糖尿病とともに自宅で暮らすご本人と、その生活を支えるご家族にとって、毎日の血糖管理は終わりの見えない作業に思えるかもしれません。とくに高齢の方や2型糖尿病で長く治療を続けている方の場合、本人だけで食事・運動・服薬を管理し続けるのは簡単ではなく、気づけばご家族が見守りや声かけの多くを担っているご家庭も少なくありません。「低血糖で倒れたらどうしよう」「足の傷に気づけるだろうか」「体調を崩したとき何をすればいいのか」——こうした不安は、糖尿病の在宅療養に共通してよく聞かれます。この記事では、ご家族がいざというときに落ち着いて動けるよう、低血糖の見分け方と緊急対応、足を守るフットケア、高齢の方で特に注意したい点を、訪問看護の視点を交えて整理します。「家族だけで抱え込まない」ための具体策まで順を追って解説します。この記事でわかること在宅で向き合う糖尿病(高齢者・2型)の全体像と合併症の関係低血糖のサインと、家族がとるべき緊急対応の手順足病変を防ぐための毎日の観察とフットケアのポイント食事・運動・服薬/インスリンを在宅で続ける工夫シックデイ(発熱・下痢など体調不良時)の対応と受診の目安高齢の糖尿病で特に注意したいこと、そして訪問看護の活用法在宅で向き合う糖尿病とは(高齢者・2型中心/合併症の全体像)糖尿病は、血糖値を下げる働きを持つインスリンというホルモンが十分に働かないために、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高くなる病気です。糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)の解説では、インスリンは膵臓から分泌され、糖を細胞に取り込ませる「鍵」のような役割を担っているとされています。この鍵がうまく働かなくなると、エネルギー源であるはずのブドウ糖が血液中にあふれ、全身の血管に負担をかけ続けることになります。糖尿病は大きく1型と2型に分けられます。1型糖尿病は膵臓からインスリンがほとんど出なくなるもので、インスリン注射が治療の柱になります。一方、在宅療養で高齢の方に多い2型糖尿病は、インスリンが出にくくなったり効きにくくなったりして血糖値が高くなるもので、生活習慣の調整や飲み薬、必要に応じてインスリン注射を組み合わせて治療します。在宅で家族が関わる場面の多くは、この2型糖尿病、それも長く付き合っている高齢の方のケースです。糖尿病で本当に怖いのは、高血糖そのものよりも、長い年月をかけて進む合併症です。下の表は、在宅療養で意識しておきたい主な合併症を整理したものです。分類主な合併症在宅で気づきたいサインの例細い血管の障害網膜症(目)、腎症(腎臓)、神経障害見えにくさ、足のしびれ・感覚の鈍さ、むくみ太い血管の障害心臓・脳・足の血管の動脈硬化胸の違和感、手足の冷え、歩くと足が痛む足のトラブル糖尿病足病変(潰瘍・感染・壊疽)傷・水ぶくれ・タコ・皮膚の色の変化急な変化低血糖、高血糖(シックデイ時の悪化など)冷や汗・ふるえ・ぼんやり、強い口渇・多尿この表からわかるのは、糖尿病の合併症が「全身のあらゆる場所」に及ぶということです。目や腎臓のように専門の検査でしかわからないものもあれば、足の傷や低血糖のように、毎日そばにいる家族だからこそ最初に気づけるものもあります。とくに神経障害が進むと足の感覚が鈍くなり、傷ができても気づかないまま悪化することがあります。だからこそ在宅では「検査は医療機関で、日々の観察は自宅で」という役割分担が大切です。その観察をご家族だけで完璧にこなすのは負担が大きいため、訪問看護のような専門職の関わりが力になります。この記事では、家族が担う部分を中心に無理なく続けられる方法を見ていきます。低血糖のサインと家族の緊急対処(最重要・具体手順)糖尿病の在宅ケアで、ご家族が最も知っておくべきなのが低血糖への対応です。低血糖は、インスリン注射や一部の飲み薬を使っている方で、食事が遅れた・量が少なかった・いつもより体を動かしたといったときに起こりやすく、対応が遅れると意識を失うなど命に関わることもあります。逆に言えば、正しい手順を家族が知っていれば、その場で防げることの多い状態でもあります。糖尿病情報センターの解説によると、低血糖は血糖値の下がり方によって症状の段階が変わります。