認知症はさまざまな種類があり、それぞれの特徴や進行パターンは異なります。特に訪問看護の現場では、家でもご本人やご家族が安心して暮らせるケアが求められます。本記事では「認知症 種類」ごとの基本から、訪問看護の現場で実際に行われている工夫や支援方法まで、わかりやすくかつ網羅的に詳しく解説します。アルツハイマー型、血管性、レビー小体型、前頭側頭型といった主な4大認知症の特徴や進行の違い、日常生活での対応法に加え、訪問看護の現場で実際に行われている支援内容までを幅広くご紹介します。1. 認知症とは?基本的な理解認知症の定義認知症とは、記憶や判断、コミュニケーションなどの認知機能が著しく低下し、日常生活に支障をきたす状態を指します。病院での診断にはCTやMRI、心理検査が用いられますが、訪問看護師も日常の変化やサインを見逃さず、早期発見につなげます。訪問看護との接点訪問看護では、日常生活の様子(食事・排泄・服薬の状態)を観察家族からの「最近ちょっとおかしいかも…」という声に耳を傾け主治医との連携を取りつつ、ケアプランの見直しやアドバイスを実施など、認知症ケアの最前線で活躍しています。2. 認知症の主な種類とその特徴認知症の種類主な症状発症年齢の目安認知機能障害例訪問看護で注目すべき視点アルツハイマー型記憶障害初期→見当識障害65歳以降が多い新しい出来事、人物名を忘れる服薬・生活リズムを整える支援、家族教育血管性局所的に認知障害|歩行・言語にも影響脳梗塞後など話し言葉が出にくい、意欲低下リハビリ支援、再発予防の生活指導レビー小体型幻視あり、パーキンソン様症状60歳前後~視覚幻覚、注意力の変動安全管理(転倒防止)、徘徊対策前頭側頭型性格変化・衝動的行動若年でも起こる(50代以上)共感性低下、探索行動家族のストレスケア、環境整備3. アルツハイマー型認知症の特徴と訪問看護での工夫特徴アルツハイマー型は記憶障害が初期の典型症状で、日付や人物名を忘れることが多く、進行すると見当識障害や理解力の低下がみられます。訪問看護ならではの工夫服薬支援表の作成:色分けやシールで視覚化し、飲み忘れを防止生活リズムの記録帳:睡眠・食事・排便などを記録し、主治医との共有を強化家族への教育:「どう声をかけるか」「どう安全確保するか」を実践アドバイザーとして提案4. 血管性認知症の症状と訪問看護アプローチ症状血管性認知症は脳梗塞や脳出血による局所的な損傷が原因で、注意力障害や言語障害が目立つ傾向があります。歩行障害や麻痺が伴うことも珍しくありません。訪問看護現場の対応リハビリテーブル作成:主治医・PTとも連携し、日々の理学療法に寄り添ったメニューを訪問で実施再発予防の生活指導:血圧・塩分コントロール、適度な運動、禁煙の継続アドバイス言語リハ支援:簡単な言葉カードを使って、徐々に言語機能の回復を促す5. レビー小体型認知症の特徴と注意点主な特徴レビー小体型認知症は幻視(人や虫が見える)、パーキンソン症状(手のふるえ、筋固縮など)、認知機能の変動、そして**自律神経症状(起立性低血圧、便秘など)**が見られるのが特徴です。日によって認知の状態が大きく変化するため、家族や介護者の戸惑いも多くなります。訪問看護の対応安全対策の強化:幻視による転倒防止や、夜間の徘徊対策として照明の工夫や家具配置の見直しを実施。滑り止めマットやセンサーライトの設置も効果的。家族支援:「幻視が見えることを否定しない対応」「声かけのトーン」「不安時の対応方法」などを助言。共感的な対応が本人の安定につながります。薬の観察:レビー小体型では抗精神病薬に過敏なケースが多く、服薬中の副作用(動きが悪くなる、意識障害など)に細心の注意を払い、異変があれば主治医に即報告。自律神経症状への配慮:立ちくらみ対策や排便管理の指導、暑さ寒さへの過敏反応への注意も必要です。抗精神病薬使用時の副作用(動きが悪くなる・せん妄など)に注意6. 前頭側頭型認知症と訪問看護の挑戦特徴前頭側頭型は行動異常や性格変化が先行し、共感力の低下や衝動性、食行動の異常がみられます。比較的若年層(50~60代)でも発症します。訪問看護の現場工夫環境整備:「行動を引き起こすスイッチを減らす」「企画的に刺激を与える工夫」家族教育:「症候理解の重要性」「対処のコツ」を定期的に共有ストレス軽減メニュー:家族が自由時間を確保できるよう、地域資源やショートステイの案内7. 比較一覧表:認知症の種類まとめ種類初期症状進行パターン訪問看護のポイントアルツハイマー型最近の出来事を忘れる見当識・判断低下服薬・生活リズムの支援血管性認知症注意力低下・言語障害梗塞部位により多様リハビリ支援・再発予防レビー小体型幻視・パーキンソン様症状認知変動あり転倒予防・家族支援前頭側頭型行動・性格変化衝動や食行動異常環境・ストレス対策8. 認知症の進行を見分けるポイント記憶 vs. 行動の変化記憶重度化→アルツハイマー型行動異常や幻視→レビー小体型または前頭側頭型専門家との連携訪問看護師は「主治医・ケアマネ・理学療法士」などのチームの一員として、医療情報を随時共有。認知機能の変化や生活状況の観察結果を基に、介護プランの微調整に臨みます。9. 予防と早期発見のためにできること日常生活での取り組みバランスのよい食事+適度な運動+社会的つながりの確保家族や地域を巻き込んでの「見守り体制」を整備訪問看護からのアドバイス定期チェックリスト:食事・睡眠・排便・気分・薬の確認などを家族向けに作成記録共有ツール:記録帳を主治医とも共有し、異常時の対応を早期に開始10. 認知症ケアで訪問看護が具体的にできること項目具体的な支援内容服薬支援薬の準備・服薬管理表の作成・飲み忘れ防止策の提示食事支援食事観察・水分摂取の確認・誤嚥予防アドバイス排泄支援排便チェック・失禁時の対応・トイレ誘導精神的支援不安や混乱時の対応・家族の相談支援・傾聴医療連携医師・ケアマネ・他職種との情報共有・症状変化の報告生活環境整備家の中の安全確認・転倒防止・徘徊対策まとめ認知症は4大タイプ(アルツハイマー・血管性・レビー小体型・前頭側頭型)に分かれる初期症状や進行のパターンの違いを理解し、適切なケアを提供することが重要訪問看護では「日常観察」「環境整備」「家族支援」を通し、安心・安全な生活を支える早期発見と予防には定期的な観察と家族・医療チームによる連携がカギ関連記事高齢者がキレるのはなぜ?感情の変化から考える病気の可能性訪問看護と訪問介護の違いとは?サービス内容・費用・利用条件まで徹底比較【2025年最新版】介護保険で使えるサービスを介護度別に徹底解説!町田市で訪問看護や介護サービスについて知りたい方は、ピース訪問看護ステーションの公式サイトもあわせてご覧ください。▶ https://island-piece.jp/service/houmonkango本記事の執筆者・監修者プロフィール【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。