「まだ大丈夫」と言う両親と、離れて暮らす家族へ老老介護が認認介護に変わるサインは、介護されている側ではなく、介護している側のお金・服薬・食事・会話・生活リズムの乱れとして先に表れます。久しぶりに実家へ帰ると、冷蔵庫に同じ調味料が5本並んでいた。父の薬のシートは几帳面に空いているのに、母のぶんだけ飛び飛びに残っている。玄関には未開封の郵便が積まれ、それでも母は「お父さんの世話は私がやってるから大丈夫」と言う。介護される父ではなく、介護している母のほうに違和感がある。老老介護は65歳以上の方が65歳以上の方を介護している状態です。そこから介護する側にも認知機能の低下が生じた状態が認認介護。ある日急に始まるものではありません。介護する側が少しずつすり減り、気づけば二人とも支援が必要になっていた、という連続した変化として進みます。この記事では、両者の違いと、離れて暮らす家族でも気づける5つのサイン、放置した場合に起きること、当日から動ける相談先までをまとめます。町田市・相模原市で在宅のご家庭に伺う訪問看護の現場で、ご家族へお伝えしている観察の順番に沿って解説します。この記事でわかること老老介護と認認介護の違いと、その境目にあるグレーゾーンの捉え方離れて暮らす家族が電話や帰省で確認できる5つのサインと手順介護している側の認知症の兆しが見落とされてしまう理由気づいたその日に連絡できる相談窓口と、訪問看護を含む支援の組み立て方老老介護と認認介護はどう違う?サインを見分ける前に知っておきたい基礎知識老老介護は65歳以上同士の介護を指し、認認介護は介護する側にも認知症が疑われる状態を指すため、見分け方の起点は常に介護している人の変化に置きます。老老介護とは|同居介護の6割以上が65歳以上同士年齢の組合せ割合(2025年)60歳以上同士79.0%65歳以上同士61.9%75歳以上同士37.1%同居して介護している割合46.1%厚生労働省の調査による年齢の組合せは上表のとおりです。続柄は配偶者が22.5%、子が18.2%(出典:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」Ⅳ 介護の状況)。65歳以上同士はすでに多数派で、75歳以上同士でも4割近くあります。老老介護は在宅介護の標準的な形。珍しい状況ではありません。同じ調査では、介護が必要になった主な原因のうち要介護者では認知症が23.6%で最も多く、その介護を同年代の配偶者が担う重なりが認認介護の入り口になります。介護時間が「ほとんど終日」の同居介護者は、配偶者が64.6%で最多でした。認認介護とは|介護する側にも認知機能の低下がある状態項目老老介護認認介護定義65歳以上が65歳以上を介護介護する側にも認知機能低下がある気づかれ方体力の限界として自覚しやすい自覚がなく周囲からも見えにくい主なリスク腰痛・転倒・疲弊・介護うつ服薬の破綻・火の不始末・受診中断公的な統計年齢の組合せが公表されている全国の発生数を示す統計はない老老介護は年齢で数えられます。しかし認認介護を数えるには、介護している側の認知機能を評価しなければなりません。それは受診して初めて可能になります。ところが認認介護の状態にある方ほど、介護で手いっぱいのうえもの忘れの自覚もなく、受診に至りません。認知症とは、いったん発達した認知機能が低下し、日常生活に支障が出た状態を指します。診断の基準や検査の進め方は日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」にまとめられています。判断の軸は日常生活への支障です。介護という重い役割を毎日こなしている方は、支障が出ていても介護の大変さに紛れ、切り分けられません。老老介護と認認介護の間にあるグレーゾーンを段階で捉える段階状態外から見えるもの打てる手第1段階自立した老老介護家事も通院も回っている介護保険の申請、相談先の確保第2段階疲弊した老老介護外出が減り表情が硬い通所介護や短期入所の導入第3段階介護者に軽度認知障害の疑い予定の取り違え、買い置きの重複もの忘れ外来、訪問サービス増設第4段階認認介護服薬・金銭・火の管理が崩れる医療と介護の同時介入実際の家庭では、どちらかにきれいに分かれることはありません。