若年性認知症と診断されたら|仕事と家族の備え方若年性認知症と診断されたら知っておきたいこと(導入)若年性認知症と診断されたら、まず「仕事をどう続けるか」「家族の生活をどう守るか」「使える制度は何か」の3点を早い段階で整理することが、その後の暮らしを大きく左右します。64歳以下で発症する若年性認知症は、働き盛り・子育て世代を直撃する病気です。診断を受けた本人は職を失う不安に、配偶者は収入と介護の両方に、そして子どもは進学や生活の変化に直面します。高齢者の認知症とは、抱える課題の質がまったく違うのです。だからこそ、診断直後の混乱した時期にこそ、正しい情報と支援先を知っておく価値があります。このコラムでは、町田市・相模原市を中心に在宅療養を支えている訪問看護の現場から、若年性認知症と診断された方とそのご家族が、仕事・お金・家族の心・在宅生活の備えをどう進めていけばよいのかを、制度と実務の両面から具体的に解説します。この記事でわかること若年性認知症の症状の特徴と、早期発見がなぜ重要なのか仕事を続けるための企業への開示のしかたと両立支援制度傷病手当金・障害年金・介護保険(特定疾病)などお金の備え家族の心理的負担への向き合い方と、子どもへの伝え方訪問看護と地域の相談先を使った在宅生活の準備診断は終わりではなく、備えの始まりです。ひとつずつ順番に見ていきましょう。若年性認知症とは―症状の特徴と早期発見の重要性若年性認知症とは、18歳から64歳までの現役世代に発症する認知症の総称です。記憶よりも先に、仕事のミスや性格の変化として現れやすいのが最大の特徴といえます。厚生労働省の若年性認知症支援ガイドブックによれば、若年性認知症は高齢者の認知症と同じ病気でありながら、就労や子育ての最中に起こるため、経済的・社会的な影響がはるかに大きいとされています(出典:厚生労働省「若年性認知症支援ガイドブック」)。「年齢的に認知症のはずがない」という思い込みが、発見を遅らせる最大の壁になります。若年性認知症の主な原因疾患と症状若年性認知症の原因はアルツハイマー型だけでなく、血管性や前頭側頭型など多岐にわたります。原因によって最初に目立つ症状が異なる点が、対応を考えるうえでの出発点。原因疾患割合の傾向初期に目立ちやすい症状アルツハイマー型最も多い新しい予定を覚えられない・同じ話の繰り返し血管性認知症2番目に多い手続きの段取りの低下・意欲の低下・むら前頭側頭型若年で比較的多い性格の変化・身勝手に見える言動・常同行動レビー小体型一定数幻視・手の震え・調子の波が大きい若年発症の認知症では、アルツハイマー型に加えて前頭側頭型など発症年齢で割合が変わるタイプもみられます。前頭側頭型は記憶が初期には保たれやすく、「急に短気になった」「約束を平気で破る」といった性格・行動の変化から始まるため、うつ病や性格の問題と誤解されやすく、進行に伴って記憶の障害も現れます。血管性認知症では脳梗塞や脳出血の後に、できることとできないことが分かれる「まだら」な状態や意欲の低下が目立ちます。レビー小体型は、実際にはいないものが見える幻視や、日によって調子が大きく変わる波が特徴です。原因疾患によって進行の速さも服薬も家族の対応も変わります。「認知症」とひとくくりにせず、まず専門医で原因を突き止めることが、その後すべての備えの出発点になります。見逃されやすい初期サインと受診の目安初期の若年性認知症は「疲れ」「更年期」「うつ」と間違われやすいものです。仕事や家事での小さなつまずきの積み重ねが、受診を考えるサインになります。生活の場面見逃されやすいサイン職場いつもの業務でミスが増える・段取りが組めない・同じ質問を繰り返す家庭料理の味付けや手順が変わる・買い物で同じ物を何度も買う対人約束を忘れる・感情の起伏が激しくなる・興味が狭くなる金銭支払いの管理が雑になる・計算を間違えるこうしたサインが数か月続き、以前の本人と明らかに違うと感じたら、「もの忘れ外来」や神経内科・精神科を受診してください。40代・50代でも遠慮は不要です。