下の表に整理します。血糖値のめやす主な症状(段階)本人・家族の状態70mg/dL以下交感神経症状:冷や汗、動悸、手のふるえ、空腹感、不安感本人が自覚できることが多い50mg/dL程度中枢神経症状:頭痛、目のかすみ、集中力低下、ねむけ、言動がおかしい周囲が「いつもと違う」と気づく段階50mg/dL未満意識がもうろう、けいれん、昏睡など重症低血糖の可能性自力での対応が困難。緊急対応が必要ポイントは、冷や汗・動悸・手のふるえといった早い段階のサインを見逃さないことです。この段階で対処できれば、重症化を防げます。ご本人が「なんだか変だ」と訴えたとき、あるいはご家族が「受け答えがいつもと違う」「急にぼんやりしている」と感じたときは、低血糖を疑って行動します。意識があり、自分で飲み込める状態であれば、速やかに糖分を補給するのが基本です。ブドウ糖や、ブドウ糖を含むジュースなど、すぐに血糖を上げられるものを口にしてもらいます。普段からブドウ糖の製品や甘いジュースを、本人の手の届くところや外出時のかばんに常備しておくと安心です。糖分をとったあとは少し安静にし、症状が落ち着くかどうかを確認します。改善しないときや、次の食事まで時間が空くときは、おにぎりやパンなどで炭水化物を補っておくと再発を防ぎやすくなります。一方で、意識がはっきりせず、自分で飲み込むことが難しい場合は対応が変わります。糖尿病情報センターは、この状態で無理にブドウ糖を飲ませると誤嚥や窒息の原因になるため、周りの人がブドウ糖や砂糖を水で溶かして口唇と歯肉の間に塗りつけ、すぐに救急車を呼んで医療機関を受診するよう説明しています。意識がない人の口に固形物や水分を流し込むのは危険なので避け、「塗りつける+すぐ119番」を徹底してください。下に家族向けの手順をまとめます。【家族のための低血糖対応・早見手順】「いつもと違う」と感じたら、まず低血糖を疑う意識があり飲み込めるなら、ブドウ糖・甘いジュースなどで糖分補給少し休んで様子を見て、改善しなければ追加で糖分を次の食事まで時間が空くなら、おにぎり・パンなどで炭水化物を補う意識がもうろう/飲み込めないときは、無理に飲ませず、ブドウ糖や砂糖を水で溶かして口唇と歯肉の間に塗り、すぐ救急車を呼ぶ繰り返し低血糖を起こす場合は、薬の種類や量、食事のタイミングが合っていない可能性があります。自己判断で薬を中断するのではなく、いつ・どんな状況で低血糖が起きたかを記録し、主治医や訪問看護師に伝えることが、安全な調整への近道です。在宅療養で糖尿病の管理に不安を感じている町田市・相模原市の方は、ぜひ一度ピース訪問看護ステーションにご相談ください。低血糖時の対応をご家族と一緒に確認し、ご家庭に合った備え方を提案します。フットケア:足病変・潰瘍・壊疽を防ぐ毎日の観察とケア糖尿病の在宅ケアで、低血糖と並んで重要なのが足のケア(フットケア)です。糖尿病情報センターは、糖尿病の患者さんに生じる足のトラブルをまとめて糖尿病足病変と呼び、「糖尿病足病変を早めに発見するために、糖尿病の方は足を毎日よく観察することが最も大事です」と説明しています。さらに、リスクの高い方は積極的にフットケアを取り入れ、足に合った靴や爪の切り方を確認して予防することが重要だとしています。なぜ足がそれほど大切なのでしょうか。糖尿病が進むと、神経障害によって足の感覚が鈍くなり、傷ややけどができても痛みに気づきにくくなります。加えて血流が悪くなると傷が治りにくく、細菌に感染すると一気に悪化して、潰瘍や壊疽に進むことがあります。「痛くないから大丈夫」が通用しないのが糖尿病の足であり、だからこそ「毎日見る」習慣が命綱になります。下の表は、ご家族と一緒に毎日チェックしたい足の観察ポイントと、日常ケアの基本です。観察・ケアの項目見るポイント・やり方気をつけたいサイン傷・水ぶくれ足の裏・指の間まで毎日見る小さな傷でも放置しない皮膚の色・温度左右で色や冷たさに差がないか赤み・黒ずみ・急な冷えタコ・うおのめ厚く硬くなっていないか自分で削らず相談する乾燥・ひび割れかかとの乾燥、皮むけ保湿で予防する爪まっすぐ切れているか深爪・巻き爪に注意靴・靴下サイズが合い、中に異物がないかきつい靴・素足は避けるこの表のポイントを、ぜひ毎日の習慣に組み込んでください。