1. 多発性硬化症(MS)とは?はじめて知る基礎知識多発性硬化症ってどんな病気?「神経の絶縁体」が壊れる仕組み用語説明多発性硬化症(MS)中枢神経(脳・脊髄・視神経)の病気で、神経を守る「髄鞘」が壊れる脱髄神経のまわりの絶縁体(髄鞘)が傷つき、情報伝達が遅くなる状態自己免疫疾患自分の免疫が誤って自分の神経を攻撃してしまう病気多発性硬化症(MS)は、脳や脊髄といった中枢神経に炎症が起きる自己免疫性疾患です。神経を覆う「髄鞘」が壊れることで、神経の信号が正しく伝わらず、さまざまな症状が現れます。これを脱髄と呼びます。症状は人によって異なり、視力障害、しびれ、歩きにくさなど多岐にわたります。大きな特徴は、症状が出たり落ち着いたりを繰り返す点です。一度良くなったように見えても、再発を重ねるうちに神経の障害が蓄積し、後遺症が残ることがあります。生活や仕事への影響を抑えるためには、早い段階で異変に気づき、支援や医療につなげることが大切です。よく似た病気「視神経脊髄炎(NMOSD)」との違い比較項目多発性硬化症(MS)視神経脊髄炎(NMOSD)主な障害部位脳・脊髄・視神経主に視神経と脊髄原因と関与物質自己免疫による脱髄AQP4抗体による障害病気の進み方再発と回復を繰り返す発作が重く後遺症が残りやすい視神経脊髄炎(NMOSD)はMSと似ていますが、障害が出る部位や病気の性質が異なります。NMOSDは特に視神経や脊髄に強い炎症が起こりやすく、失明や歩行障害といった重い後遺症を残しやすい傾向があります。血液検査でAQP4抗体が見つかることがあり、診断の助けになります。MSとの違いを正しく見極めることは治療方針の選択に直結します。症状が似ているため誤解されやすいですが、専門医による検査で区別することが非常に重要です。難病に指定されている理由と患者様の数項目内容指定難病多発性硬化症は「指定難病13」に分類日本の患者数約1.8万人(2017年調査)、近年は2万人規模と推定発症年齢20〜40代に多い男女比男性1:女性2〜3の割合MSは厚生労働省が定める指定難病13に含まれています。全国調査では2017年に約1.8万人とされ、近年は2万人規模と推定されています。発症は20〜40代の若い世代に多く、男女比では女性が男性の2〜3倍とされています。この時期は就労や子育てなどライフイベントが多いため、病気の影響は生活全般に及びます。難病指定により医療費助成や福祉制度を利用できる仕組みがありますが、十分に周知されていない場合もあります。制度を知り、適切に利用することが患者様とご家族の安心につながります。2. 多発性硬化症の原因と発症のしくみ遺伝や環境、ウイルスが関係している?要因関与内容遺伝特定の遺伝子型を持つと発症しやすい環境北欧など高緯度地域で発症が多いビタミンD不足日照不足との関連が示唆されているウイルス感染EBウイルス感染との強い関連が報告されているMSの原因は単一ではなく、複数の要因が絡み合うと考えられています。特に近年注目されているのがEBウイルスとの関連で、大規模研究により感染歴とMS発症の強い関係が示されています。ただし、EBウイルスに感染しても全員が発症するわけではなく、遺伝的な体質や環境要因も関与しています。また、日照時間が少ない地域では有病率が高い傾向があり、ビタミンD不足との関係も指摘されています。これらの要因は発症リスクを高めるとされていますが、原因を一つに絞ることはできず、研究が続けられています。自分の免疫が神経を攻撃してしまう流れステップ免疫の異常①ウイルスなどをきっかけに免疫が活性化②本来攻撃しないはずの神経の髄鞘を異物と認識③髄鞘を攻撃し炎症を起こす④神経伝達が阻害され、症状が出る本来、免疫は体を守る仕組みですが、MSでは誤って神経の髄鞘を攻撃してしまいます。これにより炎症が起こり、信号の伝達が乱れて症状が現れます。炎症が収まれば回復することもありますが、再発を繰り返すと神経そのものが傷つき、後遺症が残ることがあります。このため、早期に体調の変化に気づき、生活面での工夫や医療的な支援を組み合わせることが重要です。