1. 「心臓に水が溜まる」をかんたん整理—心不全・胸水・心嚢水の違い足・肺・胸のどこに水が溜まるかで意味が変わる用語たまる場所主な原因よくある症状受診の目安浮腫(むくみ)皮下(主に足)心不全・腎機能低下・体質や薬の影響靴がきつい、くつ下跡が残る数日で体重増や強いはり肺うっ血/肺水腫肺左心不全息切れ・夜間の呼吸苦横になると苦しい(起坐呼吸)胸水胸の中(胸腔)心不全・感染・腫瘍 など息苦しさ、横向きで楽になることもある息切れ悪化・長引く咳「水が溜まる」と言っても、どこに水があるかで意味が違います。足のむくみは皮下に水が多い状態、肺うっ血は肺に血液がたまって息切れが強くなる状態、胸水は肺の外側(胸腔)に水がたまって呼吸が浅くなります。とくに心不全では複数が同時に起きやすく、むくみ+息切れ+短期間の体重増加がそろえば受診のサインです。早めの受診が、その後の悪化や入院をふせぐ第一歩になります。出典:日本循環器学会「心不全診療ガイドライン(2025年改訂)」https://www.j-circ.or.jp/english/cj/jcs-guidelines/心臓の袋に水が溜まる=心嚢水(心膜液貯留)用語たまる場所急ぐ度合い確認検査キーワード心嚢水(心膜液貯留)心臓を包む膜の中(心膜腔)状況により緊急心エコーが基本量と圧迫を評価胸水肺の外側(胸腔)症状により胸部X線・超音波・CT肺の圧迫を確認心嚢水は心臓のまわりに水がたまる状態です。少ないうちは症状が目立たなくても、急に増えると心臓が押されて血液をうまく送り出せなくなります。診断には心エコーが有用で、どのくらいの量か、心臓の部屋(右室など)がつぶされていないかを見ます。胸水と場所が違うため、画像でどこにある水かを見分けることが大切です。放置せず、症状や検査結果に合わせて治療方針を決めます。出典:日本循環器学会「循環器超音波検査関連ガイドライン」https://www.j-circ.or.jp/english/cj/jcs-guidelines/命に関わる圧迫=心タンポナーデは別物状態何が起きている?典型サイン受診の目安初期対応心タンポナーデ心嚢水の圧で心臓が拡がれない血圧低下・頸静脈がはれる・心音が小さい今すぐ救急心エコーで確認し心嚢穿刺を検討心タンポナーデは、心嚢水(ときに血液)が急に増えて心臓が膨らめないため、全身に血液を送れなくなる緊急の状態です。急な息切れ、冷汗、ふらつき、脈が速い/弱い、血圧低下などがあれば119番を。救急で心エコーを行い、必要なら心嚢穿刺で水を抜きます。慢性に少しずつ増える場合と違い、急激な増加は少量でも危険なので迷わず受診しましょう。出典:MSDマニュアル家庭版「心タンポナーデ」(2024年改訂)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/25-%E5%A4%96%E5%82%B7%E3%81%A8%E4%B8%AD%E6%AF%92/%E8%83%B8%E9%83%A8%E6%90%8D%E5%82%B7/%E5%BF%83%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%872. なぜ水が増える?—心臓のポンプ低下と体の調整不良左右の心不全(左心不全/右心不全)で起きることタイプ仕組み主症状よくある所見主な検査左心不全左室の拍出低下→肺に血がたまりやすい息切れ・夜間の呼吸苦肺うっ血・ラ音BNP/NT-proBNP, 胸部X線右心不全右室の送り出し低下→全身に水がたまるむくみ・体重増頸静脈怒張・肝腫大心エコー(右心系)心不全は心臓のポンプ力が落ちることで、左側が弱いと肺うっ血で息切れが前面に、右側が弱いとむくみや体重増が前面に出ます。採血のBNP/NT-proBNPは心臓への負担を反映し、診断や重症度の目安になります。左右が同時に弱ることもあり、息切れ+むくみ+体重増は典型的なサインです。早期に見つければ、入院を避けられる可能性が高まります。出典:日本循環器学会「心不全診療ガイドライン(2025年改訂)」https://www.j-circ.or.jp/english/cj/jcs-guidelines/弁膜症・心筋症・不整脈・虚血性心疾患が背景に背景疾患例なぜ水が増える?重要ポイント弁膜症僧帽弁閉鎖不全、大動脈弁狭窄逆流/狭窄で心臓に負荷心エコーで評価心筋症拡張型・肥大型など拍出低下/充満障害ガイドラインに沿う不整脈心房細動など心拍出低下速度・リズムの管理虚血性心疾患冠動脈の狭窄心筋ダメージ→うっ血冠動脈治療を検討むくみや胸水の影に基礎の病気が潜むことは珍しくありません。