1. 脊髄小脳変性症とは?原因や種類、似ている病気との違い脊髄小脳変性症ってどんな病気?小脳と脊髄の役割項目内容病気の名称脊髄小脳変性症(Spinocerebellar Degeneration, SCD)主に障害される部位小脳・脊髄主な症状歩行障害、言語障害、眼振(目の揺れ)、手足の不器用さ特徴徐々に進行し、日常生活動作に影響を及ぼす根本的治療現時点では確立しておらず、リハビリや生活支援が中心脊髄小脳変性症(SCD)は、小脳や脊髄が徐々に障害されることで起こる病気です。小脳は「体のバランスを取る」「動きをスムーズにする」「言葉を調整する」といった重要な役割を持っています。そのため、小脳が障害されると、ふらつきや手足のぎこちなさ、発音の変化などが現れます。脊髄の関与がある場合は、より広範囲に症状が進み、日常生活に影響を与えます。特に歩行や発語といった生活の基本に直結する機能が障害されるため、本人だけでなく家族も早期に変化を感じることが多いのが特徴です。進行性であるため、症状が軽いうちからの理解とサポートが重要となります。出典:厚生労働省「脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)(指定難病18)」https://www.mhlw.go.jp/content/000534032.pdf遺伝性と非遺伝性のタイプ、代表的な種類タイプ内容特徴遺伝性家族歴があり、世代を超えて発症する主に常染色体優性遺伝型(SCA)が多い非遺伝性家族歴がなく、突然発症する成人以降に多く発症し、進行は比較的ゆるやか(ただし個人差あり)脊髄小脳変性症には遺伝性と非遺伝性の2つのタイプがあります。遺伝性の代表は「脊髄小脳失調症(SCA)」と呼ばれる病型群で、さまざまな遺伝子変異が関与しています。一方、非遺伝性は家族に同じ病気の人がいない場合でも発症します。遺伝性の場合は、親から子へ病気が受け継がれる可能性があり、遺伝子検査によって診断されるケースもあります。非遺伝性では明確な原因が不明なことが多いですが、発症後の経過や症状は遺伝性と共通する部分もあります。いずれのタイプも生活の質に影響を与えるため、早期に適切な医療・リハビリ・支援を受けることが大切です。出典:難病情報センター「脊髄小脳変性症」https://www.nanbyou.or.jp/entry/328似ている病気「多系統萎縮症(MSA)」との違い疾患名主な特徴脊髄小脳変性症(SCD)主に小脳の障害による「歩行障害・言語障害・眼振」多系統萎縮症(MSA)小脳症状に加えて自律神経障害(排尿障害・起立性低血圧)が目立つ多系統萎縮症(MSA)も小脳が障害される病気であり、見た目の症状が似ているため混同されることがあります。しかし両者には重要な違いがあります。MSAでは、小脳症状に加えて排尿障害や血圧の調節不良など、自律神経系の症状が早期から目立つ点が特徴です。一方、SCDでは小脳機能の障害が中心で、バランスの悪さや言語の乱れが先行することが多いです。両者を見分けることは治療方針を決めるうえでも大切であり、専門医による診察や検査での正確な鑑別が必要となります。出典:難病情報センター「多系統萎縮症」https://www.nanbyou.or.jp/entry/3242. 脊髄小脳変性症の初期症状でよくあるサイン歩行のふらつきや転びやすさ症状特徴歩行のふらつき酔っぱらったような歩き方になる転びやすさ小さな段差や障害物で転倒することがあるバランス不良立っているときに体が揺れる脊髄小脳変性症の初期によく見られるのが歩行の異常です。 まるで酔っているようにふらついた歩き方になるため「酩酊歩行」と表現されることもあります。転びやすさも大きな特徴で、日常生活の中で小さな段差や床の凹凸で転倒することがあります。立っているときに体が揺れたり、安定してまっすぐ立つことが難しくなるケースもあります。初期には「少し不器用になった」「歩き方が変わった」程度の印象ですが、進行とともに顕著になるため、早期に気づくことが重要です。出典:健康長寿ネット「脊髄小脳変性症」https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/nanbyou/sokeishou/言葉の発音が不明瞭になる(構音障害)症状特徴発音の不明瞭さ言葉がはっきりしない、聞き取りにくい発声の変化途切れ途切れになる、声の抑揚が不自然になる会話の影響コミュニケーションが難しくなる小脳は言葉の調整にも深く関与しています。 そのため、小脳が障害されると「構音障害」と呼ばれる発音の不明瞭さが出てきます。具体的には、言葉がはっきりせず、聞き取りにくくなることがあります。また、声が途切れ途切れになったり、抑揚が不自然になることもあります。こうした症状は本人の自信を損なうことがあり、会話を避ける原因にもなります。初期の段階で言語療法士などに相談することで、発声の工夫やトレーニングを通じてコミュニケーションを支えることができます。