免疫の異常は体の一部で起きる問題ではなく、全身のさまざまな機能に影響を及ぼすことを理解しておく必要があります。女性に多い?発症しやすい年齢や地域の特徴特徴詳細年齢発症は20〜40代が多い性別女性が男性より2〜3倍多い地域差高緯度地域(北欧・北米)で多い日本患者様は増加傾向にあるMSは20〜40代の女性に多く発症することが特徴です。国内外の調査では男女比は男性1に対して女性2〜3とされ、働き盛りや子育て世代で影響が大きい病気といえます。また、地理的には北欧や北米など高緯度地域に多く、日本でも増加傾向が見られます。この背景には診断技術の向上に加え、生活習慣や環境の変化も関わっていると考えられています。特に若い女性に多いという点は、早期発見と社会的な理解を広めるうえで重要な知識です。3. 多発性硬化症の症状:初期に出やすいサイン視力の低下やしびれ、強い疲れなどの初期症状症状説明視力障害視神経炎によるかすみ目・視野欠損感覚障害手足のしびれ、感覚の鈍さ強い疲労感動けないほどのだるさバランス障害歩行が不安定になる初期症状は一見するとよくある体調不良に見え、見過ごされやすいものです。代表的なのは視神経炎による視力障害で、片目がかすむ、色が分かりにくい、視野が欠けるといった症状が出ます。ほかにも手足のしびれや感覚の鈍さ、強い疲労感や歩行時の不安定さがあります。これらは「疲れのせい」と考えられがちですが、MSの初期サインである可能性があります。早期発見につなげるためには、こうした症状が長引く場合に神経内科の受診を検討することが重要です。進行すると起こりやすい歩きにくさや排尿のトラブル症状詳細歩行障害足の力が入りにくく転倒しやすい排尿障害頻尿・尿失禁・尿意切迫感認知機能集中力低下や記憶障害MSが進行すると、生活に直結する症状が目立つようになります。歩行障害では足の力が入りにくく、転倒の危険が増えます。排尿障害では尿意を我慢できない、頻繁にトイレに行く必要があるなど、外出や仕事に支障をきたします。さらに集中力や記憶力が低下する認知機能障害も一部で見られ、日常生活の幅を狭める要因になります。これらの症状は生活の質を大きく左右するため、早い段階で対策や支援を取り入れることが大切です。症状が出たり治まったりを繰り返す「再発・寛解」状態内容再発新しい症状が出る/既存の症状が悪化する寛解症状が落ち着き日常生活に戻れる特徴出たり治まったりを繰り返すMSの特徴は症状が出たり治まったりを繰り返すことです。再発とは新しい症状が出る、あるいは既存の症状が悪化することを指します。数週間から数か月で落ち着くことを寛解と呼びますが、完全に元通りになるとは限らず、後遺症が残ることもあります。繰り返すことで障害が積み重なるため、「治ったから安心」と思わず、体調の変化を記録し医師に相談することが必要です。4. 多発性硬化症で起こる代表的な症状(部位ごとに解説)目に起こるトラブル:視神経炎と視覚の障害症状特徴視力低下片目のかすみ・視力の低下視野障害見える範囲が欠ける眼痛目を動かしたときの痛み色覚異常色がぼやける・識別しにくい視神経炎はMSでよく見られる症状のひとつです。片目に起こることが多く、急に視力が下がる、視野が欠ける、目を動かすと痛むといった特徴があります。数週間から数か月で回復することもありますが、繰り返すことで視力に後遺症を残す場合があります。視覚の変化は生活に直結するため、異常を感じたときは早めに神経内科や眼科を受診することが大切です。脊髄の障害によるしびれ・運動障害・排尿の不調障害症状感覚障害手足のしびれ・感覚が鈍い運動障害足が重い・歩行が不安定排尿障害頻尿・尿意切迫感・失禁脊髄に障害が起きると、手足のしびれや感覚の鈍さ、歩行の不安定さが現れます。さらに排尿障害もよく見られ、頻繁にトイレに行く必要があったり、尿意を我慢できないなど生活に大きな影響を与えます。これらの症状は外見からは分かりにくいため、周囲に理解されにくいこともあります。しかし、放置すると転倒や感染症につながるため、早めの相談が必要です。