段階で捉えるほうが打つ手を決めやすくなります。離れて暮らす家族が気づくのは、多くの場合で第3段階に入ってから。第3段階は軽度認知障害と重なることがあり、厚生労働省はMCIハンドブックを公開しています(出典:厚生労働省「認知症施策」)。第2段階のうちに支援を入れれば、第4段階に至るまでの時間を稼げます。第4段階から入ると二人分の生活を同時に立て直すことになり、在宅の継続が難しくなります。老老介護が認認介護に変わる5つのサイン|同居していない家族が気づくチェックポイント離れて暮らす家族が気づける認認介護のサインは、お金と書類、服薬、食事、会話、生活リズムの5領域に集中しており、どれも介護している側の生活に表れます。サイン1|お金と書類まわりが滞りはじめる確認する場所正常な状態サインにあたる状態郵便受け開封され仕分けされている未開封のまま積まれている公共料金引き落としが継続督促状や再請求が混じる冷蔵庫・食品棚適量が入れ替わる同じ調味料が何本も並ぶ財布小銭が使われている小銭が減らず札だけ増える最初に崩れるのは、締め切りのある事務です。介護そのものは長年の習慣で続けられても、期限つきの判断には認知機能の低下がそのまま表れます。同じ調味料が並ぶのは、買ったこと自体を覚えていないため。督促状が届いていても、本人はたいてい「もう払った」と答えます。嘘ではありません。払おうと思った記憶と、払った記憶が混ざった状態です。通帳と請求書を並べて事実を確認し、自動引き落としへ切り替えるほうが早く片づきます。帰省時は郵便受けと冷蔵庫の2か所に絞ってください。サイン2・3|服薬と食事が同時に崩れる領域確認する物サインにあたる状態服薬薬カレンダー介護者側だけ残薬が偏る食事冷蔵庫の中身期限切れが複数、総菜が重なる食事調理の様子火を使わない食事に置き換わる体格服のサイズ半年でウエストが余っている介護している側の服薬と食事は、自分のことが後回しになるぶん、介護される側より先に崩れます。薬カレンダーは二人分を並べて見てください。片方だけ整っているなら、その薬を誰が管理しているのかを確かめます。訪問介護や通所介護の職員が支えているのなら、介護者本人の管理はすでに崩れています。食事は、調理をやめて総菜や菓子パンに置き換わることが多くみられます。意欲の低下でも、火への不安からでも起こる変化。いずれにせよ栄養は偏ります。体重は、半年前の写真と並べると差がはっきりします。サイン4・5|会話の内容と生活リズムに変化が出る領域確認の方法サインにあたる状態会話の内容同じ通話の中で話題を追う同じ話が繰り返される会話の具体性昨日何を食べたか尋ねる具体的に答えられない介護の説明相手の通院日や薬を尋ねる説明が毎回変わる生活リズム電話の時刻を変えてみる昼に寝て夜に起きている会話と生活リズムは、帰省が年に数回でも電話だけで確認できる領域です。同じ話の繰り返しは、それだけでは加齢によるもの忘れと区別できません。手がかりは、繰り返していること自体に本人が気づいているかどうか。「さっきも言ったかもしれないけど」と前置きが入る場合と、初めて話すように語る場合では意味が違います。介護している相手の通院日や薬を尋ねる質問も有効です。介護者は本来その情報を最もよく把握している立場。そこがあいまいなら介護の実態が揺らいでいます。いつも夕方にかけているなら、一度午前中にかけてみてください。帰省と電話でできる確認の手順を頻度別に決めておく頻度やること見るもの毎週の電話5分の雑談同じ話の回数、声の張り、昨日の食事月1回の電話踏み込んだ確認通院の有無、薬の残り、困りごと年数回の帰省家の中を歩く郵便受け、冷蔵庫、薬、ゴミ、火元年1回記録を残す体重、写真、お薬手帳の撮影サインを覚えても、確認する機会を決めて見るものを固定しないと実行されません。きょうだいがいる場合は見る場所を分担してください。同じ質問を全員がすると、本人は問い詰められていると感じて防御的になります。気づくのが遅れたと自分を責めるご家族は少なくありません。ただ、介護している側の変化は同居していても見えにくいものです。取り繕いと手続き記憶が働くため、毎日会っていても崩れが表に出ません。誰の責任かを考えるより、今日どこへ電話するかを決めるほうが先に進みます。