出典:難病情報センター「脊髄小脳変性症」https://www.nanbyou.or.jp/entry/328眼の動きの異常(眼振)症状特徴眼振意図せず眼球が左右に揺れる視覚の影響物がぶれて見える、めまいを感じる日常生活読書やテレビ視聴が困難になる眼振(がんしん)は、眼球が勝手に左右へ揺れてしまう症状です。これにより物が二重に見えたり、視界が揺れる感覚が生じることがあります。読書やテレビ視聴の際に集中できなくなったり、日常生活の中で不便さを感じることが増えていきます。眼振は本人だけでなく周囲も気づきやすいサインの一つであり、早期発見につながる重要な症状です。眼科や神経内科での診察によって確認されることが多く、診断の手がかりになります。出典:健康長寿ネット「脊髄小脳変性症」https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/nanbyou/sokeishou/3. 日常生活で気づける脊髄小脳変性症の初期症状書字や細かい作業の不器用さ症状特徴字の乱れ以前より文字が大きく、曲がってしまう手先の不器用さ箸が使いにくい、ボタンがかけにくい作業効率の低下家事や仕事でミスが増える脊髄小脳変性症の初期には、手先の細かい動作が不器用になることがあります。 例えば字を書くと以前より大きく曲がってしまう、ボタンをうまくかけられない、箸が使いにくいなどです。本人は「年齢のせい」と思うかもしれませんが、進行性の神経疾患が原因のこともあります。日常的に行っている作業の中で小さな違和感が繰り返し出る場合は、医療機関での相談が勧められます。出典:難病情報センター「脊髄小脳変性症」https://www.nanbyou.or.jp/entry/328疲れやすさや体力の低下症状特徴疲労感少し動いただけで強く疲れる体力低下長時間の外出や作業が困難になる回復の遅さ休んでも疲れが抜けにくい体力の低下や疲れやすさも初期にみられる症状です。 少しの外出や家事でも極端に疲れてしまうことがあり、休憩しても回復が遅いと感じることがあります。こうした症状は加齢によるものと区別がつきにくいですが、持続的にみられる場合は注意が必要です。生活の質が低下する前に、専門家のアドバイスを受けながら生活リズムの調整やリハビリを取り入れることが効果的です。周囲からの気づき(歩き方や話し方の変化)観察される点内容歩き方ふらつきが目立つ、転びやすい話し方発音が不明瞭、声が不自然に変化表情や態度動作がゆっくり、生活のリズムが乱れる周囲の人の気づきも診断の大きな手がかりになります。 本人が「大丈夫」と感じていても、家族や同僚が「歩き方が変だ」「話し方が聞き取りにくい」と感じることがあります。こうした小さな変化が、実は病気の初期症状である場合もあります。日常生活の中で繰り返し観察される場合には、医療機関での受診につなげることが重要です。出典:健康長寿ネット「脊髄小脳変性症」https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/nanbyou/sokeishou/4. 脊髄小脳変性症の初期治療と生活の工夫薬でできること・できないこと項目内容薬の目的症状の一部を和らげるできること筋肉のこわばり・ふるえの軽減難しいこと病気の進行そのものを止めること現在、脊髄小脳変性症を根本的に治す薬は存在しません。 しかし、筋肉のこわばりやふるえなど一部の症状を軽減する薬は処方されることがあります。これにより、歩行や日常生活動作の負担を少しでも軽減することが期待されます。ただし薬はあくまで対症療法であり、進行そのものを止めることはできません。薬の効果や副作用には個人差があるため、医師と相談しながら適切に活用することが重要です。出典:厚生労働省「脊髄小脳変性症(指定難病18)」https://www.mhlw.go.jp/content/000534032.pdfリハビリで改善できるバランスや歩行の安定リハビリ効果歩行訓練転倒リスクの低下バランス訓練体幹の安定構音訓練言語の明瞭化リハビリテーションは脊髄小脳変性症の初期から重要な支援です。 理学療法では歩行訓練やバランス訓練が行われ、転倒リスクを減らすことができます。作業療法では手先の練習や日常動作の工夫が指導され、言語療法では発音の明瞭さを維持する支援が行われます。こうしたリハビリは単なる運動ではなく、患者さんの生活の質(QOL)を高め、社会参加や自立を支えるために欠かせません。出典:Ilg W, et al. Neurology 2009https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19535786/家でできる転倒予防や住まいの工夫工夫具体例環境整備段差解消、手すり設置転倒予防滑りにくいスリッパ、照明の明るさ確保福祉用具杖・歩行器の活用家庭内の安全対策は脊髄小脳変性症の方にとって非常に重要です。 