1. 腎臓の役割と悪くなった時に起こること腎臓の主な働き腎臓の主な働き内容老廃物のろ過血液中の老廃物や余分な水分を尿として排出する水分・電解質の調整ナトリウムやカリウムなどをバランスよく保つホルモン分泌血圧を調整するレニン、赤血球を作るエリスロポエチンを分泌する腎臓は体内の「ろ過装置」と呼ばれ、血液中の老廃物や余分な水分を取り除きます。1日に約150Lもの原尿を作り、そのうち99%を再吸収して1〜2Lの尿として排出しています。老廃物の除去だけでなく、血圧を調整したり、赤血球を作るホルモンを分泌したりと、多くの生命維持機能を担っています。腎臓が少しでも働きを失うと、体全体のバランスが崩れやすくなります。出典:日本腎臓学会「腎臓の働き」https://www.jsn.or.jp/public/kidney/function.php腎臓が悪くなる原因原因内容生活習慣病高血圧や糖尿病が腎臓の血管を傷つける加齢加齢によって腎臓のろ過能力が低下する薬剤性障害市販薬・鎮痛剤・サプリの長期使用が腎臓に負担をかける腎臓が悪くなる主な原因は、生活習慣病や加齢、薬の使い方にあります。特に高血圧や糖尿病は、腎臓の細い血管をゆっくりと傷つけ、知らないうちに機能を低下させます。また、NSAIDs(ロキソニンなど)のような薬を長期間使うと、腎臓の血流が減り、ダメージが進むこともあります。普段の食事・運動・薬の使い方を見直すことが、腎臓を守る第一歩です。出典:日本腎臓学会「腎臓病の原因」https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php腎臓が悪化したときの変化変化内容むくみ余分な水分が排出されず足や顔が腫れる尿の変化泡立ちや色の濃さ、尿量の減少などがみられる倦怠感老廃物がたまって体が重く感じる腎臓が悪化すると、最初に現れるのが「むくみ」や「尿の変化」です。足が重い、顔が腫れぼったいといった症状は、腎臓が水分をうまく処理できていないサインです。また、泡立った尿が続く場合は、たんぱく尿の可能性があります。進行すると老廃物が体に溜まり、倦怠感や食欲不振が起こるようになります。これらのサインを見逃さず、早期に医療機関を受診することが大切です。出典:厚生労働省「たんぱく尿・血尿を指摘されたら」https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000496326.pdf2. 腎臓が悪くなり始めた時に出るサイン尿の変化を見逃さない尿の特徴意味泡立つたんぱく尿のサイン。腎臓のろ過機能の低下が疑われる色が濃い脱水や老廃物の蓄積を示す可能性がある尿量の変化少ない・多いが続く場合は腎機能の異常を示すことも腎臓病の初期は自覚症状がほとんどありません。その中でも、尿の泡立ちや色の変化は最も早く現れるサインです。泡が数日間続くようなら、たんぱく尿の可能性があります。腎臓が傷ついていると、血液中のたんぱく質が尿に漏れ出してしまうためです。尿の色や量の変化も見逃さないようにし、違和感があれば早めに受診しましょう。出典:厚生労働省「尿の異常と腎臓病」https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000496326.pdfむくみと体の変化部位見られる症状顔朝にまぶたが腫れる足靴下の跡が残る、足首が腫れる全身体重増加、だるさ体のむくみは、腎臓が余分な水分を処理できないために起こります。特に朝に顔が腫れる、夕方に足が重くなるなどの変化があれば注意が必要です。腎臓病では、体重の増減もむくみのサインになります。数日で1〜2kg増えた場合は、体に水分が溜まっているかもしれません。むくみを見つけたら、食事の塩分を控え、医師の指導を受けましょう。出典:日本腎臓学会「腎臓とむくみ」https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php倦怠感と体のだるさ原因内容貧血腎臓ホルモンの不足で赤血球が減る老廃物の蓄積血中の尿毒素が増えて疲れやすくなる睡眠の質低下体内環境の乱れで夜間頻尿や不眠が起きる腎臓が悪くなると、体がだるい・疲れやすいと感じることが増えます。これは腎臓から分泌される「エリスロポエチン」が減り、赤血球が作られにくくなるために起こります。また、体内に老廃物が溜まると全身がだるくなり、眠りが浅くなることもあります。こうした症状を見逃さず、定期的に血液検査で腎機能を確認することが大切です。出典:日本腎臓学会「慢性腎臓病の症状」https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php3. 