「さっきまで居間にいたのに、いつの間にか玄関から出て行ってしまった」。認知症のあるご家族と暮らしていると、こうした場面に何度もひやりとさせられます。夜中に着替えて出かけようとする、買い物に行くと言ったまま帰り道が分からなくなる。ご本人に悪気はなくても、家族は「目が離せない」「自分が倒れてしまう」と追い詰められていきます。認知症の徘徊(ひとり歩き)への対応は、力ずくで止めることではありません。行動の背景にある理由を理解し、家の環境と地域の見守りを二重に整えることで、ご本人の安全と家族の暮らしの両方を守れます。この記事では、在宅で今日から始められる工夫を、訪問看護の現場目線で具体的に整理します。この記事でわかること認知症の徘徊がなぜ起こるのか、中核症状からみた原因自宅でできる鍵・動線・見守り機器(GPS)の具体的な工夫徘徊が始まったときの家族の声かけと夜間対応のコツ認知症高齢者等SOSネットワークや自治体のGPS助成の使い方町田市・相模原市で実際に使える見守り支援の内容認知症の徘徊(ひとり歩き)、在宅で今すぐできる対応とは認知症の徘徊への対応の基本は、無理に止めず、安全を確保しながら在宅と地域の見守りを二重に整えることです。近年は「徘徊」という言葉そのものを見直す動きが広がっています。ご本人にとっては目的のある行動であり、「あてもなくさまよう」という印象を与える言葉は実態と合わないためです。自治体や支援団体では「ひとり歩き」という表現が使われることが増えています。呼び方を変えることは、対応の考え方を「止める・閉じ込める」から「安全に見守る・支える」へ切り替える第一歩になります。「徘徊」から「ひとり歩き」へ|言葉が示す対応の転換言葉の捉え方が変わると、家族の関わり方も自然と変わります。下表は従来の見方と現在推奨される見方の違いを整理したものです。視点従来の「徘徊」の捉え方現在の「ひとり歩き」の捉え方行動の意味あてもなく歩き回る本人なりの目的がある行動家族の対応出られないよう止める安全を確保して見守る環境づくり鍵で閉じ込める動線を整え不安を減らす地域の関わり家庭内で抱える地域ぐるみで見守る大切なのは、行動そのものを問題視するのではなく、その裏にある不安や目的を読み取ることです。「家に帰る」と言って自宅から出ていく方は、本人の記憶の中では別の家や過去の職場に向かっているのかもしれません。まず理由を推し量る姿勢が、適切な声かけと環境調整につながります。閉じ込めや過度な制止はかえって興奮や転倒を招くため、在宅では「安全に歩ける範囲を確保する」発想が現実的です。呼び名を変えるだけで問題が解決するわけではありませんが、家族が「困った行動を止める」ではなく「どうすれば安全に見守れるか」という視点に立てると、日々の関わりの緊張がずいぶんやわらぎます。在宅で今すぐできる初動3ステップ実際にご本人が家を出て行方が分からなくなったとき、家族が慌てず動けるよう、初動の手順をあらかじめ決めておきます。段階やること準備しておくと安心なもの発見直後近所・立ち寄り先を確認よく行く場所のリスト15〜30分探す家族・近隣で手分け当日の服装メモ・写真見つからないためらわず110番事前登録情報・連絡網まず落ち着いて、いつも立ち寄る店や以前住んでいた場所の方向を確認します。多くの場合、遠くまで行かず近所で見つかりますが、時間が経つほど行動範囲は広がります。探し始めて30分ほど経っても見つからないときは、迷わず警察に相談してください。警察への連絡は決して大げさではなく、早期の保護につながる最も確実な方法です。当日の服装や顔写真をすぐ出せるよう、スマートフォンに直近の写真を残しておくと、捜索が格段にスムーズになります。あわせて、身長やその日の上着の色、靴の種類といった特徴を短いメモにまとめておくと、警察や近隣に伝えるときに慌てずに済みます。日頃から親しくしているご近所には「見かけたら声をかけてほしい」と一言お願いしておくと、いざというときに気づいてもらいやすくなります。認知症の徘徊はなぜ起こる?中核症状からみる原因認知症の徘徊は、記憶障害や見当識障害という中核症状に、不安や本人なりの目的が重なって起こります。