脳や小脳に出る症状:ふらつき・めまい・発音のしにくさ障害部位主な症状小脳ふらつき・バランス障害脳幹めまい・複視(二重に見える)発声機能構音障害(発音の不明瞭さ)脳や小脳に炎症が起きると、ふらつきやバランス障害、複視(ものが二重に見える)、言葉がはっきりしにくい構音障害などが現れます。見た目では分かりにくいため、本人のつらさが理解されにくい症状です。しかし、転倒リスクや会話のしづらさは生活に直結するため、周囲の理解と支援が欠かせません。5. 病気の進み方と今後の見通し病型の種類(再発寛解型・進行型など)病型特徴再発寛解型(RRMS)発作的に症状が出て、回復を繰り返す二次進行型(SPMS)RRMSから移行し、徐々に症状が進行一次進行型(PPMS)発症初期から症状が進行するMSにはいくつかの病型があります。最も多いのは再発寛解型で、症状が出たり治まったりを繰り返します。長期経過の中で二次進行型へ移行することもあり、回復が不十分なまま症状が少しずつ進行します。一次進行型は初期から進行するタイプで、生活への影響が大きいです。病型の違いを理解することは、将来の見通しを立てるうえで役立ちます。早期対応がカギ!進行を左右する要因要因詳細発症年齢若いほど経過が長く影響大再発頻度多いと進行リスクが高い病変の範囲脳や脊髄に広く病変があると障害が強くなる初期対応生活工夫や支援が早いほど予後に有利進行の早さにはいくつかの要因があります。若年で発症すると経過が長く影響が積み重なりやすい傾向にあります。再発の頻度や病変の範囲も重要な要素です。しかし、早期に生活の工夫や支援を取り入れることで、進行のスピードを遅らせる可能性があります。小さな工夫やサポートの積み重ねが将来の生活を守るカギになります。長期的な経過観察と生活目標の立て方ポイント内容定期受診神経内科での定期的フォローが必須QOL重視障害があっても生活の質を保つ工夫リハビリ継続機能維持のための訓練社会参加就労・趣味・交流を続ける工夫MSは長期にわたって経過を見ていく必要がある病気です。定期的な受診と検査により病気の進行を早く把握し、適切な対応を取ることが求められます。リハビリや生活支援を取り入れることで機能を維持し、社会参加を続けることも可能です。障害があっても生活の質を守るためには、医療と生活の両面から支援を組み合わせることが重要です。6. 日常生活の工夫疲れやすさ・体温上昇(ウートフ現象)への対処法症状対処法疲労感休憩を小まめにとる/無理のない活動に切り替えるウートフ現象冷却グッズの活用/エアコンや扇風機で体温管理睡眠障害寝室環境の改善/昼寝で疲労を補う多発性硬化症の患者様に多いのが「強い疲労感」と「体温上昇による症状悪化」です。疲労は一般的な疲れとは異なり、少しの活動でも強いだるさを感じることがあり、休憩の取り方や活動の調整が必要です。体温が上がると視覚障害やしびれが強まることがあり、これをウートフ現象と呼びます。夏場の外出や入浴後に症状が悪化する場合、扇風機や冷却ベストなどで体を冷やすことが有効です。睡眠障害があると疲労感がさらに強まるため、寝室環境を整えることや昼寝で補うことも大切です。日常生活に小さな工夫を積み重ねることが、安定した体調管理につながります。栄養・運動・生活リズムの工夫項目ポイント栄養バランスの取れた食事/ビタミンD摂取の関連が示唆されている運動無理のないストレッチや軽い体操生活リズム就寝・起床を一定に/昼夜逆転を防ぐ食事や運動、生活リズムの工夫はMSと向き合ううえで欠かせません。栄養面では、特にビタミンD不足が発症リスクと関連していると報告されており、魚やきのこ類を含めたバランスの良い食事が勧められます。運動は激しいものではなく、ストレッチや軽い体操を続けることで筋力低下を防ぎます。過度な運動は疲労や症状悪化を招くため注意が必要です。生活リズムでは、就寝と起床の時間を一定にすることで体調の波が安定しやすくなります。毎日の小さな習慣の積み重ねが、長期的な健康維持に役立ちます。