台所で物音がして駆けつけると、親が床に座り込んでいる。声はかけられるけれど、どこを痛がっているのかはっきりしない。抱き起こしていいのか、それとも救急車なのか。訪問先でもっとも多く聞かれるのが、この「転んだ後、まず何をすればよかったのか」という質問です。高齢者の転倒は、けがそのものより、その後の対応で結果が変わります。あわてて抱き起こしたために骨折部がずれることもあれば、その場は歩けたのに数週間たってから頭の症状が出てくることもあります。この記事では、高齢者が家で転倒したその後の対応を、起こす前の確認、119番の目安、様子を見てよい場合、後から出る症状の順に整理します。町田市・相模原市で訪問看護をする中で、ご家族にお伝えしている手順です。この記事でわかること読む時間がないときは、まず名前を呼んで意識と出血を確かめ、立てない・手足が変形しているなら動かさずに119番してください。起こす前の4点チェック(意識・出血・骨折・変形)すぐに119番すべきサインと、動かさず救急隊を待つ場面様子を見てよい場合の条件と、♯7119に相談する受診の目安慢性硬膜下血腫など、転倒の数週間後に出てくる症状一人暮らし・老老介護の世帯で備えておける仕組み高齢者が家で転んだら、まず何をする?起こす前に確認すべきこと高齢者が家で転倒したその後の対応は、すぐに起こさず、意識・出血・痛みを確かめてから動かすかどうかを決めるのが基本です。多いのは、家族が反射的に両脇を抱えて立たせてしまう場面です。大腿骨や背骨が折れていれば、体重をかけた瞬間に骨折部がずれ、痛みも治療も重くなります。まずは起こす前に止まることから始めます。転倒直後の30秒ですること、してはいけないこと順番することしてはいけないこと1名前を呼び、返事と目線を確かめる返事を待たずに体を揺する2出血・頭を打ったかを目で確認する髪をかき分けて強くこする3「どこが痛い?」と本人に聞く痛む側の腕や脚を引っぱる4手足を本人に動かしてもらう家族が関節を曲げ伸ばしする5起こすか救急車かを決める判断が決まる前に立たせる最初にやるのは、抱き起こすことではなく声をかけることです。返事の内容より、いつも通りの声の張りで応じられるか、目線が合うかを見ます。次に床や衣類の血、頭やおでこの傷や腫れを目で追い、痛む場所を本人の言葉で聞いて、指1本で「ここ」と示せるかを確かめます。手足は家族が動かさず、ご本人に少しずつ動かしてもらってください。他人が動かすと、折れていても痛みが出る前に大きく動いてしまうためです。この確認は30秒ほどで終わります。家で起きる転倒はどこで多いか場所起きやすい状況見直したい点寝室・布団まわり夜間にトイレへ向かうとき足元灯、ベッド柵、動線の物浴室・脱衣所洗い場の床、またぎ動作滑り止め、手すり玄関・上がりかまち靴の脱ぎ履き、段差手すり、腰かけ台消費者庁には、65歳以上の高齢者が自宅で転倒したという事故情報が5年間で275件寄せられ、8割以上が通院や入院の必要なけが、骨折した場合は76%が入院に至っていました(出典:消費者庁「10月10日は『転倒予防の日』、高齢者の転倒事故に注意しましょう!」)。転倒事故の約半数は、住み慣れた自宅で起きています。慣れた場所ほど足元を見ずに動きます。「どこで、何をしていて転んだか」を覚えておくと、受診先での説明がそのまま診断の手がかりに。再発予防は高齢者の転倒予防と対策にまとめています。起こす前の4点チェック|意識・出血・骨折・体の変形を確かめる高齢者が転倒した後、起こす前に確認するのは意識、出血、骨折を疑う痛み、手足の変形の4点で、命に関わる順に上から確かめます。4つを最後まで確かめてから判断する必要はありません。危険なサインが出た時点で、それ以上動かさず119番へ進みます。①意識と受け答えを確かめる確認項目確かめ方危険と判断する反応呼びかけ名前を呼ぶ反応がない、目を開けない見当識今いる場所を聞く自宅なのに答えられない会話短い質問をする言葉が出ない、ろれつが回らない動作両手を前に挙げてもらう片側だけ下がる、力が入らない記憶転んだ状況を聞く転んだこと自体を覚えていない意識の確認は、目を開けているかだけでは足りません。