食べ残しや左にぶつかるのは半側空間無視のサインかもしれません脳梗塞のあとに左のおかずだけ残す、左側の壁や家具にぶつかるという様子が続くなら、半側空間無視という高次脳機能障害を疑い、気づいた場面をそのまま主治医とリハビリ担当者に伝えてください。退院して数日、ご家族から最初に出てくる言葉はたいてい「食が細くなった」です。ところが食卓を横から見ると、減っているのは右側の皿ばかり。左の煮物には箸が一度も伸びていません。廊下では左の柱にぶつかり、着替えでは左袖だけが通らない。それでも本人は「ちゃんと食べた」と言います。これはわがままでも認知症でもありません。脳梗塞で右側の脳が傷つくと、左側の空間に注意が向かなくなることがあります。本人の意識では左半分の世界が存在しないため、見落とした実感が生まれません。最初に気づけるのは、毎日同じ食卓を見ているご家族です。そして、気づいた人がいちばん長く気を張り続けることにもなります。この記事では、症状の整理、場面ごとのサイン、本人を傷つけない伝え方、自宅の動線の整え方、相談先とリハビリの続け方を順に説明します。町田市・相模原市で在宅の方に伺う現場で、ご家族へお伝えしている観察の順番に沿ってまとめました。この記事でわかること半側空間無視とはどういう症状で、視力低下や視野の欠けとどこが違うのかなぜ右側ではなく左側を見落とすことが多いのか、脳のどこが関係しているのか食事・移動・着替えの場面で家族が気づける具体的なサインと確かめ方症状の自覚がない本人へ、責めずに伝えるための言い換え方家具配置・盛り付け・声かけの整え方と、相談先・リハビリの続け方半側空間無視とは|脳梗塞後に左側だけ見落としてしまう仕組み半側空間無視は、脳梗塞などで損傷を受けた脳と反対側の空間にある物や人を見落としてしまう症状で、高次脳機能障害のひとつに数えられます。高次脳機能障害情報・支援センターは、この症状を「脳損傷の反対側の空間において刺激を見落とすことをはじめとした半側無視行動」と説明し、同名半盲と混同しないよう促しています(出典:国立障害者リハビリテーションセンター「主要症状の解説」)。高次脳機能障害そのものの全体像は、同センターの「高次脳機能障害を理解する」にまとめられています。半側空間無視は目が見えないのではなく、その側へ注意が向いていない重症度症状の出方家庭で見える様子(訪問での例)軽度検査では一貫した無視が出ず、日常動作や短時間の場面で現れる疲れた夕方だけ左を残す中等度常に無視が生じるが、促せば無視側を見ることができる声をかければ左の皿に気づく重度体が病巣側へ向き、促しても無視側を見ることができない声をかけても顔が戻らない重症度の区分は前掲の主要症状の解説に沿っています。右端の列は出典にある記述ではなく、訪問先のご家庭で伺う場面を並べたものです。軽度では、両側から同時に刺激を与えたときだけ反対側を見落とす一側消去現象(左右から同時に見せたときだけ片側を見落とす状態)として現れます。押さえておきたいのは、見えていないのではなく、注意が向いていないという点。視力は保たれ、顔を左へ向ければ網膜には映っています。家庭での手がかりは声かけへの反応。「左にもおかずがあります」で気づけるなら中等度、伝えても顔が戻らないなら重度に近い状態です。判定は医療者が行います。日によって、時間帯によって出方が変わるように見える場面もあります。朝は左まで見えていたのに、夕食時には左を残す。これは出典の分類にある記述ではなく、訪問先でご家族から伺う範囲の話です。この変動を気分の問題と受け取ると、症状として伝わりません。ばらつきも含めて、そのまま記録してください。なぜ右側ではなく左側を見落とすことが多いのか損傷した脳見落とす側現れやすさ併せて起こりやすいこと右半球(特に頭頂葉)左側の空間しばしば認められる左の片麻痺、自覚のなさ左半球右側の空間目立ちにくい失語症が前面に出る右半球、とりわけ頭頂葉の損傷で左側の無視がしばしば認められることは、前掲の主要症状の解説に明記されています。背景には、空間への注意を配る働きが左右で対等ではない事情があります。右半球は両方の空間に広く注意を向ける役割を担うため、ここが傷つくと左を補えません。