とくに足の裏や指の間は本人からは見えにくいため、ご家族が一緒に確認したり、明るい場所で足を見る・必要なら手鏡を使うといった工夫が役立ちます。爪は深爪にすると傷の原因になるため、入浴後のやわらかい状態でまっすぐ切るのが基本です。タコやうおのめを自分でカミソリなどで削ると、かえって傷を作って感染のきっかけになることがあるため、自己処置は避け、医療者に相談しましょう。日々のケアとしては、足を清潔に保ち、よく乾かし、乾燥が気になるところは保湿することが基本です。やけどを防ぐため、湯たんぽやカイロを直接足に当てない、入浴前にお湯の温度を手で確かめる、といった配慮も大切です。靴は足に合ったものを選び、新しい靴は短時間から慣らします。小さな傷・水ぶくれ・赤み・色の変化を見つけたら、「様子を見る」より早めに相談する——この一歩が、重症化を防ぐ最大の分かれ目です。訪問看護では、ご家庭で見つけにくい足の変化を専門的に観察し、爪のケアや適切な相談先への橋渡しも行います。食事・運動・服薬/インスリンの自己管理の工夫糖尿病の在宅療養は、低血糖やフットケアのような「いざというとき」の対応だけでなく、毎日の食事・運動・服薬を無理なく続けることが土台になります。とはいえ、高齢の方や長く治療を続けている方にとって、厳しい制限を完璧に守り続けるのは現実的ではありません。大切なのは「100点を目指して挫折する」のではなく、続けられる範囲で整えるという発想です。下の表は、在宅で取り入れやすい工夫を、食事・運動・服薬の3つに分けて整理したものです。領域在宅で続けやすい工夫家族ができるサポート食事主食・主菜・副菜をそろえ、極端な制限を避ける一緒に食べる、買い物・調理を手伝う運動食後の散歩など軽い運動を習慣に一緒に歩く、無理のない範囲で見守る服薬・インスリン飲む時間・打つ時間を決め、飲み忘れを防ぐ服薬カレンダー・声かけで支える食事については、極端に何かを抜くよりも、栄養バランスを保ちながら食べ過ぎを防ぐことが基本です。高齢の方では、血糖を気にするあまり食事量が減りすぎて低栄養になってしまうことも少なくありません。食事の工夫については【高齢者の食事を考える】健康で豊かなシニアライフを支える栄養と工夫もあわせて参考にしてください。「食べなさすぎ」も「食べ過ぎ」もリスクだという視点が、高齢の糖尿病ではとくに重要です。運動は、食後に軽く歩くだけでも血糖の安定に役立ちます。ただし運動量が増えた日は低血糖が起きやすいため、空腹での激しい運動は避け、必要に応じて補食を準備しましょう。足にトラブルがあるときは無理をせず、できる範囲に切り替えます。服薬やインスリンは、自己判断で中断しないことが何より大切です。飲み忘れ・打ち忘れを防ぐため、服薬カレンダーやお薬ケースを使い、ご家族の声かけと組み合わせると続けやすくなります。インスリンを使う場合は注射の手技や保管方法、注射部位の確認も重要で、こうした点は訪問看護師が定期的にチェックし、安心して続けられるよう支援します。ここまでの食事・運動・服薬の工夫は、糖尿病予防の段階から在宅療養まで共通する考え方です。生活習慣の整え方をさらに知りたい方は、在宅で続ける糖尿病予防、食事・運動と訪問看護リハビリの活用法もご覧ください。シックデイ(発熱・下痢など体調不良時)の対応糖尿病の在宅ケアで見落とされがちなのが、かぜや胃腸炎などで体調を崩したときの対応です。糖尿病情報センターは、感染症で熱が出る・下痢をする・吐く、また食欲不振で食事ができないときのことをシックデイ(体調の悪い日)と呼んでいます。シックデイには、いつもは血糖コントロールが良好な方でも血糖値が乱れやすく、食べられないことで低血糖に傾いたり、逆に感染の影響で高血糖になったりと、不安定になりやすいのが特徴です。シックデイにご家族が慌てないために、基本ルールと受診の目安を表で整理します。項目基本の対応安静・保温体を休め、保温につとめる水分スープなどで十分に水分をとる食事お粥・うどんなどで炭水化物をとるインスリン自己判断で中断しない飲み薬薬の量の調整が必要な場合があるため確認する血糖測定可能ならこまめに自己測定し、状態を確認するこの表のなかでとくに強調したいのが、「食べられないからインスリンを勝手にやめる」のは危険だという点です。