腎臓の悪化が進むと出てくる症状貧血と息切れ症状原因顔色が悪い赤血球が減少して酸素が運べなくなる息切れ血液の酸素不足で心臓への負担が増える疲労体全体が酸欠状態になる腎臓の機能が低下すると「エリスロポエチン」というホルモンが減り、貧血を引き起こします。その結果、酸素を運ぶ赤血球が不足し、疲労感や息切れ、立ちくらみなどが現れます。進行すると動悸や胸の違和感が強くなることもあります。医師の指導のもとで鉄剤やホルモン補充治療を受けることで、貧血の改善が期待できます。骨と関節のトラブル問題原因骨がもろくなるビタミンD活性化障害、カルシウム・リンのバランス崩壊関節痛ミネラルの蓄積による組織の硬化骨折リスク転倒時に骨折しやすくなる腎臓が悪くなると、ビタミンDが活性化されにくくなり、カルシウム吸収が低下します。その結果、骨がもろくなり、骨折や腰痛、関節痛のリスクが高まります。リンの摂りすぎや加工食品の多用も、血中ミネラルバランスを崩す原因となるため注意が必要です。腎臓病では定期的な骨密度検査や栄養相談を行うことが推奨されています。尿毒症による全身症状症状内容吐き気・食欲不振老廃物の蓄積で消化器に影響が出る皮膚のかゆみ尿毒素が皮膚に溜まる意識の低下重症化すると脳や神経にも影響が及ぶ腎臓が老廃物を処理できなくなると、血液中に毒素が溜まる「尿毒症」が起こります。初期は食欲不振や吐き気などの軽い症状ですが、進行すると皮膚のかゆみや集中力の低下が見られるようになります。さらに悪化すると、意識障害を起こすこともあります。尿毒症は命に関わるため、透析や入院治療が必要になることがあります。早期に医師へ相談しましょう。4. 腎臓が悪いと起こりやすい合併症高血圧と心臓病の関係合併症主な原因高血圧腎臓のナトリウム排出低下、血液量の増加心不全高血圧や体液貯留による心臓への負担動脈硬化老廃物や炎症による血管の老化腎臓病が進行すると、高血圧や心臓病のリスクが高まります。腎臓が塩分を排出できなくなると、体内に水分がたまり血圧が上がります。これにより心臓に負担がかかり、心不全や動脈硬化を引き起こすこともあります。特に慢性腎臓病(CKD)は「心腎連関」と呼ばれ、心臓と腎臓が互いに影響し合うことが知られています。塩分を控え、血圧を適切にコントロールすることが重要です。出典:日本高血圧学会「JSH2019高血圧治療ガイドライン」https://www.jpnsh.org/guideline.html貧血と骨の異常合併症原因貧血腎臓で作られるエリスロポエチン減少骨の異常ビタミンD活性化障害とカルシウム代謝異常筋肉のこわばり電解質バランスの崩れによる神経異常腎臓が悪くなると、赤血球を作るホルモン「エリスロポエチン」の分泌が減少し、貧血が起こります。また、カルシウムとリンのバランスが崩れることで、骨がもろくなったり関節痛が出たりします。これらの合併症は生活の質を下げる原因となるため、定期的に血液検査を行い、貧血治療やビタミンD補充などで対処することが大切です。出典:日本腎臓学会「慢性腎臓病の合併症」https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php感染症と免疫低下感染症主な要因尿路感染症尿の停滞、抵抗力の低下肺炎免疫力低下による細菌感染皮膚感染透析患者や糖尿病合併例での皮膚バリア障害腎臓病が進行すると免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。特に尿路感染症や肺炎、皮膚感染は注意が必要です。透析を行っている人は血管への穿刺やカテーテル管理が必要なため、清潔を保つことが感染予防の基本です。ワクチン接種やうがい・手洗いなど、日常的な予防も重要です。出典:厚生労働省「慢性腎臓病と感染症」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221.html5. 腎臓を守る生活習慣のポイント食事で気をつけたいこと栄養素目安塩分1日6g未満が目標たんぱく質腎機能に応じて0.6〜0.8g/kg/日を目安カリウム・リン高値の人は摂取制限を受けることも腎臓病の進行を防ぐためには、日々の食事管理が欠かせません。塩分は1日6g未満を目指し、加工食品や外食を控えることが大切です。たんぱく質は体に必要ですが、摂りすぎると腎臓に負担をかけるため、医師や管理栄養士の指導のもとで調整します。カリウムやリンも血液検査の結果に応じて制限が必要になる場合があります。出典:日本腎臓学会「食事療法」https://www.jsn.or.jp/public/kidney/diet.php運動と体重管理ポイント内容有酸素運動ウォーキングや軽い体操を無理なく継続体重管理BMIを22前後に維持するのが目安禁煙血管の老化を防ぎ、腎機能を守る適度な運動は血流を改善し、腎臓の負担を減らします。特に有酸素運動(ウォーキング・ストレッチなど)は血圧の安定にも効果的です。