早期受診の価値は3つあります。1つ目は、治療可能な別の病気(甲状腺機能の異常やビタミン欠乏など、認知症に似た症状を出す病気)を見つけられること。2つ目は、進行を遅らせる関わりや服薬を早く始められること。3つ目は、まだ判断力があるうちに仕事やお金の大事な決定を本人の意思で進められることです。特に3つ目は見落とされがちで、診断が遅れると、退職の手続きや預金・保険の管理、今後の暮らしの希望を本人が自分で決められる時間が短くなります。「認知症と言われるのが怖い」という気持ちもありますが、原因を知ることは不安を減らす第一歩です。「気のせいかも」で先延ばしにせず、早めの一歩を踏み出してください。仕事を続けるための選択肢―企業への開示・両立支援制度の活用若年性認知症と診断されても、症状の程度や職種によっては働き続けられることがあります。その鍵は「早めに会社と相談し、両立支援の仕組みを使うこと」でしょう。厚生労働省の若年性認知症支援ガイドブックは、診断後すぐに退職を決めるのではなく、まず職場と話し合い、業務内容の調整や配置転換で就労を続ける道を探ることを勧めています(出典:厚生労働省「若年性認知症支援ガイドブック」)。焦って辞めると、収入だけでなく社会とのつながりや生きがいまで失いかねません。会社に伝えるべきか―開示の判断とタイミング診断を会社に開示するかどうかは義務ではありませんが、業務に支障が出始めている場合は、早めに信頼できる相手へ相談したほうが結果的に働き続けやすくなります。判断のポイント開示に前向きな状況慎重に考えたい状況業務への影響すでにミスが増え、周囲も気づいているまだ支障がほとんどない相談先の有無産業医や人事に相談窓口がある相談体制が整っていない職種の性質配置転換や業務調整の余地がある安全に直結し調整が難しい本人の希望支援を受けて働き続けたいまず自分で様子を見たい開示する場合、最初から全社に知らせる必要はありません。まずは産業医や人事担当、直属の上司など信頼できる相手に伝え、必要な範囲で共有していくのが現実的です。診断書を添えると、業務調整の話し合いがスムーズになります。相模原市で就労中の方の在宅支援に関わった際も、上司ひとりに早めに相談できたケースは、通院への配慮や業務量の調整が進み、本人が落ち着いて働き続けられていました。反対に、周囲に気づかれるまで一人で抱え込み、ミスを叱責され続けて追い詰められる例もあります。早めの相談は、本人を守る防波堤になるのです。伝え方に迷うときは、後述する若年性認知症支援コーディネーターに相談すると、職場との橋渡しの助言がもらえます。使える両立支援・就労継続の仕組み治療と仕事の両立や就労の継続には、企業の制度と障害福祉の仕組みの両方が使え、状況の変化に合わせて段階的に選べます。制度・仕組み内容主な相談先治療と仕事の両立支援通院や体調に合わせた勤務調整・時短勤務産業医・人事・両立支援コーディネーター障害者雇用への切り替え障害者手帳を活用した配慮のある雇用ハローワーク・企業の人事就労継続支援(福祉的就労)一般就労が難しい場合の福祉サービスでの就労相談支援事業所・市区町村ジョブコーチ支援職場に専門員が入り定着を支える地域障害者職業センター就労の継続は「今の会社でそのまま働く」から「配慮を受けて働く」「福祉的就労に移る」まで幅があります。大切なのは、いきなり一般就労か退職かの二択で考えないことです。まずは今の職場で調整できないかを探り、難しければ障害者雇用やハローワークの専門援助部門、地域障害者職業センターへと相談先を広げます。地域障害者職業センターのジョブコーチは、職場に出向いて業務の手順を整理したり、同僚への説明を助けたりと、本人が働き続けやすい環境づくりを支えます。就労の継続は収入面だけでなく、生活リズムや役割意識を保ち、進行のスピードにも良い影響を与えると考えられ、仕事を通じて人と関わり続けること自体が本人にとって最良のリハビリになる場合もあります。「働けるうちは働く」を支えるために、こうした制度を早めに知っておいてください。