腎臓は、体の老廃物を取り除くだけでなく、水分と塩分のバランスを保つ重要な臓器です。その働きが低下すると、余分な水分が体にたまり、「足のむくみ」として現れます。本記事では、腎臓病とむくみの関係、自宅でのチェック方法、治療・予防法、そして町田市での訪問看護活用までを詳しく解説します。1. 腎臓と足のむくみの関係腎臓のはたらきと体の水分バランス腎臓の主な役割内容水分と塩分の調整ナトリウムと水を体外へ排出し、体液の濃度を一定に保つ老廃物の排出血液をろ過し、不要な老廃物を尿として排出するホルモン分泌血圧調整の「レニン」、造血を促す「エリスロポエチン」を分泌する腎臓は、1日あたりおよそ180リットルの血液成分をろ過し、そのうち必要な成分を再吸収しながら、最終的に約1.5リットルの尿を作り出します。この働きにより、体の水分・塩分・老廃物のバランスが細かく保たれています。しかし、腎臓の機能が落ちると水分や塩分をうまく排出できず、血管の外に余分な水分が漏れ出てしまいます。その結果、足やくるぶしが腫れ、靴下の跡が深く残るようなむくみを引き起こします。こうした変化は腎臓病の初期サインでもあり、早めに気づくことが重要です。出典:厚生労働省「慢性腎臓病(CKD)の基礎知識」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000183010.htmlなぜ腎臓が悪くなると足がむくむのか原因内容水・ナトリウムの排出低下余分な水分が体に残り、血管外にしみ出す低アルブミン血症血液中のたんぱく質が減り、水分保持力が低下する高血圧血管内圧が上がり、水分が末端にたまりやすくなる腎臓は、血液をろ過して老廃物を尿に排出する「体のフィルター」です。この機能が低下すると、余分な水やナトリウムを体外に出せず、血液中の水分量が増えます。その状態が続くと、血管内圧が高まり、水分が毛細血管の外へ漏れ出してむくみを引き起こします。また、腎疾患では血液中のたんぱく質(アルブミン)が尿へ漏れ出し、血管内に水をとどめる力が弱まります。結果として、足首やふくらはぎ、時には顔や手までむくむようになります。こうした症状は、慢性腎臓病(CKD)やネフローゼ症候群に特に多く見られます。むくみを放置するとどうなる?放置した場合結果体重増加水分貯留で数日で2〜3kg増えることがある息切れ水が肺にたまり、呼吸が苦しくなる腎臓・心臓への負担循環負担が増し、機能低下をさらに進める足のむくみを「疲れのせい」と思って放置してしまう方は多いですが、これは非常に危険です。腎臓がうまく働かず水分をため込んでいると、血圧が上昇し心臓への負担も増します。さらに進行すると肺にも水がたまり、呼吸困難や倦怠感が強く出るようになります。数日で2kg前後の体重増加は明らかな水分貯留のサインです。放置すれば5kg以上の全身浮腫へと進展することもあり、早期受診が欠かせません。2. 「足のむくみ」とは?原因と見分け方むくみの種類(全身性・部分的)むくみの種類主な原因全身性腎臓・心臓・肝臓など臓器の異常部分的血流やリンパの滞り、ケガや姿勢の影響一過性塩分過多・長時間の立ち仕事・運動不足などむくみは「全身性」と「部分的」に分かれます。腎臓や心臓など全身の水分バランスを調整する臓器に異常があると、両足や顔など広い範囲にむくみが現れます。一方で、片足や一部だけのむくみは、血流の障害やリンパの流れの滞り、外傷などが原因のことが多いです。全身性のむくみは放置すると命に関わる疾患が隠れていることもあるため、単なる疲労と決めつけず、医療機関での評価が大切です。出典:日本腎臓学会「腎臓病とむくみ」https://jsn.or.jp/public/disease/ckd/朝と夜で違う?時間帯むくみの特徴朝顔やまぶたに出やすい(体の上部に水分が移動)夜足に出やすい(重力により下半身に水分がたまる)朝に顔がむくみ、夜になると足が腫れる。この変化は、体内の水分移動による自然な現象でもありますが、腎臓や心臓にトラブルがある場合は症状が強く現れます。特に朝の顔のむくみはネフローゼ症候群や腎炎などで目立ちやすいため、注意が必要です。こうした時間帯による変化を観察することで、むくみの原因が「腎臓由来」なのか「血流・姿勢由来」なのかを見極めるヒントになります。