小さな段差や暗い廊下は転倒リスクを高めるため、早めの環境整備が必要です。たとえば階段や浴室に手すりを設置する、夜間の移動には足元を照らす照明を設けるといった工夫があります。また滑りにくい靴下やスリッパを選ぶことも有効です。症状が進んできた場合は杖や歩行器などの福祉用具の利用も考えられます。出典:東京都福祉保健局「住まいの安全対策」https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/5. 脊髄小脳変性症の原因や遺伝との関係遺伝が関係しないタイプ(非遺伝性SCD)についてタイプ特徴非遺伝性SCD家族歴がなく発症するタイプ。成人以降の発症が多い進行比較的ゆるやかな場合が多い(ただし個人差あり)原因不明なことが多い非遺伝性の脊髄小脳変性症は、家族歴がなくても発症するタイプです。成人になってから症状が出始めることが多く、進行は比較的ゆるやかな傾向があるとされます。ただし個人差は大きく、急速に進むケースもあります。原因はまだ解明されていない部分が多く、診断に至るまでに時間がかかることもあります。出典:難病情報センター「脊髄小脳変性症」https://www.nanbyou.or.jp/entry/328遺伝性タイプ(SCA)と家族に受け継がれる仕組みタイプ特徴常染色体優性遺伝型親から子へ受け継がれる可能性がある発症年齢思春期以降から中年期に多い特徴病型ごとに症状の出方が異なる遺伝性の脊髄小脳変性症(SCA)は、親から子へと遺伝する病気です。常染色体優性遺伝が多く、発症の可能性は世代を超えて引き継がれます。発症年齢は思春期以降から中年期にかけてが多く、症状の出方は遺伝子の種類によって異なります。遺伝子検査による診断もありますが、心理的負担が伴うため遺伝カウンセリングを受けながら判断することが推奨されます。出典:難病情報センター「脊髄小脳変性症」https://www.nanbyou.or.jp/entry/328発症年齢や性別による違い要因影響発症年齢若年発症では進行が早い傾向がある性差明確な違いは少ないが、病型によっては男女差がある家族歴発症リスクを知る手がかりになる脊髄小脳変性症は発症年齢によって進行速度が異なることが知られています。若年で発症した場合は進行が早いことが多く、中高年以降に発症した場合は比較的ゆるやかに進む傾向があります。性差による大きな違いは少ないですが、病型によっては男女差があると報告されています。6. 進行と今後の見通し症状の進み方と生活の質への影響項目内容進行の特徴ゆっくり進行するが個人差あり初期症状歩行障害、言語障害が中心進行後自立度の低下、介助が必要になる脊髄小脳変性症は進行性の病気であり、時間とともに症状が強くなっていきます。ただし進行のスピードは人によって大きく異なり、数年で歩行が難しくなる人もいれば、長期間軽度の症状で生活できる人もいます。生活の質を維持するためには、進行を見据えた環境整備やリハビリ、支援体制の構築が重要です。初期・中期・後期ごとの生活目標病期主な症状支援のポイント初期軽度の歩行障害、発語の変化仕事や家庭生活を維持しながら、環境調整とリハビリを開始中期転倒増加、日常動作の不便さ福祉用具の利用、訪問リハビリ導入、介護サービスの検討後期自立困難、介助が必要24時間体制での介護、在宅看護や施設利用病気の進行段階ごとに生活の目標を明確にすることが大切です。初期は自立を維持しつつ生活の安全性を高めること、中期は福祉用具やリハビリを活用して生活を支えること、後期は介助や医療的サポートが中心となります。早期からのリハビリが将来に与える良い効果リハビリ内容期待できる効果歩行訓練転倒予防、筋力維持バランス訓練体幹の安定、姿勢保持言語訓練発音の明瞭化、コミュニケーション維持早期からのリハビリは進行を緩やかにし、生活の質を高める効果があります。 歩行やバランス訓練により転倒を防ぎ、筋力や体力を維持できます。言語訓練はコミュニケーションの維持につながります。訪問リハビリを活用することで、無理なく生活に取り入れられる点も大きなメリットです。出典:Ilg W, et al. Neurology 2009https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19535786/7. リハビリの取り組み方(歩行・体幹・手の動き)歩行練習でバランスを取り戻す工夫方法内容足幅調整広めに足を開いて歩くことで安定性を高めるターン練習ゆっくり方向転換する習慣をつけるデュアルタスク回避歩行中は会話や荷物を持つ動作を控える歩行練習は脊髄小脳変性症のリハビリの基本です。 足幅を広めに取って歩くことで重心が安定し、転倒しにくくなります。方向転換は急に行うとふらつきや転倒につながるため、意識してゆっくり行うことが大切です。また、歩行中に会話をしたり荷物を持ったりすると注意が分散しやすく、転倒の危険が高まります。歩くときは歩行に集中し、必要に応じて杖や歩行器を併用するのが安全です。