仕事と介護の両立に悩むご家族には、介護離職を防ぐための完全ガイド:仕事と介護を両立する制度・実務・訪問看護の活用術も参考になります。経済的な備え―傷病手当金・障害年金・介護保険(特定疾病)の活用若年性認知症は現役世代の収入減に直結します。傷病手当金・障害年金・介護保険(特定疾病)という3本柱を、時期に応じて組み合わせて使うことが経済的な支えになるでしょう。働き盛りで発症すると、住宅ローンや教育費が残ったまま収入が減るという二重の負担がのしかかります。制度は「知って申請した人だけ」が使えるものがほとんどです。ここでは代表的な制度を、使える順番を意識して整理します。収入が減ったときにまず使う制度会社を休職・退職して収入が途絶えたときは、まず傷病手当金、その後に障害年金を検討するのが基本的な流れです。制度対象・条件の目安内容傷病手当金会社の健康保険加入者が病気で働けないとき標準報酬日額の約3分の2を通算最長1年6か月障害年金障害認定日(原則、初診日から1年6か月後)以降障害の程度に応じ年金を継続支給自立支援医療精神科などへの通院医療費医療費の自己負担を軽減障害者手帳認知症による生活の支障税の控除・各種割引・障害福祉サービスまず押さえたいのは順番です。在職中に働けなくなったら健康保険の傷病手当金を申請し、生活の当面の収入を確保します。傷病手当金は給与そのものではなく、標準報酬日額(保険料の計算に使う月給の目安を日割りした額)のおおよそ3分の2が、通算で最長1年6か月支給される仕組みです。上限があるため、その先を見据えて障害年金の準備を並行して進めます。障害年金は、原則として初診日から1年6か月を経過した日(障害認定日)以降に申請できるため、「初診日がいつか」を証明できる記録を残しておくことがとても重要になります。診断が確定した日ではなく、症状で最初に医療機関にかかった日が初診日となるため、転院した場合でも最初の受診先が分かる資料を保管しておいてください。医療費の負担には自立支援医療、税や各種サービスには障害者手帳が役立ちます。住宅ローンを組んでいる場合は、団体信用生命保険に高度障害の保障が付いていないかも確認する価値があります。どの制度も申請には診断書や所定の書類が必要で、手続きは複雑です。ひとりで抱えず、医療機関の医療ソーシャルワーカーや市区町村の窓口に早めに相談してください。介護保険は40歳から使える「特定疾病」40歳から64歳でも、若年性認知症は介護保険の特定疾病に該当するため、要介護認定を受ければ訪問看護やデイサービスなどの介護サービスを利用できます。項目内容対象年齢40歳以上65歳未満(第2号被保険者)該当理由若年性認知症は特定疾病に指定されている手続き市区町村の介護保険窓口で要介護認定を申請使えるサービス例訪問看護・訪問介護・デイサービス・福祉用具自己負担原則1割(所得に応じ2〜3割)「介護保険は高齢者のもの」と思われがちですが、40歳から64歳でも国が定めた16の特定疾病に当てはまれば利用できます。若年性認知症はその特定疾病のひとつです。要介護認定を受けると、訪問看護で健康管理や服薬支援を受けたり、デイサービスで日中の活動と家族の休息時間を確保したりできます。認定には申請から結果まで一定の期間がかかるため、「まだ元気だから」と待たず、必要になりそうな段階で早めに申請しておくと安心です。介護にかかる費用の全体像を知りたい方は、介護費用はいくらかかる?在宅・施設・訪問看護の自己負担と上限をわかりやすく解説もあわせてご覧ください。介護サービスの活用は、後述する家族の負担軽減にも直結します。家族の負担と向き合う―心理的ケアと子どもへの配慮若年性認知症は本人だけでなく家族全体の生活を変えます。配偶者の心理的負担と子どもへの配慮は、本人のケアと同じくらい大切に扱いたいテーマ。認知症の行動・心理症状(BPSD、認知症に伴う不安・興奮・意欲低下などの症状)への対応では、本人へのケアと同じくらい、介護する家族への支援が欠かせないと考えられています。