左半球が傷ついても右半球が両側をカバーするので、右側の無視は目立ちにくくなります。左半球の損傷では失語症が同時に起こり、見落としが会話の困りごとに紛れます。言葉の面が気になる方は、脳梗塞後の失語症、家族はどう接すればいい?会話の工夫と訪問看護STの在宅支援も併せて確認してください。右の脳が傷ついたと説明されたときほど、左側を意識して観察してください。視野の欠け(同名半盲)や視力低下との違い症状何が起きているか視線を動かしたとき本人の自覚半側空間無視片側の空間へ注意が向かない促されないと自分から向かない気づきにくい同名半盲両眼の片側の視野が欠ける視線を向ければ見える自覚しやすい視力低下目そのものの見え方が落ちる向けても全体がぼやける訴えられる主要症状の解説には、左同名半盲では両眼の一側視野が見えず、眼球を動かさなければ片側にあるものを見ることができないと記されています。同名半盲のみなら視線を向ければ見ることができ、半側無視は起こさないとも明記されています。同名半盲の方は見えない側があると知っているので自分から首を回します。半側空間無視ではこの自発的な確認が起こりません。同名半盲とは別の症状として扱うのは、対応が変わるためです。見分け方は「左を見てください」と声をかけたときの反応。促せば確認できるのに放っておくと見ないなら、無視の要素が強いと考えられます。首を回しても見えていない様子なら視野の問題が疑われます。家庭での見分けは、あくまで伝える材料として使ってください。判定には行動性無視検査(BIT日本版)が使われます。線の真ん中に印をつける線分二等分検査、並んだ線を消していく線分抹消検査、見本を写す図形模写検査といった課題で、紙の左半分を書き落とす形で症状が見えます。家族が気づく半側空間無視のサイン|食事・歩行・着替えの具体例半側空間無視のサインは、食事・移動・着替えという毎日の場面に集中して現れ、同じ側だけが一貫して抜け落ちるという共通点があります。一度きりの出来事で判断しないでください。左だけが繰り返し抜ける再現性があるかどうか。食事の場面|左側の料理に箸が伸びない見えるサイン背景で起きていること家庭での確かめ方左側の皿だけ手つかずで残る食卓の左半分に注意が向かない皿を右へ寄せると食べるか見る一つの皿の左半分だけ残る皿の中でも左が抜け落ちる皿を180度回して続きを食べるか見る左に置いた汁物をこぼす左の椀の位置を把握していない置き場所を変えて再現するか見る食後に口の左側に食べ物が残る口の中の左側にも注意が向かない食後に口の中を一緒に確認する食事は一日三回あるので、再現性をいちばん確かめやすい場面。皿を回して続きを食べ始めたら、嫌いだったのではなく見えていなかったということです。町田市・相模原市で訪問看護に伺う中でも、ご家族が最初に相談されるきっかけは食事の場面です。「退院してから食べる量が半分になった」と伺い、食卓を拝見すると、左の小鉢だけが手つかずで下げられていました。体重は落ちるのに、本人には食べた実感がある。この食い違いは低栄養や脱水を招きます。量より、どこが残るかを見てください。口の左側に食べ物が残る現象も見逃せません。溜まったまま横になると誤嚥の危険が高まります。移動の場面|左側の壁・家具・人にぶつかる見えるサイン起きやすい場所危険につながる点左の柱やドア枠に肩をぶつける廊下、部屋の出入口打撲、転倒のきっかけ車いすの左側を家具に引っかける居間、寝室の家具の間車いすごとの転倒左から声をかけても振り向かない玄関、台所家族との意思疎通のずれ移動の場面はけがに直結します。ぶつかる位置が毎回左に偏るなら、不注意ではなく症状と考えます。左肩や左腕にあざがないか、着替えのときに確かめてください。本人はぶつかった記憶がなく「いつのあざか分からない」と言います。左だけに繰り返すあざは有力な手がかり。車いすでは左のフットレストや車輪が家具に引っかかり、気づかず漕ぎ続けると転倒します。介助する方は本人の左側に立ってください。片麻痺があると、歩きにくさと見落としによるぶつかりが混ざります。歩行を含めた生活の組み立ては、片麻痺でも自宅で暮らし続けるための生活の工夫と訪問リハビリの活用で整理しています。