判断がつかない段階でも、地域包括支援センターは相談を受け付けます。次の帰省まで待つ必要はありません。ピース訪問看護ステーションでも、ご本人の受診前に、ご家族だけからのご相談を承っています。「これはサインなのか」と迷った段階で、見てきた様子をそのままお話しください。なぜ介護している親に認知症のサインが出るのか|見落とされやすい理由介護している側に認知症のサインが出やすいのは、介護生活そのものが睡眠・栄養・外出・交流・受診という認知機能を支える土台を同時に削るためです。介護生活が認知機能を支える土台を削っていく削られるもの介護生活で起きること影響睡眠夜間の見守りで細切れになる注意力と記憶の定着が落ちる栄養調理が面倒になり簡便食に偏る低栄養から活力が落ちる外出目が離せず家から出られない活動量が減り生活範囲が狭まる自分の受診相手の通院を優先し後回し持病の管理が崩れる認知症と軽度認知障害のある方に加え、家族介護者への支援も扱ったガイドラインが公開されています(出典:「認知症と軽度認知障害の人および家族介護者への支援・非薬物的介入ガイドライン2022」(日本医療機能評価機構))。表題が示すとおり、支援の対象には介護している家族も含まれます。高齢の方の評価では、身体機能・認知機能・意欲・社会的な状況まで多面的に把握する方法が用いられます(出典:日本老年医学会ほか「高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024」)。介護者の変化を「疲れているだけ」と片づけないための視点です。上表の項目は連鎖します。睡眠が細切れになれば外出がおっくうになり、外出が減れば食事も雑になる。気づいたときには複数が同時に崩れています。「介護できているから大丈夫」に見えてしまう理由見えなくする要因具体的に起きること取り繕い答えられない質問を世間話でかわす手続き記憶長年の家事や介助は手順として体に残る遠距離短時間の帰省では判断材料が足りない本人の否認認めると介護を続けられなくなる認認介護が見つかりにくい理由は、介護という行為そのものが続いていることです。取り繕いは意図的な嘘ではありません。分からないと言えない状況で、会話を成立させようとする自然な反応です。手続き記憶は、洗濯機の回し方や排泄介助のように体で覚えた動作の記憶。比較的保たれやすく、新しい判断ができなくなっていても毎日の介助はこなせます。介護が続いていることは、認知機能が保たれている証拠ではありません。質問の形も変えてください。「お薬は飲んでる?」ではなく「薬カレンダーを一緒に見せて」と、物で確認する。認知症以外の原因も同時に疑う疑う原因見分けの手がかり対応うつ状態本人がもの忘れを強く訴える主治医や精神科・心療内科へ難聴静かな場所では会話が通る耳鼻咽喉科、補聴器の検討脱水・低栄養短期間で急に元気がなくなる水分と食事の記録、主治医へ報告薬の影響処方変更の時期と症状が重なるお薬手帳を持参し薬剤師へ相談甲状腺などの内科疾患寒がり、むくみ、強い倦怠感血液検査を含めた内科受診もの忘れや意欲低下が出ても認知症とは限りません。治療で改善する原因が隠れていないかを先に確かめます。手がかりとして、認知症では本人がもの忘れを軽く見て周囲が心配するのに対し、うつ状態では本人が深刻に訴える傾向があります。両者は重なることもあり、最終的な判断は医師に委ねてください。詳しくは高齢者のうつと認知症の見分け方|家族が早く気づくチェックでも解説しています。難聴も見落とされやすく、聞こえていないだけなのに、もの忘れと受け取られてしまいます。甲状腺の機能が落ちたときも、やる気が起こらない、疲れやすい、寒がりといった変化が出ます(出典:厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 甲状腺機能低下症」)。薬の影響も無視できません。新しい薬が始まった時期とぼんやりしはじめた時期が重なっていないか、お薬手帳を時系列で見れば確認できます。サインを放置するとどうなる?共倒れ・服薬ミス・事故のリスク認認介護のサインを放置すると、服薬管理の破綻から始まり、火や水まわりの事故、そして片方の入院をきっかけとした共倒れへと、決まった順序で進行します。