家族が倒れてしまえば、在宅での生活そのものが続けられなくなります。配偶者・介護者の心をどう守るか主に介護を担う配偶者は、収入・介護・将来不安を一手に引き受けやすく、意識して負担を分散し休む時間を確保することが在宅生活を続ける前提になります。負担の種類具体的な内容軽くする工夫経済的負担収入減と支出増の同時進行制度活用・早めの相談身体的負担見守り・介助の時間の増加訪問看護・デイサービスの利用心理的負担孤独・将来不安・喪失感家族会・ピアサポートへの参加情報の負担何をどこに相談すべきか分からないコーディネーターへの一元相談若年性認知症の介護でつらいのは、「まだ若いのに」という周囲の理解のなさや、相談相手の少なさです。同世代で同じ経験をしている人が身近にいないため、配偶者が孤立しやすくなります。高齢者の介護と違い、配偶者自身もまだ働き盛りで、仕事・子育て・介護を同時に抱えることも珍しくありません。だからこそ、若年性認知症の家族会やピアサポート(同じ立場の人同士の支え合い)につながることには大きな意味があります。町田市周辺で在宅介護を続けるご家族を訪問していると、「訪問看護師に週1回話を聞いてもらえるだけで気持ちが軽くなる」と言われることが少なくありません。溜め込んだ不安を言葉にできる相手がいるだけで、介護は続けやすくなります。介護者が自分の時間を持ち、弱音を吐ける場所を確保することは、わがままではなく在宅生活を続けるための必要条件です。介護疲れへの具体的な対処は介護疲れを防ぐ!訪問看護で変わる家族の介護負担、疲弊しないための実践ガイドで詳しく解説しています。子ども・思春期の家族への伝え方若年性認知症は子育て世代で起こることが多く、子どもに「何が起きているか」を年齢に応じて正直に伝えることが、家庭の混乱を防ぎます。子どもの年齢伝え方の工夫配慮したいこと小学生「脳の病気で忘れやすくなる」と簡単な言葉で自分のせいだと思わせない中高生病気の仕組みと今後の変化を具体的に進路・生活への不安に耳を傾ける成人制度・介護分担も含めて共有介護を背負い込ませすぎない親の変化を子どもは敏感に感じ取ります。「本人が親らしくなくなった」ことに戸惑い、時に反発したり、自分を責めたりします。ここで大切なのは、病気であること、子どものせいではないこと、家族で支え合っていくことを、年齢に合った言葉で伝えることです。事実を隠すと、子どもは想像でさらに不安を膨らませてしまいます。思春期の子どもには、進路や生活への影響という現実的な不安に向き合う時間も必要になります。進学費用や将来の見通しについても、分かる範囲で率直に話し合えると、子どもは安心して自分の人生を考えられます。ヤングケアラー(家族の介護を担う子ども)にならないよう、子どもに過度な介護役割を負わせず、学校や支援機関にも状況を共有しておくことが望まれます。家族だけで抱え込まず、スクールカウンセラーや地域の相談窓口も頼ってください。訪問看護でできる在宅生活の備え(ピース独自)訪問看護は、若年性認知症の方が住み慣れた自宅で暮らし続けられるよう、健康管理・服薬支援・家族相談を組み合わせて在宅生活を支える存在です。病院での診察は数か月に一度でも、生活は毎日続きます。その毎日を支えるのが訪問看護です。ピース訪問看護ステーションでは、要介護認定を受けた40歳以上の方であれば、若年性認知症でも介護保険で訪問看護を利用できます。ここでは在宅での備えとして訪問看護が担える役割を紹介します。訪問看護が担う具体的なサポート訪問看護師は定期的に自宅を訪ね、体調の変化・服薬・生活リズムを見守りながら、家族の相談にも応じる役割を担います。サポート内容具体例健康管理血圧・体重・食事量の確認と体調変化の早期発見服薬支援飲み忘れ・重複を防ぐ工夫と副作用の観察生活リズムの支援昼夜逆転や活動量低下への声かけ・提案家族の相談対応介護の悩み・不安を聞き、助言する多職種連携主治医・ケアマネジャーへの情報共有若年性認知症の方は体力があるぶん、進行に伴って生活リズムの乱れや行動の変化が起こりやすくなります。