「認知症の介護でイライラして怒鳴ってしまう」あなたへ、まずお伝えしたいこと認知症の介護でイライラして怒鳴ってしまうのは、あなたが冷たい人だからではなく、負担が限界に近づいているサインです。「さっきも言ったでしょう」「何度言えばわかるの」。大きな声を出した直後、親や配偶者のおびえた顔を見て胸が締めつけられる。夜、布団の中で「なぜあんな言い方をしたのだろう」と自分を責める。訪問先で、介護するご家族から繰り返し打ち明けられてきた悩みです。この記事では、町田市・相模原市で訪問看護を提供する立場から、怒鳴ってしまう原因、自己嫌悪との向き合い方、怒りが爆発する前の対処法、罪悪感なく休むための介護サービス、相談先を順に整理します。この記事でわかること認知症の家族に怒鳴ってしまう原因と、BPSDとの関係怒鳴ったあとの自己嫌悪をやわらげ、気持ちを切り替える方法怒りが爆発する前にできるアンガーマネジメントの具体策休むことへの罪悪感のほどき方と、ショートステイ・デイサービスの始め方町田市・相模原市の相談先と、訪問看護が家族にできること手が出そうなほど追い詰められているなら、読み進めるより先に、本人の安全を確かめてその場を離れてください。そのうえで、今日のうちに地域包括支援センターかケアマネジャーへ電話を。死にたい気持ちがよぎるときは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)にも電話できます。怒鳴ってしまうのは「ひどい家族」だからではない認知症の介護では、どれほど本人を大切に思っていても、イライラが積み重なる場面が毎日のように訪れます。よくある場面そのときの家族の心の中同じ質問を何度も繰り返される「さっき答えたのに」と気力が削られる夜中に何度も起こされる眠れず、朝から余裕がない失禁の後始末が続く疲れと情けなさが一度に押し寄せる手伝おうとすると拒まれる善意が届かず、むなしくなる身に覚えのないことで責められる「こんなに尽くしているのに」と悔しくなる家庭で起きた高齢者虐待について、厚生労働省は発生の要因も調べています。被虐待者の「認知症の症状」が58.1%、虐待者の「介護疲れ・介護ストレス」が57.2%でした(出典:厚生労働省「令和6年度『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果」)。この数字は、介護する家族を責めるためのものではありません。認知症の症状と介護疲れが重なれば、誰でも追い詰められうることを示しています。法律の名前に「養護者に対する支援」とあるように、介護する家族も支えられる側として位置づけられているのです。認知症の家族に怒鳴ってしまうことは珍しくありません。よくあることだから我慢するのではなく、よくあることだから早めに頼ってよいのです。心と体に出ているサインにも目を向ける介護中のイライラや怒鳴り声は、あなた自身の心と体が疲れ切っているサインでもあります。自分に出ているサイン考えたいこと寝つけない、夜中に目が覚める睡眠が削られ、怒りやすくなっている食欲がない、食べすぎるストレスが体に出ている理由もなく涙が出る気持ちが限界に近い何をしても楽しくない心の疲れが深くなっている「いなくなればいいのに」と思ってしまうひとりで抱えられる段階を超えているこうしたサインが続くなら、介護のやり方を工夫するより先に、あなた自身が相談を受けてよい段階です。「自分のことは後回し」と考えがちですが、介護する人が倒れてしまえば、本人の生活も立ち行かなくなります。介護するあなたも高齢で、落ち込みや体の不調が長引いているなら、高齢者のうつ病で見逃しやすい体の症状と早期発見のポイントも目安になります。「いなくなればいいのに」と一瞬でも思った自分を、さらに責める必要はありません。その思いは、それだけ追い詰められているという事実を教えてくれています。消えてしまいたい、死にたいという気持ちがよぎるときは、国の電話相談窓口も使えます(出典:厚生労働省「まもろうよ こころ」)。なぜ認知症の介護でイライラ・怒鳴ってしまうのか|原因を知ることが第一歩認知症の家族を介護していて怒鳴ってしまう背景には、BPSDへの対応や睡眠不足、孤立など、努力だけでは抱えきれない負担の重なりがあります。