「認知症かもしれない」のに病院に行きたがらない親、まず知ってほしいこと認知症かもしれない親が病院に行きたがらないのは珍しいことではなく、説得を急ぐより受診の入口を広く考えることが近道です。同じ話を何度もする、約束を忘れる。心配して病院をすすめても「私はボケてない」と取り合ってもらえない。そんな状況に悩むご家族は少なくありません。受診を拒む背景には、本人なりの不安やプライドがあります。この記事では、町田市・相模原市で訪問看護を提供する立場から、拒否の理由、伝え方、受診につなげる方法、家族だけで相談できる窓口を順に整理します。何から始めるか迷ったら、まず家族だけで地域包括支援センターに電話してみてください。この記事でわかること親が受診を拒む理由と、その裏にある気持ちだまして連れて行くことの問題と、受診を先延ばしにするリスク否定せずに受診へ誘う声かけと、付き添い当日の注意点かかりつけ医や健康診断を入口にする具体的な方法家族だけで相談できる窓口と、認知症初期集中支援チームの使い方家族が「認知症かも」と気づく変化認知症の始まりは、もの忘れだけでなく、性格や意欲の変化として表れることもあります。気づきやすい変化日常で見られる場面の例もの忘れがひどい同じことを何度も言う・問う、しまい忘れや置き忘れが増える判断・理解力が衰える料理や片付け、計算のミスが増える、話のつじつまが合わない時間・場所がわからない約束の日時を間違える、慣れた道で迷う人柄が変わる些細なことで怒りっぽくなる、頑固になる不安や意欲の変化「頭が変になった」と本人が訴える、趣味に興味を示さなくなる表は、認知症の人と家族の会の「早期発見のめやす」をもとに整理しました(出典:政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」)。思い当たる言動が複数あるときは、専門医や専門家に相談するよう勧められています。同記事によると、2022年度の推計では、65歳以上の約12%が認知症、約16%が軽度認知障害(MCI:日常生活にはあまり支障がない程度の軽い認知機能の低下)で、合わせると3人に1人にあたります。ただし、表の変化があっても認知症とは限らず、うつやせん妄(体の不調などで一時的に意識が混乱する状態)でも似た様子が見られます。気になる変化は、いつ・どんな場面で起きたかをメモしておくと、医師や相談窓口に伝えるときに役立ちます。本人を説得する前に、家族が先に相談してよい受診の話を切り出す前に、家族が専門職へ相談しておくと、選べる方法が増えます。相談先家族が相談できる内容地域包括支援センター様子の相談、受診や介護サービスへのつなぎ方かかりつけ医普段の様子を伝え、専門医療機関への受診について相談認知症疾患医療センター専門医療相談認知症初期集中支援チーム受診を拒むときの自宅訪問による支援(地域包括支援センター経由)行き詰まる前に相談先を持っておくと、家族の気持ちにも余裕が生まれます。地域包括支援センターは高齢者の暮らしや介護の公的な相談窓口で、町田市では「高齢者支援センター」と呼ばれています(出典:町田市「高齢者支援センター(地域包括支援センター)」)。「本人の同意がないのに相談していいのか」と迷う方もいますが、家族が困っていること自体が相談の理由になります。認知症の支援では、介護する家族への支援も大切なテーマとされています(出典:「認知症と軽度認知障害の人および家族介護者への支援・非薬物的介入ガイドライン2022」作成委員会)。説得を家族だけで背負わないことが、本人の安心にもつながります。なぜ受診を拒否するのか?親の頑なさの背景にある気持ち認知症かもしれない親が病院に行きたがらない背景には不安や自尊心、もの忘れの自覚の乏しさがあり、説得の前に理由を知ることが大切です。「ボケたと思われたくない」不安と自尊心本人の言葉背景にありそうな気持ち「私はボケてない」認知症と決めつけられることへの怒りや恐れ「病院に行ったら入院させられる」今の生活を取り上げられることへの不安「子どもに指図される筋合いはない」親としての立場やプライド「そのうち行く」「今は忙しい」結果を知るのが怖く、先に延ばしたい「医者は嫌いだ」過去の通院や入院での嫌な経験「頑固」に見える拒否は、本人なりに自分を守ろうとする反応でもあります。家庭や仕事を切り盛りしてきた親ほど、子どもに「病院に行って」と言われることに抵抗を覚えやすいものです。認知症という言葉には「何もわからなくなる」「施設に入れられる」という印象がいまも残り、理屈で説明されても気持ちはすぐには追いつきません。