危険なサインサイン意味数日で2kg体重増加水分貯留による腎・心機能低下の可能性息苦しさや夜間呼吸困難水が肺にたまり始めている状態片足だけの腫れや痛み深部静脈血栓症の疑いあり(救急対応が必要)むくみが急に悪化した、体重が短期間で増えた、または息苦しさが出るといった症状は、腎臓・心臓・肺などの臓器に問題が生じているサインです。こうした症状を軽視すると、心不全や腎不全の進行につながりかねません。片足だけの腫れと痛みがある場合は、血栓(深部静脈血栓症)の危険があるため、速やかな受診が必要です。3. 腎臓の病気でむくみが起こる理由慢性腎臓病(CKD)の進行と水分のたまり方病期(GFR区分)特徴G1〜G2(正常〜軽度低下)自覚症状なし。尿たんぱくや血尿が初期サイン。G3a〜G3b(中等度低下)むくみ・高血圧・倦怠感が出やすい。G4〜G5(高度〜末期)尿が減少し、全身にむくみや息苦しさが出る。慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の構造や機能の異常が3か月以上持続する状態を指します。重症度は、腎機能(GFR値)と尿中アルブミン量の組み合わせで評価され、G1〜G5、A1〜A3に分類されます。腎臓が少しずつ働かなくなると、体内に塩分や水分がたまり、足のむくみや高血圧が出現します。特にG3以降では症状が顕著になり、尿の量が減る、体重が増える、息苦しさを感じるなどの変化が見られます。早期発見と生活改善で進行を防ぐことが重要です。出典:日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン」https://jsn.or.jp/guideline/ckd/ネフローゼ症候群と「尿たんぱく」の関係項目内容尿たんぱく血液中のたんぱく質が尿に漏れ出す状態血清アルブミン減少すると血管内の水分保持力が低下する浮腫の特徴顔や足に加え、腹部や全身にむくみが広がるネフローゼ症候群は、腎臓のろ過膜が損傷して血液中のたんぱく質が尿に漏れ出す病気です。その結果、血液中のアルブミンが減少し、血管内の水分を維持できずに全身の組織へしみ出してしまいます。朝の顔の腫れや足のむくみが強く出るのが特徴で、進行すると腹部や背中にも水がたまることがあります。治療には、原因に応じた薬物療法(ステロイドや免疫抑制剤)と減塩食、適度なたんぱく質摂取が必要です。4. 腎臓以外でも足がむくむことがある心臓・肝臓・甲状腺などの病気によるむくみ臓器むくみの原因心臓ポンプ機能の低下で血液が足にたまり、静脈圧が上昇肝臓たんぱく質(アルブミン)合成低下で水分保持が難しくなる甲状腺ホルモン不足により代謝が低下し、皮下に水分がたまるむくみは腎臓だけでなく、心臓・肝臓・甲状腺の異常でも起こります。心臓が弱ると血液を全身に送り出す力が落ち、足の静脈に血液と水分が滞留します。肝臓が障害されると、血液中のアルブミン(たんぱく質)を十分に作れなくなり、水分が血管外に漏れ出します。また、甲状腺機能低下症では代謝が落ちて皮下にゼリー状のむくみが出やすくなります。これらの疾患によるむくみは、腎臓由来のむくみと似ていますが、治療法が異なるため、原因を正確に見極めることが重要です。出典:厚生労働省「むくみを引き起こす病気と治療」薬の副作用で起こるむくみ(血圧の薬・痛み止めなど)薬の種類むくみの仕組みカルシウム拮抗薬末梢血管を拡張し、足の静脈圧が上昇するNSAIDs(痛み止め)腎血流を低下させ、水とナトリウムをため込むステロイド体内の水・塩分保持作用を強める一部の薬は、副作用として足のむくみを引き起こすことがあります。特にカルシウム拮抗薬(アムロジピンなど)は、血管を広げる作用により足首に水分がたまりやすくなります。NSAIDs(痛み止め)は腎臓の血流を減らしてナトリウムと水を保持し、むくみを悪化させることがあります。ステロイドは塩分と水を保持する作用があり、長期使用では浮腫を助長します。むくみを感じた際は、自己判断で中止せず、医師に相談して薬剤調整を受けることが大切です。生活習慣(運動不足・立ち仕事・塩分過多)によるむくみ原因対策運動不足下肢筋肉のポンプ作用が弱まり血液が滞る長時間の立ち仕事重力で血液と水分が下肢にたまる塩分の摂りすぎナトリウムが体内水分を引き込み、むくみを悪化むくみの多くは生活習慣の中に原因があります。