過体重は腎臓への負荷を増やすため、BMI22を目安に維持を心がけましょう。また、喫煙は血管を傷つける大きな要因であり、禁煙が腎臓を守る最も有効な生活改善策の一つです。出典:厚生労働省「生活習慣改善と腎臓病予防」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221.html水分と睡眠のバランス要点内容水分摂取医師の指示に従い、適正量を守る睡眠1日7時間前後を目安に規則正しくストレス管理自律神経を整え、血圧変動を防ぐ腎臓にとって「適切な水分量」はとても重要です。飲みすぎても少なすぎても腎臓に負担をかけるため、医師の指示を守りましょう。睡眠不足やストレスは血圧を上げ、腎臓への血流を減らします。寝る前のスマホ使用を控え、深呼吸やストレッチでリラックスする習慣が役立ちます。出典:日本腎臓学会「腎臓と生活習慣」https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php6. 腎臓に負担をかける薬と注意点薬の使い方で注意すべきこと薬の種類注意点NSAIDs(鎮痛薬)長期使用で腎血流を低下させる可能性利尿薬脱水や電解質異常に注意が必要サプリメント成分が腎臓に負担をかけることも市販の鎮痛薬(ロキソニン・イブプロフェンなど)は、腎臓の血流を減らす作用があり、慢性腎臓病の人には特に注意が必要です。自己判断で長期使用するのは避け、痛みが続く場合は必ず医師に相談しましょう。また、サプリメントや漢方薬にも腎機能に影響を与える成分が含まれている場合があります。出典:日本腎臓学会「薬剤性腎障害」https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php医師に相談すべき薬の例薬のカテゴリー相談のポイント糖尿病治療薬腎機能に応じた量の調整が必要血圧降下薬過剰な血圧低下で腎血流が減ることがある抗菌薬排泄経路が腎臓の薬は注意が必要腎臓は薬を代謝・排出する臓器のため、腎機能が落ちると薬の影響が強く出やすくなります。特に糖尿病治療薬や抗菌薬は、腎機能に応じて用量を調整する必要があります。自己判断で薬を増減させず、必ず主治医に相談してください。出典:厚生労働省「医薬品の適正使用」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221.htmlサプリ・健康食品との付き合い方区分注意点たんぱく質補助食品摂りすぎると腎臓に負担ハーブ・健康茶成分によっては腎障害の報告もミネラル系サプリカリウム・マグネシウム過剰に注意健康維持のためにサプリや健康食品を利用する人も増えていますが、腎臓病の方は成分に注意が必要です。たとえば、たんぱく質補助食品は摂りすぎると腎臓の負担になります。ハーブや健康茶の中にも腎毒性を持つものがあるため、購入前に医師や薬剤師に確認しましょう。ミネラル系サプリは電解質バランスを崩すこともあります。出典:日本腎臓学会「腎臓病とサプリメント」https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php7. 腎臓の状態を調べる主な検査尿検査の見方と注意点項目内容尿たんぱく腎臓のフィルター障害を示す重要なサイン尿潜血腎炎や結石、腎がんなどの可能性を示す比重・pH尿の濃さや酸性度で体内環境を評価尿検査は腎臓の異常を早期に見つけるための基本検査です。尿たんぱくが出ると腎臓のフィルター(糸球体)が傷ついている可能性があります。泡立つ尿や濃い色の尿は、そのサインかもしれません。尿潜血が陽性の場合も腎臓炎や結石、時に腎がんなどの原因が考えられるため、放置は禁物です。尿比重やpHは体内の水分バランスや代謝状態を知る手がかりになります。症状がなくても年に一度は尿検査を受け、異常があれば医師に相談しましょう。出典:厚生労働省「尿の観察ポイント」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221.html血液検査でわかる腎臓の状態項目意味クレアチニン筋肉由来の老廃物。腎臓のろ過機能を反映(基準範囲は施設によって異なる)eGFR腎臓の働きを数値化。3か月以上低下が続くと慢性腎臓病(CKD)と診断されるカリウム高値では不整脈のリスクあり(基準値は施設により異なる)血液検査では、腎臓がどれだけ老廃物を処理できているかを調べます。特に重要なのが「クレアチニン」と「eGFR」です。クレアチニンが高いほど腎機能が低下しており、eGFRが60未満の状態が3か月以上続くと慢性腎臓病(CKD)と診断されます。また、血中カリウムが高いと心臓への負担が増え、不整脈などのリスクが高まるため注意が必要です。検査結果は年齢・筋肉量・施設の基準によって異なるため、医師の説明をよく聞いて理解を深めましょう。