体幹トレーニングで姿勢を安定させるトレーニング内容座位バランス訓練椅子に座って重心移動を繰り返す立位バランス訓練支えを持ちながら体を左右に動かすコア筋強化軽いストレッチや運動で体幹筋を強化体幹トレーニングは姿勢の安定と転倒予防に直結します。 小脳の障害によりバランスを取る力が低下すると、座っているときや立っているときでも不安定さを感じやすくなります。座位や立位でのバランス訓練を行い、体幹のコントロールを取り戻すことが重要です。また、軽いストレッチや運動で体幹の筋肉を維持・強化することも有効です。手や指の協調練習・発音訓練で日常生活を支えるリハビリ内容目的書字練習字の乱れを軽減する巧緻動作訓練ボタンかけ、箸操作の改善発音練習発声の明瞭化手や指の動きのリハビリは生活の自立を支えるうえで重要です。 書字練習によって字の乱れを軽減し、日常生活での記録や書類作成をスムーズに行えるようにします。ボタンかけや箸操作の訓練は着替えや食事の自立を助けます。さらに、言語療法士による発音練習はコミュニケーションの維持に役立ちます。出典:Ilg W, et al. Neurology 2009https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19535786/8. 訪問看護・訪問リハの活用と地域での支援体制訪問看護の利用で得られる安心とサポートサービス内容効果服薬管理飲み忘れ防止、体調変化への早期対応健康チェック血圧・体温・体調の定期確認在宅ケア入浴・排泄の支援、褥瘡予防訪問看護は、自宅で生活しながら医療的なサポートを受けられるサービスです。看護師が定期的に訪問し、体調の確認や服薬管理を行うことで、病気の進行や体調の変化に早く気づくことができます。在宅での入浴や排泄のサポート、褥瘡の予防なども行われ、安心して暮らせる体制を整えられます。出典:日本訪問看護財団「訪問看護の業務内容」https://www.jvnf.or.jp/about/visiting-nurse自宅でできる訪問リハビリのメリットリハビリ内容メリット歩行・バランス訓練自宅環境に合わせた練習ができる生活動作訓練トイレ・入浴・調理など実生活に直結言語リハビリ会話・発声を家庭環境で練習可能訪問リハビリは、療法士が自宅を訪問して行うリハビリです。病院や施設とは違い、実際の生活環境に即した訓練ができるのが特徴です。家の階段や浴室を使いながら練習できるため、実生活の改善に直結します。家族も介助方法を学べるため、家庭全体での安心感が高まります。町田市在住の方に向けた「ピース訪問看護ステーション」のご案内ピース訪問看護ステーションは町田市を拠点に、地域の医療機関や介護サービスと連携しながら、安心して在宅生活を送れるようサポートしています。必要に応じていつでも連絡できる体制を整えており、「もしものときに頼れる存在」です。スタッフ体制(2025年10月時点)職種人数特徴看護師9名医療的ケアや症状観察、夜間対応も可能リハビリスタッフ14名理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が在籍ケアマネジャー6名医療と介護をつなぐ役割を担当ピース訪問看護ステーションの特徴特徴詳細夜間対応夜間の急な体調不良や転倒にも対応可能リハビリ専門職の充実在宅生活に合った支援が受けられるケアマネジャー連携医療・介護・リハビリをまとめてサポート神経難病支援経験多数の症例に関わり専門性を蓄積地域連携町田市内のクリニックと定期的に勉強会を開催ピース訪問看護ステーションは、脊髄小脳変性症をはじめとした神経疾患の支援経験が豊富です。ご本人の体調管理だけでなく、ご家族の介護負担を軽減しながら、利用者が住み慣れた自宅で安心して暮らせるよう全力でサポートしています。👉 ぜひ町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。9. 日常生活で注意すべきこと転倒・誤嚥(飲み込み)・疲れやすさへの対策注意点具体策転倒予防手すり設置、滑り止めマットの活用、歩行補助具の利用誤嚥防止食事の際は姿勢を正しく保つ、食べ物の形態を工夫疲労対策適度な休憩を取り入れ、無理をしない生活リズム脊髄小脳変性症では転倒、誤嚥、疲労が日常生活における大きなリスクです。転倒は骨折や頭部外傷につながり、誤嚥は肺炎など重篤な合併症を引き起こします。また疲れやすさも生活の質を下げる要因です。これらを予防するために住環境を整えることや、姿勢や食事形態の工夫、休憩を意識的に取り入れることが大切です。学校や職場での配慮やサポート例場面配慮例学校体育の内容を調整、休憩時間の確保職場勤務時間の短縮、在宅勤務の導入共通移動のサポート、環境のバリアフリー化学校や職場での合理的配慮は、病気を持ちながら学業や仕事を続けるために重要です。学校では授業や活動を調整し、職場では勤務形態を柔軟にすることが望まれます。社会参加を維持することは本人の精神的安定にもつながります。