「ここはどこ?」「何をしていて転んだ?」と、その場で答えが決まる質問をしてみてください。受け答えがかみ合わない、同じ質問を繰り返すといった変化が手がかりです。言葉が出にくい、ろれつが回らない、片方の手に力が入らない反応は、けがではなく脳の症状の可能性があります。先に脳の異変が起きて転んだ順番のこともあるため、けがの程度に関係なく救急要請へ。転んだこと自体を覚えていない場合も様子見にはせず、失神の原因と対処法で挙げた背景が隠れていないかを確かめます。②出血と頭を打ったかどうかを確かめる見る場所確認すること対応頭・額・後頭部傷、たんこぶ、押すと痛む点清潔な布で押さえる腕・脚すり傷、皮膚が裂けていないか汚れを落としてから保護耳・鼻透明な液や血が出ていないか拭き取るだけにして救急要請出血は、見た目の派手さと重さが一致しません。頭皮は血管が多く、浅い傷でも床が赤くなるほど出る一方、皮膚が破れていない打撲が後から問題になることもあります。まずは清潔なタオルやガーゼを当て、手のひらで押さえたまま様子を見ます。にじみ出て止まる気配がない、床に広がるほど出ているときは、押さえたまま救急要請へ切り替えてください。高齢の方は皮膚が薄く、家具の角に軽く当たっただけでも裂けます。ご本人が「たいしたことない」と伝えないまま、数日後の訪問で見つかることも。出血の有無は、申告ではなく目で確かめてください。③痛みの場所と骨折を疑うサインを確かめる部位骨折を疑うサインその場の対応足のつけ根(股関節)立てない、歩けない、脚が短く見える動かさず救急要請太もも・膝変形、異常な向き、強い腫れ動かさず救急要請手首・腕手をついた後の変形、腫れ支えて固定し受診背中・腰寝返り・起き上がりで強い痛み平らな場所で安静にし受診家庭で判断が難しいのが足のつけ根です。日本整形外科学会は大腿骨頚部骨折について、「股関節部(脚の付け根)に痛みがあり、ほとんどの場合、立つことや歩くことができなくなります」と説明しています(出典:日本整形外科学会「大腿骨頚部骨折」)。立てない、歩けないこと自体が骨折を疑う根拠です。同じページには、高齢者が「何日か前から足の付け根を痛がっていたが、或る時急に立てなくなった」というエピソードがよくある例として挙げられています。変形、左右で脚の長さが違って見える、つま先が外を向いたままという所見があれば、その場で起こしません。手首や腕は支えて固定できますが、股関節と背骨は家庭で固定できず、ここが救急要請かどうかの分かれ目です。治療とその後は高齢者の大腿骨骨折の原因・治療・リハビリ・予防法で扱っています。④安全に起こす手順と、起こした後の観察手順動き注意点1痛む側と反対の横向きにする本人のペースに合わせる2両膝を曲げ、四つばいになる家族は支えるだけ3近くのいすや台に手をつく膝より高いものを選ぶ4痛くない側の脚を立てる片膝立ちで一度止まる5ゆっくり立ち、いすに座る立った直後は手を離さない4点チェックで危険なサインがなければ、ここで初めて起こします。ご本人に段階を踏んで動いてもらい、家族は支える役に回ってください。引き上げると家族側が腰を痛め、途中で力尽きて二人とも転ぶ事故が実際に起きています。痛みが強くなったらその姿勢で止め、受診の判断に戻してください。起こした後は、いすに座って数分様子を見ます。顔色、汗のかき方、受け答え、痛みの変化を確認します。歩いてもらうのは、痛みなく体重をかけられることを確かめてからにします。すぐに119番すべきサインと、動かさず待つべき場面転倒後に意識がはっきりしない、けいれん、止まらない出血、強い変形、足のつけ根の痛みで立てないときは、救急車を呼ぶ目安なので動かさずに119番します。迷いやすいのは「これくらいで呼んでいいのか」という遠慮です。総務省消防庁は救急安心センター事業(♯7119)を「医師・看護師・救急救命士から電話でアドバイスを受けることができる仕組み」と説明しています。迷うこと自体が織り込まれた窓口です(出典:総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)ってナニ?」)