BPSD(行動・心理症状)は家族のストレスを大きくするBPSD(行動・心理症状)とは、認知症に伴って現れる暴言や妄想、不眠、介護への抵抗などの症状のことで、家族のストレスの大きな原因になります。BPSDの例家族が抱えやすい負担暴言・暴力身の危険を感じ、心が傷つくもの盗られ妄想身近な家族ほど疑われ、悔しくなる昼夜逆転・不眠家族も眠れなくなる入浴や着替えの拒否毎日のように攻防が続く夕方の落ち着かなさ・帰宅願望目が離せず、家事が止まる日本認知症学会など6学会が監修したガイドラインでは、認知症の人の約60〜90%が何らかのBPSDを経験するとされています(出典:日本認知症学会など6学会監修「かかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第3版)」)。同じガイドラインは、BPSDが現れたり悪化したりすると介護負担が増え、介護者の生活の質も下がるとしています。BPSDへの対応に追われる家族がストレスをためるのは、自然な反応といえるでしょう。もの忘れそのものより、疑われる、拒まれる、眠れないといった場面のほうが、家族の心を削りやすいもの。しかもBPSDは日によって強さが変わるため、「昨日はうまくいったのに」と振り回される感覚も生まれます。在宅介護が限界に近いと感じたら、BPSDで在宅介護が限界になる前に|家族が訪問看護に相談すべきサインと使い方も参考にしてください。「わかっているのに腹が立つ」のはなぜか病気のせいだと頭ではわかっていても腹が立つのは、身近な家族だからこそ生まれる感情があるためです。頭ではわかっていること気持ちが追いつかない理由病気が言わせている元気だった頃の姿を知っているので悲しい忘れるから何度も聞く自分の時間がどんどん削られていく優しく接したほうがいい疲れていると余裕が残っていない本人も不安で困っている長年の関係のわだかまりがよみがえる親や配偶者が変わっていく姿を、毎日そばで見続ける。それだけで大きな喪失の体験です。「しっかりしていた母がなぜ」という悲しみは、ときに怒りの形をとって噴き出します。昔の親子関係や夫婦関係のすれ違いが、介護をきっかけによみがえるのも珍しい話ではありません。怒りの奥に隠れているのは、悲しみや寂しさ、先の見えない不安であることが多いのです。自分の怒りを「悪い感情」と切り捨てず、「本当はつらいんだ」と言葉にしてみてください。それだけでも、少し気持ちが整理されます。睡眠不足・老老介護・孤立が怒りやすさを高める介護する側の睡眠不足や、老老介護(高齢の家族が高齢の家族を介護すること)による体力の低下、相談相手のいない孤立は、ささいなことで怒りが爆発しやすい状態をつくります。要因起こりやすいこと睡眠不足小さなことでも感情が抑えにくくなる老老介護介護する側も持病や体力の衰えを抱える孤立愚痴をこぼす相手がなく、気持ちがたまる仕事や子育てとの両立常に時間に追われ、余裕がない先の見通しが立たない「いつまで続くのか」と焦りがつのる国民生活基礎調査によると、要介護者が介護を必要とするようになった主な原因は「認知症」が最も多く、23.6%でした。要介護者等と同居の主な介護者が、ともに60歳以上という組み合わせは77.1%にのぼります(出典:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」)。数字からは、在宅介護の多くが老老介護の形で担われている様子が見えてきます。体力が落ちたなかで夜間の対応が続けば、誰でも怒りっぽくなるでしょう。さらに「家のことを外に話すのは恥ずかしい」と感じて、ひとりで抱え込む方も少なくありません。老老介護で共倒れが心配な方は、老老介護で共倒れしないために|介護する人が限界を迎える前にできることもあわせてお読みください。「怒鳴ってしまった自分」への自己嫌悪とどう向き合うか怒鳴ってしまったあとの自己嫌悪は本人を大切にしたい気持ちの裏返しなので、責め続けるより次の一手に目を向けてください。自己嫌悪は「大切にしたい気持ち」の裏返し怒鳴ったあとに自分を責めるのは、それだけ本人を大切にしたいと思っている証拠です。