の方法意思を伝えられる本人に十分な情報を伝えたうえで希望を聞く伝えにくい過去の発言・価値観・生き方から推定する事前の意思表示ありエンディングノート・事前指示書を参照する近年は、本人・家族・医療者が繰り返し話し合って治療やケアの方針を共有するACP(アドバンス・ケア・プランニング/人生会議)の考え方が広がっています。元気なうちに「もし食べられなくなったらどうしたいか」を話しておくのが理想です。しかし実際には、その機会がないまま決断を迫られることも多いのが現実でしょう。その場合は、「本人が以前、どんな最期を望むと話していたか」「どんな価値観を大切にしていたか」を手がかりに、本人ならどう考えるかを家族で出し合います。ここで出た内容を医療者に伝えることで、本人不在の決定ではなく、本人の意思を代弁する決定に近づけます。医療チームと決めるための質問リスト主治医や多職種に具体的な質問を投げかけることが、漠然とした不安を「判断できる情報」に変えます。質問のテーマ具体的な質問例目的「胃ろうで何が改善すると見込めますか」見通し「造らない場合、どのような経過が考えられますか」期間「一時的なものか、長期に必要なものですか」生活「造った後、口から食べることは可能ですか」中止「状況が変わったとき、方針は見直せますか」こうした質問を事前にメモして受診に臨むと、その場の雰囲気に流されずに必要な情報を引き出せます。特に「造らない場合にどうなるか」は、判断のために欠かせない情報でありながら、聞きづらくて確認できないままになりがちです。医師に率直に尋ねて構いません。また、胃ろうは一度造ったら絶対に外せないものではなく、口からの摂取が回復すれば使わなくなる方もいます。方針は状況に応じて見直せると知っておくと、決断の重さが少し和らぎます。判断に迷うときは、退院前カンファレンスや訪問看護師など、身近な多職種にも相談してみてください。胃ろうのメリット・デメリットと家族が抱きやすい誤解胃ろうには栄養状態の安定や介護負担の軽減といったメリットと、皮膚トラブルや管理の手間といったデメリットの両面があり、正しい理解が誤解を解く鍵になります。胃ろうについては、インターネット上に断片的な情報や極端な意見が多く、実際とは異なるイメージが独り歩きしがちです。ここでは、在宅の現場で実際にどうかという視点から、メリット・デメリット・よくある誤解を整理します。胃ろうのメリット胃ろうの最大のメリットは、必要な栄養と水分を安定して確保でき、誤嚥のリスクを抑えながら在宅生活を続けやすくなることです。メリット在宅での実際栄養・水分の安定必要量を確実に補え、体調・体重が安定しやすい誤嚥リスクの低減食事による誤嚥性肺炎を減らせる場合がある介護負担の軽減長時間の食事介助から解放されることがある確実な服薬薬を溶かして注入でき、飲み残しが減る口からの摂取と両立安全な範囲でお楽しみ程度に食べ続けられる栄養がとれることで、これまで食事のたびにむせて苦しんでいた方が落ち着き、体重が戻り、日中の表情が明るくなることがあります。食事介助に毎回1時間以上かかっていたご家族が、その時間を別のケアや休息にあてられるようになるのも大きな変化です。薬を確実に届けられるため、飲み残しによる持病の悪化を防ぎやすくなる面もあります。胃ろうがあっても、嚥下の評価をしたうえで安全なら少量を口から楽しむことは可能で、食べる喜びをすべて失うわけではありません。こうしたメリットは、本人の状態や介護体制によって表れ方が異なります。胃ろうのデメリット・リスク胃ろうのデメリットは、ろう孔まわりの皮膚トラブルやカテーテルの管理が必要になり、家族に一定の手間と注意が生じることです。デメリット・リスク内容皮膚トラブルろう孔まわりの赤み・ただれ・肉芽(にくげ)カテーテルの交換種類により1〜6か月ごとに交換が必要自己(事故)抜去認知症などで管を抜いてしまうことがある注入時の不快下痢・嘔吐・逆流が起こることがある管理の心理的負担「間違えたらどうしよう」という不安ろう孔まわりは栄養剤や胃液で汚れやすく、清潔を保たないと皮膚が赤くただれたり、肉芽と呼ばれる盛り上がりができたりします。