認知症の症状は、脳の障害から直接生じる「中核症状」と、それに環境や心理が加わって現れる「行動・心理症状(BPSD)」に分けて理解されます。徘徊は幻覚や妄想などと並ぶBPSDの一つに位置づけられています(出典:健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「認知症の周辺症状」)。中核症状という土台の上に、不安や落ち着かなさ、環境の合わなさが引き金として加わって現れるのが徘徊です。原因を「本人の困った性格」ではなく「症状と環境の組み合わせ」と捉えることが、対応の出発点になります。中核症状(記憶障害・見当識障害)が徘徊を生むしくみ記憶障害・見当識障害・実行機能障害は、脳の障害から直接生じる代表的な中核症状です(出典:健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「認知症の中核症状」)。なかでも見当識障害と記憶障害が、徘徊と深く関わります。中核症状起こること徘徊とのつながり記憶障害直前の行動を忘れる出かけた理由・帰り道を忘れる見当識障害(場所)今いる場所が分からない自宅を自宅と認識できない見当識障害(時間)昼夜・時間が混乱夜間に出勤・買い物へ出る実行機能障害段取りが立てられない帰り道の判断ができないたとえば見当識障害が進むと、住み慣れた自宅にいても「ここは自分の家ではない」と感じ、本当の家を探して出て行くことがあります。日本神経学会の診療ガイドラインでも、認知症では記憶や見当識の障害を背景に多様な行動症状が生じることが示されています(出典:日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」)。こうした仕組みを知ると、「なぜ家にいるのに出て行くのか」という家族の疑問が「本人には別の場所に見えているのかもしれない」という理解に変わります。本人には必ず「目的」がある|よくある徘徊の理由一見あてもなく歩いているように見えても、ご本人の中には多くの場合はっきりとした目的があります。よくある理由本人の中の状況対応のヒント家に帰りたい今の家を自宅と思えない否定せず気持ちに同調する仕事・役割へ現役時代の記憶が優位役割を家の中でつくる探し物・用事買い物や約束の記憶一緒に確認し安心を渡す落ち着かない不安・退屈・体調不良声かけ・活動・受診で調整「会社に行く」「子どもを迎えに行く」といった言葉の裏には、その人が長く担ってきた役割への責任感があります。それを頭ごなしに「もう退職したでしょう」と正すと、本人は否定されたと感じて興奮しやすくなります。理由が分かれば、家の中で新聞を取りに行く役割を頼む、一緒にお茶を飲んで落ち着いてもらうなど、外に出なくても満たせる工夫が見えてきます。体の不調や便秘、痛み、薬の影響が落ち着かなさの背景にあることもあり、原因探しには医療者の視点も役立ちます。私が町田市内で訪問しているご家庭にも、「夕食後の決まった時間に玄関へ向かう」という方がいました。よく話をうかがうと、現役時代の夜勤に出かける習慣を体が覚えていたのです。行動の一つひとつに、その人の歴史が刻まれています。理由を探る視点を持つと、対応が「制止」から「その人らしさへの理解」へと変わっていきます。自宅でできる徘徊対策|鍵・動線・見守り機器の工夫自宅の徘徊対策は、外に出ても安全な環境を整え、動線を工夫し、GPSで早く気づける仕組みをつくるのが基本です。対策を考えるとき、「絶対に出られなくする」ことを目標にすると、鍵を厳重にかけすぎて火災時に逃げ遅れる、本人が窓から出ようとして転落するといった別のリスクを生みます。在宅では「出ても大けがをしない・すぐ気づける・早く見つかる」という三段構えが安全です。ここでは住環境の工夫と見守り機器の使い分けを整理します。玄関・鍵まわりの工夫と転倒しにくい動線づくりまずお金をかけずに始められるのが、玄関と家の中の動線の見直しです。場所工夫の例ねらい玄関ドア補助錠を目線より上/下に付けるすぐには開けにくくするドアの開閉開くと鳴るチャイム・鈴出たことに気づく玄関マット段差解消・滑り止め出る時の転倒予防廊下・夜間足元にセンサーライト夜間の転倒・混乱予防補助錠は本人が普段見ない高さに付けると、開け方が分かりにくくなり、結果として出て行きにくくなります。