特に、長時間の立ち仕事やデスクワークで動かない時間が長いと、足の血流が滞り水分が下半身にたまります。また、塩分の摂りすぎもむくみの一因です。ナトリウムは水分を引き寄せる性質があるため、味の濃い食事や加工食品を控えることが効果的です。「歩く・休む・減塩する」の3点を心がけることで、むくみを防ぎ腎臓への負担を軽減できます。5. 腎臓の不調によるむくみの見分け方むくみ以外に出る腎臓病の症状(尿・血圧・倦怠感)症状原因・特徴尿の異常(泡立ち・色の変化)尿中にたんぱく質や血液が混じる高血圧腎臓の血流調整がうまく働かず上昇倦怠感・疲労感老廃物が体内にたまり、代謝が落ちる腎臓病では、むくみ以外にも尿の変化・血圧上昇・だるさが現れることがあります。尿が泡立つ場合は、血液中のたんぱく質が尿に漏れ出している可能性が高く、糸球体の損傷を示唆します。また、腎臓の血流が悪化すると血圧が上がり、高血圧自体がさらに腎臓を悪化させる悪循環を招きます。こうした変化を早期に察知すれば、CKDの進行を遅らせることが可能です。出典:厚生労働省「腎臓病の早期発見と予防」足のむくみ+体重増加や息切れのチェックポイントチェック項目観察ポイント数日で体重が2kg以上増える水分貯留のサイン夜間の息苦しさ水が肺にたまり始めている靴下の跡が深く残る圧痕性むくみ(全身性の可能性)腎臓の機能低下が進むと、体に余分な水分が溜まり、体重が急増します。数日で2kg前後の増加は要注意で、5kgを超えると全身のむくみに発展します。夜間に息苦しさがある場合は、心不全や肺水腫の前兆です。毎日同じ時間に体重を測定し、足の腫れや靴下の跡をチェックする習慣をつけることで、腎臓や心臓の変化をいち早く察知できます。早めに病院を受診すべきサイン状況考えられる疾患・対応尿が極端に少ない・出ない急性腎不全や脱水などの可能性むくみ+息苦しさ腎不全・心不全の進行サインむくみが急激に悪化血栓・炎症など緊急対応が必要なケースむくみが長引く、または急に悪化する場合は、放置せず腎臓内科や循環器内科を受診しましょう。特に尿が極端に減ったり息苦しさを伴う場合は、緊急性の高い状態です。市販のむくみサプリやマッサージで一時的に改善しても、根本原因が腎臓にある場合は再発します。医師による早期診断が最も確実な対応です。6. 自宅でできるむくみのチェック方法足の押し跡でわかる「圧痕性むくみ」チェック方法判定の目安足首やすねを5秒押す指の跡が残れば「圧痕性むくみ」両足に出る全身性のむくみの可能性片足だけに出る血栓やリンパの異常の可能性「圧痕性むくみ」とは、指で押した跡がしばらく残る状態のことです。お風呂上がりや朝起きた時に、すねや足首を押して確認しましょう。両足に均等に出る場合は、体内の水分バランス異常が原因である可能性が高く、腎臓や心臓の疾患が疑われます。片足だけの場合は、静脈やリンパの障害の可能性があります。1〜2週間続く場合は必ず受診しましょう。体重・血圧・尿のセルフチェックチェック項目頻度目安体重毎朝同じ時間に測定急な増加(2kg以上)は要注意血圧朝晩2回測定高血圧は腎機能低下を悪化させる尿(たんぱく)週1回程度市販の尿試験紙で確認できる体重・血圧・尿の3つを毎日チェックすることは、腎臓の状態を早期に把握するうえで非常に有効です。特に体重と血圧は腎臓の状態を映す鏡であり、少しの変化でも記録しておくと医師が病状を正確に評価できます。市販の尿たんぱく試験紙を利用すれば、自宅でも簡単に腎臓の変化をモニタリングできます。写真・メモでむくみを記録するコツ記録方法メリットスマホで足の写真を撮る変化を視覚的に把握できる日記に体重・症状を記入むくみの傾向を見極められる時間帯をメモする朝晩の差を確認できるむくみの変化を可視化することは、診断精度を高めるうえで役立ちます。スマホで足の写真を撮り、時間帯や体重の変化をメモしておくと、医師に症状を正確に伝えられます。毎日の記録を続けることで、「どんな時にむくみやすいか」や「薬や食事で改善しているか」が明確になります。こうした自己管理の積み重ねが、腎臓病の早期対応と再発防止につながります。7. 