外出時は、人や自転車が左から来ても気づけない前提で付き添い、交差点では一度立ち止まってください。着替え・整容・読み書きの場面見えるサイン何が抜けているか確かめ方左袖に腕が通っていない自分の体の左側への注意鏡の前で全身を一緒に見るひげ剃りや整髪が顔の左半分だけ残る自分の顔の左側への注意洗面後に左右を見比べる新聞の左端から読み始められない紙面の左側への注意左端に指を置いて読み出せるか見る書いた文字が紙の右側に寄る紙面の左半分の空間書いたものを日付入りで残す自分の体への見落としは、外から見るといちばん分かりやすいサイン。左袖が通っていない、左の襟が立ったまま。本人は身支度を終えたつもりです。顔の左半分だけひげが残る、化粧が左だけ薄いという偏りも典型的です。おしゃれに興味がなくなったのではありません。読み書きでは紙の左端が抜けます。新聞の左の段を飛ばすので内容がつながらず、書いた文字も右半分に寄ります。時計の絵を描いてもらう方法も知られています。文字盤の数字が右に偏る形で現れますが、診断ではなく気づきの材料です。注意障害や記憶障害と重なることもあります。暮らし全体への影響は、高次脳機能障害と暮らしの工夫、家族とできる在宅ケアのヒントも参考になります。なぜ本人は気づきにくい?家族だからこそ見つけられる理由と伝え方半側空間無視を本人が気づきにくいのは、見落としている側の空間が意識に上らないためで、外から生活を見ているご家族のほうが先に異変をつかめます。危ないから伝えたいのに、伝えるほど本人は否定する。衝突して、お互いに疲れてしまう家庭は少なくありません。半側空間無視で見落としている側は、本人の意識に上らない自覚の段階本人の言い分家族の関わり方自覚がほぼない「全部食べた」「ぶつかっていない」指摘より記録。事実を集める言われれば分かる「言われてみれば残ってた」その場で一緒に確認する自分で確認できる「左も見ておかないとね」できたことを言葉にして返す自覚のなさは性格や意欲の問題ではありません。脳が左側の情報を拾わないので、見落としたという体験が生まれない。本人の主観では世界は右半分で完結しています。ここで本人を責めないという姿勢が効いてきます。「なんで食べないの」と繰り返されると、身に覚えのない非難として届き、確認の声かけまで拒むようになります。一方で、伏せたままにするのも安全ではありません。左からの車に気づけない場面は現実に起こります。否定でも放置でもない第三の道が、記録して医療者につなぐ方法です。自覚の段階は固定ではなく、リハビリのなかで動きます。最初は食べたと言い張っていた方が、自分から皿を回すようになることもあります。性格が変わった、怒りっぽくなったという変化が重なる場合は、別の高次脳機能障害の可能性もあります。その見分けは脳梗塞後の性格変化は高次脳機能障害?家族の気づき方と受診手順にまとめています。家族だから気づける場面と、受診前に用意する記録記録する項目書き方の例いつ9月10日 夕食(18時ごろ)どこで自宅の食卓、本人から見て左側何が起きたか左の小鉢に箸が伸びず、皿を回したら食べ始めた声かけの反応「左にもあるよ」で左を見た「左を見落としているようです」とだけ伝えても、診察室の短い時間では再現しないことがあります。日付と場面が入った記録があれば、程度と変動が具体的に伝わります。記録は一週間分で十分。毎食つける必要はなく、気づいた場面だけで構いません。食卓を上から一枚撮っておくと、どちら側が残ったかが一目で伝わります。疲労や時間帯も添えてください。夕方だけ左を残すと分かれば、家庭での過ごし方の調整につながります。書いたもの、描いた時計、読み飛ばした新聞。こうした紙は捨てずに取っておいてください。介護保険を使っている方は、ケアマネジャーにも同じ記録を共有してください。福祉用具や訪問回数を見直す材料です。本人を傷つけずに伝える言い方避けたい言い方言い換えねらい「なんで左を見ないの」「左側も一緒に見てみましょうか」責める形にしない「また残してる」「お皿を回しますね」行動で補い、指摘を減らす「危ないでしょ」「左から行きますね」予告して安全を作る「気をつけて」「玄関を出たら左を一度見てください」具体的な動作に置き換える伝え方の基本は、評価の言葉を動作の言葉に置き換えること。