ただし完全に締め切るのではなく、家族が在宅時はすぐ開けられる状態を保つことが、火災など緊急時の安全のうえで欠かせません。ドアが開くと音が鳴る仕組みは数百円のドアチャイムでも代用でき、夜間に静かに出て行くのを防ぐ手軽な方法です。床の段差やコード類を片づけ、夜間は足元灯をつけておくと、動き回っても転びにくくなります。環境調整の目的は閉じ込めではなく、家族が気づける余裕をつくることだと考えると、対策を設計しやすくなります。あわせて、上着や靴、よく持ち歩くかばんの内側に、名前と家族の連絡先を書いた小さなタグを縫い付けたり貼っておいたりすると、外で保護されたときに身元と連絡先がすぐ分かります。玄関には本人が見慣れた家族の写真や表札を目印として置き、「ここが自分の家だ」と感じてもらう工夫も、出て行きたい気持ちをやわらげる助けになります。見守り機器・GPSの選び方と在宅での使い分けひとり歩きが心配な段階になったら、GPS端末をはじめとする見守り機器の導入を検討します。認知症の徘徊対策でGPSは、外出そのものを制限せずに位置を把握できる現実的な手段です。機器特徴向いている場面GPS端末(専用)位置を随時確認できる遠出・行動範囲が広い方靴・シューズ型GPS身につけ忘れにくい持ち物を置き忘れる方QRコード見守りシール発見者が読み取り通報身元確認を早めたい方人感センサー・見守りカメラ動きを家族に通知夜間・室内の見守りGPSは持ち歩いてもらえなければ意味がないため、鍵やお守りと一緒にキーホルダー化する、いつも履く靴に入れるなど「必ず身につく形」にする工夫が肝心です。GPS選びと最新機器の比較は徘徊GPS完全ガイドで詳しく解説しています。衣類や持ち物に貼るQRコード式の見守りシールは、発見した人がスマートフォンで読み取ると家族に連絡が届く仕組みで、多くの自治体が無料で配布しています。機器はどれか一つに絞る必要はなく、GPSと見守りシールを併用すると「自分で確認する」「他人に助けてもらう」の両面から安心を高められます。人感センサーや見守りカメラは、離れて暮らす家族のスマートフォンに動きを知らせてくれるため、夜間や留守の時間帯の見守りに向いています。こうした機器の選び方や地域の見守りサービスの申請は、地域包括支援センターに相談すると、その地域で使える制度をまとめて教えてもらえます。担当のケアマネジャーや訪問看護師に声をかけておくと、必要なときに窓口へつないでもらいやすくなります。徘徊が始まったときの家族の対応と声かけの工夫徘徊が始まったら、叱らず正面からゆっくり近づき、行き先を否定せず気持ちに寄り添う声かけが最も安全です。家族にとって最もつらいのは、毎日の声かけがうまくいかず、つい強い口調になってしまう瞬間です。認知症のある方は言葉の内容以上に、相手の表情や口調から「責められている」「否定された」という感情を敏感に受け取ります。正しさで説得しようとするほど関係がこじれるため、まずは安心してもらうことを優先します。徘徊時の声かけ|避けたい言葉と伝わる言葉とっさの場面で口に出しやすい言葉ほど、実は逆効果になりがちです。認知症の徘徊への声かけは、否定と命令を避けるだけで大きく変わります。避けたい声かけなぜ逆効果か伝わりやすい言い換え「どこ行くの、ダメ」否定・制止で興奮「どちらまで?ご一緒します」「さっきも言ったでしょ」記憶障害を責める「そうでしたね、行きましょうか」「家はここでしょ」現実を突きつける「暗いのでお茶でも一杯どうですか」「早くして」焦らせ混乱を招く「ゆっくりで大丈夫ですよ」ポイントは、行き先や理由を一度受け止めてから、自然に方向を変えることです。「会社に行く」という方には「今日はお休みだと連絡がありましたよ」と伝え、一緒に歩きながら遠回りして帰宅を促すと、抵抗なく戻れることがあります。否定せず、いったん同調してから話題や行動をそらすのが、在宅で家族が使いやすい基本の型です。強い暴言や暴力が出て対応に限界を感じるときは、抱え込まずに相談してください。