自分を責める言葉言いかえの例「私はひどい人間だ」「限界まで頑張っていた」「もっと優しくできたはず」「今日は余裕が残っていなかった」「親を傷つけてしまった」「謝ることはいつでもできる」「こんな自分に介護する資格はない」「助けを増やすタイミングが来た」本当に冷たい人なら、怒鳴ったことを気にも留めないでしょう。落ち込むのは、あなたの中に優しさが残っているから。ただし自己嫌悪が続くと心のエネルギーがさらに減り、次のイライラを呼び込む悪循環に陥ります。責める言葉が浮かんだら、表のように事実に沿った言葉に置きかえてみてください。「怒鳴った」という行動は振り返っても、「自分はだめな人間だ」と人格まで否定する必要はありません。怒鳴ってしまった後の気持ちの切り替え方怒鳴ってしまった後は、その場を離れて落ち着き、短く謝り、何が起きたかを振り返るという順番で気持ちを切り替えます。タイミングできること直後別の部屋に移り、ゆっくり息を吐く少し落ち着いたら「さっきは大きな声を出してごめんね」と短く伝えるその日の夜何がきっかけだったかを一行だけメモする翌日以降同じ場面を減らす工夫を考え、必要なら相談する認知症の方は、出来事そのものは忘れても、怖かった、悲しかったという気持ちは残りやすいといわれます。だからこそ、長い言い訳ではなく、穏やかな声で短く謝り、お茶を出すなどして安心できる時間に戻すことに意味があります。本人が覚えていなくても、謝ることはあなた自身の気持ちの区切りにもなるはずです。夜に書くメモは反省文ではありません。「夕方、着替えを拒まれた」「寝不足だった」など、事実だけで十分です。メモがたまると、怒鳴ってしまう場面の傾向が見えてきて、次の対策につながります。介護の「合格点」を下げてもいい完璧な介護を目指すほど、できなかった自分への怒りと自己嫌悪が強くなるため、手放せることは手放してかまいません。手放してよいこと代わりの考え方毎食すべて手作り市販の総菜や配食サービスでよい間違いを毎回正す危険がなければ聞き流すすべて自分でやる任せられることは任せるいつも笑顔で接する疲れた顔の日があってもよい「親の介護は子がすべき」「夫の世話は妻の役目」。そんな思い込みに、知らず知らず縛られていないでしょうか。本人の間違いを正すのは本人を思ってのことですが、訂正されるほど本人は混乱し、かえって言い争いが増えがちです。日付や出来事が違っていても、危険がなければ「そうだったね」と受け流してかまいません。介護の合格点を下げるのは、手抜きではなく、長く続けるための工夫。できたことに目を向け、「今日も一日終えられた」と自分をねぎらう習慣を持ちましょう。怒りが爆発する前にできる対処法|アンガーマネジメントの具体策介護のイライラが怒鳴り声に変わる前に、怒りに気づく、その場を離れる、きっかけを減らすという三つの対処法を準備しておきましょう。アンガーマネジメント(怒りの感情と上手につきあうための考え方や方法)は、怒りをなくすことではなく、怒りに振り回されないための工夫です。イライラを感じた瞬間にまずすることイライラを感じた瞬間は、言い返す前にひと呼吸おき、本人の安全を確かめたうえでその場を離れることが最優先です。方法やり方その場を離れる本人の安全を確かめて、トイレや別の部屋へ移る息を吐く吸うことより、ゆっくり吐くことを意識する心の中で言葉をかける「病気がそうさせている」と自分に言い聞かせる体を動かす手を洗う、水を飲む、窓を開ける声を落とすわざと小さな声、ゆっくりした話し方にする怒りは、ピークを過ぎると少しずつ落ち着いていくことが多いものです。その間に言葉を投げつけないために、「ここを離れる」と決めておくのがいちばん確実な方法。離れる前には、コンロの火や玄関の鍵など、本人の身の安全だけ確かめてください。何度離れることになっても、怒鳴り続けるよりずっと本人を守れます。「イライラしたらベランダに出る」など、自分だけの避難場所をあらかじめ決めておくと、迷わず動けるでしょう。怒りのきっかけを記録して減らせる原因を探す怒鳴ってしまう場面を記録すると、時間帯や体調など、減らせる原因が見えてきます。記録すること例時間帯夕方、夜中、朝の着替えのとき起きたこと同じ質問、入浴の拒否、もの盗られの訴え本人の様子便秘気味、眠れていない、痛がっている自分の状態寝不足、空腹、仕事から帰った直後前述の6学会監修ガイドラインでは、BPSDには薬を使わない対応を第一に考え、きっかけや環境の要因を探って、家族や介護スタッフとともに改善を図るとされています。