カテーテルは消耗品のため定期的な交換が必要で、種類によって間隔が異なります。認知症のある方では、管が気になって抜いてしまう自己抜去も起こりえます。注入の速度が速すぎると下痢や嘔吐、逆流を招くことがあり、体位や速度の調整が欠かせません。これらは適切なケアで多くが予防・対処できるものですが、家族だけで抱えると心理的な負担が大きくなります。だからこそ、訪問看護などの専門的な支援が力を発揮するのです。胃ろうにまつわるよくある誤解胃ろうには「口から食べられなくなる」「会話できなくなる」といった誤解が根強くありますが、多くは事実と異なります。よくある誤解実際もう口から食べられない嚥下評価で安全なら少量摂取は可能会話ができなくなる顔まわりに管がなく発声・会話に影響しないずっと寝たきりになる状態が安定し活動が広がる方もいる一度造ったら外せない経口摂取が回復すれば使わなくなる例もある苦痛を伴う処置だ造設後の日常のケアで強い痛みは通常ないなかでも「胃ろうにしたら口から食べられなくなる」という誤解は、多くのご家族が抱いています。実際には、言語聴覚士(ST)などによる嚥下評価を受け、安全が確認できれば、ゼリーや好物を少量口から楽しむことは十分に可能です。町田市で訪問しているある高齢の方は、胃ろうから栄養をとりながらも、昼だけは好物の茶碗蒸しを数口味わうのが日課で、その「食べる時間」がご本人の張り合いになっていました。胃ろうは顔まわりに何もないため、経鼻胃管と違って会話や表情を妨げません。むしろ栄養状態が整うことで活気が戻り、リハビリに取り組めるようになる方もいます。正確な情報に基づいて判断することが、後悔の少ない決断につながります。造設後、在宅生活は実際どう変わるか(1日の流れ・家族の役割)胃ろう造設後の在宅生活は、決まった時間の栄養注入とろう孔まわりのケアが日課に加わりますが、慣れれば生活リズムの一部として無理なく続けられます。「造ったあと、家での生活がどうなるのか想像できない」という声はとても多く聞かれます。ここでは、胃ろうがある方の1日の流れ、家族が担う具体的な管理、そして交換や費用の目安を、在宅での実際に沿って紹介します。胃ろうがある方の1日の流れ(例)胃ろうがある在宅生活では、朝・昼・夕の1日3回前後の栄養注入を軸に、その前後の準備と観察が生活に組み込まれます。時間帯主なケア朝体位を整え栄養剤を注入、口腔ケア、服薬日中注入の合間に離床・リハビリ・散歩など夕方栄養剤の注入、ろう孔まわりの観察・清拭就寝前白湯の注入、カテーテルの固定確認注入時は、逆流や誤嚥を防ぐために上半身を30〜45度ほど起こした姿勢をとり、注入後もしばらくその体位を保ちます。栄養剤の種類や量、注入速度は主治医の指示に沿って行い、速すぎないよう注意します。注入と注入の合間には、体を起こして過ごしたり、車いすで散歩に出たり、リハビリに取り組んだりと、活動の時間を確保できます。口から食べていなくても口腔ケアは欠かせません。口の中を清潔に保つことが、唾液による誤嚥性肺炎の予防につながるからです。こうした流れは、数週間もすれば多くのご家庭で自然な日課になっていきます。家族が担う日常の管理家族が在宅で担う主な管理は、栄養剤の注入、ろう孔まわりのスキンケア、そして毎日の観察の三つです。管理項目具体的な内容栄養注入指示された量・速度で注入し、体位を保つスキンケアろう孔まわりを清潔に保ち、乾燥させる観察赤み・ただれ・カテーテルのぐらつきを確認口腔ケア口から食べていなくても毎日行う記録注入量・排便・発熱などを簡単に記録する在宅では、こうした管理を家族が日常のなかで担いますが、最初からすべてを完璧にこなす必要はありません。退院前には病棟の看護師から手技の指導があり、退院後は訪問看護師が実際の家の環境に合わせて手技を確認し、つまずきやすいポイントを一緒に整えます。ろう孔まわりは、こすらず優しく洗って水分を拭き取り、乾いた状態を保つのが基本です。毎日の観察で「いつもと違う」に早く気づけると、トラブルの重症化を防げます。