食事がとれなくても体は糖を必要としており、自己判断での中断は高血糖を招くことがあります。飲み薬についても、種類によっては体調不良時に休むべきものもあれば、続けるべきものもあるため、あらかじめ主治医に「シックデイのときはどうするか」を確認しておくと安心です。そして、家庭で様子を見てよい範囲を超えたら、ためらわず医療機関に連絡・受診することが大切です。糖尿病情報センターは、受診を検討すべき目安として、嘔吐・下痢がとまらない、38度以上の高熱が続く、食事が24時間にわたって全くとれない(または極端に少ない)、血糖値が350mg/dL以上が続く、意識の状態に変化がある、といった状況を挙げています。これらに当てはまるときは、自宅で粘らず早めに相談してください。なお、発熱や下痢・嘔吐のときは脱水も起こりやすく、これも血糖の乱れにつながります。高齢者の脱水については高齢者の脱水症状に要注意!季節別の原因と予防・対処法まとめも参考になります。訪問看護を利用していれば、体調を崩したときの相談先が一つ増え、「受診すべきか自宅で様子を見てよいか」の判断を一緒に考えられる安心感があります。高齢の糖尿病で特に注意したいこと(重症低血糖・認知機能・サルコペニア)高齢の方の糖尿病は、若い世代とは異なる配慮が必要です。糖尿病情報センターは「高齢者と糖尿病」の解説のなかで、いくつかの重要なポイントを挙げています。順に見ていきましょう。まず最も注意したいのが、重症低血糖のリスクです。同センターは「重症の低血糖は転倒・骨折や、認知症、心血管疾患の発症につながるといわれています」と説明しています。さらに高齢になると、「発汗、動悸、手のふるえなどの低血糖症状が出現しにくくなり、糖分をとるなどの対応をしないうちに重症な低血糖になることがあります」とされており、本人も周囲も低血糖に気づきにくいという難しさがあります。つまり、若い人なら自覚できるはずの早期サインが出ないまま、いきなり重い状態に進むことがあるのです。下の表は、高齢の糖尿病で家族が意識しておきたい注意点をまとめたものです。注意したい点背景・理由家族・支援者ができること重症低血糖転倒・骨折・認知症・心血管疾患につながる早期サインが出にくい前提で見守る低血糖症状が出にくい加齢で自覚しにくくなる「いつもと違う様子」に注意する認知機能の影響服薬・食事の管理が難しくなる服薬カレンダー・声かけで支える一律の目標が難しい年齢・併存疾患・生活機能が様々主治医と個別の目標を相談する低栄養・筋力低下食事制限のしすぎで体力が落ちる食べなさすぎを防ぐ血糖コントロールの目標についても、高齢者では特別な考え方が必要です。糖尿病情報センターによれば、高齢でない患者がHbA1c7.0%未満を目指すのに対し、高齢者は「年齢や認知機能・身体機能、併存疾患などが様々であり、一律の目標設定が困難」であるため、年齢・罹病期間・低血糖の危険性・サポート体制に加え、認知機能や日常生活動作(ADL)も考慮して個別に目標を設定することが大切だとされています。一律に「数値を下げればよい」のではなく、その方の生活全体を見て、低血糖を起こさない安全な範囲を主治医と相談していく——これが高齢者の糖尿病管理の基本姿勢です。加えて、高齢の方では食事を控えめにしすぎることで低栄養や筋力低下(サルコペニア)を招くリスクもあります。血糖を気にするあまり食事量が減り、体力や筋力が落ちては、かえって生活の質を下げてしまいます。「血糖を抑える」ことと「栄養をとって体力を保つ」ことのバランスが、高齢の糖尿病ではとても重要です。こうした繊細な調整は家族だけでの判断が難しいため、専門職と一緒に考えることをおすすめします。町田市・相模原市での訪問看護の活用(独自・現場具体例)ここまで、低血糖・フットケア・シックデイ・高齢者の注意点と見てきましたが、「どれも大事なのはわかるけれど、家族だけで全部やるのは大変」と感じた方も多いのではないでしょうか。その負担を分け合う選択肢が訪問看護です。町田市・相模原市で在宅療養を支えるなかでよく聞かれるのが、「足を毎日見たほうがいいのはわかるが、本人が嫌がる」「低血糖が怖くて、家族が外出しづらい」「インスリンの管理を自分たちだけで続けられるか不安」といった声です。