2024年1月には認知症基本法が施行され、認知症になっても希望を持って自分らしく暮らし続けられるという「新しい認知症観」が示されました(出典:政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」)。診断は生活を取り上げるためではなく、これからの暮らし方を考えるためのものです。家族がこの見方を持つと、声かけも変わってきます。もの忘れの自覚が乏しいのは症状の一部項目加齢によるもの忘れ認知症によるもの忘れ忘れ方体験の一部を忘れる(朝食の献立が出てこない)体験そのものを忘れる(朝食を食べたこと自体)自覚もの忘れの自覚がある自覚がない(初期には自覚があることも少なくない)経過きわめてゆっくりしか進まない進行する政府広報オンラインでは、両者の違いを上のように整理しています。認知症では忘れたこと自体を覚えていないため、本人は「困っていない」と感じやすくなります。家族には明らかな変化でも、本人には「言いがかり」に聞こえるのです。反対に、初期には本人が変化に気づいていることも少なくありません。認めたくない気持ちが、強い否定となって表れます。どちらの場合も、「忘れているよ」と事実を突きつけるより、本人が感じている不安や困りごとに目を向けるほうが話は進みます。無理に病院へ連れて行くとどうなる?デメリットと受診を先延ばしするリスク行きたがらない親をだまして病院へ連れて行くと信頼を損ねやすい一方、認知症の受診を先延ばしにすることにもリスクがあります。だまして連れて行くことのデメリットよくある方法起こりやすいこと「買い物に行こう」と誘って病院へだまされたと感じ、家族への不信が残る当日の朝に突然伝える混乱や怒りが強まり、診察どころではなくなる家族総出で囲んで説得する追い詰められたと感じ、心を閉ざす診察室で家族が失敗を次々に話す恥ずかしさや怒りから、検査を拒む「だましてでも連れて行ったほうがいいのか」は、ご家族からよく聞かれる悩みです。一度は病院にたどり着けても、だまされたという気持ちが残ると次の受診が難しくなります。診療は経過を見ながら続くことが多く、信頼を失う影響は小さくありません。厚生労働省の意思決定支援ガイドラインは、本人の認知能力に応じて、理解しやすいように説明することを求めています。決断を迫って本人を焦らせないことも、あわせて挙げられています(出典:厚生労働省「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)」)。ただ、最初から「認知症の検査」と切り出す必要はありません。「血圧を診てもらう」「健康チェックをする」など、本人が納得しやすい本当の理由を選んで伝える方法があります。うそで連れ出すのではなく、伝え方を工夫すると考えてください。受診を先延ばしにするリスク先延ばしで起こりうること早めに受診する意味治療で改善が期待できる病気を見逃す正常圧水頭症や甲状腺機能低下症などを見つけて治療できるうつやせん妄を認知症と思い込む似た状態を区別し、合った対応を選べる本人が希望を伝えにくくなる話し合えるうちに今後の暮らしを一緒に考えられる家族だけで対応を抱え込む医療や介護の支援を早く使い始められる日本神経学会の「認知症疾患診療ガイドライン2017」は、正常圧水頭症(脳の中に髄液がたまりすぎる病気)、甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏症などの一部を「治療可能な認知症」として扱うことが多いとしています。こうした病気には、早期の診断と適切な治療が求められます(出典:日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」)。「年のせい」と決めつけて様子を見続けると、治療でよくなる機会を逃しかねません。また、MCIの人のうち年間10〜15%が認知症に移行するとされますが、全員が認知症になるわけではありません(出典:政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」)。今の状態を知ることは、必要以上に心配しないためにも役立ちます。意思決定支援ガイドラインも、本人が自ら意思決定できる早期のうちに、今後の生活を本人・家族・関係者で話し合う重要性を示しています。