記録は手帳やスマートフォンのメモ程度で十分で、体調の変化を医療者に伝える手がかりになります。負担を感じたら、抱え込まずに訪問看護師へ相談してください。カテーテル交換・費用の目安カテーテルの交換は種類に応じて1〜6か月ごとに医療機関または訪問診療で行い、費用は医療保険・介護保険の対象になります。項目目安バルーン型の交換おおむね1〜2か月ごとバンパー型の交換おおむね4〜6か月ごと交換の場所外来受診または在宅(訪問診療)費用の枠組み医療保険(栄養剤・処置)+介護保険(訪問看護等)カテーテルは消耗品のため定期的に交換します。バルーン型は比較的短い間隔で、バンパー型は長めの間隔で交換するのが一般的です。交換は医療行為のため、外来を受診するか、通院が難しい場合は訪問診療の医師に自宅で行ってもらいます。費用は、栄養剤や処置に関わる部分が医療保険、訪問看護などのサービスが介護保険の対象となります。大まかな目安として、医療費の自己負担が1割の方であれば、栄養剤や衛生材料などにかかる分は月におおよそ数千円程度、訪問看護は利用回数に応じて自己負担が加わるのが一般的です。ただし自己負担割合や高額療養費制度、利用するサービスの量によって実際の金額は大きく変わります。介護保険や医療費の制度については、厚生労働省「介護・高齢者福祉」や地域包括支援センター、ケアマネジャーに相談すると、世帯の状況に合った見通しを立てやすくなります。費用の心配は、早めに専門職へ相談することで具体的に整理できます。訪問看護が家族の不安と在宅生活をどう支えるか(町田市・相模原市の実践から)訪問看護は、胃ろうの手技確認から皮膚トラブルの予防、緊急時の判断、そして家族の心理的な支えまでを担い、在宅での胃ろう管理を家族と二人三脚で支えます。胃ろうがあっても、訪問看護を活用すれば在宅での介護は十分に続けられます。ここでは、訪問看護師が具体的に何を行い、どのように家族の負担を軽くするのかを、現場の視点から紹介します。もし今、退院を控えて不安を感じているなら、お問い合わせから気軽にご相談ください。訪問看護師が行う胃ろうケア訪問看護師は、ろう孔まわりの観察・処置、注入手技の確認、全身状態のチェックを定期的に行い、トラブルを未然に防ぎます。ケア内容目的ろう孔の観察・処置皮膚トラブル・肉芽の早期発見と対処注入手技の確認家族の手技を見守り、負担なく続けられるよう調整全身状態の評価栄養状態・脱水・発熱などの変化を把握カテーテルの管理ぐらつき・詰まり・固定の確認口腔ケアの支援誤嚥性肺炎の予防訪問看護師は定期的に自宅を訪問し、ろう孔まわりに赤みやただれ、肉芽がないかを観察して、必要に応じて処置やケア方法の調整を行います。家族が行う注入の様子を見守り、姿勢や速度、清潔操作でつまずいている点があれば、その場で具体的に助言します。あわせて、体重の変化や脱水の兆候、発熱の有無など全身状態を評価し、早めに主治医と連携します。カテーテルのぐらつきや詰まりといった小さな変化にも気づける専門的な目。それがあることは、ご家族にとって大きな安心材料になります。家族の負担を減らす具体的なサポート訪問看護は、手技の代行や助言に加えて、家族が抱える不安を受け止める心理的な支えとしても機能します。家族の困りごと訪問看護のサポート手技に自信がない実際の場面で手技を確認・指導トラブルが怖い予防のコツと、起きたときの対処を共有相談相手がいない医療的な疑問にいつでも応じる窓口になる休む時間がないサービス調整でレスパイト(休息)を支援病状の変化が不安定期評価で早期に気づき主治医へつなぐ町田市・相模原市で在宅の胃ろう管理を支える中で特に多いのが、「手技はできるが、これで合っているか不安」という声です。退院直後のご家族は、病院で教わった通りにやっていても、家という慣れない環境では自信を持ちにくいものです。ある高齢のご夫婦の世帯では、栄養注入を担う妻自身も持病を抱えていました。訪問のたびに手技を一緒に確認し、体位の工夫を重ねることで、少しずつ「これでいい」と思えるようになっていったのです。