訪問看護師が定期的に入ることで、体調のわずかな変化や薬の飲み忘れ、家族の疲れのサインを早めにキャッチできます。町田市内で若い世代の在宅療養を支える際に重視しているのは、「本人ができることを奪わない」関わりです。できる家事や役割を残しながら、危険な部分だけをそっと支えることが、本人の尊厳と意欲を守ります。たとえば料理が難しくなってきた方でも、火を使わない下ごしらえは続けてもらい、調理の仕上げだけを家族やヘルパーが担うといった形で、役割を細かく分け直します。医療者がいない時間帯の不安についても、どんなときに誰へ連絡すればよいかを訪問時に一緒に整理しておくことで、いざというときの家族の安心につながります。進行に合わせた在宅環境の整え方在宅生活を長く続けるには、進行の段階に応じて環境や見守りの体制を少しずつ調整していくことが欠かせません。段階の目安起こりやすい変化備えの工夫初期もの忘れ・段取りの低下メモ・カレンダーの活用・服薬の一包化中期道に迷う・見守りが必要GPS機器・デイサービスの併用進行期介助量の増加・体調変動訪問看護と訪問介護の連携強化在宅生活の備えは、一度に完成させるものではありません。初期はメモやカレンダーで本人の力を補い、中期に入り外出時の見守りが必要になれば位置がわかる機器やデイサービスを組み合わせ、進行してきたら医療と介護の連携を厚くしていきます。先回りしてすべてを準備しようとすると、本人の「まだできること」まで奪ってしまい、かえって自信や意欲を損なうことがあります。今の状態をよく見ながら、必要になったサービスをそのつど足していくほうが、本人にとっても家族にとっても無理がありません。外出中の道迷いへの備えについては、徘徊GPS完全ガイド:認知症の徘徊対策と最新デバイスの選び方が具体的です。また、日中の活動と家族の休息時間を確保するデイサービスの使い方は、認知症の進行を防ぐには?デイサービスの効果と活用ポイントを解説で詳しく紹介しています。段階に合わせて必要なサービスを足していく発想が、在宅での暮らしを長く支えます。診断されたばかりで頭が真っ白なとき、まだ誰にも打ち明けられていないときこそ、状況を一度言葉にしてみることが次の一歩につながります。一人で抱え込まず、まずは今の状況を訪問看護に相談してみてください。ピース訪問看護ステーションへのお問い合わせはいつでも受け付けています。町田・相模原で使える相談先とサポート体制(ピース独自)若年性認知症の相談は、市区町村の窓口・地域包括支援センター・若年性認知症支援コーディネーターが入り口になります。まずはどこか一つにつながれば、そこから必要な支援へ道が開けるでしょう。「どこに相談すればいいか分からない」というのが、多くのご家族の最初の壁です。町田市・相模原市を含め、各地域には相談の入り口が用意されています。ひとつの窓口につながれば、そこから次の支援へと道が開けます。まず相談したい公的な窓口若年性認知症の相談窓口は複数ありますが、まずは市区町村の高齢者福祉・介護保険の窓口か地域包括支援センターに連絡するのが確実です。相談先主な役割市区町村の窓口介護保険の申請・制度全般の案内地域包括支援センター在宅生活・介護・権利擁護の総合相談若年性認知症支援コーディネーター就労・生活・制度の一元的な相談・調整医療ソーシャルワーカー医療費・障害年金など経済面の相談町田市・相模原市を含む各自治体には、介護保険や高齢者福祉の相談窓口が設けられています(出典:厚生労働省「介護・高齢者福祉」)。地域包括支援センターは中学校区ごとに設置されていることが多く、在宅生活全般の相談ができます。特に若年性認知症支援コーディネーターは、就労・生活・制度をまたいで相談に乗ってくれる専門職で、都道府県ごとに配置されています。東京都・神奈川県にも配置されているため、就労と介護のどちらから手をつければよいか迷うときの、頼れる最初の相談相手になります。家族の介護と仕事を両立するための制度家族が介護を担うことになったとき、介護休業・介護休暇などの両立支援制度を使えば、仕事を辞めずに介護の体制を整える時間を確保できます。