早めに相談したいサイン様子考えたいこと急に混乱が強くなったせん妄や体の病気が隠れていないか食事や水分がとれていない体調の悪化や、食事の用意ができていない可能性火の消し忘れ、道に迷って帰れない事故やけがにつながる安全の問題気分が沈み、眠れない日が続くうつが関わっていないか家族が怒鳴ってしまう、眠れない介護する側の限界が近い表の様子があれば、本人が嫌がっていても待たずに相談を始めてください。ここに挙げたのは訪問看護の現場で早めの対応を考える目安で、医学的な診断基準ではありません。特に急に混乱が強くなったときは、脱水や感染症、薬の影響などによるせん妄も考え、かかりつけ医に早めに連絡しましょう。火の不始末や道に迷うといった安全の問題は、受診を待たずに地域包括支援センターへ相談できます。気分の落ち込みが目立つときの、うつとの見分け方は高齢者のうつと認知症の見分け方|家族が早く気づくチェックで紹介しています。受診につなげる伝え方|否定せず気持ちを尊重する声かけのコツ認知症かもしれない親を病院へ説得するときは、もの忘れを指摘せず、本人の困りごとや体の心配を入口にして受診に誘います。避けたい言い方と、言い換えの例避けたい言い方言い換えの例「最近ボケてきたんじゃない?」「最近、よく眠れてる?疲れていない?」「認知症の検査に行こう」「一度、体の健康チェックをしてもらおうよ」「何回言ったらわかるの」「私が心配だから、一緒に行ってもらえると安心」「行かないとダメ」「先生に相談して、安心したいんだ」「みんな心配してるよ」「畑仕事を、これからも元気に続けてほしいから」言い換えのポイントは、「あなたはおかしい」ではなく「私が心配している」と伝えることです。主語を本人から家族に変えるだけで、責められている印象はやわらぎます。入口にしやすいのは、眠れない、疲れやすい、膝が痛いといった体の困りごとです。町田市・相模原市のご家庭に伺っていても、もの忘れの話題になると口を閉ざす70代、80代の方は少なくありません。それでも血圧を測りながら「夜は眠れていますか」と尋ねると、夜中に何度も目が覚める、膝が痛くて散歩に出られないといった話を自分から語ってくださる方が多いのです。その困りごとを受診の理由にすると、話が進みやすくなります。誘うタイミングと、誰から伝えるか工夫ポイント時間帯を選ぶ疲れや不安が少なく、本人が落ち着いているときに話す伝える人を選ぶ本人が信頼している家族、かかりつけ医、昔からの知人一度で決めない断られたら引き、日をあらためて話す選んでもらう「火曜と木曜、どちらが都合いい?」と選択肢を示す書いて残す受診日や行き先をカレンダーに書き、何度も確認できるようにする意思決定支援ガイドラインは、本人と時間をかけて話すこと、選択肢を複数示し、文字にして確認できるようにすることを挙げています。開かれた質問(「はい」「いいえ」で答えられない質問)で本人の望みを聞くことも大切です。「病院に行く?」では「行かない」で終わりますが、「最近、困っていることはある?」なら話を引き出せます。夕方に落ち着かなくなる方は、認知症の夕暮れ症候群・帰宅願望|家族が玄関で止めない対応のコツも参考に時間帯を選んでください。一度断られても失敗ではなく、日をあらためるうちに気持ちが変わることもあります。受診当日の付き添いで気をつけること場面気をつけたいこと出発前急かさず、時間に余裕をもって家を出る待合室待ち時間が長いときは、飲み物や本人の好きなものを用意する診察の前気になる様子をメモにまとめ、受付や医師に渡しておく診察室本人の前で失敗を並べ立てず、本人の話を先に聞いてもらう帰り道「行ってくれてありがとう」と伝え、好きな場所に寄る付き添いで一番気をつけたいのは、診察室で本人の面子をつぶさないことです。本人の前で「こんなこともできない」と次々に話すと、本人は恥をかかされたと感じ、検査や次の受診を拒むきっかけになります。伝えたいことはメモにまとめ、受付で渡すか予約の際に伝えておきます。診察では、まず本人が話す時間を大切にしてもらいましょう。本人が「大丈夫」と答えても横から訂正せず、あとで補足すれば十分です。受診できたことを、ねぎらいの言葉で締めくくってください。「行ってよかった」と思えれば、次の通院のハードルが下がります。実際に受診につなげる具体的な方法|かかりつけ医・健康診断・往診・地域包括支援センター病院に行きたがらない親には、かかりつけ医や健康診断、地域包括支援センターを入口にすると、認知症の受診につながりやすくなります。