1. パーキンソン病とは?まず知っておきたい基礎知識パーキンソン病ってどんな病気?項目内容病気の分類神経変性疾患(脳の神経細胞が徐々に減っていく病気)主な原因脳内のドパミン神経が減少すること好発年齢50〜70代に多い患者数日本では令和2年(2020年)の厚生労働省『患者調査』で約29万人が受療していると推計されていますパーキンソン病は、脳内で運動を調整する働きを担うドパミン神経が徐々に減っていく病気です。発症すると、ふるえ、筋肉のこわばり、動作が遅くなるなどの「運動症状」が出てきます。また、進行すると歩行や日常生活に大きな影響を与えることもあります。高齢化が進む日本では患者数が増加しており、誰にとっても身近な病気となりつつあります。パーキンソン病は進行性ですが、治療やケアにより症状を和らげ、生活の質を高めることができます。早めの気づきと対応が重要です。出典:厚生労働省「患者調査(令和2年)」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/index.html体にあらわれる主な症状(ふるえ・動きにくさなど)主な運動症状特徴安静時振戦じっとしているときに手足がふるえる筋固縮筋肉がこわばり、動かしにくい寡動(動作緩慢)動作がゆっくりになり、表情も乏しくなる姿勢保持障害転びやすく、体のバランスを崩しやすいパーキンソン病の代表的な症状は、安静時に出るふるえ(振戦)や筋肉のこわばり(筋固縮)です。動作が遅くなる「寡動」や、姿勢を保てず転倒しやすくなる「姿勢保持障害」も特徴的です。これらは病気の進行とともに強くなる傾向があり、日常生活にさまざまな制限をもたらします。特に転倒は骨折や寝たきりにつながるため、注意が必要です。気持ちや生活にも関わる症状(便秘・眠れない・気分の落ち込みなど)非運動症状具体例自律神経症状便秘・排尿障害・立ちくらみ睡眠障害眠れない・夢を見て体を動かす精神症状不安・うつ・幻覚感覚障害匂いが分からなくなる・痛みパーキンソン病は「動きの病気」と思われがちですが、実際には非運動症状も多くみられます。便秘や排尿障害、睡眠の質の低下は早期から現れることがあります。また、気分の落ち込みや不安、さらには幻覚といった精神的な症状が出ることも少なくありません。これらは本人の生活の質(QOL)を大きく左右するため、運動症状と同じように重視する必要があります。出典:WHO「Parkinson disease(Fact sheet)」 https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/parkinson-disease2. パーキンソン病で「目が開かない」症状と原因よくある症状(まぶたが上がらない・まぶしさ・けいれん)症状特徴まぶたが上がらない意識しても目を開けにくい光にまぶしい屋外や強い光で目を細めるまぶたのけいれん勝手にまぶたが動く・閉じてしまうパーキンソン病の患者さんの中には、「まぶたが重くて開かない」「光がまぶしくて目を開けていられない」と感じる方がいます。これは単なる疲れ目ではなく、病気による神経や筋肉のコントロールの異常が関係しています。ときにはけいれんが加わり、本人の意思とは関係なく目が閉じてしまうこともあります。考えられる原因(筋肉・神経・薬の影響)原因説明眼瞼けいれんまぶたを閉じる筋肉が過剰に動いてしまう眼瞼下垂まぶたを持ち上げる筋肉が弱る開瞼失行神経の異常でまぶたが開かなくなる薬の副作用薬によって一時的に症状が強まることも「目が開かない」という症状の背景にはいくつもの原因があります。特に、眼瞼けいれんやジストニアといった運動の誤作動は、パーキンソン病に特徴的な症状のひとつです。また、治療に使う薬の副作用で一時的にまぶたが開きにくくなることもあり、症状の経過や服薬状況を含めて総合的に判断する必要があります。出典:日本眼科学会「眼瞼けいれん」 https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=10脳神経内科や眼科で相談したほうがいいケース受診の目安理由急に目が開かなくなった脳梗塞など別の病気の可能性薬を飲んだあと症状が強まる副作用の可能性光で悪化する眼瞼けいれんの特徴「疲れのせい」と見過ごされがちですが、症状が急に出たり、日常生活に大きな影響を与える場合は受診が必要です。