同じガイドラインでは、感染症や脱水、痛み、便秘、見え方や聞こえの問題といった体の不調や、飲んでいる薬の影響も確認するよう示されています。急に怒りっぽくなった、夜に落ち着かなくなったという変化があれば、記録を持って主治医に相談してください。夕方になると落ち着かなくなる場合は、認知症の夕暮れ症候群・帰宅願望|家族が玄関で止めない対応のコツも役立ちます。手が出そうになったら|本人と自分を守るための行動怒りが抑えられず手が出そうになったら、本人の安全を確かめてすぐにその場を離れ、その日のうちに相談先へ連絡してください。状況すること手が出そうになった本人の安全を確かめ、すぐに別の部屋へ離れる手を上げてしまった本人のけがを確かめ、けがや痛がる様子があれば主治医に連絡して受診につなぐ。そのうえでケアマネジャーや地域包括支援センターに話す自分を止められる自信がない今日のうちに地域包括支援センターへ電話する死にたい、消えたいと感じるこころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)など電話相談窓口につながるセンターの電話番号は、町田市の高齢者支援センター一覧と相模原市の地域包括支援センター一覧に載っています。落ち着いているうちに、お住まいの地域の番号を控えておきましょう。手が出そうになるのは、あなたが悪い人だからではなく、ひとりで介護を続けることがもう限界だという合図です。地域包括支援センターは、高齢者の介護や虐待の心配について相談できる公的な窓口で、介護する家族の相談にも応じています。「通報されるのでは」と相談をためらう方もいますが、早い段階で打ち明けることは、本人とあなたの両方を守ることにつながります。手を上げてしまった後でも、隠さずに話せば、ショートステイの利用など距離をとるための手立てを一緒に考えてもらえます。本人からの暴言や暴力が引き金になっている場合は、認知症の暴言・暴力で家族が限界を感じたときの対応と相談先も参考にしてください。「休むこと」は介護放棄ではない|レスパイトケア・介護サービスの活用法イライラして声を荒らげる日が続くなら、介護サービスで休む時間をつくることは介護放棄ではなく、介護を続けるための準備です。レスパイトケア(介護する家族が一時的に介護から離れて休息するための支援)は、介護保険のサービスなどを組み合わせて取り入れられます。介護から休むことへの罪悪感をほどく休むことに罪悪感を持つ必要はなく、介護する人が休むことは、本人の穏やかな生活を守ることにもつながります。罪悪感の声考え方の例「預けるなんてかわいそう」本人にとっても、人と話し体を動かす場になる「自分が楽をしたいだけ」休まなければ、介護そのものが続かない「まだ頑張れる」限界の手前で休むのが、長く続けるコツ「周りにどう思われるか」介護保険は家族の負担を分け合うための仕組み介護する人が疲れ切っていると声かけが荒くなり、本人も不安になって症状が強まるという悪循環が起こりがちです。反対に、休んで気持ちに余裕が戻ると、同じ場面でも「そうだったね」と受け流せるようになる方が少なくありません。前述の法律が「養護者に対する支援」を掲げているように、介護する家族を支えることも介護の仕組みの一部です。休むことは、本人から逃げることではなく、本人のそばに居続けるための手段といえます。休み方や相談先は、精神疾患の家族に疲れたら|共倒れを防ぐ休み方と相談先でも詳しく紹介しています。休むために使える主な介護サービス介護から離れる時間をつくるには、デイサービスやショートステイなど、目的に合わせて介護保険のサービスを組み合わせます。サービス内容家族にとっての意味デイサービス(通所介護)日中に施設へ通い、食事や入浴、活動をする日中に自分の時間ができるショートステイ(短期入所生活介護)施設に短期間泊まるまとまって眠り、休める訪問介護(ホームヘルパー)自宅で入浴や家事を手伝う負担の大きい介助を任せられる訪問看護看護師などが自宅で体調管理や療養の支援をする医療面の不安を相談できるデイサービスは、本人の生活リズムを整える場にもなります。ショートステイは、夜間の対応で眠れない日が続く家族にとって、まとまった睡眠をとれる貴重な機会です。