認知症の暴言・暴力で家族が限界を感じたときの対応も参考になります。夜間の徘徊・夜間せん妄への対応夜間に落ち着かなくなり歩き回る背景には、認知症の症状に加えて「せん妄」という別の状態が隠れていることがあります。夜間対応具体策ねらい生活リズム日中に活動・日光を浴びる昼夜逆転を防ぐ寝室環境足元灯・トイレの分かる目印夜間の混乱・転倒予防体調確認発熱・脱水・便秘・痛みを見るせん妄の誘因を除く早めの相談主治医・訪問看護に共有薬の調整・原因検索夜間せん妄は、急に始まる強い混乱や幻覚を伴うことがあり、認知症そのものの進行とは区別して考える必要があります。発熱や脱水、便秘、飲んでいる薬などが引き金になることが多く、環境調整だけでは収まらないときは医療的な原因探しが欠かせません。日中の活動量を増やし、朝に日光を浴びる生活リズムづくりは、夜の落ち着きにつながります。夜間の対応に疲れきってしまう前に、認知症の夜間せん妄で眠れないとき家族ができる対処も合わせて確認し、早めに主治医や訪問看護に相談してください。地域・自治体と連携する見守り体制づくり(SOSネットワーク・GPS支援)認知症の徘徊は家庭で抱え込まず、SOSネットワークに事前登録し、地域全体で早期発見する体制づくりが欠かせません。在宅での見守りには限界があります。家族が眠っている時間、仕事に出ている時間、少し目を離した数分の間にも、ご本人は外に出てしまいます。だからこそ、あらかじめ地域に「この方がひとり歩きで困っていたら助けてほしい」という情報を預けておく仕組みが力を発揮します。厚生労働省も、警察・消防・民間事業者が参加する見守りSOSネットワークを全市区町村に整備するよう進めてきました。認知症高齢者等SOSネットワークと警察への事前相談認知症高齢者等SOSネットワークとは、行方不明になった際に警察や自治体から協力機関へ情報が伝わり、地域ぐるみで早期発見を目指す仕組みです。種類内容家族がすること見守りネットワーク対象者を事前登録し地域で見守る情報・写真を登録SOSネットワーク行方不明時に協力機関へ一斉連絡発生時に110番協力機関交通・商店・郵便・住民など日頃の関係づくりこのネットワークには、事前に本人の特徴や緊急連絡先を登録しておく「見守り」の側面と、実際に行方不明になったとき警察への一本の連絡で捜索の輪が動き出す「SOS」の側面があります。厚生労働省の取組事例集でも、市区町村と地域が連携して行方不明を防ぎ、早期に見つける実践が数多く紹介されています(出典:厚生労働省「行方不明を防ぐ・見つける 市区町村・地域による取組事例」(平成29年))。認知症の方が行方不明になったときは、遠慮なく警察へ相談してください。事前に登録しておけば、いざというとき警察も状況をすぐ把握でき、保護までの時間を短縮できます。自治体のGPS助成・見守りシール・キーホルダー多くの自治体は、家族の負担を減らすためにGPS機器の貸与・助成や見守りグッズの配布を行っています。支援メニュー内容の例特徴GPS探索サービス位置情報端末の貸与・費用助成低額の自己負担で使える見守りシールQRコード付きシールの配布発見者が読み取り通報あんしんキーホルダー高齢者の情報を登録・携帯外出先での身元確認に見守り登録制度緊急連絡先を事前登録保護時の連絡が早いこれらは申請すれば低額または無料で使えるものが多く、使わない手はありません。地域包括支援センターや高齢者支援センターが申請窓口になっているため、担当のケアマネジャーや訪問看護師に「うちの自治体では何が使えますか」と聞くのが近道です。制度は自治体ごとに名称も内容も異なるため、住んでいる市区町村の情報を確認することが欠かせません。訪問看護だからできる徘徊対応|アセスメントと家族支援訪問看護は、徘徊の背景にある体調や環境をアセスメントし、住まいの工夫や家族支援まで一緒に組み立てます。徘徊への対応は、住環境の工夫、声かけ、地域連携、体調管理が複雑に絡み合います。家族だけでこれらを見極めるのは大きな負担です。訪問看護師は定期的に自宅を訪れ、ご本人の状態と暮らしぶりを継続的に見ながら、その家庭に合った対策を提案できます。