脳神経内科や眼科での診察により、原因を見極め適切な対応が可能になります。3. 日常生活で困りやすい場面外出や移動のときに困ること場面困りごと外出光がまぶしく、目を開けて歩けない歩行足元が見づらく転倒のリスク車の乗降動作が遅く危険を伴う目が開きにくい状態は、外出や移動に大きな影響を与えます。強い光にさらされると症状が悪化しやすいため、屋外での歩行は特に危険です。視野が狭くなり足元が見えにくくなることで、転倒や交通事故のリスクが高まります。外出を控えるようになると、活動量が減り、さらに筋力や体力の低下を招く悪循環に陥ることもあります。読書やテレビ、家事での不便さ活動不便さ読書行を追えない、文字がかすむテレビ映像が見づらく内容がわかりにくい家事包丁や火を扱うと危険視覚が制限されると、趣味や家事といった日常生活の場面で困難が増えます。読書やテレビ鑑賞といった余暇活動が制限されることで、気持ちの落ち込みや孤独感につながることもあります。家事では、火や刃物の使用が危険になるため、家族のサポートが欠かせません。人とのコミュニケーションや気持ちへの影響状況影響会話相手の表情が見えにくい自分の表情目が開かず無表情に見える気持ち不安・孤独感が強まる目が開かないと、人とのコミュニケーションにも支障が出ます。相手の表情が読み取りにくくなり、会話の理解が難しくなることもあります。自分の表情も乏しく見えるため、周囲から誤解されることも少なくありません。このような状況が続くと、孤独感や不安感が強まり、生活の質を大きく損なうことになります。4. 他の病気との見分け方他の病気の可能性(進行性核上性麻痺・眼瞼けいれんなど)疾患名目の症状の特徴併発しやすい所見・ポイント受診の目安進行性核上性麻痺(PSP)下方注視障害、眼球運動の制限、まぶたの開けにくさ早期からの転倒、姿勢保持の困難、構音・嚥下障害神経内科へ早期受診眼瞼けいれん強い羞明(光過敏)で意思に反して閉瞼疲労・乾燥で悪化、ボツリヌス療法が第一選択神経内科・眼科へ眼瞼下垂上まぶたが物理的に下がることで視野が狭い加齢・神経麻痺など多様な原因、手術適応も眼科で評価開瞼失行(ALO)筋力は残るが「意図的に開けられない」パーキンソン病・PSPで見られる神経内科で精査「目が開かない」という症状はパーキンソン病だけでなく、PSP(進行性核上性麻痺)、眼瞼けいれん、眼瞼下垂、開瞼失行などさまざまな疾患で見られます。とくに眼瞼けいれんは羞明が高頻度であり、ボツリヌス療法が第一選択として推奨されています。自己判断せず、神経内科と眼科の連携診療を受けることが正しい対応です。出典:日本眼科学会「眼瞼けいれん」 https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=10出典:難病情報センター「進行性核上性麻痺」 https://www.nanbyou.or.jp/entry/4114受診を検討した方がよいサインサイン意味すること急に目が開かなくなった脳血管障害など別の病気の可能性薬を飲んだあとに症状が強まる薬の副作用の可能性光がまぶしくて生活に支障がある眼瞼けいれんの特徴こうしたサインがあるときは、「年齢のせい」や「疲れのせい」と片付けず、神経内科や眼科に相談しましょう。早めに受診することで、生活の質を保ちやすくなります。5. 治療とケアの方法薬の調整や変更で改善できる場合方法内容薬の調整レボドパの量や服薬タイミングを調整薬の変更副作用が強ければ薬を変更追加薬ジストニア対策で追加薬を検討薬が原因となっている場合は、処方の調整だけで改善することがあります。ただし、抗パーキンソン病薬を自己判断で急に中止・減量するのは極めて危険です。急な中止は悪性症候群(parkinsonism-hyperpyrexia syndrome/NMLS)を引き起こし、発熱・筋強剛・意識障害など重篤な症状に至る場合があります。必ず主治医の指示のもとで調整してください。出典:日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018」 https://www.neurology-jp.org/guidelinem/parkinson_2018.htmlボツリヌス療法(眼瞼けいれん等への注射治療)治療法特徴ボツリヌス療法筋肉の異常な収縮を抑える注射効果数か月持続し、症状を和らげる注意点一時的にまぶたが重くなることがある眼瞼けいれんや開瞼ジストニアに対する第一選択治療はボツリヌス療法です。