。迷わず119番するサイン分類サイン意識反応がない、呼びかけても目を開けない、けいれんしている会話・動き言葉が出ない、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らない呼吸息が荒い、息苦しさを訴える、顔色が青白い出血押さえても止まらない、耳や鼻から透明な液や血が出ている骨・関節明らかな変形、足のつけ根の痛みで立てない・歩けない表のサインは、どれか1つでも当てはまれば救急要請の対象。すべて揃うのを待つ必要はなく、ご本人が「大丈夫」と言っていても変わりません。転倒直後は興奮して痛みを感じにくく、あとから動けなくなることもあります。判断の軸は「命に関わるか」と「家庭で動かせるか」の2つ。変形と立てない状態は後者で、救急隊が適切な体位で運ぶ必要があり、自家用車での受診には向きません。動かさず救急隊を待つべき場面と、待つ間にできること状況待つ間にすること避けること立てない・強い変形その姿勢のまま毛布をかける座らせる、脚を伸ばす意識がもうろう顔を横に向け、そばを離れない水や薬を口に入れる頭からの出血布で押さえ続ける傷口を洗う、氷を強く当てる嘔吐がある横向きにして吐物を出すあお向けのままにする救急要請をしたら、そこから先は動かさないことが最大の処置です。股関節や背骨のけがが疑われる場面では、楽な姿勢に整えようとする行為が、そのまま骨折部を動かすことにつながります。床が冷たいときだけは例外で、体を持ち上げずに毛布をすき間から差し込み、上からもかけて保温してください。待つ間に玄関の鍵を開け、廊下の荷物をどけ、薬やお薬手帳をまとめておくと、救急隊の到着後が早く進みます。介護保険の認定を受けている方は、ケアマネジャーの連絡先も出しておいてください。119番で伝えること伝える項目例場所住所、建物名、部屋番号、目印誰が年齢と性別(80代の女性、など)何があったか「居間で転んで、足のつけ根を痛がって立てません」持病・薬病名と、抗凝固薬など飲んでいる薬通報は「救急です」と伝えるところから始まり、あとは聞かれたことに答えていけば必要な情報が揃います。伝え漏らしやすいのは薬で、血液をさらさらにする薬や精神科の薬は、その後の検査や処置の判断に関わります。お薬手帳は、そのまま持って行ってください。電話は、切ってよいと言われるまで切りません。玄関の解錠や誘導は、可能なら別の家族に頼みます。様子を見てよい場合とかかりつけ医・♯7119に相談する受診の目安転倒後に自力で立てて受け答えがはっきりし、頭を打っておらず痛みも軽ければ様子を見てよい場合が多く、迷うときは受診の目安を♯7119で相談します。ただし「様子を見る」は、放っておくことではありません。何を、いつまで見るかを決めて観察することです。決めずに一晩過ごし、翌朝に動けなくなっているのが、在宅で最も避けたい展開です。様子を見てよい場合の条件条件内容意識受け答えがいつも通りで、転んだ状況を説明できる頭頭を打っていない(打ったかどうか分からない場合は、この条件を満たさないものとして扱う)出血押さえて止まった、または出血がない動作自力で立てて、痛みなく体重をかけて歩ける痛み打撲部位の痛みだけで、時間とともに強くならない薬抗凝固薬・抗血小板薬を飲んでいない6つの条件がすべて揃うことが、様子を見てよい場合の目安です。1つでも外れるなら、相談か受診へ。見落とされやすい薬の条件は、お薬手帳で確認します。観察するのは、痛みの変化、歩き方、顔色、食事や水分がとれているか、受け答えの5つ。翌日に痛みが強まる、かばって歩く、口数が減るといった変化は受診のきっかけです。転倒直後は気が張っていて痛みを正確に表現できないため、訪問看護の現場では、その日の夜と翌朝の2回、同じ質問で確かめてもらっています。