たとえば、ご家族が日中は仕事で不在になるご家庭では、昼食前後の低血糖が心配で、外出のたびに気が気でないという相談を受けることがあります。こうしたとき訪問看護では、まず血糖が下がりやすい時間帯や状況を一緒に整理し、本人の手の届く場所にブドウ糖や甘い飲み物を常備するといった具体策を提案します。あわせて、足の裏や指の間など家庭では見落としやすい部分を看護師が定期的に観察し、小さな変化の段階で気づける体制をつくります。「本人が足を見せたがらない」というケースでも、第三者である看護師が関わることで、ケアを生活の習慣として取り入れやすくなることは少なくありません。下の表は、糖尿病の在宅療養で訪問看護が担える主な役割です。支援領域訪問看護でできること血糖・低血糖の管理血糖の傾向の確認、低血糖時の備えと対応の助言フットケア足の専門的な観察、爪・皮膚のケア、相談先への橋渡し服薬・インスリン注射手技・保管・服薬状況の確認と支援シックデイ対応体調不良時の相談、受診の目安の判断を一緒に家族支援介護負担の軽減、不安や疑問への継続的な相談対応この表のとおり、訪問看護は「医療処置」だけでなく「家族の不安の受け皿」としての役割も大きいのが特徴です。病院での診察は時間が限られ、生活の多くは自宅で過ごします。その自宅の場に専門職が定期的に入ることで、血糖の乱れや足の変化、シックデイの兆しなど、家族だけでは見逃しやすいサインを早めにキャッチできます。ピース訪問看護ステーションは町田市内で複数の事業所を展開し、地域の医療機関とも連携しながら、糖尿病をはじめとする慢性疾患の在宅療養を支えています。「いきなり利用を決めなくても、まず相談から」という関わり方も可能です。糖尿病の在宅ケアで「家族だけでは限界かもしれない」と感じている町田市・相模原市の方は、ぜひピース訪問看護ステーションにお問い合わせください。ご本人とご家族の状況に合わせて、無理のない支援のかたちを一緒に考えます。今日からできる最初の一歩ここまで読んで、「やることが多くて大変そう」と感じたかもしれません。でも、すべてを一度に始める必要はありません。まずは家族で取り組みやすい小さな一歩から始めてみましょう。下の表に、今日からできることをまとめました。今日からできること具体的な内容低血糖の備えを置くブドウ糖や甘い飲み物を、本人の手の届く場所・かばんに足を一緒に見る入浴後などに、足の裏・指の間まで毎日チェック受診の目安を共有シックデイの受診ラインを家族みんなで確認記録をつける低血糖や体調変化の状況をメモして主治医・看護師に伝える相談先を持つ主治医・訪問看護など、困ったときの連絡先を決めておくこの5つは、どれも特別な道具や知識がなくても始められます。大切なのは、「家族だけで完璧にやろうとしない」ことです。こうした小さな習慣の積み重ねが、いざというときに落ち着いて動ける力になります。不安な点が出てきたら、抱え込まずに主治医や訪問看護師に相談してください。専門職と一緒に考えることで、ご家庭に合った無理のない方法が見えてきます。まとめ糖尿病の在宅ケアでは、低血糖の早期サインに気づいて対応すること、足を毎日観察してトラブルを早く見つけること、そしてシックデイや高齢者特有のリスクに備えることが、ご家族にとって大きな安心につながります。なかでも、意識がない低血糖では無理に飲ませず糖分を口唇と歯肉の間に塗って救急車を呼ぶこと、足は「痛くなくても毎日見る」こと、シックデイでもインスリンを自己判断で中断しないことは、ぜひ覚えておきたいポイントです。とはいえ、これらすべてをご家族だけで担うのは大きな負担です。訪問看護のような専門職が関わることで、見守りの負担を分け合い、変化を早く見つけ、困ったときの相談先を持つことができます。ぜひ町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。よくある質問(FAQ)Q1. 低血糖のとき、家族はまず何をすればいいですか?A. 意識があって自分で飲み込める状態なら、ブドウ糖や甘いジュースなどで速やかに糖分を補給します。少し休んで改善しなければ追加し、次の食事まで時間が空くならおにぎりやパンで炭水化物を補います。