病院で行う検査と診断の流れ血液検査・尿検査で見る腎臓の状態検査項目内容異常時のサインeGFR(糸球体濾過量)腎臓がどの程度血液をろ過できるかを示す60未満で腎機能低下の可能性クレアチニン筋肉由来の老廃物。血液中に蓄積すると腎機能低下を示す高値で腎機能障害を疑う尿たんぱく腎臓のフィルターが壊れていないかを確認持続陽性は腎障害のサイン腎臓の健康状態を知る最も基本的な検査が、血液検査と尿検査です。特に「eGFR値」と「クレアチニン」は、腎臓がどの程度働いているかを数値で示す重要な指標です。eGFRが60未満の場合は腎機能低下の可能性があり、45未満では中等度以上の障害と判断されます。また、尿たんぱくが続く場合は腎臓のろ過膜が傷ついている証拠です。これらの検査を定期的に行うことで、CKD(慢性腎臓病)の早期発見と進行予防が可能になります。出典:日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン」超音波(エコー)検査でわかること検査名内容対象疾患腎エコー腎臓の大きさ・形・血流を確認慢性腎臓病、腎結石など心エコー心臓の働きと水分貯留の有無を確認心不全など下肢静脈エコー足の血流を確認血栓や静脈うっ滞の鑑別に有効エコー検査(超音波)は、放射線を使わず安全に臓器の状態を調べる方法です。腎エコーでは腎臓の大きさや血流を観察し、萎縮・血流低下・腎結石などの異常を確認できます。心エコーでは心臓由来のむくみを見分け、下肢エコーは血栓性疾患の鑑別に役立ちます。痛みもなく外来で受けられる検査なので、むくみの原因を総合的に見極める際に欠かせません。CKDの診断基準と分類区分eGFR値(mL/分/1.73m²)状態G1≧90正常だが腎障害の証拠があればCKDG260〜89軽度低下。尿異常があればCKDG3a45〜59軽度〜中等度の低下G3b30〜44中等度〜高度の低下G415〜29高度低下G5<15末期腎不全(透析検討)CKDの定義は、腎機能または構造異常が3か月以上持続することです。重症度はGFR(腎機能)とアルブミン尿(腎障害の程度)の組み合わせで評価され、CGA分類と呼ばれます。G3a以上では明確な腎機能低下が見られ、放置すると透析が必要になる段階へ進行することもあります。尿検査と血液検査を3か月以上続けて評価することが診断の基本です。8. むくみを改善する生活習慣減塩と水分の摂り方内容推奨・注意点食塩摂取量1日6g未満(CKD患者推奨)日本人平均摂取量約9.8g(男性10.7g・女性9.1g:2023年)水分摂取量1.5〜2Lを目安(医師指示に従う)塩分を摂りすぎると体が水分をため込み、むくみや高血圧を悪化させます。CKDの患者では食塩6g/日未満が推奨され、味噌汁・漬物・加工食品の塩分を減らすことが大切です。日本人の平均摂取量は9.8gと依然高く、日常的な減塩意識が求められます。水分摂取は、腎機能が安定していれば1.5〜2Lが目安ですが、むくみや心不全がある場合は主治医の指示に従いましょう。「飲みすぎも控えすぎも避ける」ことが基本です。出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準2025」足を上げる・ストレッチ・軽い運動方法効果足を心臓より高く上げる下肢の血流を改善し、むくみを軽減するストレッチ筋肉を刺激して血液とリンパの流れを促すウォーキング全身の循環を良くし、腎血流も改善する足のむくみを取るには、運動で血流を促すことが重要です。足を10〜15分程度心臓より高く上げることで、重力に逆らって血液を心臓に戻し、むくみを減らします。ウォーキングやストレッチを毎日少しずつ行えば、下肢の筋肉がポンプの役割を果たし、血液やリンパの流れが改善します。無理をせず続けることが大切で、特にデスクワーク中心の方に効果的です。睡眠・たばこ・お酒と腎臓の関係項目腎臓への影響対策睡眠不足血圧上昇・ホルモン乱れを起こす7時間以上の睡眠を確保喫煙血管収縮で腎血流を減少させる禁煙が腎機能維持に直結アルコール脱水・血圧上昇を招く適量(1日ビール中瓶1本以下)を守る腎臓を守るためには生活全体の見直しが欠かせません。睡眠不足は血圧とホルモンバランスを乱し、喫煙は腎臓の血管を収縮させて慢性的な血流不足を招きます。