高齢化が急速に進む現代日本において、自宅での療養を希望する高齢者や障がい者の方が増加しています。そんな中、自宅で専門的なリハビリテーションを受けられる「訪問リハビリ」の重要性と注目度が高まっています。しかしながら、訪問リハビリの「対象者は誰?」「制度の条件は?」「他サービスとの併用は可能?」といった疑問を抱える方も少なくありません。この記事では、町田市など地域で訪問リハビリを検討する方に向けて、制度や条件をわかりやすく解説します。1. 訪問リハビリとは?訪問リハビリとは、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、**言語聴覚士(ST)**などの専門職が、自宅に訪問して提供するリハビリサービスです。目的は、日常生活の自立支援や生活機能の改善であり、医師の指示のもとで行われます。このサービスは、訪問看護ステーションや医療機関のリハビリテーション部門など、適切な体制が整った事業所によって提供され、介護保険または医療保険のいずれかを利用して受けられます。2. 訪問リハビリの対象者と利用条件訪問リハビリの利用対象となるのは、以下の条件を満たす方です。【表1】訪問リハビリの対象者と利用条件区分対象となる条件補足要介護者要介護1~5の認定を受けている介護保険適用要支援者要支援1・2の認定者介護予防リハビリとして利用可能医師の判断医療的に訪問リハビリが必要と判断された方医師の診療情報提供書が必要医療保険対象者要介護認定を受けていないが通院困難な方医療保険利用。在宅療養者が対象第2号被保険者45~64歳で特定疾病に該当する方介護保険対象さらに、以下のような事情がある場合も対象になります:病気やけがによる通院困難認知症や精神疾患により通所が難しい日常生活の維持や社会参加に支援が必要3. 対象となる主な疾患や症状訪問リハビリの対象者には、以下のような疾患や症状が多く見られます。脳梗塞・脳出血後の後遺症骨折後の運動機能低下パーキンソン病などの神経難病慢性呼吸器疾患や心疾患による体力低下認知症によるADL(日常生活動作)低下がん末期や終末期の機能維持目的これらの状態にある方で、主治医が「通所困難」あるいは「自宅での訓練が必要」と判断した場合に、訪問リハビリの利用が可能となります。4. 他サービスとの併用ルールと注意点訪問リハビリは便利なサービスですが、他の介護保険サービスとの併用については一定のルールがあります。原則的に通所リハビリと同日に併用はできませんが、自宅での訓練ニーズが明確な場合など、条件付きで併用が可能です。【表2】併用の可否と条件サービス名訪問リハビリとの併用補足通所リハビリ△(条件付き可能)同日利用は原則不可。必要性が明確でケアマネ判断があれば併用可能看護小規模多機能型居宅介護△地域・事業所の判断により調整訪問看護◯医療ニーズに応じて重複可能併用に関しては、厚生労働省の通知においても明確に禁止されているわけではなく、必要性やケアマネジャーのケアプラン、地域ガイドラインなどにより適切に判断されます。ただし、医療保険を使った訪問リハビリと外来リハビリ(通院)は併用不可である点には注意が必要です。また、地域や自治体によって運用方針が異なるため、詳細は事業所や行政に確認することが重要です。5. 訪問リハビリの報告書と点数制度サービス提供には、医師の「リハビリ指示書」や「診療情報提供書」が必要です。また、訪問リハビリ報告書は月ごとに作成され、ケアマネジャーや主治医と情報共有されます。【表3】訪問リハビリに関する主な書類と役割書類名作成者用途診療情報提供書主治医リハビリの医療的必要性の証明リハビリ指示書主治医訪問回数・内容の指示訪問リハビリ報告書担当療法士利用者の経過報告と評価訪問リハビリには算定単位(点数)が設定されており、医療保険・介護保険ごとに異なります。「訪問リハビリ 点数」は厚生労働省による報酬改定に基づき、毎年見直されており、移行支援加算や退院時共同指導加算などの加算も適用対象になります。6. 利用の流れと準備利用までのステップは以下のとおりです。介護認定を受ける(未取得の場合)主治医と相談し、指示書を発行してもらう訪問リハビリ対応の事業所を選定ケアマネジャーとケアプランを作成初回訪問・評価を経てリハビリ開始7. 訪問リハビリのメリット訪問リハビリには、次のような多くのメリットがあります:自宅という安心できる環境で受けられる生活に即した実践的なリハビリが可能通院の手間や負担がないご家族や介護スタッフと連携がしやすいまた、自宅にある福祉用具(ベッド、手すり、階段など)を活用した訓練ができるため、現実的かつ継続しやすい支援が可能です。まとめ|まずは相談してみましょう「外出が難しいけれど、今の暮らしを続けたい」「家族に負担をかけたくない」という思いをお持ちの方は、ぜひ訪問リハビリの利用を検討してみてください。まずは主治医やケアマネジャー、訪問看護ステーションにご相談ください。町田市など地域に根ざした支援体制を整えている事業所もあります。【関連記事】【どっちがいいの?】訪問リハビリとデイサービスの運動、それぞれのメリットとは?脳梗塞の訪問リハビリとは?自宅で行う効果的なリハビリ方法と注意点訪問リハビリで受けられる言語聴覚士(ST)の嚥下・失語支援とは?町田市で訪問看護や介護サービスを探している方は、「ピース訪問看護ステーション」の公式サイトもご覧ください。▶ https://island-piece.jp/service/houmonkango本記事の執筆者・監修者プロフィール【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。