たとえば弁の逆流や狭窄が強いと心臓に負担がかかり、心不全が進みます。心房細動では拍出が落ちやすく、息切れや動悸につながります。原因に合わせた根本治療が進むと、体の水が引いて楽になることが多いです。出典:日本循環器学会「各種循環器疾患ガイドライン(弁膜症・冠動脈疾患 等)」https://www.j-circ.or.jp/english/cj/jcs-guidelines/高血圧・腎機能低下・糖尿病・睡眠時無呼吸も関与併存症体液への影響大事なポイント高血圧心臓の負担↑→心不全が進みやすい家庭血圧の継続記録腎機能低下水・塩の排泄が弱い体重・尿量の観察糖尿病心筋・腎臓への負担食事・活動量・体調記録睡眠時無呼吸夜間低酸素→血圧↑睡眠検査やCPAPの相談生活習慣病は体の水分バランスを乱し、心不全を悪化させます。とくに高血圧は心臓の壁を厚くして負担を増やし、腎機能低下は余分な水と塩をため込みます。糖尿病では心筋や腎臓のダメージが重なります。睡眠時無呼吸が疑われる人はいびき・日中の眠気も手がかりに検査を。減塩・活動量の工夫・記録の継続が胸水やむくみの再燃を遠ざけます。出典:WHO「Cardiovascular diseases(CVDs)Fact sheet」(2025年更新)https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/cardiovascular-diseases-(cvds)3. まずは症状チェック—息切れ・むくみ・体重増加横になると苦しい/夜中に息苦しい(起坐呼吸)症状何が起きている?目安受診のきっかけ起坐呼吸横になると息が苦しい枕を増やすと楽夜間に突然目が覚める夜間発作性呼吸困難深夜〜明け方の強い息切れ数十分で軽快することも繰り返せば受診横になると苦しい・夜中に息が苦しくて起きるのは、肺うっ血が強まっているサインです。枕を増やすと少し楽でも、くり返す/悪化なら心不全の可能性を考え受診を。突然の息苦しさ+咳やあわ状の痰は肺水腫のことがあり、救急が必要になる場合もあります。早期の相談で、入院や重症化を避けられることがあります。出典:CDC「About Heart Failure」(2024年改訂)https://www.cdc.gov/heart-disease/about/heart-failure.html足のむくみ・お腹のはり(腹水)・胸水のサイン所見仕組み自宅での気づき方受診の目安足のむくみ右心不全などで体液が増えるくつ下跡、靴がきつい数日で増悪腹水お腹に水がたまるベルト穴が合わない苦しさが持続胸水肺の外側に水横向きで楽になることもある息切れ悪化足のむくみやお腹のはりは、体に水がたまっているサインです。朝より夜に強い、短期間で体重が増える、靴やズボンが急にきついなどは要注意。胸水があると息が浅くなり、横向きで楽になることもあります。こうした変化が続く、または急に悪化したら、心不全の進行が疑われるため受診しましょう。自宅では毎日の体重チェックが早期発見に役立ちます。出典:日本循環器学会「心不全診療ガイドライン(2025年改訂)」https://www.j-circ.or.jp/english/cj/jcs-guidelines/24時間で約1kg、1週間で約2.3kgの体重増は要連絡サイン目安背景次の一手体重増加24時間で約1kgまたは1週間で約2.3kg体液が増えている可能性外来へ連絡・受診相談強いだるさ動くと悪化心拍出低下休息と評価動悸脈が速い/乱れる不整脈の可能性心電図で確認短期間での体重増加は、体に水がたまっている合図です。24時間で約1kg(2〜3ポンド)、または1週間で約2.3kg(約5ポンド)の増加は受診・電話相談の目安です。強いだるさや動悸が続く場合は不整脈や心不全の悪化が隠れていることがあります。心電図やBNPで確認し、減塩と水分量の見直しで早期に立て直すことが大切です。出典:American Heart Association「Heart Failure Symptom Tracker」ほか患者教育資料4. 受診したら何をするの?—内科・循環器の基本検査診察:血圧・脈拍・SpO₂・聴診で全体を確認項目何を見る?例ポイント血圧循環の安定性低血圧は重症サイン連続測定が大切脈拍速さと乱れ不整脈の手がかり症状とあわせるSpO₂酸素の足り具合息切れ時に参考動脈血で確認も聴診ラ音・心雑音肺うっ血/弁膜症の所見胸水の左右差も外来ではまず血圧・脈拍・SpO₂・聴診で状態をつかみます。