出典:日本腎臓学会「eGFRとは」https://www.jsn.or.jp/public/kidney/egfr.php画像・超音波検査の役割検査名内容腎エコー腎臓の形・大きさ・腫瘍や結石の有無を確認するCT・MRI詳細な構造や血流を確認。がん・嚢胞の診断に有効腎生検組織を採取し、炎症や障害の原因を特定する腎臓の形態や内部の異常を調べるには画像検査が有効です。腎エコー(超音波検査)は体への負担が少なく、腎臓の大きさ・形・結石の有無などを確認します。CTやMRIではより細かい構造を把握でき、腫瘍や血流異常の診断にも役立ちます。さらに、原因不明の腎障害では腎生検を行い、組織を顕微鏡で調べて正確な診断を行います。これらの検査を組み合わせることで、早期発見と適切な治療方針が立てられます。出典:日本腎臓学会「腎臓病の検査」https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php8. 腎臓病が進行したときの治療法(透析・腎移植)血液透析の仕組みと特徴方法内容血液透析(HD)体外に血液を出して透析装置で老廃物を除去する頻度通常は週3回、1回4時間程度利点血液の浄化効率が高く、短時間で効果が得られる血液透析は、腎臓の代わりに体外で血液をきれいにする治療です。血管に針を刺し、透析器(ダイアライザー)で老廃物や余分な水分を取り除きます。多くの患者は週3回、1回あたり4時間ほど透析を受けています。透析後はすっきりしますが、体力を使うため無理のない生活リズムを保つことが大切です。血圧や体重管理を続け、合併症の予防にも努めましょう。出典:日本腎臓学会「透析治療」https://www.jsn.or.jp/public/kidney/dialysis.php腹膜透析と在宅治療方法内容腹膜透析(PD)自分の腹膜を使って老廃物を除去する方法CAPD1日3〜4回、透析液を交換する手動方式APD夜間に自動装置で透析液を交換する方式腹膜透析は、自宅で行える在宅治療のひとつです。患者自身の腹膜を透過膜として利用し、透析液を出し入れして老廃物を除去します。CAPDは昼間に手動で液交換を行う方法、APDは夜間に自動装置を使って行う方法です。通院回数が少なく、生活の自由度が高いのが特徴ですが、感染予防や清潔操作が非常に重要です。医療チームと連携し、定期的なフォローを受けながら続けましょう。出典:厚生労働省「腹膜透析と在宅療法」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221.html腎移植と生活の再建区分内容腎移植健康な腎臓を移植し機能を回復させる治療法ドナー生体腎移植・献腎移植があるメリット透析を離れ、生活の質を大きく改善できる腎臓の機能を根本的に取り戻す治療が腎移植です。ドナーから提供された腎臓を移植し、再び老廃物を処理できるようにします。移植後は免疫抑制剤を継続的に服用する必要がありますが、透析から離れた生活を送れるようになります。生体腎移植(家族など)と献腎移植(提供者不明)の2種類があり、どちらも医療機関で厳格な管理のもと行われます。手術後も定期的な通院で健康を維持することが大切です。出典:日本腎臓学会「腎移植」https://www.jsn.or.jp/public/kidney/transplant.php9. 腎臓病と在宅医療・訪問看護の活用訪問看護の役割と支援内容支援内容詳細症状観察血圧・体重・むくみ・呼吸状態のチェック服薬管理薬の飲み忘れ防止、残薬の確認体調急変時対応医師と連携し迅速に処置や受診を手配腎臓病の在宅療養では、訪問看護が重要な支えになります。看護師が定期的に自宅を訪問し、血圧や尿の状態、むくみなどをチェックします。また、薬の管理や体調変化への早期対応を行い、医師と連携して緊急時にも迅速に対応できる体制を整えています。透析治療やフットケア、栄養指導なども個別に支援し、安心して自宅療養を続けられるようにします。出典:厚生労働省「在宅医療・訪問看護の推進」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221.html訪問リハビリテーションの重要性内容目的筋力維持運動不足による体力低下を防ぐ関節可動域訓練動きを維持し、日常生活を支えるADL訓練食事・入浴・移動などの自立支援腎臓病が進行すると、透析や体調不良により活動量が減ります。訪問リハビリでは理学療法士や作業療法士が自宅に訪問し、筋力維持や生活動作の訓練を行います。体力や関節の動きを保つことで、転倒予防や再入院防止にもつながります。透析後の疲労回復や食事動作の改善など、個別の目標に合わせた支援が受けられます。