制度内容の目安介護休業対象家族1人につき通算93日まで分割取得可介護休暇年5日(対象家族2人以上は10日)まで取得短時間勤務等の措置勤務時間の短縮など働き方の調整介護休業給付金一定条件で休業中の所得を補償育児・介護休業法により、家族を介護する労働者には介護休業や介護休暇などの権利が認められています(出典:厚生労働省「育児・介護休業法」)。介護休業は「介護そのものをする期間」というより、「介護の体制を整えるための準備期間」として使うのが現実的です。この期間にケアマネジャーを決め、訪問看護やデイサービスの利用を組み立て、職場との働き方も調整します。介護離職は本人にとっても家庭経済にとっても大きな痛手になります。制度を使って仕事を続けながら、外部のサービスに介護を分担してもらう体制づくりを、この相談先を入り口に進めてください。若年性認知症は制度も相談先も複雑ですが、ひとつの窓口から順にたどれば、必ず支援につながります。すべてを一度に理解しようとせず、まずは電話一本、相談一件から始めてみてください。その一歩が、本人と家族の暮らしを守る大きな支えになります。まず動くための早見チェックリスト診断されたばかりで頭が真っ白になっているときほど、やることを絞ると動きやすくなります。今週できる小さな一歩を、次の順番で確認してみてください。時期やること相談先・窓口今日〜今週初診日が分かる受診記録・診断書をまとめるかかった医療機関今週〜今月傷病手当金の申請、休職の相談会社の健康保険・人事今月〜数か月要介護認定の申請(40歳以上)市区町村の介護保険窓口並行して就労と生活の全体相談若年性認知症支援コーディネーター気持ちがつらいとき家族の悩みを話す・訪問看護の相談地域包括支援センター・訪問看護診断された直後は「誰にも話せていない」「何から手をつければいいか分からない」という方がほとんどです。上から順に一つずつで構いません。初診日の記録だけは後から取り直しにくいため、最初に押さえておくと安心。あとは相談先が次の一歩を一緒に考えてくれます。一人で全部を抱える必要はありません。FAQQ1. 若年性認知症と診断されたら、すぐに仕事を辞めるべきですか。すぐに辞める必要はありません。症状の程度や職種によっては、業務調整や配置転換で働き続けられる場合があります。まずは産業医や人事など信頼できる相手に相談し、両立支援の仕組みを使えないか探ってみてください。焦って退職すると収入も社会とのつながりも失いやすいため、若年性認知症支援コーディネーターに相談しながら判断してください。Q2. 40代・50代でも介護保険は使えますか。使えます。若年性認知症は介護保険の特定疾病に指定されているため、40歳以上であれば要介護認定を受けることで訪問看護やデイサービスなどのサービスを利用できます。市区町村の介護保険窓口で申請してください。認定には時間がかかるため、必要になりそうな段階で早めに申請しておくと安心です。Q3. 収入が減ったとき、まず何の制度を申請すればよいですか。在職中に働けなくなった場合は、まず健康保険の傷病手当金で当面の収入を確保します。傷病手当金には支給期間の上限があるため、並行して障害年金の準備を進めます。障害年金は初診日の証明が重要になるので、受診の記録を残しておいてください。医療機関の医療ソーシャルワーカーに相談するとスムーズです。Q4. 子どもにはどう伝えればよいでしょうか。年齢に合った言葉で正直に伝えることが基本です。小学生には「脳の病気で忘れやすくなる」と簡単に、中高生には病気の仕組みと今後の変化を具体的に説明します。共通して大切なのは、子どものせいではないと伝え、過度な介護役割を負わせないことです。学校のカウンセラーや地域の相談窓口にも状況を共有しておくと安心です。Q5. 訪問看護は若年性認知症でも利用できますか。利用できます。要介護認定を受けた40歳以上の方であれば、介護保険で訪問看護を使えます。