低血圧やSpO₂低下は重症化のサインで、ラ音は肺うっ血を示唆、心雑音は弁膜症の手がかりになります。必要に応じて酸素などで安定化させつつ、次の検査(採血・画像)に進みます。症状の経過や自宅の体重記録を持参すると、悪化のスピードや原因推定に役立ちます。出典:CDC「About Heart Failure」https://www.cdc.gov/heart-disease/about/heart-failure.html血液検査:BNP/NT-proBNP・腎機能・電解質検査役割参考になる病態BNP/NT-proBNP心不全の有無・重症度を反映うっ血の評価腎機能(Cr/eGFR)体液調整の安全性把握腎機能低下電解質(Na/K)体内バランスの確認低Na・高KなどBNP/NT-proBNPは心臓から出るホルモンで、心不全の診断・経過観察に有用です。合わせて腎機能(eGFR)や電解質を確認し、体内の水と塩分の扱いが安全に行われているかを評価します。採血で全体像をつかみ、画像(心エコー・X線)と合わせて総合的に判断します。出典:日本循環器学会「心不全診療ガイドライン(2025年改訂)」https://www.j-circ.or.jp/english/cj/jcs-guidelines/画像:胸部X線・心電図・心エコーで水と心機能を見る検査何がわかる?ポイント胸部X線心拡大/胸水/肺うっ血経過比較が有用心電図不整脈・虚血の手がかり動悸や失神時に必須心エコー心機能(EF)/弁膜症/心嚢水ベッドサイドで繰り返し可能胸部X線は胸水や心拡大、肺うっ血の有無を素早く確認できます。心電図は不整脈や虚血の手がかり。もっとも重要なのが心エコーで、駆出率(EF)でポンプ力を評価し、弁膜症や心嚢水の有無もその場でわかります。心タンポナーデの兆しがないかも確認でき、入院の要否や治療の優先順位を決める材料になります。出典:日本循環器学会「循環器超音波検査関連ガイドライン」https://www.j-circ.or.jp/english/cj/jcs-guidelines/5. 心不全で増えた「水」を減らす—生活の基本生活:減塩・水分量の目安・毎日の体重/血圧記録取り組みねらい具体例役立つ道具減塩体にたまる水分を減らす出汁・酸味・香味で工夫計量スプーン水分量の調整むくみ・胸水の悪化を防ぐ医療者と目安量を共有目盛りボトル毎日の体重早期に体液増加を察知同じ時間・同じ服で測る体重計血圧記録心不全悪化要因の把握朝・晩の2回測定血圧手帳減塩は「控える」だけでなく味の工夫が続けるコツ。毎朝の体重は同じ条件で測定し、24時間で約1kg/1週間で約2.3kgの増加は連絡の目安です。血圧は朝晩2回を習慣化。水分量は季節や発汗量も考慮して、日々の体調と合わせて医療者と共有しましょう。生活の小さな積み重ねが胸水・むくみの再燃予防につながります。出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「食塩と高血圧」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-003.html心臓リハビリで息切れを軽くし再入院を防ぐ内容目的実施場所目安心臓リハビリ体力回復・再入院予防病院・施設・一部在宅医師の処方に基づく運動療法息切れ改善心拍・血圧の管理下個別プログラム生活指導減塩・睡眠・禁煙専門職が支援継続が鍵心臓リハビリテーションは、医療チームの管理下で行う運動と生活指導のプログラムです。会話できる強度から始め、息切れや脈拍を見ながら段階的にステップアップ。減塩・睡眠・禁煙などの支援も受けられます。自己流で頑張りすぎず、心エコーやBNPの経過と合わせて計画を見直していきましょう。出典:日本心臓リハビリテーション学会「心臓リハビリテーションとは」https://www.jacr.jp/general/悪化サインに備える受診ルールと連絡体制サイン具体例行動急な体重増24時間で約1kg/1週間で約2.3kgまず外来に連絡し指示を仰ぐ息切れの悪化階段・平地で増悪、夜間の呼吸苦我慢せず受診、救急の検討むくみの増悪ふくらはぎパンパン、靴が入らない塩分・水分の見直し+受診相談体重・息切れ・むくみの悪化は、体に水が増えているサインです。とくに上記の体重増や夜間の起坐呼吸は見逃さないでください。まずは医療機関へ連絡して、受診のタイミングや検査の要否を相談しましょう。自宅では減塩や活動量の調整を続け、記録(体重・血圧・症状)を持参すると評価がスムーズです。