筋肉の過剰な収縮を抑え、自分の意思で目を開けやすくする効果があります。効果は3〜4か月持続し、繰り返し施術することで安定した改善が期待できます。副作用として一時的にまぶたが重くなることがありますが、多くは可逆的です。出典:日本神経眼科学会「眼瞼けいれん診療ガイドライン」 https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/keiren.pdf日常生活での工夫(光や環境の調整、目を休める習慣)工夫内容光の調整サングラスや帽子を活用環境整備室内照明をやわらかくする休息定期的に目を閉じて休む日常生活でのちょっとした工夫も、症状の改善につながります。光を避けることや環境を整えることは、無理なく取り入れられる対策です。6. リハビリやセルフケアでできることまぶたの運動やストレッチ方法効果まばたき体操涙の分泌を促進、筋肉の動きを維持開閉運動まぶたを意識的に開閉する練習表情筋ストレッチ顔全体の筋肉を和らげる簡単な運動を習慣にするだけでも、まぶたの筋肉を保ちやすくなります。毎日続けることが大切です。目を温める・乾燥を防ぐケアケア効果蒸しタオル血流を改善し筋肉をほぐす人工涙液点眼乾燥感を軽減加湿室内の乾燥を防ぐセルフケアは手軽に取り入れられ、リラックス効果も期待できます。症状の悪化を防ぐ役割も果たします。見やすい環境づくり(部屋の明るさや配置)工夫内容照明調整明るすぎない光にするコントラスト床に目印をつける配置家具を整理して安全に歩けるようにする視覚環境を整えることで、生活の安全性が向上します。特に転倒予防の効果が大きく、日常生活を快適にします。7. 家族や介護者ができるサポート外出や安全を助ける工夫工夫効果手を添えて歩く転倒を防ぐサングラスを準備急な光に対応外出時間を工夫混雑や強い日差しを避ける家族のサポートがあることで、外出の不安が軽減されます。安心感を持って活動できるようになります。気持ちを支える声かけや関わり方声かけ効果「ゆっくりで大丈夫」焦りを減らす穏やかなトーンで話す安心感を与える表情を意識するコミュニケーションを取りやすくする気持ちを支える関わり方は、生活の質を大きく左右します。安心して日常を送る力になります。地域の支援制度の活用制度内容難病医療費助成医療費の自己負担を軽減介護保険サービス訪問介護・デイサービスなど福祉用具レンタル手すり・歩行器などの貸与地域の制度を利用することで、本人や家族の負担を大きく減らせます。難病医療費助成や介護保険を活用し、必要なサービスを早めに導入することが大切です。8. 訪問看護・訪問リハビリの利用について訪問看護で受けられるサポートサービス内容症状管理体調観察・内服管理医療的処置褥瘡ケア・点滴など夜間対応緊急時に訪問可能訪問看護は原則として介護保険が優先されます。ただし「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する場合や、医師の特別訪問看護指示書がある場合は医療保険でも利用可能です。パーキンソン病は対象に含まれており、体調や制度の状況に応じて選択できます。出典:厚生労働省「訪問看護」 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000661085.pdf訪問リハビリでできることリハビリ内容効果運動療法筋力・柔軟性を維持バランス訓練転倒予防生活動作訓練更衣・食事などを安全に行えるよう支援訪問リハビリでは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が自宅に訪問し、生活に即したリハビリを提供します。パーキンソン病の特徴に合わせた運動・姿勢改善を通じて、転倒予防や日常生活の自立を支援します。町田市にお住まいの方へ:ピース訪問看護ステーションのご案内在宅でパーキンソン病と向き合うことは、患者さんご本人にとっても、ご家族にとっても大きな挑戦です。「転倒の不安」「薬の管理の難しさ」「介護者の疲れ」――これらを一人で抱えるのは容易ではありません。ピース訪問看護ステーションは町田市を拠点に、地域の医療機関や介護サービスと連携しながら、安心して在宅生活を送れるようサポートしています。必要に応じていつでも連絡できる体制を整えており、「もしものときに頼れる存在」です。