服薬管理が最初に崩れる起きること具体的な状況結果飲み忘れ飲んだか分からず抜ける血圧や血糖の乱れ重複服用記憶がなくもう一度飲む過量による転倒やふらつき取り違え二人分の薬が混ざる不要な薬を飲んでしまう受診中断予約日を忘れ処方が切れる薬がないまま数週間が過ぎる二人分の薬を一人で管理する状態は、認知機能が落ちたときに真っ先に破綻します。最も危ないのは取り違えです。二人分が同じ棚に置かれ、シートから出した状態で並んでいると判別できません。糖尿病の薬や血液をさらさらにする薬が絡むと、影響は短時間で身体に出ます。受診中断も静かに進み、気づくのは薬が尽きてから。途切れていないかは、お薬手帳の日付で確認できます。対策は薬局の一包化と、訪問看護や訪問薬剤管理の導入が現実的です。一人暮らしの方の服薬管理の考え方は認知症の一人暮らし、限界のサインと家族の対応でも触れています。火・水・車という生活の中の事故領域予兆として表れるもの打てる手火元鍋の焦げ跡、焦げたにおいIHや自動消火機能つきコンロ水まわり浴槽の水が張りっぱなし自動止水、入浴時の見守り暖房真夏に暖房が入っている温度設定の固定、室温計の設置車の運転車体の擦り傷が増える免許返納の相談、移動手段の確保火元は、焦げた鍋が一つ見つかった時点で対応してください。本人は「たまたま」と説明しますが、一度起きた家庭では二度目が起きます。コンロの交換は介護保険の住宅改修とは別枠になることが多いため、ケアマネジャーに確認しながら進めます。車体の擦り傷は帰省時に必ず見てほしい箇所です。左後方や助手席側の下部に増えているなら、空間の把握が落ちているサインとして扱います。運転をやめる話し合いは感情的になりやすいもの。代わりの移動手段を先に用意してから切り出してください。季節に合わない冷暖房も、熱中症の危険に直結します。共倒れは同時にではなく、片方の入院から始まる段階起きること見えてくる問題発端介護者が骨折、または入院介護の担い手が突然いなくなる数日以内残された側の生活が回らない食事・服薬・排泄の支援が必要に1〜2週間緊急で受け入れ先を調整する見つからず家族が駆けつける退院時介護者の機能が入院前より低下元の体制に戻せない共倒れは、二人が同時に倒れるわけではありません。片方の入院や骨折をきっかけに連鎖し、すべてが数日のうちに決まります。相談先も支援もなければ、遠方の家族が駆けつけ、限られた選択肢から急いで決めることになります。先に支援が入っていれば話は変わります。通所介護や短期入所の利用実績があれば、緊急時の受け入れ調整はずっと早い。訪問看護が入っていれば、介護者の血圧や食事量の変化を訪問のたびに拾えます。限界を迎える前の備えは老老介護で共倒れしないために|介護する人が限界を迎える前にできることでも整理しています。サインに気づいたら最初にすること|相談窓口と当日からできる行動サインに気づいた家族が最初にすべきことは、本人の受診を待たずに地域包括支援センターへ電話することで、家族だけの相談でも支援の検討は始められます。最初の連絡先は地域包括支援センター相談先内容連絡方法地域包括支援センター保健医療・介護の相談と連携全市町村に設置。高齢者福祉担当課で確認認知症疾患医療センター専門的な診断と対応の相談都道府県などのページから検索認知症の人と家族の会家族からの電話相談0120-294-456(平日10時から15時、祝日を除く)若年性認知症コールセンター65歳未満の本人と家族の相談0800-100-2707(月曜から土曜の10時から15時)かかりつけ医・もの忘れ外来受診と検査、専門医への紹介通院中の医療機関から相談地域包括支援センターは市町村ごとに名称が異なることがあります。相談内容に応じて認知症疾患医療センターや認知症初期集中支援チームと連携し、支援につなげます(出典:厚生労働省「認知症に関する相談先」)。制度全体の位置づけは厚生労働省「地域包括ケアシステム」にまとめられています。本人が受診に同意していなくても、家族だけで相談してかまいません。家族からの相談は窓口の日常業務です。もの忘れ外来を持つ医療機関もあり、診断後の本人と家族に向けた情報提供を行う施設もあります(出典:国立長寿医療研究センター「もの忘れセンター」)。