出典:日本循環器学会「心不全診療ガイドライン(2025年改訂)」6. 毎日の生活でできる予防とセルフケア—食事・運動・家でのチェック食事のコツ(減塩・水分の目安・アルコール)テーマコツ注意点減塩だし・香味野菜・酸味で満足度アップ外食や加工食品は塩分高め水分1日の目安量を医療者と共有季節や発汗量で調整アルコール控えめに、休肝日をつくる体調により悪化することも食事は心不全のセルフケアの土台です。醤油や味噌は計量して使い、加工食品やスープの飲み干しは避けます。水分は目安量を決め、真夏や入浴後など汗をかく場面では脱水にならない範囲で調整します。アルコールは控えめにし、体調と相談を。体重・むくみ・息切れに変化があれば早めに相談しましょう。出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「食塩と高血圧」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-003.html無理のない運動のしかた目的種類目安NG例息切れ改善ウォーキング・軽い体操会話できる強度で継続激しい筋トレの急な開始筋力維持下半身中心の軽い筋トレ週2〜3回、少回数から息止め(バルサルバ)継続性楽しめる運動を選ぶ疲労時は休む体調不良時の無理運動は息切れの軽減と再入院予防に役立ちますが、強すぎる負荷は逆効果です。まずは短時間から。胸痛・動悸・めまい・急な息切れが出たら中断して受診を。心臓リハビリのように専門職の見守りがあると、安全域を確認しながら運動量を段階的に増やせます。出典:日本心臓リハビリテーション学会「心臓リハビリテーションとは」https://www.jacr.jp/general/在宅モニタリング:体重・むくみ・尿量・血圧・症状メモ項目頻度異常の目安行動体重毎朝24時間で約1kg/1週間で約2.3kg増受診・連絡むくみ毎日ふくらはぎが張る・くつ下跡体重と合わせて記録尿量毎日明らかに減った脱水や悪化に注意血圧/脈朝晩高すぎ/低すぎ・脈不整手帳で共有在宅モニタリングは、心不全の悪化に早く気づくための「見える化」です。体重は同じ条件で測定し、上記の変化があれば体液増加の可能性。むくみや尿量の変化、血圧や脈の乱れも一緒にメモすると、外来での評価がスムーズです。胸水や心嚢水が疑われる症状(息切れの悪化・胸部圧迫感)が出たら、早めの受診を。出典:日本循環器学会「心不全診療ガイドライン(2025年改訂)」https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/JCS2025_Kato.pdf7. 在宅ケアの利用—訪問看護・訪問リハビリのすすめ訪問看護のメリットと利用の流れメリットできること相談先悪化の早期発見体重・SpO₂・むくみの確認、生活チェック主治医・訪問看護ステーション安心の支援息切れ・胸水悪化サインの指導、減塩や水分の目安共有かかりつけ医と連携在宅療養の継続退院直後のフォロー、緊急時の連絡体制地域包括支援センター訪問看護は、ご自宅でバイタル測定やむくみ・体重の確認、生活面の助言を受けられるサービスです。悪化サインの早期発見や受診連絡の判断を一緒に整えられます。まずは主治医または最寄りの訪問看護ステーションへ相談し、利用可否や手続きの流れを確認しましょう。出典:厚生労働省「訪問看護の利用対象」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000661085.pdf訪問リハビリでできること(作業療法・理学療法)目的内容効果息切れ軽減呼吸介助手技・省エネ動作指導日常生活の負担減体力/筋力維持段階的な運動・歩行練習再入院予防生活環境の最適化手すり・段差・動線の工夫転倒/息切れの予防訪問リハビリテーションでは、理学療法士・作業療法士が自宅環境に合わせて呼吸法や動作の省エネ化、安全な移動・入浴動作を一緒に練習します。手すりの設置や動線の見直しで、同じ生活でも息切れを抑えて動けるようになります。運動は心拍・血圧を見ながら段階的に進め、無理のない範囲で継続しましょう。