訪問看護師が定期的に自宅を訪ね、健康管理・服薬支援・生活リズムの見守りを行い、家族の相談にも応じます。医療者がいない時間帯の不安についても、対応の見通しを一緒に整理できます。Q6. 家族の介護のために仕事を休みたいときは、どんな制度がありますか。育児・介護休業法により、介護休業(対象家族1人につき通算93日まで)や介護休暇(年5日まで)などが利用できます。介護休業は介護の体制を整える準備期間として使うのが現実的です。この間にケアマネジャーを決め、訪問看護やデイサービスの利用を組み立てておくと、仕事を続けながら介護を分担する体制がつくれます。Q7. 若年性認知症は何歳から?進行や予後はどうなりますか。一般に18歳から64歳までに発症した認知症を若年性認知症と呼びます。進行の速さや今後の見通しは、アルツハイマー型・血管性・前頭側頭型など原因疾患によって幅があり、一律には言えません。だからこそ、まず専門医で原因を確かめ、進行に合わせて服薬・リハビリ・在宅サービスを調整していくことが、その人らしい生活を長く保つうえで大切になります。予後を過度に決めつけず、今できる備えから一つずつ整えていってください。まとめ若年性認知症と診断されたら、仕事・お金・家族の心・在宅生活の4つの備えを、早い段階から順番に整えていくことが暮らしを守る鍵になります。仕事は焦って辞めず両立支援を探り、収入は傷病手当金から障害年金へと制度を組み合わせ、40歳以上なら介護保険の特定疾病で訪問看護も使えます。家族の心を守り、子どもには年齢に応じて正直に伝えることも大切です。ひとりで抱え込まず、市区町村の窓口や若年性認知症支援コーディネーター、そして訪問看護を入り口に、一歩ずつ支援につながっていきましょう。ピース訪問看護ステーションにご相談ください若年性認知症の在宅生活は、本人の体調管理から家族の介護負担、制度の使い方まで、悩みが幅広く続きます。ピース訪問看護ステーションは、そのひとつひとつに寄り添います。こんな方はぜひご相談ください:若年性認知症と診断され、これからの在宅生活に不安を感じている方働きながら家族の介護を担い、負担の分散先を探している方服薬管理や生活リズムの乱れ、医療者がいない時間の対応に困っている方ピース訪問看護ステーションができること:定期訪問による健康管理・服薬支援・生活リズムの見守りご家族の介護相談への対応と、主治医・ケアマネジャーとの連携進行の段階に合わせた在宅環境づくりの提案町田市・相模原市・多摩市など東京都南部を中心に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。関連記事認知症の進行を防ぐには?デイサービスの効果と活用ポイントを解説介護疲れを防ぐ!訪問看護で変わる家族の介護負担、疲弊しないための実践ガイド介護離職を防ぐための完全ガイド:仕事と介護を両立する制度・実務・訪問看護の活用術介護費用はいくらかかる?在宅・施設・訪問看護の自己負担と上限をわかりやすく解説徘徊GPS完全ガイド:認知症の徘徊対策と最新デバイスの選び方参考文献一覧出典:厚生労働省「若年性認知症支援ガイドブック」(2020年)https://www.mhlw.go.jp/content/guidebook_2020.pdf出典:日本神経学会(認知症・神経疾患に関する情報)https://www.neurology-jp.org/出典:国立長寿医療研究センター(認知症・高齢者医療に関する情報)https://www.ncgg.go.jp/出典:厚生労働省「介護・高齢者福祉」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html出典:厚生労働省「育児・介護休業法」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理、地域医療連携、在宅看取り支援に積極的に取り組んでいる。island-piece.jp 株式会社isLand|訪問看護・居宅介護支援・訪問介護|町田市