受診につなげる声のかけ方を決めておく場面避けたい言い方通りやすい言い方受診を勧める認知症かもしれないから病院へ介護を続けるために健康診断を受けようもの忘れの指摘さっきも同じこと言ったよ私もよく忘れるから一緒にメモしよう支援の提案もう一人じゃ無理でしょう私が安心したいから来てもらう人を増やしたい同行の申し出一人じゃ心配だからついて行く先生に聞きたいことがあるから一緒に行かせて受診に至らなければ診断はつきません。共通するのは、本人の能力を否定しない形にすること。介護を担ってきた自負がある方ほど、できないことを指摘されると強く反発します。受診の目的を本人のもの忘れではなく、介護を続けるための体調管理に置き換えると話が通りやすくなります。かかりつけ医がいるなら、受診前に家族から状況を伝えておくと、診察の流れの中で自然に確認してもらえます。それでも受診に至らないときは押し切らず、地域包括支援センターへ相談してください。当日からできる3つの応急対応対応具体的にやること効果薬を分ける二人分を別の場所に置き、一包化を薬局へ依頼取り違えと重複服用が減る火を減らす自動消火機能つきコンロ、電子レンジ調理へ火災の危険が下がる連絡を増やす電話の頻度を上げ、見守りや近隣に声をかける変化に早く気づける受診や手続きには時間がかかります。その間にできる手当てを先に打ちます。薬を分ける作業は、帰省したその日にできます。かかりつけ薬局へ電話し、一包化を依頼してください。コンロの交換まで踏み込めなくても、電子レンジで済ませられる食事を用意するだけで危険は下がります。毎日30分の電話は続きません。週2回3分と決めるほうが長続きします。民生委員や近隣の方に事情を伝えておくと、気づく目が増えます。老老介護・認認介護を防ぎ支えるための制度と訪問看護の活用法老老介護と認認介護を支えるには二人分を一つの計画として組み立てる必要があり、訪問看護はその両方を同じ訪問の中で見られる立場にあります。介護保険で二人分のサービスを組み立てる手続き・サービス内容使いどころ要介護認定の申請市町村か地域包括支援センターで申請介護する側も未申請なら同時に区分変更申請状態が変わったとき認定を見直す認知症の進行で支援が足りないとき通所介護日中の預かりと入浴、交流介護者の休息時間の確保短期入所数日から数週間の宿泊介護者の入院や冠婚葬祭への備え福祉用具・住宅改修手すり、段差解消、歩行補助具転倒による共倒れの予防介護保険は世帯単位ではなく個人単位で使います。二人とも認定を受ければ、それぞれにサービスを組めます。全体像は厚生労働省「介護・高齢者福祉」にまとめられています。対象者や申請の流れは介護保険は誰が使える?対象者・特定疾病16種類・申請の流れ、状態が変わったときの見直しは介護保険の区分変更申請|出すタイミングと手続きの流れで解説しています。見落とされやすいのが介護する側の申請です。介護している方は、自分をサービスの利用者だと考えません。それでも認定を受けておけば、いざというときに通所介護も短期入所も使えます。認定は申請から結果まで1か月程度。必要になってから動くのでは間に合いません。訪問看護が老老介護・認認介護の世帯でできることできること具体的な内容二人分の健康状態の観察血圧・体重・食事量・睡眠を記録し主治医へ報告服薬管理の立て直し残薬を実数で確認し、一包化や配置を調整生活環境の調整火元や動線をケアマネジャーと共有し改善を提案介護者の変化の早期発見会話や生活の様子から認知機能や気分の変化を拾う訪問看護は介護される側の看護を目的に入ります。ただ実際には、世帯全体の状態を見ています。強みは、決まった頻度で家の中に入り、生活の実物を見られること。診察室では「食べています」と答える方でも、冷蔵庫を開ければ実際の食事量が分かります。離れて暮らす家族にとっての価値は、判断材料が定期的に届くことです。訪問のたびに記録が残り、変化があれば連絡が入るため、年に数回の帰省で推し量る状態から抜け出せます。事業所の選び方は訪問看護の選び方|町田市で家族のために探すときの5つのポイントにまとめています。町田市・相模原市の在宅現場で実際に見ている場所見る場所確認すること読み取れること薬箱・薬カレンダー二人分の残数と処方日のずれ服薬管理を担う人の状態冷蔵庫期限、同じ物の重複、作り置き買い物と調理の判断力ゴミ袋中身の内訳と出す頻度食事内容と外出、曜日の把握壁のカレンダー書き込みの有無と正確さ予定管理と日付の見当識町田市・相模原市で訪問看護を提供する中で、老老介護のご家庭に伺うときは上表の4か所を必ず確認しています。