「気をつけて」は何をすればよいか分かりません。「左を一度見てください」なら、そのまま体を動かせます。声をかける位置も工夫のしどころ。まず右側から声をかけ、注意が向いてから左側の話をしてください。症状の説明をどこまでするかは自覚の段階によります。自覚がない段階で理屈を重ねても納得は得られにくいので、先に安全を確保する行動を組み立てます。うまく言えずに声を荒げる日があっても、それで症状が悪くなるわけではありません。続くときは訪問看護師に相談を。自宅の動線と環境を整える|家具配置・食事の盛り付け・声かけの工夫半側空間無視のある方の自宅でまずできるのは、左側を見落としても危険が起きない配置に変えることと、自分から左を確認するきっかけを暮らしのなかに置くことです。ぶつかっても大丈夫にする守りの工夫と、左に注意を戻す攻めの工夫を並行して進めます。動線から障害物を外し、家具の向きを見直す場所整え方意図廊下左側に置いた荷物や傘立てを外すぶつかる対象を減らす出入口ドア枠の左側に色テープを貼る通過前に左へ視線が動く寝室ベッドから降りる側を右に統一する起き上がり直後の危険を減らす居間家具の角にクッション材を付ける接触時のけがを軽くする取りかかりやすいのは、床の物を動線から外すこと。新聞の束、古紙の袋、来客用のスリッパ。左に置いた物は、気づかれないまま足を引っかけます。ドア枠や柱の左に色テープを貼るのは、視線を引き寄せる手がかり。周囲と区別できる色なら十分です。貼る位置は目の高さ、通過する直前に視界へ入る場所を選びます。ベッドの向きを変えるときは、麻痺側と介助のしやすさも合わせて検討してください。無視側から降りる配置だと、最初の一歩でふらつく危険があります。家具の角のクッション材は、ぶつかっても大丈夫にしておくための備え。四六時中見張らずに済みます。配置を変えたら、変えたこと自体を本人と共有してください。急に位置が変わると慣れた動作が崩れます。一週間に一か所ずつ。食事の盛り付けと食卓の工夫工夫やり方効果一皿にまとめる小鉢を減らし、ワンプレートに寄せる探す範囲が狭まる皿を回す食事の途中で皿を180度回す残りに気づくきっかけ色の対比をつける白い食器に濃い色の敷物を合わせる皿の輪郭が見つけやすい左端に目印を置く左に湯のみを定位置で置く左を探す習慣をつくる効果が出やすいのは皿の数を減らすこと。小鉢が五つ並ぶ食卓は、左端まで注意を広げないと全体をとらえられません。一つの器にまとめると食べ残しが減ります。途中で皿を回す方法はすぐ試せます。回した先に食べていない料理があると、本人自身が左に何かあると体験できます。食器と敷物の色の対比も侮れません。白い皿を白いテーブルに置くと輪郭がぼやけます。濃い色の敷物を一枚足すだけで皿の位置がはっきりします。相模原市に伺っているご家庭では、食卓の左端にお茶の湯のみを置く決まりにしています。左へ手が伸びる場面が増えた日もあれば、変わらない日もある。それでも、左を見る理由を暮らしのなかに置いておくと、声をかけ続けるご家族の負担は軽くなります。誤嚥の予防では、食後の口腔ケアで左の頬の内側を必ず確認してください。手が届きにくい場合は、鏡を左に寄せて一緒に見るところから始めます。手がかりと声かけで、左に注意を戻す手がかり置き方使う場面色テープ紙の左端、机の左端に貼る読み書き、作業の開始時定位置の物左に置く物を毎回同じにする食事、身支度声の方向右から声をかけ、注意を得てから左を促す会話、介助の開始時予告の言葉「左から失礼します」と先に伝える移乗、更衣、車いすの介助読み書きでは、紙の左端に色テープを貼り「テープが見えるまで目を戻して」と伝えます。探す目標が具体的になり、行の頭を飛ばしにくくなります。介助では予告が安全に直結します。左から急に触れられると抵抗が生まれます。一言先に伝えるだけで受け入れやすさが変わります。ここまでの工夫はリハビリの代わりではなく、訓練を暮らしのなかで支える土台。どれが合うかは重症度や麻痺の有無、住まいの構造で変わります。どこから手をつければよいか迷う、変えてみたのに効いている実感がない。