就労・福祉制度・地域の支援活用サービス内容難病医療費助成制度医療費自己負担を軽減障害者手帳就労や生活支援サービスに有効就労支援職業リハビリ・障害者雇用制度相談窓口自治体の福祉課・患者会などで相談可能MSは20〜40代の働き盛りに発症することが多く、仕事や家庭生活との両立に悩む患者様も少なくありません。国や自治体の制度を活用することが生活の安定に直結します。難病医療費助成制度により医療費の自己負担を抑えられ、障害者手帳を取得すれば就労や生活サービスに配慮が得られます。さらに職業リハビリや障害者雇用制度を利用することで、社会参加を続けやすくなります。自治体の福祉課や患者会は、具体的な制度利用の相談に乗ってくれる重要な窓口です。情報を早めに集め、支援につなげることが安心して生活を続けるカギになります。7. 在宅生活を支える訪問看護・訪問リハビリ訪問看護で受けられるサポート内容サポート内容健康管理血圧・体温・症状の観察医療処置点滴・カテーテル管理などメンタル支援不安やうつへの相談家族サポート介護方法の助言・相談訪問看護は、自宅での暮らしを支えるための大切なサービスです。MSは体調の波が大きく、突然の悪化が起こることもあります。訪問看護師が定期的に健康状態を観察し、必要に応じて医療処置を行うことで、病院に行かずとも安心して生活できます。また、不安やうつといった心のケアも重要な支援のひとつです。さらに、介護を担うご家族に具体的なケアの方法を伝えることで負担を軽減できます。訪問看護は、患者様とご家族が安心して日常を過ごすための支えになります。訪問リハビリでできる運動・生活支援リハビリ内容目的歩行練習転倒予防・移動能力維持筋力トレーニング筋力低下の予防日常生活動作訓練着替え・入浴・食事の動作改善環境調整家の段差・手すりなどの工夫提案訪問リハビリでは、理学療法士や作業療法士が実際の生活環境に合わせた訓練を行います。歩行練習では転倒を防ぐ動作を繰り返し、筋力維持のために無理のないトレーニングを実施します。また、着替えや入浴など日常生活に直結した動作の練習を通じて、自宅での自立度を高めます。さらに段差への手すり設置など環境調整のアドバイスも行い、安全な暮らしを支えます。病院でのリハビリと異なり、家庭環境を反映できる点が大きな特徴です。町田市にお住まいの方へ:ピース訪問看護ステーションのご案内ピース訪問看護ステーションは町田市を拠点に、地域の医療機関や介護サービスと連携しながら、安心して在宅生活を送れるようサポートしています。必要に応じていつでも連絡できる体制を整えており、「もしものときに頼れる存在」です。スタッフ体制(2025年10月時点)職種人数特徴看護師9名医療的ケアや症状観察、夜間対応も可能リハビリスタッフ14名理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が在籍ケアマネジャー6名医療と介護をつなぐ役割を担当ピース訪問看護ステーションの特徴特徴詳細夜間対応夜間の急な体調不良や転倒にも対応可能リハビリ専門職の充実在宅生活に合った支援が受けられるケアマネジャー連携医療・介護・リハビリをまとめてサポート神経難病支援経験多数の症例に関わり専門性を蓄積地域連携町田市内のクリニックと定期的に勉強会を開催ピース訪問看護ステーションは、神経疾患の支援経験が豊富です。ご本人の体調管理だけでなく、ご家族の介護負担を軽減しながら、利用者が住み慣れた自宅で安心して暮らせるよう全力でサポートしています。👉 ぜひ町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。8. 心の健康と生活の質(QOL)を守るために不安やうつへの対応、カウンセリングの重要性メンタル課題支援方法不安感専門家によるカウンセリングうつ症状医師の診断・薬物療法の併用孤独感ピアサポート・患者会参加MSは長期にわたる病気であり、身体症状だけでなく心の不調も伴いやすいのが特徴です。将来への不安や、症状の波により生活が制限されることで気持ちが落ち込むことがあります。不安やうつの症状は、本人だけでなく家族の暮らしにも影響を及ぼします。