訪問の最初の5分で開けるのは、薬箱と冷蔵庫です。残薬は目分量で見ません。シートから1錠ずつ数えて記録し、前回の訪問から何回分足りないかを出します。「きちんと飲んでいます」という申告と数が合わない世帯は、めずらしくありません。特に重視しているのが壁のカレンダーです。通所介護の日や通院日が実際の予定と合っているか、書き込みが途中で途切れていないか。介護をしている方の頭の中の整理が、そのまま壁に出ます。集合住宅に伺うご家庭では、ゴミ出しの曜日を守れているかも観察点。近隣との摩擦が起きる前に気づけます。町田市と相模原市はいずれも地域包括支援センターが地区ごとに置かれ、訪問看護から担当へ直接つなげます。老老介護が認認介護に変わるサインの見分け方から、気づいた後の相談先までを見てきました。共通するのは、介護している側を見る目を持つこと。判断がつかない段階でも、専門職に相談してかまいません。よくある質問Q1. 老老介護と認認介護の違いは何ですか?老老介護は65歳以上の方が65歳以上の方を介護している状態で、年齢という条件で判断できます。認認介護は、介護する側にも認知症や認知機能の低下がある状態です。老老介護は体力の限界として自覚しやすく、認認介護は本人に自覚がなく周囲からも気づかれにくい点が違います。Q2. 老老介護が認認介護に変わるとどんな問題が起きますか?最初に崩れるのは服薬管理です。飲み忘れ、重複服用、二人分の薬の取り違え、受診日の失念による処方の中断が起こります。次に火の不始末や季節外れの冷暖房といった生活事故の危険が高まり、介護者の転倒や入院をきっかけに、残された側の生活が数日で立ち行かなくなる共倒れへ進みます。Q3. 介護している親が認知症かもしれないと気づいたらまず誰に相談すればいいですか?お住まいの地域の地域包括支援センターへ電話してください。全市町村に設置され、認知症疾患医療センターや認知症初期集中支援チームへつなぐ役割を担っています。本人が受診に同意していなくても家族だけで相談できます。認知症の人と家族の会の電話相談(0120-294-456)も利用できます。Q4. 同居していない家族が親の認知症のサインに気づく方法はありますか?帰省時に郵便受け、冷蔵庫、薬カレンダー、ゴミ、火元の5か所を見ると、数分で多くのことが分かります。電話では、同じ話が繰り返される回数、昨日食べたものを答えられるか、介護している相手の通院日や薬を説明できるかを確認してください。かける時刻を変えると昼夜の逆転にも気づけます。Q5. 老老介護・認認介護の割合はどれくらいですか?厚生労働省の2025年国民生活基礎調査では、同居して介護している主な介護者との年齢の組合せが、60歳以上同士79.0%、65歳以上同士61.9%、75歳以上同士37.1%と報告されています。一方、認認介護には全国の発生数を示す公的な統計がありません。介護する側の認知機能の評価には受診が必要で、そこに至らないまま家庭内で進行するためです。Q6. 認認介護になったら訪問看護は使えますか?使えます。訪問看護は主治医の指示書に基づいて提供され、介護保険または医療保険で利用する仕組みです。介護している側も要介護認定を受けていれば、それぞれに訪問看護を組めます。訪問看護師は二人分の血圧や食事、睡眠、服薬状況を同じ訪問で確認し、主治医やケアマネジャーへ共有します。Q7. 認知症の親が介護をしていることに本人は気づいていますか?多くの場合、認知機能が低下していることに本人の自覚はありません。長年の家事や介助は手順の記憶として体に残るため、新しい判断ができなくても介助自体は続けられます。そのため「自分はきちんと介護できている」という認識のまま進みます。指摘すると強く否定されやすいので、介護を続けるための健康管理という切り口で受診につなげてください。まとめ老老介護が認認介護に変わるサインは、介護されている側ではなく、介護している側のお金と書類、服薬、食事、会話、生活リズムに先に表れます。郵便受けと冷蔵庫、薬カレンダーという数分で見られる3か所を、帰省のたびに確認してください。