アルコールも飲みすぎると脱水や高血圧を悪化させるため、「控えめ・規則的な生活」が腎臓を長持ちさせる鍵です。9. 薬による治療と注意点利尿薬の役割と使い方薬の種類特徴注意点ループ利尿薬強力に尿を出す脱水・電解質異常に注意サイアザイド系血圧を下げる作用もあり腎機能低下時は効きにくいカリウム保持性利尿薬カリウムを失わない高カリウム血症に注意むくみを減らすために使われる代表的な薬が利尿薬です。体内の余分な水分を尿として排出し、腎臓や心臓への負担を軽くします。ただし、強く効く薬を長期間使うと脱水や電解質異常(低ナトリウム・低カリウム)を起こすことがあります。医師の指示に従って量を調整し、定期的に血液検査で確認することが重要です。腎臓を守る薬(SGLT2阻害薬・降圧薬)薬の名称作用補足SGLT2阻害薬尿から糖を排出し腎臓の負担を軽減CKD進行抑制・心不全予防のエビデンスありACE阻害薬・ARB血圧を下げて腎臓の血管を保護CKD患者の第一選択薬Ca拮抗薬血圧を安定させる足のむくみの副作用がある場合もあり調整可能SGLT2阻害薬は、糖尿病治療薬として開発されましたが、近年は慢性腎臓病(CKD)の進行抑制と心不全リスク低減にも有効であることが確認されています。軽い浸透利尿効果はありますが、むくみ治療が主目的ではありません。ACE阻害薬・ARBは腎臓の血流を守る薬で、CKD患者では標準治療として使用されます。Ca拮抗薬による足のむくみは、用量や併用薬の調整で改善できることがあります。自己判断で薬をやめてはいけない理由状況リスク症状が落ち着いたからと服薬中止腎機能悪化・再むくみの可能性副作用を恐れて減量血圧や腎保護効果が不十分にサプリや民間療法に切り替える科学的根拠がなく危険な場合あり腎臓病治療薬は、症状が軽くなっても継続することで効果を発揮します。自己判断で服薬をやめると、数週間でむくみや血圧が再び上昇することがあります。副作用が心配な場合は、医師に相談して薬を変更するのが安全です。サプリや民間療法には科学的根拠がないものが多く、腎臓に負担をかける成分を含むこともあるため注意が必要です。10. 在宅でのケアと訪問看護の活用腎臓病で訪問看護を利用するメリットサービス内容詳細症状観察むくみ・血圧・尿量を定期的に確認服薬管理利尿薬や降圧薬の副作用をチェック生活指導塩分・水分・体重コントロールの助言腎臓病を持つ方の在宅生活では、体調の変化を早く察知することが重要です。訪問看護では看護師が定期的に訪問し、むくみ・血圧・体重・尿量を記録して異常を早期に見つけます。また、服薬や食事管理の支援も行い、病院との橋渡し役として機能します。自宅で医療サポートを受けることで、再入院の防止や生活の安心感が高まります。訪問リハビリでできること支援内容目的筋力維持運動下肢筋力を保ち、血液循環を促進むくみ軽減のためのストレッチ下肢リンパの流れを改善生活動作練習立ち上がり・歩行の安定化で転倒予防腎機能が低下すると、活動量が減り、足の筋力が落ちてむくみが悪化します。訪問リハビリでは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が在宅環境に合わせた運動プログラムを実施します。足を高く上げる体操や下肢の軽いマッサージで、血液やリンパの流れを改善し、むくみを軽減します。また、歩行練習や動作練習によって、日常生活の自立度を高め、腎臓への負担を減らしながら体力を維持することができます。町田市在住の方へ:ピース訪問看護ステーションの特徴職種人数主な対応内容看護師9名医療的ケア・症状観察・夜間対応も可能リハビリスタッフ14名理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が在籍ケアマネジャー7名医療と介護をつなぐ総合支援特徴詳細夜間対応24時間緊急対応で、急な体調変化にも迅速に対応リハビリ専門職の充実腎機能や体調に合わせた在宅支援が可能ケアマネジャー連携医療・介護・リハビリを包括的に支援透析患者様への対応通院透析後の体調管理、シャント観察、むくみ・血圧フォローに対応地域連携町田市内のクリニックと連携し、継続的ケアを実施ピース訪問看護ステーションは、町田市で腎臓疾患や透析治療中の方の在宅支援に力を入れているステーションです。