そんなときはピース訪問看護ステーションへご相談ください。実際の動線をご本人と一緒に歩きながら、無理のない整え方を一緒に考えます(お問い合わせ)。気づいたときの相談先とリハビリ|町田・相模原の訪問看護でできること半側空間無視に気づいたら、まず脳梗塞の主治医とリハビリ担当者に記録を渡し、あわせて市区町村の窓口や高次脳機能障害の支援拠点機関を相談先として押さえておきます。退院後は病院という相談先が急に遠くなります。どこに何を聞くかを先に整理しておいてください。まず誰に相談するか相談先相談できること連絡のきっかけ脳梗塞の主治医症状の評価、リハビリの指示、再発予防次回の外来に記録を持参リハビリテーション科検査による評価、訓練の方針主治医からの紹介ケアマネジャー介護保険サービスの調整、福祉用具担当者へ電話市区町村の障害福祉担当窓口障害者手帳、障害福祉サービス窓口で相談高次脳機能障害の支援拠点機関専門的な相談支援、情報提供都道府県ごとの窓口を確認高次脳機能障害者への相談支援は、市町村が行う一般的な相談支援と、都道府県・指定都市が行う専門性の高い相談支援に位置づけられ、都道府県・指定都市は高次脳機能障害者支援センターを設置して支援コーディネーターを配置することが定められています(出典:国立障害者リハビリテーションセンター「高次脳機能障害支援に関する制度」)。地域の窓口は、同センターの相談窓口ページから都道府県ごとに確認できます(出典:国立障害者リハビリテーションセンター「高次脳機能障害相談窓口」)。町田市なら東京都、相模原市なら神奈川県の窓口が入り口です。手帳の制度も知っておくと選択肢が広がります。高次脳機能障害で日常生活に制約があると診断されれば、器質性精神障害(脳の損傷が原因で起こる精神の症状という区分)として精神障害者保健福祉手帳の申請対象になります。診断書は精神科医でなくても作成できると同センターは説明しています。65歳未満でも介護保険を使える場合があります。脳血管疾患は特定疾病に含まれ、40歳以上なら要介護認定を申請できます(出典:厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」)。ろれつが回らない、片方の手足が突然動かない、経験したことのない激しい頭痛が新たに起きたときは、相談ではなく救急要請の場面。脳卒中の症状は突然起こるのが共通した特徴だと日本脳卒中協会は説明しています(出典:公益社団法人日本脳卒中協会「脳卒中の主な症状」)。回復の見通しと、退院後もリハビリを続ける方法時期リハビリの場家庭で並行すること急性期急性期病棟面会時の様子を記録する回復期回復期リハビリテーション病棟自宅の配置を相談して準備する生活期外来・訪問・通所のリハビリ動線と盛り付けの工夫を続ける長期定期外来、地域の支援機関変化の記録を外来へ持参する回復の期間に一律の答えはありません。損傷の部位と広がり、重症度、年齢、合併症で経過は変わります。見通しは主治医とリハビリ担当者に確認してください。脳卒中後のリハビリテーションの進め方は、日本脳卒中学会の『脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕』に整理されています(出典:日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン」)。同ガイドラインは日本リハビリテーション医学会の案内にも掲載されています(出典:日本リハビリテーション医学会「診療ガイドラインのご案内」)。退院後にリハビリを続ける道は複数あります。医療保険の外来リハビリ、介護保険の訪問リハビリと通所リハビリ、訪問看護からのリハビリ職の訪問。どれが使えるかは年齢と要介護度で変わります。回復期リハビリテーション病棟には、疾患ごとに入院できる日数の上限があります。退院を急かされていると感じたら、退院後どこで続けられるかを相談員に確認してください。自宅でのリハビリの組み立て方は、脳梗塞の訪問リハビリとは?自宅で行う効果的なリハビリ方法と注意点に具体的な進め方をまとめています。