徘徊リスクのアセスメントと環境調整訪問看護師はまず、徘徊が「なぜ・いつ・どんなときに」起こるのかを丁寧に見立てます。観察の視点具体的に見ること対応への活かし方身体状態発熱・脱水・便秘・痛み・薬落ち着かなさの原因を除く生活リズム睡眠・活動・昼夜逆転日中の活動を組み立てる心理・環境不安・退屈・住環境の合わなさ安心できる関わりを設計出るきっかけ時間帯・場所・引き金予測して先回りするたとえば「夕方になると決まって落ち着かなくなる」といったパターンが見えれば、その時間帯に散歩や家事を一緒に行い、エネルギーを発散してもらう対応が立てられます。体調不良が背景にある場合は主治医と連携して受診につなげ、薬の影響が疑われるときは処方の見直しを相談します。医療と生活の両面を見られることが、訪問看護のアセスメントの強みです。家族の介護負担を減らす支援と多職種連携徘徊のあるご家族を支えるうえで、訪問看護がもう一つ力を入れるのが家族自身のケアです。支援内容具体例家族への効果相談・情報提供声かけの工夫・制度の使い方迷いや孤立感が減る多職種連携ケアマネ・主治医・包括と共有支援の穴をなくす緊急時の備え行方不明時の手順を一緒に確認いざという時に動ける家族の休息サービス調整でレスパイト確保介護者が倒れない眠れない夜が続き、常に気を張り続ける介護は、家族の心身をむしばみます。訪問看護師が定期的に入ることで、ご家族は不安を言葉にでき、一人で抱えていた重荷を分け合えます。相模原市で老老介護のご夫婦を訪問したときのことです。介護する側の奥様が睡眠不足で体調を崩しかけていたことに気づき、ショートステイの利用と見守りシールの登録を一緒に進めました。数週間後、奥様の表情が少しずつ和らいでいったのを今も覚えています。家族が倒れてしまえば、在宅生活そのものが続けられなくなります。介護者が休める時間をつくることは、ご本人の暮らしを守ることと同じくらい重要です。ケアマネジャーや地域包括支援センターと連携し、デイサービスやショートステイを組み合わせれば、家族が休む時間も確保できます。町田市で訪問看護に入るご家庭でも、見守りサービスと訪問看護を組み合わせて暮らしを支える例は多く、町田市で認知症の家族を支える見守り支援ガイドでも紹介しています。認知症の徘徊で不安を抱えている方は、ピース訪問看護ステーションにお気軽にご相談ください。町田市・相模原市での見守り支援の具体例町田市・相模原市には徘徊を支えるGPS探索や見守りシール、SOSネットワークがあり、低額または無料で使えます。ピース訪問看護ステーションが対応する東京都南部・神奈川県北部でも、自治体の見守り支援は充実してきています。ここでは実際に使える町田市と相模原市の制度を紹介します。窓口や金額は変わることがあるため、利用前に各市の最新情報を確認してください。町田市の見守りサービス(GPS探索・あんしんキーホルダー)町田市には、認知症のある高齢者の位置情報を把握できるGPS探索サービスがあります。制度内容対象・費用の目安GPS探索サービス位置情報端末の貸与市内在住おおむね65歳以上・月440円高齢者あんしんキーホルダー緊急連絡先などを登録し携帯高齢者の外出時の身元確認に高齢者支援センター申請・相談の窓口地域ごとに設置町田市の認知症等行方不明高齢者探索サービスは、GPS端末を活用して現在位置を知らせ、家族の精神的・経済的な負担を軽くするものです。対象は市内在住でおおむね65歳以上、認知症または同様の記憶障害と診断され行方不明のおそれがある在宅の方で、費用は月額440円(税込)、生活保護世帯は無料とされています(出典:町田市「認知症等による行方不明高齢者探索サービス事業(GPS)」)。申請は身近な高齢者支援センターで行えます。あわせて町田市の高齢者あんしんキーホルダーや町田市の認知症GPS支援サービスの解説も参考になります。町田市全体の取り組みは町田市の認知症対策まとめで概観できます。相模原市のSOSネットワーク・見守りシール相模原市には、行方不明時に地域で早期発見を目指すSOSネットワークシステムがあります。