看護師が定期的に訪問し、体重・血圧・尿量・むくみを観察。透析後の倦怠感やシャント部位の状態も丁寧にチェックします。異常があれば主治医と即座に情報共有し、迅速な対応を行います。リハビリスタッフによる循環改善運動や日常動作練習も充実しており、在宅でも安心して腎臓ケアが続けられる環境を提供します。👉 ぜひ町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。11. 腎臓病の進行を防ぐための生活習慣チェック食事・塩分・たんぱく質のとり方項目ポイント塩分1日6g未満を目標(個別調整)たんぱく質適量を守る(摂りすぎ・不足に注意)カリウム腎機能が低下している場合は制限が必要腎臓病の進行を防ぐためには、食事管理が最も重要です。塩分は体に水分をためるため、摂取量を減らすだけでむくみの改善に大きな効果があります。たんぱく質は筋肉や体力維持に必要ですが、摂りすぎると腎臓への負担が増すため、医師や管理栄養士の指導に従いましょう。カリウムは野菜や果物に多く含まれ、腎機能が低下している人では血中濃度が上がりやすいので注意が必要です。血圧・体重のコントロール管理項目目標値・ポイント血圧130/80mmHg未満(CKD患者推奨)体重急な増加は水分貯留のサイン運動毎日20〜30分のウォーキングが理想腎臓病の悪化を防ぐためには、血圧と体重の安定が欠かせません。高血圧は腎臓の血管を傷つけ、機能を低下させます。血圧130/80mmHg未満を目安にコントロールすることが推奨されています。体重は毎日同じ時間に測定し、2kg以上の増加があれば早めに医師へ相談を。軽い有酸素運動を継続することで、血流を改善しむくみを予防します。睡眠とストレス管理項目内容睡眠時間7〜8時間を目安に確保ストレス血圧やホルモンに影響するため軽減をリラクゼーション深呼吸・入浴・散歩などを習慣化慢性的なストレスや睡眠不足は、血圧上昇やホルモンの乱れを通じて腎臓に悪影響を与えます。十分な睡眠とリラクゼーションを取り入れることで、腎臓の負担を軽減できます。深呼吸やストレッチなど、簡単なリラックス法を日常に組み込み、心と体の両面から腎臓を守ることが大切です。12. よくある質問(Q&A)Q1. 足のむくみは全員が腎臓病ですか?いいえ。むくみは腎臓病以外にも、心臓・肝臓・甲状腺など多くの病気や生活習慣でも起こります。両足に均等にむくみが出て長引く場合は、腎臓や心臓に関連している可能性が高いため、早めに医療機関での検査を受けましょう。Q2. 水分はどのくらい飲めばいいですか?腎機能が正常な方は、一般的に1.5〜2L/日を目安に問題ありません。ただしCKDや心不全がある場合は、水分制限が必要になることがあります。厚生労働省の指針では、健康な成人の総水分摂取量は約2.3〜2.5L/日とされています。主治医の指示に従いましょう。Q3. 塩分を控えるにはどうすれば?味噌汁を1日1杯までにし、加工食品や惣菜を減らすだけでも効果的です。調味料を「かける」ではなく「つける」、出汁や香辛料で味を補うのもおすすめです。外食の際は「減塩で」と一言伝えると、対応してもらえることもあります。Q4. 腎臓病でも運動して大丈夫?軽い有酸素運動(ウォーキング・ストレッチ)はむしろ推奨されています。体力を保ち、血流を改善することで腎臓への負担を減らします。ただし、息切れや強い疲労感を感じる場合は中止し、医師やリハビリスタッフに相談してください。Q5. むくみが強いときの応急処置は?足を心臓より高く上げて休む、塩分を控える、体重を測るのが基本です。これでも改善しない場合や息苦しさが出た場合は、腎不全・心不全悪化のサインであり、すぐに医療機関を受診してください。まとめ腎臓は、体の水分や塩分をコントロールし、血圧や代謝にも深く関わる重要な臓器です。腎臓の機能が低下すると、余分な水分が体にたまり、足のむくみや体重増加、息苦しさなどの症状が現れます。こうした変化は「体からのSOS」であり、早期発見・早期対応が何より大切です。むくみを感じたら、日々の体重・血圧・尿の変化をチェックし、生活習慣の見直しを行いましょう。