出典:厚生労働省「訪問リハビリテーション(介護保険)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192996.html町田市の方へ—ピース訪問看護ステーションのご案内スタッフ体制職種人数主な対応内容看護師9名医療的ケア・症状観察・夜間対応も可能リハビリスタッフ14名理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が在籍ケアマネジャー7名医療と介護をつなぐ総合支援特徴特徴詳細夜間対応24時間の緊急対応で、急な体調変化にも迅速に対応リハビリ専門職の充実心臓疾患や体調に合わせた在宅支援が可能ケアマネジャー連携医療・介護・リハビリを包括的に支援循環器疾患への対応血圧・体重・むくみ・息切れなどを継続的に観察地域連携町田市内のクリニックと密に連携し継続的ケアを実施ピース訪問看護ステーションは、心臓病・高血圧・不整脈などの循環器疾患をお持ちの方の在宅支援に力を入れています。看護師が定期的に訪問し、体重・血圧・脈拍・むくみを丁寧にチェック。変化があれば主治医へ即時報告し、必要な受診手配や連絡体制の調整まで迅速に対応します。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士によるリハビリは、息切れ軽減や体力維持をねらった個別プログラムで、自宅環境の工夫(手すり・動線)も含めてサポート。24時間の緊急対応と地域クリニックとの密な連携により、「自宅で安心して心臓ケアを続けられる環境」を整えます。👉 ぜひ町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。8. よくある質問(Q&A)Q1:心不全は治るの?これからの見通しは?ポイント内容病気の性質慢性疾患で、波を描くように悪化と回復を繰り返す見通し減塩・心臓リハで再入院を減らせる早期対応体重増・息切れの悪化に早く反応する心不全は多くの場合慢性で、完全に「治る」というよりうまく付き合う病気です。ただし減塩や心臓リハビリにより息切れが軽くなり、再入院の頻度を減らせます。体重の急増やむくみなどの悪化サインに早く対応するほど、生活の質を保ちやすくなります。出典:日本循環器学会「心不全診療ガイドライン(2025年改訂)」https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/JCS2025_Kato.pdfQ2:体重がどれくらい増えたら受診すべき?目安行動24時間で約1kg、または1週間で約2.3kgの増加外来に相談し、塩分/水分・生活の調整を検討短期間での体重増加は体に水がたまっている合図です。上記のような変化があれば受診や電話相談を。むくみや息切れの悪化、夜間の呼吸苦が加われば早めに医療機関へ。出典:American Heart Association 患者向け資料Q3:入浴・旅行は大丈夫?気をつける点は?行為注意点入浴長湯・高温を避け、浴前後は体調をチェック旅行階段や長距離歩行を見越した計画、休憩をこまめに体調が安定していれば入浴や旅行は可能ですが、無理をしない計画が大切です。入浴は湯温をやや低めにし、長湯は避けます。旅行は移動距離や階段を見越し、休憩をこまめに。水分の摂り方は季節や体調に応じて調整し、連絡先など必要情報を持参しましょう。出典:日本心臓リハビリテーション学会「心臓病と上手につきあう生活」https://www.jacr.jp/general/Q4:ワクチン(インフル・肺炎球菌・COVID)は受けていい?種類考え方インフル/肺炎球菌/COVID-19心不全悪化を避ける目的で接種推奨(体調と時期は主治医と相談)感染症は心不全の悪化を招きやすく、インフルエンザや肺炎、COVID-19は特に注意が必要です。多くの専門機関は予防接種を推奨しており、接種時期や体調は主治医と相談して決めましょう。出典:厚生労働省「各種予防接種情報」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/index.htmlQ5:再発を防ぐコツ(減塩・運動・受診の3本柱)項目実践のコツ減塩計量して使う、外食は汁物を残す運動会話できる強度で継続、体調不良時は休む受診・連絡体重・血圧・症状記録を持参し、悪化時は早めに相談再発予防は毎日の小さな積み重ねです。減塩は「何となく」ではなく計量で見える化。運動は会話できる強度で続け、疲れた日は休む勇気も大切。受診・連絡では、体重・血圧・症状の記録を持参し、悪化サインが出たら早めに相談しましょう。出典:日本循環器学会「心不全診療ガイドライン(2025年改訂)」https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/JCS2025_Kato.pdfまとめ「心臓に水が溜まる」状態は、むくみ(皮下)・肺うっ血/肺水腫(肺)・胸水(胸腔)・心嚢水(心膜腔)と“場所”で意味が変わります。