一方、意識がもうろうとして飲み込めないときは、無理に飲ませると誤嚥や窒息の危険があるため、ブドウ糖や砂糖を水で溶かして口唇と歯肉の間に塗りつけ、すぐに救急車を呼んでください(出典:糖尿病情報センター)。Q2. 足は本当に毎日見ないといけませんか?A. はい、毎日の観察がとても大切です。糖尿病が進むと足の感覚が鈍くなり、傷ややけどに気づきにくくなります。糖尿病情報センターも「糖尿病の方は足を毎日よく観察することが最も大事」と説明しています。足の裏や指の間は見えにくいので、ご家族が一緒に確認したり手鏡を使ったりすると見落としを防げます(出典:糖尿病情報センター)。Q3. 食欲がないとき、インスリンや薬はやめてもいいですか?A. 自己判断での中断は避けてください。食事がとれない「シックデイ」でも体は糖を必要としており、勝手にインスリンをやめると高血糖を招くことがあります。飲み薬は種類によって調整が必要な場合があるため、あらかじめ主治医に「シックデイのときの対応」を確認しておきましょう。嘔吐・下痢が続く、38度以上の高熱が続く、24時間食事がとれない、血糖値が350mg/dL以上続く、意識に変化があるときは早めに受診します(出典:糖尿病情報センター)。Q4. 高齢の家族の糖尿病で、特に気をつけることは何ですか?A. 最も注意したいのは重症低血糖です。高齢になると低血糖の症状(冷や汗・動悸・手のふるえなど)が出にくくなり、気づかないうちに重症化することがあります。重症の低血糖は転倒・骨折や認知症、心血管疾患につながるとされています。また、血糖を気にして食事を控えすぎると低栄養や筋力低下を招くため、栄養をしっかりとることも大切です。血糖の目標は一律ではなく、主治医と個別に相談しましょう(出典:糖尿病情報センター)。Q5. 本人が「足を見せたくない」「ケアを嫌がる」ときはどうすればいいですか?A. ご家族だけで説得しようとすると関係がこじれてしまうこともあります。入浴後など足を見やすいタイミングを選ぶ、「むくみがないか一緒に確認しよう」と声をかけるなど、負担の少ない形から始めるとよいでしょう。それでも難しい場合は、第三者である訪問看護師が関わることで、ケアを生活の習慣として取り入れやすくなることがあります。まずは相談から始めることをおすすめします。Q6. 訪問看護は糖尿病でも利用できますか?費用が心配です。A. 糖尿病の在宅療養でも訪問看護を利用できます。血糖や低血糖の管理、フットケア、インスリンや服薬の確認、シックデイの相談、ご家族の不安への対応まで幅広く支援します。費用は医療保険または介護保険が適用される場合があり、状況により異なります。詳しくは地域の訪問看護ステーションや主治医、ケアマネジャーにご相談ください。【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理、地域医療連携、在宅看取り支援に積極的に取り組んでいる。island-piece.jp 株式会社isLand|訪問看護・居宅介護支援・訪問介護|町田市関連記事在宅で続ける糖尿病予防、食事・運動と訪問看護リハビリの活用法【高齢者の食事を考える】健康で豊かなシニアライフを支える栄養と工夫高齢者の足のむくみは病気のサイン?訪問看護で行う観察・ケア・予防と家族支援高齢者の脱水症状に要注意!季節別の原因と予防・対処法まとめ参考文献出典:糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「糖尿病とは」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html「低血糖」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/040/050/05.html「シックデイ」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/040/060/06.html「糖尿病足病変」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/060/040/01.html「高齢者と糖尿病」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/080/070/01.html