そのため、心理士や精神科医によるカウンセリング、必要に応じた薬物療法が有効です。また、孤独感を和らげるために同じ病気を持つ人とのつながりを持つことも大切です。心の健康を守ることは、体のケアと同じくらい欠かせない支援です。家族や介護者との支え合いと患者会のつながり支援対象内容家族介護の方法や心理的サポート介護者負担軽減の工夫や相談先患者会情報交換・仲間づくりMSは患者様本人だけでなく、介護を担うご家族やパートナーにも大きな負担をもたらします。介護方法が分からず不安になるケースも多いため、訪問看護師やケアマネジャーからアドバイスを受けることが役立ちます。また、患者会やサポートグループに参加することで、他の人の体験談や生活の知恵を共有できるのも大きな支えになります。家族だけで抱え込まず、社会の支援を積極的に利用することで、長期的に安定した生活を維持することが可能になります。ストレス・睡眠・自己管理の工夫課題工夫ストレス趣味・リラクゼーション睡眠不足睡眠環境改善・昼寝で調整自己管理症状日記・体調チェック表日常生活においてストレスや睡眠不足は症状の悪化を招く要因になります。趣味やリラクゼーションを取り入れて気分転換を図ること、寝室環境を整えて質の高い睡眠を確保することが重要です。また、症状日記や体調のチェックを習慣化することで、自分の体の変化に早く気づけます。こうしたセルフケアの積み重ねは、医師への相談時にも役立ち、より適切な対応につながります。9. 妊娠・出産・子育てと多発性硬化症妊娠や出産での再発リスクと生活の工夫時期注意点妊娠中再発リスクは低下するが油断は禁物出産後再発しやすい時期生活工夫十分な休養・家族の協力体制づくり研究によると、妊娠中はホルモンの影響でMSの再発が少なくなる傾向があります。しかし出産後3か月は再発のリスクが高まると報告されており、特に注意が必要です。この時期に無理をせず、家族や支援サービスを頼って十分に休養を取ることが大切です。また、妊娠や出産に伴い薬の調整が必要になることもあるため、必ず主治医と相談して進めることが求められます。授乳・育児期に気をつけたいこと課題工夫授乳医師と相談して継続可否を決める夜間授乳睡眠不足に注意育児動作抱っこの工夫・ベビーグッズの活用授乳や育児は体力を必要とし、MSの患者様にとっては負担となることがあります。薬の使用状況によっては授乳が制限される場合があるため、必ず医師に確認することが大切です。夜間授乳による睡眠不足は再発を誘発する可能性があるため、家族で協力して対応することが望まれます。また、抱っこやオムツ替えなどの動作では体への負担が大きいため、ベビーグッズを積極的に活用する工夫が役立ちます。主治医に相談したいポイントと家族計画ポイント内容妊娠前薬の調整・生活準備妊娠中再発リスクと生活の工夫出産後サポート体制を整えること妊娠・出産を考える場合、主治医との相談は欠かせません。薬の中には胎児や授乳に影響を及ぼすものがあるため、事前に調整が必要です。妊娠中は体調の変化に気を配り、出産後は再発に備えて支援体制を整えることが重要です。計画的に準備を進めることで、安心して家族を迎えることができます。10. 医療機関への相談と公的サポート受診の目安と専門医を探すタイミングサイン受診の目安視力低下片目の急なかすみ・視野欠損感覚障害長引くしびれや麻痺排尿障害頻尿・尿失禁が続くMSは初期症状があいまいで他の病気と混同されやすいため、受診のタイミングが重要です。片目の急な視力低下、手足のしびれ、繰り返す排尿障害などは早めに神経内科を受診すべきサインです。早期に専門医の診断を受けることで、生活の工夫や支援策を取り入れやすくなり、将来の不安を減らせます。難病指定による医療費助成や障害認定制度制度内容難病医療費助成制度自己負担を軽減障害者手帳就労や福祉サービスで配慮を受けやすい障害年金経済的な支援MSは指定難病であるため、医療費の助成を受けられます。さらに障害者手帳を取得すると、仕事や日常生活での支援が受けやすくなり、障害年金も経済的な支えとなります。