かかりつけ医や健康診断をきっかけにする入口伝え方・誘い方の例かかりつけ医に家族から伝えるいつから、どんな変化があり、生活で何に困っているかをメモで渡す次の定期受診で医師に頼む「さりげなく詳しい検査をすすめてほしい」とお願いする健康診断・がん検診「市の健診のお知らせが来たから、一緒に行こう」体の不調「よく眠れないなら、先生に相談してみない?」持病で通うかかりつけ医がいるなら、まず相談するのが近道です。政府広報オンラインも、専門医療機関への受診を誘導してもらうため、かかりつけ医への相談を勧めています。家族の話は受け入れない親も、長年の主治医から「念のため、一度調べておきましょうか」と言われると応じることがあります。高齢者の診療では、認知機能だけでなく、日常生活の動作、気分や意欲、家族や住まいの状況まで多職種で評価する考え方(高齢者総合機能評価)が示されています(出典:日本老年医学会・国立長寿医療研究センター「高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024」)。家族が伝える生活の様子は、医師にとっても大事な手がかりです。「もの忘れ」を理由にすると拒む方でも、健康診断や体の不調が理由なら受け入れやすくなります。健診は多くの人が受けるもので、「自分だけが疑われている」と感じにくいからです。通院が難しくなっている場合は、往診(必要なときに自宅へ来てもらう診療)を頼めるかも聞いてみましょう。訪問診療を行う医療機関を紹介してもらえることもあります。町田市にお住まいなら、市の健診の受け方を町田市の健康診断を徹底解説!受診方法・費用・メリットまでで紹介しています。認知症は何科を受診する?もの忘れ外来とは受診先特徴もの忘れ外来もの忘れや認知症を専門に診る外来。病院によって「認知症外来」など名称が違う脳神経内科脳や神経の病気を診る。認知症の原因となる病気の診断にも対応精神科認知症のほか、うつや不安、幻覚などの症状にも対応認知症疾患医療センター都道府県・政令指定都市が指定する専門医療機関。鑑別診断や専門医療相談を行う何科を受診すればよいか迷ったら、かかりつけ医に紹介先を相談するのが確実です。かかりつけ医がいない場合は、医療機関のもの忘れ外来を受診する方法もあります(出典:政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」)。認知症の診療は、脳神経内科や精神科、老年科(高齢者の病気を総合的に診る科)など複数の診療科が担っています。「精神科」と聞いただけで身構える親もいます。本人には科の名前より「もの忘れに詳しい先生」と伝えるほうが、受け止めてもらいやすくなります。町田市では、鶴川サナトリウム病院が東京都から認知症疾患医療センターの指定を受け、鑑別診断(認知症かどうか、どの種類かを見分ける診断)や専門医療相談を行っています(出典:町田市「認知症疾患医療センター」)。相模原市では、北里大学病院と総合相模更生病院が認知症疾患医療センターとなり、電話や面接で専門医療相談に応じています(出典:相模原市「相模原市認知症疾患医療センター」)。認知症の種類ごとの特徴は、認知症の種類と特徴を徹底解説!違いがわかる一覧表&訪問看護の活用方法で整理しています。地域包括支援センターに家族だけで相談する地域家族が使える主な相談窓口町田市高齢者支援センター(地域包括支援センター)、医師によるもの忘れ相談相模原市地域包括支援センター、各区の高齢・障害者相談課、認知症疾患医療センター全国認知症の人と家族の会の電話相談(0120-294-456、平日10時〜15時)本人が受診を拒んでいる段階でも、家族だけで地域包括支援センターに相談できます。「病院に連れて行けない」という悩みそのものを相談して構いません。町田市では、各高齢者支援センターで医師によるもの忘れ相談を毎月1回行っています。「病院に行くまでではないと感じている方」や「病院に行く前に少し相談しておきたい方」が対象で、病院を嫌がる親の最初の一歩にしやすい仕組みです(出典:町田市「医師によるもの忘れ相談」)。相模原市では、地域包括支援センター、各区の高齢・障害者相談課、認知症疾患医療センターが身近な相談窓口として案内されています(出典:相模原市「認知症に関する身近な相談窓口について」)。認知症の人と家族の会の電話相談は全国から使え、携帯電話からは050-5358-6578にかけます(出典:政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」)。ケアマネジャーのいる居宅介護支援事業所との違いは【どちらに相談?】