入浴の拒否など負担の大きい介助を訪問介護に任せれば、家族と本人がぶつかる場面そのものを減らせます。お風呂を嫌がる理由と声かけは、認知症の入浴拒否|お風呂を嫌がる理由と家族の対応・清拭の工夫が参考になります。どのサービスをどれくらい使うかは、ケアマネジャー(介護支援専門員)と相談してケアプランに組み込みます。ショートステイの使い方や費用は、介護を休むためのショートステイ|使い方・費用・嫌がるときの進め方で詳しく解説しています。ショートステイやデイサービスの使い始め方ショートステイやデイサービスを使い始めるには、まず地域包括支援センターかケアマネジャーに相談し、要介護認定とケアプランの手続きを進めます。手順すること相談する地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに話す要介護認定を受ける市区町村の窓口で申請し、調査を受けるケアプランをつくるケアマネジャーと利用するサービスを決める見学・体験する本人と一緒に施設を見学する利用を始める短い時間や少ない回数から慣らしていくまだ要介護認定を受けていない場合は、申請から結果が出るまでに時間がかかります。限界を感じる前に、早めに動き出しておきましょう。すでにケアマネジャーがいる場合は、「怒鳴ってしまうほど疲れている」と正直に伝えることが、サービスを見直すきっかけになります。本人が「行きたくない」と嫌がるときは、「お風呂に入りに行こう」など受け入れやすい誘い方を、ケアマネジャーや施設の職員と一緒に考えます。最初から長く預けようとせず、短い時間の利用から慣らしていくと、本人も家族も安心しやすくなります。休む段取りは、訪問看護にもご相談いただけます。本人の体調やBPSDの様子を踏まえ、無理のない休み方を一緒に考えます。まずはお気軽にお問い合わせください。【訪問看護にできること】町田市・相模原市で介護家族の孤立とイライラに寄り添う支援訪問看護は本人の体調管理とあわせて、介護のイライラで怒鳴ってしまう家族の悩みも受け止め、関わり方の工夫を一緒に考えます。訪問看護は家族の介護ストレスの相談にも対応できる訪問看護は本人のケアだけでなく、介護する家族の不安やストレスの相談にも対応できます。訪問看護でできること家族にとっての変化体調や服薬の確認怒りっぽさの裏にある体の不調に早く気づけるBPSDへの関わり方の相談声かけや環境の工夫を一緒に考えられる家族の話を聴く誰にも言えなかった気持ちを話せる主治医やケアマネジャーとの連携必要なサービスの調整が進む訪問看護は、看護師などが自宅を訪ね、主治医の指示に基づいて療養上の世話や診療の補助を行うサービスです(出典:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「訪問看護」)。訪問のたびに本人の様子を見ていれば、便秘や脱水、眠れていないことなど、怒りっぽさにつながる体の変化にも気づきやすくなります。気づいた変化は主治医に伝え、必要な治療や薬の見直しにつなげます。家族にとっては、介護の悩みを話せる専門職が定期的に家に来ること自体が、孤立を防ぐ支え。ケアマネジャーとも情報を共有するため、休むためのサービスの調整も進めやすくなります。町田市・相模原市の訪問先で見えること町田市・相模原市で訪問看護を提供する中で、介護するご家族から「また怒鳴ってしまった」と打ち明けられることは珍しくありません。現場でよく聞く声一緒に取り組んだこと「夕方になると毎日言い合いになる」夕方の過ごし方と家事の時間をずらす「夜中に何度も起こされて限界」眠れない様子を記録し、主治医に伝える「こんなこと誰にも言えなかった」訪問のたびに家族の話を聴く時間をとる「休むのは申し訳ない」ケアマネジャーとショートステイを相談する70代の夫が認知症の妻を介護している世帯では、「怒鳴ったあと、妻が黙り込むのがいちばんつらい」という声を耳にします。仕事と介護を掛け持ちする50〜60代の子世代からは、「疲れて帰った夜に同じ質問を繰り返されると、つい声が大きくなる」という声も聞かれます。そうした打ち明け話が出てくるのは、体温や血圧を測り終えたあとの雑談や、帰り際の玄関先。