出典:日本理学療法士協会「在宅リハビリテーションの役割」https://www.japanpt.or.jp/rehabilitation/homecare/町田市:ピース訪問看護ステーションの取り組み職種人数特徴看護師9名医療的ケア・症状観察・夜間対応が可能リハビリスタッフ14名理学・作業・言語療法士が在籍し在宅支援が充実ケアマネジャー7名医療と介護をつなぎ総合的に支援ピース訪問看護ステーションは町田市を拠点に、腎機能障害や透析中の方への在宅支援を数多く行っています。夜間の緊急対応やリハビリ専門職によるサポートが充実しており、医療と介護を一体的に支える体制が整っています。腎臓病患者への支援として、服薬管理・症状観察・食事指導・在宅透析後のケアなどを実施。地域のクリニックとも連携し、安心して自宅療養を続けられるよう支援しています。👉 ぜひ町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。10. 腎臓病の再発を防ぐためにできること定期検査と自己管理チェック項目内容血圧毎日測定し、記録をつける習慣を持つ体重急な増減はむくみや体液貯留のサイン尿の状態泡立ち・色・回数などの変化を観察する腎臓病は一度改善しても、再発や悪化のリスクがあります。そのため、日常的な自己管理と定期検査が欠かせません。血圧や体重、尿の状態を自分でチェックし、変化があれば早めに主治医へ相談します。特に体重が急に増えるのは体内に水分が溜まっているサインで、むくみや高血圧の原因となるため注意が必要です。生活の中で「気づく力」を高めることが、腎臓を守る最も効果的な予防策です。出典:日本腎臓学会「慢性腎臓病(CKD)の予防」https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php感染予防と生活リズム対策内容手洗い・うがい感染症の流行期は特に徹底する睡眠毎日同じ時間に寝起きし、自律神経を整える食事バランスの取れた食事と十分な水分摂取を心がける腎臓病の悪化を防ぐためには、感染予防と規則正しい生活が欠かせません。免疫力が低下しやすい腎疾患患者では、風邪やインフルエンザなどの感染症が重症化することもあります。外出後の手洗いやうがい、十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事が基本です。体調が優れないときは無理をせず休む勇気も大切です。体を守る生活習慣が、腎臓の健康を長く保つ鍵となります。出典:厚生労働省「生活習慣と感染症予防」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221.html心のケアと家族のサポートケアの方法内容心理的サポート医療者・家族・専門カウンセラーへの相談家族支援一緒に検査や通院の記録を共有する社会資源の活用介護保険・医療費助成・相談窓口を利用する腎臓病の治療や透析は、身体だけでなく心にも負担をかけます。不安や孤独を抱えやすいため、周囲の理解と支援が必要です。訪問看護師やケアマネジャーなど、専門職に相談することで、医療や生活支援を受けやすくなります。家族と共に病状を共有し、ストレスをため込まないことも大切です。社会資源を上手に活用することで、安心して治療と生活を両立できます。出典:日本腎臓学会「慢性腎臓病と心のケア」https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php11. 腎臓病に関するよくある質問(Q&A)Q1. 腎臓病は治る病気ですか?腎臓病は進行すると完全に治るのは難しいですが、早期発見と生活改善で進行を遅らせることが可能です。血圧・血糖の管理、減塩食、定期検査を続けることで、透析を避けられる場合もあります。医師と相談し、状態に合った治療を受けることが大切です。Q2. 腎臓が悪いとお酒はダメ?飲酒は腎臓や肝臓に負担をかけるため、控えめが基本です。少量の飲酒でも脱水を起こすことがあり、腎機能を悪化させることがあります。飲む場合は医師に相談し、アルコール摂取量を調整してください。Q3. 水はたくさん飲んだ方がいいですか?「水を多く飲むと腎臓が洗われる」と言われますが、すべての人に当てはまりません。腎機能が低下している人は飲みすぎると体に水が溜まり、むくみや心不全の原因になります。医師の指導に従って適切な量を守りましょう。Q4. 腎臓病でも運動していいですか?軽いウォーキングやストレッチなどの有酸素運動は推奨されています。ただし、激しい運動は血圧を上げ、腎臓への負担になることがあるため注意が必要です。主治医と相談して、自分に合った運動を取り入れましょう。Q5. 腎臓病と糖尿病は関係ありますか?糖尿病は腎臓病の最大の原因の一つです。高血糖が続くと腎臓の細い血管が傷つき、糖尿病性腎症を発症します。血糖値のコントロールと定期的な尿検査・血液検査が、腎臓を守る鍵となります。