共通するカギは、早めの気づきと連絡。毎朝の同条件の体重測定、記録的な減塩、会話ができる強度の運動、そして息切れ・体重増・むくみの悪化を見逃さないことが再燃予防につながります。24時間で約1kg、1週間で約2.3kgの体重増は受診・連絡の目安です。胸の圧迫感や夜間の呼吸苦、急な息切れなど危険サインがあれば、ためらわず医療機関へ。在宅療養では訪問看護・訪問リハビリの併用が安心です。ぜひ町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。関連記事心臓がバクバクする原因と対処法、動悸・不整脈・ストレス・訪問看護まで徹底解説腎臓が悪い時の症状とは?初期のサイン・原因・在宅でのケア方法まで徹底解説腎臓が原因の足のむくみとは?症状の見分け方・検査・改善法を解説咳をすると肺や胸が痛い?考えられる病気と受診の目安・対処法気胸はなぜ起こる?原因・治療・再発防止と訪問看護のサポート参考文献一覧出典:日本循環器学会「心不全診療ガイドライン(2025年改訂)」https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/JCS2025_Kato.pdf出典:日本循環器学会「JCSガイドライン英語ページ(各疾患ガイドライン総合)」https://www.j-circ.or.jp/english/cj/jcs-guidelines/出典:日本循環器学会「循環器超音波検査関連ガイドライン」https://www.j-circ.or.jp/english/cj/jcs-guidelines/出典:MSDマニュアル家庭版「心タンポナーデ」(2024年改訂)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/25-%E5%A4%96%E5%82%B7%E3%81%A8%E4%B8%AD%E6%AF%92/%E8%83%B8%E9%83%A8%E6%90%8D%E5%82%B7/%E5%BF%83%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%87出典:CDC「About Heart Failure」(2024年改訂)https://www.cdc.gov/heart-disease/about/heart-failure.html出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「食塩と高血圧」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-003.html出典:日本心臓リハビリテーション学会「心臓リハビリテーションとは」https://www.jacr.jp/general/出典:日本心臓リハビリテーション学会「心臓病と上手につきあう生活」https://www.jacr.jp/general/出典:厚生労働省「訪問看護の利用対象」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000661085.pdf出典:厚生労働省「訪問リハビリテーション(介護保険)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192996.html出典:WHO「Cardiovascular diseases(CVDs)Fact sheet」https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/cardiovascular-diseases-(cvds)出典:厚生労働省「各種予防接種情報」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/index.html出典:American Heart Association「Warning Signs of Worsening Heart Failure」https://www.heart.org/en/health-topics/heart-failure/warning-signs-of-heart-failure本記事の執筆者・監修者プロフィール【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。