坂道の多い住宅地では、介護する家族が買い物に出るのもひと苦労で、家にこもりがちになる事情も見えてきます。責めずに聴く人がいるだけで、「もう少しやってみよう」と表情がやわらぐご家族もいます。怒鳴ってしまったことを責めるのではなく、どの場面なら負担を減らせるかを一緒に探す。それが、私たちが訪問で大切にしている関わり方です。介護に限界を感じたときの相談先認知症の介護に限界を感じたら、地域包括支援センター、ケアマネジャー、主治医、訪問看護など、話しやすいところから一つ相談してください。相談先相談できること地域包括支援センター(町田市では高齢者支援センター)介護サービス、虐待の心配、家族の負担ケアマネジャーサービスの追加や見直し主治医BPSDや体調の変化、薬のこと臨床心理士などによる介護者の相談(町田市)介護する人自身の気持ち電話相談窓口(まもろうよ こころ)つらい気持ち、死にたい気持ち訪問看護自宅での体調管理と家族の相談町田市では、高齢者支援センターが地域包括支援センターの役割を担っています(出典:町田市「高齢者支援センター(地域包括支援センター)」)。相模原市でも、地域包括支援センターが高齢者の健康、福祉、介護の相談を受けています(出典:相模原市「地域包括支援センター(高齢者の健康、福祉、介護の相談・支援)」)。町田市の各高齢者支援センターでは、臨床心理士などに本人への接し方や介護のストレスを軽くする方法を相談でき、予約が必要です(出典:町田市「臨床心理士等による介護者等相談」)。相談先を一つ決めておくだけで、次に限界が来たときの動き方が変わります。心の疲れが続く方は介護者の心を守るために:介護ノイローゼの原因・対処法・相談窓口まとめもご覧ください。よくある質問|認知症介護のイライラ・怒鳴ってしまうことについて介護のイライラや、つい怒鳴ってしまうことについて、ご家族からよく寄せられる質問にお答えします。Q. 認知症の介護でイライラして怒鳴ってしまうのは、よくあることですか。A. 珍しいことではありません。国の調査でも、家庭内の高齢者虐待の要因として、認知症の症状と介護疲れがそれぞれ半数を超えています。我慢せず早めに相談してください。Q. 認知症の親に怒鳴ってしまった後、どう気持ちを切り替えればいいですか。A. その場を離れて落ち着き、穏やかな声で短く謝りましょう。きっかけを一行メモしておくと、同じ場面を減らす工夫につながります。人格まで責める必要はありません。Q. 介護でイライラを感じた瞬間、まず何をすればいいですか。A. 言い返す前にひと呼吸おき、本人の安全を確かめてから別の部屋へ移ってください。ゆっくり息を吐く、水を飲むことも気持ちを落ち着かせる助けになります。Q. 認知症の介護に限界を感じたら、どこに相談すればいいですか。A. 地域包括支援センター(町田市では高齢者支援センター)が最初の窓口です。担当のケアマネジャーや主治医、訪問看護にも相談できます。つらさが強いときは電話相談窓口も使えます。Q. 介護から休むことに罪悪感があります。休んでもいいのでしょうか。A. 休んでかまいません。介護する人が倒れると介護は続きません。余裕が戻ると声かけも穏やかになりやすく、本人のためにもなります。Q. 怒りが抑えられず手が出そうになったら、どうすればいいですか。A. 本人の安全を確かめてすぐにその場を離れ、その日のうちに地域包括支援センターやケアマネジャーに連絡してください。早めに打ち明けることが、本人とあなたの両方を守ります。Q. 訪問看護は家族の介護ストレスやイライラの相談にも対応してもらえますか。A. 対応できます。本人の体調管理に加え、家族の不安や悩みの相談にも応じ、BPSDへの関わり方を一緒に考えます。主治医やケアマネジャーとも連携します。Q. ショートステイやデイサービスはどうやって使い始めればいいですか。A. 地域包括支援センターかケアマネジャーに相談し、要介護認定を受けてケアプランに組み込みます。見学や体験で本人の様子を見ながら、短い利用から始めると安心です。まとめ認知症の介護でイライラして怒鳴ってしまうのは、あなたの人柄ではなく、負担が重なりすぎているサインです。怒鳴ったあとは短く謝り、きっかけを記録して減らせる原因を探しましょう。休むことは介護放棄ではありません。