これらの制度を正しく活用することは、患者様とご家族が安心して生活を続けるために不可欠です。自治体や患者会などの相談窓口の利用方法相談先内容自治体の福祉課医療・介護制度の案内保健センター健康相談・在宅ケア支援患者会仲間との交流・情報共有自治体や患者会の相談窓口は、制度の具体的な利用方法や生活上の工夫を学ぶ場として重要です。患者会では同じ病気を持つ仲間との交流が可能で、孤独感を和らげ、前向きな生活につながります。行政や地域の支援を組み合わせることで、安心して暮らすための基盤を作ることができます。まとめ多発性硬化症は、中枢神経に炎症を起こし、症状が出たり落ち着いたりを繰り返す病気です。症状は人によって異なり、生活への影響もさまざまです。早期の受診や生活の工夫、支援制度の活用が、安心して暮らすためのカギとなります。訪問看護や訪問リハビリを取り入れることで、自宅でも医療と支援を受けながら生活を続けることができます。👉 ぜひ町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。関連記事脊髄小脳変性症の初期症状から進行・生活の工夫・訪問看護まで詳しく紹介ALS(筋萎縮性側索硬化症)の初期症状とは?見逃しやすいサインと生活サポートを解説パーキンソン病の疲労感はなぜ起こる?原因と対策を徹底解説参考文献一覧厚生労働省「指定難病一覧(令和7年4月1日施行)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000063286.html厚生労働省「訪問看護の利用対象」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000661085.pdf厚生労働省「難病対策」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000069347.html難病情報センター「多発性硬化症」https://www.nanbyou.or.jp/entry/119WHO「Multiple sclerosis」https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/multiple-sclerosis日本神経学会「多発性硬化症診療ガイドライン2023」https://www.neurology-jp.org/guidelinem/nanbyou.html国立精神・神経医療研究センター(NCNP)「多発性硬化症」https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease04.htmlBjornevik K, Cortese M, Healy BC, et al. (2022)."Longitudinal analysis reveals high prevalence of Epstein–Barr virus associated with multiple sclerosis."Science, 375(6578), 296–301.https://www.science.org/doi/10.1126/science.abj8222Confavreux C, Hutchinson M, Hours MM, Cortinovis-Tourniaire P, Moreau T. (1998)."Rate of pregnancy-related relapse in multiple sclerosis."New England Journal of Medicine, 339(5), 285–291.https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM199807303390501本記事の執筆者・監修者プロフィール【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。