地域包括支援センターと居宅介護支援事業所の違いをわかりやすく解説で説明しています。受診をすすめるたびに言い争いになってしまう段階でも、訪問看護にご相談いただけます。持病で通院中の方なら、主治医の指示のもとで自宅に伺い、血圧や睡眠の様子を確かめながら、受診の話ができる関係づくりから始められます。今の状況をお問い合わせからお聞かせください。それでも拒否が続くときの相談先|精神科訪問看護・訪問診療・認知症初期集中支援チーム説得しても認知症の親が病院に行きたがらないときは、初期集中支援チームや訪問診療、訪問看護など自宅に来てもらう支援で受診拒否に向き合います。認知症初期集中支援チームとは項目町田市相模原市チームの顔ぶれ医療や介護の専門職認知症の専門医、保健師、社会福祉士、作業療法士、地域包括支援センター職員など主な対象自分で相談できない方、家族が勧めても専門の医師に相談できない方診断を受けていない、医療や介護サービスを使っていない方など相談の窓口担当地域の高齢者支援センター地域包括支援センター支援の形チーム員が自宅を訪問して相談を受ける家庭訪問とチーム員会議を経て支援し、ケアマネジャーなどへ引き継ぐ認知症初期集中支援チームは、医療や介護につながっていない認知症の人(疑いを含む)の自宅を専門職が訪ね、必要な支援につなぐ仕組みです。本人が病院に行きたがらない状況こそ、このチームの出番といえます。町田市では、症状が進んで自分で認知症の相談ができない方や、家族が勧めても専門の医師に相談できない方を対象に、チーム員が自宅を訪問して相談を受けます(出典:町田市「認知症初期集中支援チーム」)。相模原市では、40歳以上で自宅で暮らす、認知症のある人または疑われる人のうち、診断を受けていない、治療を中断している、サービスを使っていても症状が強く対応に困っているといった人が対象です(出典:相模原市「認知症初期集中支援事業」)。どちらの市でも入口は地域包括支援センターで、「本人が受診を嫌がって困っている」と伝えれば、利用が合うかも含めて相談できます。何度誘っても断られ続けると、家族は「自分の伝え方が悪いのでは」と自分を責めがちです。チームを頼ることは、家族の努力が足りないという意味ではありません。訪問診療・往診で自宅で診てもらう項目往診訪問診療来てもらう形体調が悪いときなどに、依頼を受けて臨時で来てもらう計画を立てて、定期的に自宅で診てもらう向いている場面急な発熱や体調の変化通院が難しく、継続して診てもらいたい始め方かかりつけ医に相談かかりつけ医や地域包括支援センター、ケアマネジャーに相談通院そのものを強く嫌がる方や、外出が難しくなった方には、医師に自宅へ来てもらう方法があります。見慣れた自宅なら、病院では緊張して黙ってしまう方でも、普段どおりに話せることがあります。訪問診療は通院が難しい方のための仕組みなので、利用できるかどうかは医療機関と相談して決めます。町田市での訪問診療と訪問看護の組み合わせ方は、【町田市の在宅医療】訪問診療と訪問看護の連携とは?で紹介しています。精神科訪問看護・訪問看護でできること支援内容体調と生活の確認血圧や食事、睡眠、服薬の様子を見て主治医に伝える気持ちの聞き取り本人の不安や困りごとを聞き、受診の話ができる関係をつくる家族の相談声かけの工夫や、受診・サービスの組み合わせを一緒に考える関係機関との連携主治医やケアマネジャー、地域包括支援センターと情報を共有する訪問看護は、看護師などが自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて療養上の世話や診療の補助を行うサービスです(出典:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「訪問看護」)。そのため医療機関にかかっていない段階では始められませんが、持病の主治医がいれば、その指示で訪問看護を始め、様子を見ながら受診につなげられます。町田市・相模原市のご家庭に伺う中でも、持病の管理で週1回ほど訪問している方が、顔なじみになった頃に服薬カレンダーを一緒に確かめながら「最近、忘れっぽくて」と打ち明けてくださることがあります。家族には言いにくい不安も、家族ではない相手には話しやすいものです。精神科を受診している場合は、精神科の医師の指示で精神科訪問看護を受ける方法もあります。不安や怒りっぽさなどが強くなっているときは、BPSDで在宅介護が限界になる前に|家族が訪問看護に相談すべきサインと使い方も参考にしてください。