訪問看護は、手技の支援だけでなく、こうした心細さに寄り添い、必要に応じてケアマネジャーと連携して家族が休息をとれる体制を整えることも役割の一つです。介護を一人で背負わないための伴走者として活用してください。緊急時の対応と受診の目安カテーテルが抜けた、発熱した、嘔吐が続くといった緊急時には、あわてず状況を確認し、訪問看護や主治医に連絡することが基本です。緊急のサイン家族の初期対応カテーテルが抜けたろう孔を塞がないようにし、すぐ連絡(時間との勝負)発熱が続く誤嚥性肺炎・感染の可能性。主治医へ連絡嘔吐・逆流が続く注入を中止し体位を確認、連絡して指示を仰ぐろう孔から出血・強い痛み処置が必要な可能性。連絡して受診を検討注入物が漏れるカテーテルの状態を確認し相談特に注意したいのがカテーテルの抜去です。抜けたまま時間が経つとろう孔が縮んで塞がり、再挿入が難しくなることがあります。だからこそ、抜けたらできるだけ早く連絡してください。発熱が続く場合は誤嚥性肺炎などの感染が疑われ、早めの受診が必要です。嘔吐や逆流が続くときは、いったん注入を止めて体位を確認し、自己判断で再開せず指示を仰いでください。こうした緊急時にどう動くかを、あらかじめ訪問看護師と決めておくと、いざというときに落ち着いて対応できます。判断に迷う症状があれば、我慢せずお問い合わせください。胃ろうについて家族からよく寄せられる質問(FAQ)胃ろうに関して家族から実際によく寄せられる質問に、在宅ケアの視点からお答えします。Q1. 胃ろうにしたら、もう口から食べられなくなりますか?いいえ、必ずしもそうではありません。言語聴覚士などによる嚥下評価を受け、安全が確認できれば、ゼリーや好物を少量、お楽しみ程度に口から食べ続けることは可能です。胃ろうは「口から食べる」ことを禁止するものではなく、必要な栄養を安定して補いながら、安全な範囲で食べる喜びを残す方法でもあります。どこまで口から食べられるかは、嚥下機能の評価に基づいて主治医やSTと相談して決めます。Q2. 胃ろうをしないと、どうなりますか?口から十分な栄養や水分がとれない状態が続くと、体重の減少、脱水、体力や免疫力の低下が進んでいきます。ただし、これは今すぐに何かが起こるという意味ではなく、時間をかけて少しずつ進む経過です。胃ろうを造らないという選択にも、自然な経過を穏やかに見守るという考え方があり、どちらが正しいと一概には言えません。造らない場合に予想される経過を主治医に具体的に聞いたうえで、本人の意思や価値観を軸に判断することが大切です。Q3. 主治医から胃ろうを勧められましたが、断る(造設しない)選択肢はありますか?あります。胃ろうを造るかどうかは本人・家族の意思で決めるものであり、勧められたからといって必ず造らなければならないわけではありません。造らない場合には、点滴による水分補給や、口から食べられる範囲で楽しむ緩和的なケアなど、別の方針も選べます。迷うときは、造る場合と造らない場合それぞれの見通しを主治医に確認し、ACP(人生会議)の考え方で医療者と繰り返し話し合ってください。Q4. 在宅での胃ろう管理は、家族でもできますか?はい、多くのご家族が在宅で管理しています。栄養注入やろう孔まわりのケアは、退院前の指導と退院後の訪問看護のサポートを受けながら、数週間で日課として身につく方がほとんどです。最初から完璧を目指す必要はなく、つまずいた点は訪問看護師に相談しながら整えていけます。介護を一人で抱え込まず、専門職と分担する体制をつくることが長く続けるコツです。Q5. 胃ろうにかかる費用は、どれくらいですか?栄養剤や処置に関わる部分は医療保険、訪問看護などのサービスは介護保険の対象となり、自己負担割合や高額療養費制度によって実際の負担額は変わります。世帯ごとに条件が異なるため、具体的な金額は加入している保険やケアプランによって差が出ます。費用の見通しは、ケアマネジャーや地域包括支援センターに早めに相談し、世帯の状況に合わせて整理しておくと安心です。Q6. 胃ろうがあっても、介護施設や老人ホームに入居できますか?はい、胃ろうに対応している施設であれば入居は可能です。