手が出そうなほど追い詰められる前に、地域包括支援センターやケアマネジャー、訪問看護を頼ってください。精神科訪問看護ステーション ピースにご相談ください「精神科」の名前ですが、認知症の方のBPSDや、介護するご家族の心のつらさのご相談も受けています。こんな方はぜひご相談ください:認知症の家族に怒鳴ってしまい、自己嫌悪から抜け出せない方BPSDへの対応に疲れ、休み方がわからない方介護のつらさを誰にも話せずにいる方ご相談について:「怒鳴ってしまった」という話しにくい内容も、そのままお聞かせください訪問看護を使うか決めていない段階のご相談でも構いません始めるときは、主治医の指示書やケアマネジャーとの調整の流れをご案内します東京都町田市・多摩市、神奈川県相模原市・大和市・川崎市麻生区を中心に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。関連記事BPSDで在宅介護が限界になる前に|家族が訪問看護に相談すべきサインと使い方精神疾患の家族に疲れたら|共倒れを防ぐ休み方と相談先認知症の暴言・暴力で家族が限界を感じたときの対応と相談先介護者の心を守るために:介護ノイローゼの原因・対処法・相談窓口まとめ介護を休むためのショートステイ|使い方・費用・嫌がるときの進め方参考文献一覧出典:日本認知症学会など6学会監修「かかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第3版)」https://www.jspn.or.jp/modules/advocacy/index.php?content_id=120出典:厚生労働省「令和6年度『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67817.html出典:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/index.html出典:厚生労働省「まもろうよ こころ 電話相談窓口」https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/soudan/tel/出典:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「訪問看護」https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group4.html出典:町田市「高齢者支援センター(地域包括支援センター)」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/old/shiminnokatae/mijikanasodan/koureisha_shien_center.html出典:町田市「臨床心理士等による介護者等相談」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/old/shiminnokatae/ninchishojoho/ninchishomadoguchi/rinshousinrisisoudan.html出典:相模原市「地域包括支援センター(高齢者の健康、福祉、介護の相談・支援)」https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kosodate/fukushi/1026635/korei_shien/1006373.html【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理、地域医療連携、在宅看取り支援に積極的に取り組んでいる。【精神科訪問看護ステーション ピースについて】株式会社isLandは町田市で訪問看護を運営する3つの事業所を持ち、これまでも精神疾患のある方とそのご家族を多数支援してきました。2027年1月には、その経験を基に、精神科に特化した「精神科訪問看護ステーション ピース」を新たに開設します。開設までの期間も、既存3事業所でご相談・受入対応が可能です。お気軽にお寄せください。mental.island-piece.jp 精神科訪問看護ステーション ピース|町田市