認知症以外の心の不調で受診を拒むときの対応は、精神科の受診を本人が拒むとき家族ができる声かけと相談先でまとめています。よくある質問|認知症の親が病院に行きたがらないとき受診をめぐって、ご家族からよく寄せられる疑問にお答えします。Q. 認知症の親が病院に行きたがらないときはどうすればいいですか。A. もの忘れを指摘するより、眠れない、疲れやすいといった本人の困りごとや健康診断を入口に誘います。断られたら日をあらため、信頼している家族やかかりつけ医から伝えてもらいます。Q. 認知症を疑って受診を拒否されたらどう対応しますか。A. 無理に連れ出さず、まず家族だけで地域包括支援センターやかかりつけ医に相談してください。拒否が続くときは、専門職が自宅を訪ねる認知症初期集中支援チームにつないでもらえることがあります。Q. 認知症の親をだましてでも病院に連れて行っていいですか。A. おすすめしません。だまされたという気持ちが残ると、次の受診が難しくなります。「健康チェック」など、本人が納得しやすい本当の理由を選んで伝えてください。Q. 認知症は何科を受診すればいいですか。もの忘れ外来とは何ですか。A. もの忘れ外来は、もの忘れや認知症を専門に診る外来で、脳神経内科や精神科、老年科でも診療しています。迷ったらかかりつけ医に紹介先を相談してください。Q. 本人抜きで家族だけ病院や医師に相談することはできますか。A. 地域包括支援センターには家族だけで相談できます。認知症疾患医療センターでも専門医療相談を行っています。医療機関によって家族だけの相談の受け方は違うため、事前に問い合わせてください。Q. 認知症の受診を先延ばしにするとどうなりますか。A. 甲状腺機能低下症や正常圧水頭症など、治療で改善が期待できる病気を見逃すおそれがあります。今後の暮らしを本人と話し合う時間も短くなるため、家族だけでも早めに相談してください。Q. 認知症初期集中支援チームとは何ですか。A. 医療や介護の専門職が自宅を訪ね、医療や介護につながっていない認知症の人(疑いを含む)と家族を必要な支援につなぎます。町田市・相模原市とも、窓口は地域包括支援センターです。Q. 認知症の親の受診に付き添うときの注意点は何ですか。A. 本人の前で失敗を並べ立てないことです。伝えたい様子は事前にメモで渡し、診察では本人が話す時間を大切にします。帰りには「ありがとう」とねぎらってください。まとめ認知症かもしれない親が病院に行きたがらないときは、説得で押し切るより、本人の気持ちを汲み取り、受け入れやすい入口を選ぶことが大切です。拒否の裏には、不安やプライド、もの忘れの自覚の乏しさがあります。「私が心配だから」と伝え、体の困りごとや健康診断、かかりつけ医を入口にしてみてください。迷ったら、まず家族だけで地域包括支援センターに電話し、「親が受診を嫌がって困っている」と伝えてみてください。そこから認知症初期集中支援チームや訪問診療、訪問看護の力を借りる道が開けます。受診は家族だけで背負う役目ではありません。精神科訪問看護ステーション ピースにご相談ください「精神科」の名前ですが、認知症の方の受診や暮らしのご相談も受けています。こんな方はぜひご相談ください:親のもの忘れが気になるのに、受診をすすめるたびに言い争いになる方持病で通院中の親の暮らしぶりを、専門職に見てほしい方相談先が多く、どこから動けばよいか迷っている方受診をすすめる役目を、ご家族だけで抱え込む必要はありません。訪問看護では、次のような形でお手伝いします。訪問看護でできること:主治医の指示のもと、体調や服薬、生活の様子を確かめます本人の不安を聞き、受診の話ができる関係づくりをお手伝いします声かけの工夫や相談先の使い方を、ご家族と一緒に考えます東京都町田市・多摩市、神奈川県相模原市・大和市・川崎市麻生区を中心に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。関連記事精神科の受診を本人が拒むとき家族ができる声かけと相談先BPSDで在宅介護が限界になる前に|家族が訪問看護に相談すべきサインと使い方認知症の入浴拒否|お風呂を嫌がる理由と家族の対応・清拭の工夫認知症の夕暮れ症候群・帰宅願望|家族が玄関で止めない対応のコツ精神科訪問看護を本人が拒否する時|家族の伝え方と導入のコツ町田市で認知症の家族を支えるには?