ただし、看護職員の配置や医療的ケアの体制は施設によって異なるため、入居前に胃ろうの管理に対応できるかを必ず確認してください。特別養護老人ホームや介護老人保健施設、一部の有料老人ホームなどで受け入れ実績があります。在宅と施設のどちらがよいかは、家族の介護力や本人の希望を踏まえて、ケアマネジャーと相談しながら選ぶとよいでしょう。Q7. 胃ろうカテーテルの交換頻度や種類は、どのくらいですか?カテーテルは、胃の内側の固定方法によってバルーン型が1〜2か月ごと、バンパー型が4〜6か月ごとを目安に交換します。お腹の外側の形にはボタン型とチューブ型があり、在宅では目立たず自己抜去しにくいボタン型が選ばれることが多くあります。交換は医療行為のため、外来受診または訪問診療で医師が行います。どのタイプが合うかは、本人の活動性や介護のしやすさを踏まえて主治医と相談します。Q8. 訪問看護を使えば、胃ろうがあっても在宅介護は続けられますか?はい、続けられます。訪問看護師が定期的にろう孔の観察や手技の確認、全身状態の評価を行い、家族だけでは気づきにくい変化を早期にとらえます。緊急時の対応をあらかじめ決めておくことで、いざというときも落ち着いて動けます。手技の支援に加えて、家族の不安に寄り添い、休息をとれる体制づくりまで支えるのが訪問看護の役割です。胃ろうがあることを理由に在宅をあきらめる必要はありません。まとめ胃ろう(PEG)は、口から十分に食べられなくなったときに、必要な栄養と水分を安定して補いながら在宅生活を続けるための選択肢です。造るべきか迷うのは家族として真剣に向き合っている証拠であり、本人の意思・医学的な見通し・介護できる体制の三つを医療者と一緒に並べて考えることで、後悔の少ない決断に近づけます。造設後は栄養注入やスキンケアが日課に加わりますが、慣れれば生活リズムの一部になり、口から食べる楽しみを安全な範囲で残すことも可能です。そして、胃ろうがあっても訪問看護を活用すれば在宅での介護は十分に続けられます。一人で抱え込まず、専門職と分担する体制をつくることが、家族にとっても本人にとっても穏やかな在宅生活につながります。ピース訪問看護ステーションにご相談ください胃ろうの造設を迷っている段階でも、造設後の在宅生活が始まってからでも、私たちがご家族と一緒に不安を整理し、日々のケアを支えます。こんな方はぜひご相談ください:主治医から胃ろうを勧められ、造るべきか迷っているご家族退院を控え、在宅での栄養注入やろう孔のケアに不安がある方胃ろうのある家族の介護を、一人で抱え込んで疲れている方ピース訪問看護ステーションができること:定期訪問でのろう孔観察・スキンケアと、注入手技の確認・指導皮膚トラブルや発熱など、急変時の対応と主治医との連携ケアマネジャーと連携した、ご家族が休息をとれる体制づくり町田市・相模原市・多摩市など東京都南部を中心に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。関連記事胃ろうの在宅管理で家族が知っておくべきこと|日常の注意点とトラブル対処法誤嚥性肺炎の在宅予防|繰り返さないための家族の対応ガイド訪問リハビリで受けられる言語聴覚士(ST)の嚥下・失語支援とは?高齢者が避けたい低栄養とその予防法、訪問看護でできる栄養管理認知症の終末期ケア、在宅看取りで家族が迷う選択肢参考文献一覧日本栄養治療学会(JSPEN、旧・日本臨床栄養代謝学会)https://www.jspen.or.jp/出典:日本脳卒中学会https://www.jsts.gr.jp/出典:日本神経学会https://www.neurology-jp.org/出典:難病情報センターhttps://www.nanbyou.or.jp/出典:厚生労働省「介護・高齢者福祉」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理、地域医療連携、在宅看取り支援に積極的に取り組んでいる。island-piece.jp 株式会社isLand|訪問看護・居宅介護支援・訪問介護|町田市