高齢者に多く見られる大腿骨骨折は、日常生活を一変させる大きな出来事です。転倒をきっかけに起こることが多く、要介護状態の引き金にもなりかねません。本記事では、高齢者の大腿骨骨折について、その原因や予防法、治療法、リハビリ、再発防止策に至るまで網羅的に解説します。1. 高齢者に多い大腿骨骨折とは?大腿骨骨折は、太ももの骨が折れる状態を指し、高齢者では特に股関節周辺(大腿骨近位部)に多く発生します。主な部位は「大腿骨頸部」と「転子部」です。骨折部位特徴頸部骨折骨の内部にあるため自然治癒しづらい転子部骨折出血が多く、早期手術が望ましい2. 骨折の主な原因とリスク要因高齢者における骨折の主な原因は「転倒」です。転倒リスクを高める要因には以下が挙げられます。骨粗しょう症筋力低下視力の低下内服薬によるふらつき室内の段差や滑りやすい床特に骨粗しょう症は、骨の脆弱化により骨折しやすくなるため注意が必要です。3. 診断と治療の流れ骨折が疑われる場合、まずはレントゲンやCTなどの画像診断を行います。診断が確定すると、患者の年齢や健康状態に応じて治療方針が決定されます。治療法概要保存療法手術をせずに安静・牽引などで治療手術療法ネイルやプレート、人工関節で固定4. 入院から手術・リハビリの流れ高齢者の骨折治療では、早期の離床・リハビリが予後を左右する重要な要素です。入院:痛みと状態の確認手術:骨の固定や人工関節置換リハビリ開始:術後1〜2日から起立や歩行訓練退院:自宅または介護施設への移行術後の治療期間の目安術後の入院期間は一般的に2〜4週間程度ですが、全身状態や自立度により個人差があります。退院後も継続的なリハビリが必要です。日常生活に支障が残ったままであれば、リハビリ病院に転院して2ヶ月前後、最大3ヶ月までリハビリを行うこともあります。5. リハビリの重要性と内容リハビリは、日常生活に戻るための重要なステップです。関節の可動域訓練筋力強化訓練(特に下肢)歩行訓練(杖や歩行器の活用)自宅環境に応じた動作訓練患者の状態に合わせた個別リハビリプランが回復の鍵となります。簡単なリハビリ例椅子に座った状態での足踏み運動寝た状態での足上げ体操平行棒や手すりを使った立位練習6. 再発防止と在宅での注意点一度骨折を経験した高齢者は、再発のリスクが高くなります。そのため、再発防止に向けた取り組みが不可欠です。対策内容骨粗しょう症治療ビタミンD・カルシウム摂取、薬物療法自宅の環境整備段差解消、手すり設置、照明強化運動・バランス訓練転倒予防の体操やストレッチ歩行補助具の選定ポイント軽度の不安定さ:T字杖やロフストランドクラッチ中等度以上の不安定さ:歩行器(前輪付、4点杖など)状態に応じて理学療法士が評価・選定します7. 家族や介護者ができる支援高齢者本人の努力だけではなく、家族や介護者の支援が回復を後押しします。声かけや見守りによる心理的な支え転倒リスクを減らす環境づくり定期的な受診やリハビリ通院の同行退院後の訪問リハビリの活用退院後は、訪問リハビリを利用することで自宅にいながら専門的な支援を受けることができます。項目内容対象者歩行や動作に不安がある要介護・要支援者提供内容理学療法士や作業療法士の訪問訓練利用方法ケアマネジャーを通じて介護保険で申請まとめ高齢者の大腿骨骨折は、単なるケガではなく、その後の生活を大きく左右する重大な転機です。早期の治療とリハビリ、再発防止策を講じることで、元の生活に近づけることが可能です。本人の努力だけでなく、周囲の理解と支援が何よりも重要です。関連記事高齢者の転倒予防と対策:健康寿命を延ばすためにできること訪問リハビリの対象者と利用条件とは?自宅療養を支えるリハビリ支援のすべて車椅子を介護保険でレンタルするには?利用条件と選び方を徹底解説町田市で訪問看護や介護サービスについて知りたい方は、ピース訪問看護ステーションの公式サイトもあわせてご覧ください。▶ https://island-piece.jp/service/houmonkango