そして、町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。専門の看護師・リハビリスタッフ・ケアマネジャーが、腎臓病や透析治療中の方の生活を全力でサポートします。関連記事腎臓が悪い時の症状とは?初期のサイン・原因・在宅でのケア方法まで徹底解説訪問リハビリを介護保険で受けるには?内容や手続きの流れを解説COPDでも自宅で安心に暮らすために ― 訪問看護ができること気胸はなぜ起こる?原因・治療・再発防止と訪問看護のサポート肺カビ(肺真菌症)とは?早期発見・治療・予防法と訪問看護の活用について解説参考文献一覧厚生労働省「慢性腎臓病(CKD)の基礎知識」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000183010.html厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08789.html厚生労働省「むくみを引き起こす病気と治療」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000183010_00002.html厚生労働省「腎臓病の早期発見と予防」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000183010_00003.html厚生労働省「国民健康・栄養調査(2023年)」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38778.html日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2023」https://jsn.or.jp/guideline/ckd/日本腎臓学会「腎臓病とむくみ(一般向け解説)」https://jsn.or.jp/public/disease/ckd/mukumi.php日本腎臓学会「腎臓病と食事(減塩・たんぱく質管理)」https://jsn.or.jp/public/disease/ckd/nutrition.phpKDIGO (Kidney Disease: Improving Global Outcomes)KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease.Kidney Int Suppl (2024) 14:1–150.World Health Organization (WHO).Global Sodium Reduction Toolkit 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生理学講座「腎臓の働きとGFRの基礎」https://www.physiol.m.u-tokyo.ac.jp/education/kidney.html日本医師会「慢性腎臓病(CKD)を知ろう」https://www.med.or.jp/people/info/ckd/国立国際医療研究センター「ネフローゼ症候群の症状と治療」https://www.hosp.ncgm.go.jp/clinic/ckd/nephrosis.html日本訪問看護財団「訪問看護の役割と機能」https://www.jvnf.or.jp/日本リハビリテーション医学会「慢性腎臓病患者の運動療法指針」https://www.jarm.or.jp/guideline/ckd-exercise.pdf町田市「医療と介護の地域連携に関する情報」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/fukushi_iryo/chiikirenkei.html日本心臓財団「心不全とむくみの関係」https://www.jhf.or.jp/q&a/heartfailure.html日本内科学会雑誌 第113巻 第7号「腎臓病とむくみの病態生理」日本腎臓病協会「腎臓病と高血圧の関係」本記事の執筆者・監修者プロフィール【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。