入浴・トイレ・移動など日常動作の工夫生活動作工夫例入浴浴室に手すりを設置、シャワーチェアの利用トイレ手すりや便座の高さ調整、転倒防止マット移動段差解消スロープ、杖・歩行器の使用基本的な生活動作にも工夫が必要です。 入浴ではシャワーチェアや手すりを、トイレでは便座の高さ調整やマットを活用し、移動ではスロープや補助具を取り入れることで安全性が高まります。これらは本人だけでなく介助者の負担軽減にもつながります。10. 公的な支援や相談先(町田市周辺も含む)指定難病制度・医療費助成・福祉サービスの利用支援制度内容指定難病医療費助成制度自己負担上限額が設けられ、医療費負担を軽減障害者手帳税制優遇や交通機関の割引福祉サービスホームヘルプ、デイサービス、ショートステイ利用可能脊髄小脳変性症は指定難病18に含まれます。 医療費助成制度の利用で経済的負担を軽減できます。障害者手帳や介護サービスを組み合わせることで、生活支援の幅も広がります。出典:厚生労働省「指定難病医療費助成制度」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000084783.html相談できる場所(難病相談支援センター・自治体など)相談先提供される支援難病相談支援センター医療・福祉・生活支援に関する総合相談自治体の福祉課福祉サービスや助成制度の手続き地域包括支援センター高齢者を対象とした介護予防・生活支援相談窓口を活用することは安心した生活の第一歩です。 難病相談支援センターや自治体窓口での情報提供、地域包括支援センターでの高齢者サポートを活用することで、必要な支援にスムーズにつながれます。患者会・サポートグループでの交流と情報収集サポート内容患者会同じ病気を持つ人との交流、体験共有サポートグループ情報交換、精神的サポートボランティア団体外出支援、生活支援患者会やサポートグループへの参加は精神的な支えとなります。 同じ病気を持つ仲間と交流することで孤独感が軽減し、生活の工夫や最新情報を得ることができます。出典:全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会https://scdmsa.tokyo/まとめ脊髄小脳変性症は、歩行障害や言語障害、眼振などの初期症状から始まり、徐々に進行していく病気です。根本的な治療法はまだ確立されていませんが、リハビリや生活の工夫、公的支援の活用によって生活の質を高めることができます。特に訪問看護や訪問リハは、自宅で安心して療養を続けるための大きな助けになります。ぜひ町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。関連記事脊髄損傷の症状を総まとめ レベル別の特徴とリハビリのコツALS(筋萎縮性側索硬化症)の初期症状とは?見逃しやすいサインと生活サポートを解説パーキンソン病は寿命に影響する?平均余命と合併症予防・在宅療養の工夫参考文献一覧厚生労働省「脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)(指定難病18)」https://www.mhlw.go.jp/content/000534032.pdf難病情報センター「脊髄小脳変性症」https://www.nanbyou.or.jp/entry/328難病情報センター「多系統萎縮症」https://www.nanbyou.or.jp/entry/324健康長寿ネット「脊髄小脳変性症」https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/nanbyou/sokeishou/東京都福祉保健局「住まいの安全対策」https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/厚生労働省「指定難病医療費助成制度」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000084783.html日本訪問看護財団「訪問看護の業務内容」https://www.jvnf.or.jp/about/visiting-nurse全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会https://scdmsa.tokyo/Ilg W, et al. "Intensive coordinative training improves motor performance in degenerative cerebellar disease" Neurology. 2009.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19535786/本記事の執筆者・監修者プロフィール【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。