訪問看護でできることと、家族が疲れたときの支え支援の内容具体的に行うこと生活場面での評価食事、移動、更衣の実際を見て見落としの出方を把握する環境調整の提案動線の障害物、家具の向き、手がかりの置き場所を決める医療者への橋渡し家庭での様子を主治医・リハビリ担当者へ報告する再発予防の管理血圧、服薬、体調の変化を継続して確認する訪問看護の強みは、生活の場でそのまま評価できること。診察室では現れない見落としも、自宅の食卓や廊下では再現します。どこでつまずくかが分かれば、環境調整の当たりをつけられます。町田市・相模原市で訪問看護を提供する中で、退院直後の一か月はとくに変化が大きいと感じます。病院では整っていた環境が自宅では違うため、入院中は目立たなかった見落としが表面化します。ご家族が疲れたときの支えも役割のひとつ。毎日声をかけ続け、否定され、それでも安全を守らなければならない。この負担は外から見えにくく、限界まで誰にも伝わりません。介護する側が休む時間を作る方法もあります。通所サービス、短期入所、訪問介護。ケアマネジャーに相談してください。半側空間無視は周囲から見えにくい障害です。見た目には歩けていても、左からの危険に気づけない。その見えにくさは、支えるご家族の心細さにもそのまま重なります。東京都町田市・多摩市、神奈川県相模原市・大和市・川崎市麻生区を中心に訪問しています。まだ相談するほどではない気がする、という段階でも構いません。お問い合わせください。よくある質問(FAQ)Q1. 半側空間無視は視力障害(目が見えない)とは違うのですか。違います。視力そのものは保たれていることが多く、問題は目ではなく脳の側にあります。左側の物は網膜に映っているのに、脳がその情報を拾い上げないため気づけません。眼科で視力を測っても、異常なしと言われることも珍しくありません。Q2. なぜ右側ではなく左側を見落とすことが多いのですか。右半球、とくに頭頂葉の損傷で左側の無視がしばしば認められると国立障害者リハビリテーションセンターは説明しています。右半球は両方の空間へ注意を配る役割を担うため、ここが傷つくと左を補えません。左半球の損傷では右側の無視が起こり得ますが、失語症が前面に出て気づかれにくくなります。Q3. 半側空間無視はリハビリで治りますか。改善にはどのくらいの期間がかかりますか。期間を一律に示すことはできません。損傷の部位と広がり、重症度、年齢、合併症で経過は大きく変わります。声かけで無視側を見られる段階と、促しても向けない段階では見通しも異なります。現時点の状態は主治医とリハビリ担当者に確認してください。Q4. 半側空間無視と視野欠損(半盲)は同じ症状ですか。別の症状です。同名半盲では両眼の片側の視野が欠けますが、視線をそちらへ向ければ見ることができ、半側無視は起こしません。半側空間無視では、向ければ見えるはずなのに自分から向かないという違いがあります。両方が重なることもあるため、判別は医療機関で行ってください。Q5. 本人が半側空間無視にまったく気づいていない場合、家族はどう伝えればいいですか。その場で指摘を重ねるより、記録を取って医療者に渡すほうが早く進みます。伝えるときは「なんで見ないの」ではなく「左側も一緒に見てみましょうか」と動作の言葉に置き換えてください。まず右側から注意を得てから左の話をすると届きやすくなります。Q6. 半側空間無視の方に、自宅で家族が一番にできるサポートは何ですか。左側の動線から物をどかすことです。廊下や出入口の左に置いた荷物や傘立てを外すだけで、ぶつかる対象そのものが減ります。次は食事の工夫。小鉢を減らして一皿にまとめる、途中で皿を180度回すという方法がすぐ試せます。Q7. 退院後も専門的なリハビリを続ける方法はありますか。続けられます。医療保険の外来リハビリ、介護保険の訪問リハビリや通所リハビリ、訪問看護からのリハビリ職の訪問という道があります。どれが使えるかは年齢と要介護度で変わるため、退院前に病棟の相談員やケアマネジャーへ確認してください。Q8. 半側空間無視の対応に家族が疲れてしまったときはどうすればいいですか。一人で抱えず、ケアマネジャー、訪問看護師、市区町村の窓口のいずれかに現状を話してください。