訪問看護と見守り支援を徹底ガイド参考文献一覧出典:日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」https://www.neurology-jp.org/guidelinem/nintisyo_2017.html出典:日本老年医学会・国立長寿医療研究センター「高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024」https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00874/出典:「認知症と軽度認知障害の人および家族介護者への支援・非薬物的介入ガイドライン2022」作成委員会https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00762/出典:厚生労働省「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf出典:政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」https://www.gov-online.go.jp/article/202501/entry-7013.html出典:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「訪問看護」https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group4.html出典:町田市「高齢者支援センター(地域包括支援センター)」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/old/shiminnokatae/mijikanasodan/koureisha_shien_center.html出典:町田市「医師によるもの忘れ相談」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/old/shiminnokatae/ninchishojoho/ninchishomadoguchi/sogoseikatsujigyo.html出典:町田市「認知症初期集中支援チーム」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/old/shiminnokatae/ninchishojoho/ninchishomadoguchi/shokishuuchuu.html出典:町田市「認知症疾患医療センター」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/old/shiminnokatae/ninchishojoho/shikkaniryousenta.html出典:相模原市「認知症初期集中支援事業」https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kosodate/1026646/kaigo/1007008/1007013.html出典:相模原市「認知症に関する身近な相談窓口について」https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kosodate/1026646/kaigo/1007008/1007018.html出典:相模原市「相模原市認知症疾患医療センター」https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kosodate/1026646/kaigo/1007008/1007019.html【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理、地域医療連携、在宅看取り支援に積極的に取り組んでいる。【精神科訪問看護ステーション ピースについて】株式会社isLandは町田市で訪問看護を運営する3つの事業所を持ち、これまでも精神疾患のある方とそのご家族を多数支援してきました。2027年1月には、その経験を基に、精神科に特化した「精神科訪問看護ステーション ピース」を新たに開設します。開設までの期間も、既存3事業所でご相談・受入対応が可能です。お気軽にお寄せください。mental.island-piece.jp 精神科訪問看護ステーション ピース|町田市