出典:日本腎臓学会「慢性腎臓病Q&A」https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php12. まとめ腎臓は体内の環境を整える重要な臓器であり、異変が起きても自覚症状が出にくい臓器です。だからこそ、早期発見と予防が何よりも大切です。尿の変化・むくみ・だるさなど、些細な体のサインを見逃さないようにしましょう。食事や生活習慣を見直し、定期的な検査を受けることが、腎臓を守る一番の近道です。在宅医療や訪問看護の支援を活用すれば、安心して自宅療養を続けることができます。腎機能に不安を感じたら、まずは専門医や訪問看護ステーションに相談してください。👉 ぜひ町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。関連記事「肺に水がたまる」とは?肺水腫と胸水の違い・症状・検査・治療を総まとめ訪問リハビリを介護保険で受けるには?内容や手続きの流れを解説COPDでも自宅で安心に暮らすために ― 訪問看護ができること気胸はなぜ起こる?原因・治療・再発防止と訪問看護のサポート肺カビ(肺真菌症)とは?早期発見・治療・予防法と訪問看護の活用について解説参考文献一覧日本腎臓学会「腎臓の働き」 https://www.jsn.or.jp/public/kidney/function.php日本腎臓学会「腎臓病の原因」 https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php日本腎臓学会「腎臓とむくみ」 https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php日本腎臓学会「慢性腎臓病の症状」 https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php日本腎臓学会「慢性腎臓病(CKD)の予防」 https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php日本腎臓学会「慢性腎臓病と心のケア」 https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php日本腎臓学会「透析治療」 https://www.jsn.or.jp/public/kidney/dialysis.php日本腎臓学会「腎移植」 https://www.jsn.or.jp/public/kidney/transplant.php日本腎臓学会「eGFRとは」 https://www.jsn.or.jp/public/kidney/egfr.php日本腎臓学会「腎臓病とサプリメント」 https://www.jsn.or.jp/public/kidney/ckd.php日本高血圧学会「JSH2019高血圧治療ガイドライン」 https://www.jpnsh.org/guideline.html日本理学療法士協会「在宅リハビリテーションの役割」 https://www.japanpt.or.jp/rehabilitation/homecare/厚生労働省「たんぱく尿・血尿を指摘されたら」 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000496326.pdf厚生労働省「尿の観察ポイント」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221.html厚生労働省「慢性腎臓病と感染症」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221.html厚生労働省「腹膜透析と在宅療法」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221.html厚生労働省「在宅医療・訪問看護の推進」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221.html厚生労働省「生活習慣改善と腎臓病予防」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221.html厚生労働省「生活習慣と感染症予防」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221.html厚生労働省「医薬品の適正使用」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221.html本記事の執筆者・監修者プロフィール【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。