介護が続いているように見えることは、認知機能が保たれている証拠にはなりません。気になる変化があれば、本人が受診に同意していなくても、家族だけで地域包括支援センターへ相談できます。支援を早く入れる目的は、日々の負担を軽くすることだけではありません。片方が倒れたときに動ける体制を、あらかじめ作っておくことにあります。ピース訪問看護ステーションにご相談くださいこんな方はぜひご相談ください:高齢のご両親が二人暮らしで、介護している側の様子にも不安を感じている方離れて暮らしていて、実家の変化をどう確認すればよいか迷っている方ご本人が受診を嫌がり、どこから手をつけてよいか分からない方ピース訪問看護ステーションができること:ご夫婦それぞれの血圧・体重・食事・睡眠を同じ訪問の中で確認し、主治医へ報告します二人分の残薬を実数で確認し、一包化や薬カレンダーの配置を薬局と調整します火元や動線の危険をケアマネジャーと共有し、地域包括支援センターへつなぎます東京都町田市・多摩市、神奈川県相模原市・大和市・川崎市麻生区を中心に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。関連記事老老介護で共倒れしないために|介護する人が限界を迎える前にできること高齢者のうつと認知症の見分け方|家族が早く気づくチェック認知症の一人暮らし、限界のサインと家族の対応訪問看護の選び方|町田市で家族のために探すときの5つのポイント参考文献一覧出典:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」Ⅳ 介護の状況https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa25/dl/05.pdf出典:日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」https://www.neurology-jp.org/guidelinem/nintisyo_2017.html出典:厚生労働省「認知症に関する相談先」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000076236_00003.html出典:厚生労働省「認知症施策」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ninchi/index.html出典:日本医療機能評価機構 ガイドラインライブラリ「認知症と軽度認知障害の人および家族介護者への支援・非薬物的介入ガイドライン2022」https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00762/出典:日本医療機能評価機構 ガイドラインライブラリ「高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024」https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00874/出典:厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 甲状腺機能低下症」(令和4年2月改定)https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1d37.pdf出典:国立長寿医療研究センター「もの忘れセンター」https://www.ncgg.go.jp/hospital/monowasure/index.html出典:厚生労働省「介護・高齢者福祉」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html出典:厚生労働省「地域包括ケアシステム」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理、地域医療連携、在宅看取り支援に積極的に取り組んでいる。island-piece.jp 株式会社isLand|訪問看護・居宅介護支援・訪問介護|町田市