制度内容費用・条件の目安SOSネットワーク事前登録し行方不明時に協力機関へ連絡無料・事前の顔写真登録見守りシールQRコード付きシールを配布無料・SOS登録が前提24時間コールセンターシール読み取り時に発見情報を受付発見者から家族へ連絡相模原市の認知症高齢者・障害者等SOSネットワークシステムは、行方不明になった際に警察・交通事業者・福祉関係機関が協力して早期発見を支える仕組みです。対象は認知症や障害のある方で、費用は無料、登録には一定期間内に撮影した顔写真が必要とされています。あわせて実施される見守りシール事業では、QRコード付きのシールを配布し、発見者が読み取ると24時間対応のコールセンターを通じて家族へ連絡が届きます(出典:相模原市「認知症高齢者・障害者等SOSネットワークシステム(見守りシール事業含む)」)。登録は各区の高齢者福祉・障害福祉の窓口で受け付けています。こうした制度は、家族だけでは難しい「地域の目」を増やす有効な手段です。よくある質問(FAQ)認知症の徘徊について、ご家族からよく寄せられる質問にお答えします。Q1. 認知症の徘徊はいつからひどくなりますか。はっきりした時期は人によって大きく異なりますが、一般には、見当識障害が進む認知症の中期に目立ちやすいとされます。一方で、環境の変化や体調不良、不安が強まったときには一時的に増えることもあります。「進行したから」だけでなく「今、落ち着かない理由があるのでは」と考え、体調や生活環境を見直すことが大切です。急に増えたときは、せん妄など別の原因が隠れていることもあるため、主治医や訪問看護に相談してください。Q2. 徘徊しているときに声をかけてはいけない言葉はありますか。「ダメ」「どこ行くの」といった制止や、「さっきも言った」と記憶を責める言葉、「家はここでしょ」と現実を突きつける言葉は避けます。これらは否定された感情を生み、興奮や抵抗を招きやすいためです。代わりに「どちらまでですか、ご一緒します」と受け止めてから、一緒に歩いて自然に方向を変える声かけが有効です。内容の正しさより、安心してもらうことを優先してください。Q3. 認知症の徘徊で警察に相談してもいいですか。もちろん相談して構いません。行方が分からず探しても見つからないときは、ためらわず110番してください。警察への連絡は大げさではなく、早期保護のための正しい行動です。認知症高齢者等SOSネットワークに事前登録しておくと、警察も状況をすぐ把握でき、地域の協力機関にも情報が伝わって発見が早まります。Q4. GPSを持たせるのを嫌がる場合はどうすればいいですか。「監視されている」と感じさせない工夫が鍵です。GPSと意識させず、いつも持つ鍵やお守り、財布に組み込む、履き慣れた靴に入れるなど、本人の生活動作に自然に溶け込ませます。靴型のGPSは持ち忘れが少なく有効です。それでも難しいときは、衣類に貼るQRコードの見守りシールなど、身につける負担が小さい方法に切り替えます。無理に持たせようとせず、本人が受け入れやすい形を一緒に探しましょう。Q5. 徘徊がひどい場合は施設入所を考えるべきですか。在宅の工夫と地域の見守り、訪問看護やデイサービスなどを組み合わせても家族の負担が限界に近いときは、施設入所も大切な選択肢の一つです。入所は「あきらめ」ではなく、ご本人の安全と家族の生活を守るための前向きな判断になり得ます。判断に迷うときは、一人で決めずケアマネジャーや訪問看護、地域包括支援センターに相談し、在宅継続と入所の両面から一緒に検討してください。Q6. 夜間の徘徊(夜間せん妄)にはどう対応すればいいですか。まず日中に活動して朝に日光を浴びる生活リズムづくりで、昼夜逆転を防ぎます。寝室には足元灯やトイレの目印を用意し、夜間の混乱と転倒を減らします。急に強い混乱や幻覚が出るときはせん妄が疑われ、発熱・脱水・便秘・薬などの誘因が隠れていることが多いため、環境調整だけで抱え込まず、早めに主治医や訪問看護に相談することが大切です。まとめ認知症の徘徊(ひとり歩き)は、中核症状を土台に不安や本人なりの目的が重なって起こる行動で、力ずくで止めるものではありません。