都道府県・指定都市には高次脳機能障害者支援センターが置かれ、支援コーディネーターが相談に応じます。通所サービスや短期入所を組み合わせ、介護する側が離れる時間を作ることも検討してください。まとめ脳梗塞後の半側空間無視は、損傷した脳と反対側の空間に注意が向かなくなる高次脳機能障害です。右半球の損傷による左側の見落としが多く、向ければ見えるはずの側を見に行けない状態を指します。本人には見落とした実感がないため、最初に気づけるのは毎日の暮らしを見ているご家族です。食事で左の皿が残る、左の壁にぶつかる、左袖が通っていない。こうした場面を日付と一緒に記録し、主治医へ渡します。自宅では、左側の動線から物をどかし、盛り付けを一皿にまとめ、左に定位置の手がかりを置く。伝えるときは責める言葉ではなく動作の言葉で。ピース訪問看護ステーションにご相談くださいこんな方はぜひご相談ください:退院したご家族が、左側の食べ残しやぶつかりを繰り返している方本人に症状の自覚がなく、伝え方が分からず疲れている方退院後もリハビリを続けたいが、どのサービスを使うか迷っている方ひとつでも心当たりがあれば、困っている場面をそのままお話しください。ピース訪問看護ステーションができること:食事・移動・更衣の場面に立ち会い、見落としの出方を評価して主治医へ報告します動線をご本人と一緒に歩き、家具配置や盛り付けの整え方をご提案します血圧と服薬の管理で再発予防を支え、ケアマネジャーと連携してサービスを調整します東京都町田市・多摩市、神奈川県相模原市・大和市・川崎市麻生区を中心に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。関連記事脳梗塞後の性格変化は高次脳機能障害?家族の気づき方と受診手順脳梗塞後の失語症、家族はどう接すればいい?会話の工夫と訪問看護STの在宅支援片麻痺でも自宅で暮らし続けるための生活の工夫と訪問リハビリの活用高次脳機能障害と暮らしの工夫、家族とできる在宅ケアのヒント脳梗塞の訪問リハビリとは?自宅で行う効果的なリハビリ方法と注意点参考文献一覧出典:国立障害者リハビリテーションセンター 高次脳機能障害情報・支援センター「主要症状の解説」https://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/rikai/shoujou出典:国立障害者リハビリテーションセンター 高次脳機能障害情報・支援センター「高次脳機能障害を理解する」https://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/rikai/出典:国立障害者リハビリテーションセンター 高次脳機能障害情報・支援センター「高次脳機能障害支援に関する制度」https://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/seido出典:国立障害者リハビリテーションセンター 高次脳機能障害情報・支援センター「高次脳機能障害相談窓口」https://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/soudan出典:日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕」https://www.jsts.gr.jp/stroke_guidelines/index.html出典:日本リハビリテーション医学会「診療ガイドラインのご案内」https://www.jarm.or.jp/sinryo-guide/index.html出典:公益社団法人日本脳卒中協会「脳卒中の主な症状」https://www.jsa-web.org/citizen/87.html出典:厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理、地域医療連携、在宅看取り支援に積極的に取り組んでいる。island-piece.jp 株式会社isLand|訪問看護・居宅介護支援・訪問介護|町田市