スタッフ体制(2025年9月時点)職種人数特徴看護師9名医療的ケアや症状観察、夜間対応も可能リハビリスタッフ13名理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が在籍ケアマネジャー6名医療と介護をつなぐ役割を担当ピース訪問看護ステーションの特徴特徴詳細夜間対応夜間の急な体調不良や転倒にも対応可能リハビリ専門職の充実在宅生活に合った支援が受けられるケアマネジャー連携医療・介護・リハビリをまとめてサポートパーキンソン病支援経験多数の症例に関わり専門性を蓄積地域連携町田市内のクリニックと定期的に勉強会を開催ピース訪問看護ステーションは、パーキンソン病をはじめとした神経疾患の支援経験が豊富です。ご本人の体調管理だけでなく、ご家族の介護負担を軽減しながら、利用者が住み慣れた自宅で安心して暮らせるよう全力でサポートしています。👉 ぜひ町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。9. まとめ:早めに相談して安心できる生活をパーキンソン病は運動症状と非運動症状の両面で生活に影響します。「目が開かない」症状は眼瞼けいれん・開瞼失行・PSPなど複数の要因があり、自己判断は禁物です。治療は薬物調整・ボツリヌス療法・セルフケアを組み合わせて行います。家族や介護者の支え、そして訪問看護・訪問リハビリの導入で安心した生活が可能になります。自己判断で薬を中止せず、必ず主治医と相談してください。👉 ぜひ町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。関連記事パーキンソン病とパーキンソン症候群の違いを徹底解説、症状・診断・治療・生活支援までパーキンソン病の原因を徹底解説、遺伝・環境・生活習慣との関係パーキンソン病のヤール分類とは?重症度の目安と在宅ケア・リハビリとの関係パーキンソン病のウェアリングオフ現象とは?症状と対応策を解説パーキンソン病リハビリ徹底ガイド、訪問看護と在宅支援で生活機能を守る最新実践参考文献一覧厚生労働省「患者調査(令和2年)」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/index.html厚生労働省「訪問看護」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000661085.pdf厚生労働省「介護保険制度」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000183318.htmlWHO「Parkinson disease」 Fact sheethttps://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/parkinson-disease日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018」https://www.neurology-jp.org/guidelinem/parkinson_2018.html日本眼科学会「眼瞼けいれん」https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=10日本神経眼科学会「眼瞼けいれん診療ガイドライン」https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/keiren.pdf難病情報センター「進行性核上性麻痺」https://www.nanbyou.or.jp/entry/4114日本リハビリテーション医学会「パーキンソン病に対するリハビリテーション」https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/53/7/53_524/_pdfAASM(米国睡眠医学会)「Best Practice Guide for the Treatment of REM Sleep Behavior Disorder」https://jcsm.aasm.org/doi/full/10.5664/jcsm.2600本記事の執筆者・監修者プロフィール【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。