在宅では、外に出ても安全な環境を整え、鍵や動線をさりげなく工夫し、GPSや見守りシールで早く気づける仕組みをつくることが基本です。徘徊が始まったときは否定せずに気持ちへ寄り添う声かけを心がけ、夜間の混乱には生活リズムと体調管理で備えます。そして何より、認知症高齢者等SOSネットワークや自治体のGPS助成を活用し、地域全体で見守る体制を整えることが、家族の安心につながります。一人で抱え込まず、訪問看護をはじめとする専門職と地域資源を上手に頼ってください。ピース訪問看護ステーションにご相談ください認知症のあるご家族のひとり歩きは、家族だけで見守り続けるには大きな負担がかかります。眠れない夜が続き、「自分が倒れてしまう」と感じる前に、専門職の手を借りてください。こんな方はぜひご相談ください:認知症のある家族が家を出て行き、目が離せず疲れきっている方夜間の徘徊やせん妄で家族の睡眠が確保できない方GPSや見守りシール、SOSネットワークの使い方が分からない方ピース訪問看護ステーションができること:徘徊の背景にある体調・生活リズム・環境を専門的にアセスメントし対策を提案声かけの工夫や自治体の見守り支援の活用を家族と一緒に組み立てケアマネジャー・主治医・地域包括支援センターと連携し、家族が休める体制づくり町田市・相模原市・多摩市など東京都南部を中心に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。関連記事徘徊GPS完全ガイド:認知症の徘徊対策と最新デバイスの選び方町田市で認知症の家族を支えるには?訪問看護と見守り支援を徹底ガイド【町田市】認知症GPS支援サービスについて分かりやすく解説【徘徊や急病に備える】町田市の高齢者あんしんキーホルダーとは?認知症の夜間せん妄で眠れないとき家族ができる対処と訪問看護の活用認知症の暴言・暴力で家族が限界を感じたときの対応と相談先町田市の認知症対策まとめ、市民・行政・地域が支える最新の取り組み参考文献一覧出典:日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」https://www.neurology-jp.org/guidelinem/nintisyo_2017.html出典:厚生労働省「行方不明を防ぐ・見つける 市区町村・地域による取組事例」(平成29年1月)https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001324286.pdf出典:健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)「認知症の中核症状」https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/chukaku.html出典:健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)「認知症の周辺症状」https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/shuhen.html出典:町田市「認知症等による行方不明高齢者探索サービス事業(GPS)」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/old/shiminnokatae/seikatsukurashi/moshimo/gps.html出典:相模原市「認知症高齢者・障害者等SOSネットワークシステム(見守りシール事業含む)」https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kosodate/fukushi/1026635/korei_shien/1006384.html【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理、地域医療連携、在宅看取り支援に積極的に取り組んでいる。island-piece.jp 株式会社isLand|訪問看護・居宅介護支援・訪問介護|町田市