119番と♯7119の使い分け、迷ったときの調べ方手段連絡先使う場面119番119上の危険なサインに当てはまるとき♯7119(町田市など東京都)♯7119、多摩地区は042-521-2323呼ぶか迷うとき♯7119(相模原市など神奈川県)♯7119、042局番の固定電話は045-232-7119同上救急受診アプリ「Q助」消防庁の公式アプリ・ウェブ版緊急度を自分で確かめたいとき東京消防庁の救急相談センターは、医師・看護師・救急隊経験者などのチームが24時間365日対応し、多摩地区は042-521-2323からもかけられます(出典:東京消防庁「東京消防庁救急相談センター」)。町田市にお住まいの方はこちらが窓口です。神奈川県の「かながわ救急相談センター」も24時間365日年中無休で、看護師が緊急性のある症状か、すぐに受診する必要があるかを判断すると案内されています。042で始まる固定電話からは♯7119ではなく直通の045-232-7119へかけるよう求められているので、相模原市の方はこの番号も控えておいてください(出典:神奈川県「かながわ救急相談センター(♯7119)」)。消防庁の全国版救急受診アプリ「Q助」も使えます。症状を選んでいくと「今すぐ救急車を呼びましょう」「できるだけ早めに医療機関を受診しましょう」と緊急度が表示されます(出典:総務省消防庁「全国版救急受診アプリ(愛称「Q助」)」)。かかりつけ医・整形外科・脳神経外科、どこにかかるか状態受診先時間の目安打撲の痛みが続く、腫れがひかない整形外科数日以内頭を打った後の頭痛・吐き気脳神経外科その日のうち頭を打った後の物忘れ・歩きにくさ脳神経外科早めに持病の悪化が疑われるかかりつけ医診療時間内に電話転倒後の受診は、痛む場所で決めるとうまくいきます。判断がつかないときは、かかりつけ医に電話して紹介してもらいます。受診のときは、いつ・どこで・どう転んだか、頭を打ったか、直後に歩けたか、飲んでいる薬をメモして持参してください。ご本人が覚えていない部分を家族が補えると、診断が早く進みます。介護保険のサービスを使っている方は、ケアマネジャーにも連絡を。転倒をきっかけに、手すりの追加や福祉用具の見直しが必要になることが多いためです。受診の目安に迷ったときは、ピース訪問看護ステーションへのお問い合わせもご利用ください。転倒後に見逃しやすい症状|頭部外傷と骨折は数日後にサインが出ることがある転倒後に見逃しやすいのは、数週間たってから現れる慢性硬膜下血腫と、歩けてしまうために発見が遅れる骨折です。転倒でいちばん怖いのは、その日を無事に越えて安心してしまうことです。慢性硬膜下血腫は数週間後に出てくる時期起こりうること家族が気づく変化当日打撲による頭痛「頭を打った」と本人が話す3週間〜3か月血腫が増えて脳を圧迫頭痛、手足の動かしにくさ、物忘れや性格の変化日本脳神経外科学会広報委員会などが運営する疾患情報サイトは、慢性硬膜下血腫について「軽微な外傷後3週間から3ヶ月で硬膜下に血腫が生じ、徐々に増大して、脳を圧迫し症状が現れます」と説明しています。「中高年以上の男性に多く」としつつ、高齢者人口の増加で後期高齢者に多くなり、男女差も小さくなってきたとも記されています(出典:日本脳神経外科学会広報委員会・日本脳神経外科コングレス「慢性硬膜下血腫」)。女性だから関係ない、とは考えないでください。現場で困るのは、この時期の変化が「年のせい」「認知症が進んだ」と受け取られやすいことです。物忘れが増えた、歩幅が狭くなった、日中うとうとする時間が増えた。どれも加齢でも起こるため、転倒と結びつきにくくなります。だからこそ、転んだ日をノートに残してください。訪問時に「先月末に転びましたよね」と確認できるだけで、受診の判断が変わります。転倒後の判断が変わる薬|血液をさらさらにする薬と睡眠薬薬の種類代表的な使われ方転倒時に変わること抗凝固薬心房細動、血栓の予防出血が止まりにくく、頭蓋内出血に注意抗血小板薬脳梗塞・心筋梗塞の後皮下出血やあざが広がりやすい睡眠薬・抗不安薬不眠、不安ふらつきが加わり転倒しやすい前述の疾患情報サイトは、慢性硬膜下血腫について「一般的には高齢者の抗血栓療法やアルコール摂取がリスクと考えられています」と述べています。抗血栓療法とは、抗凝固薬や抗血小板薬で血を固まりにくくしておく治療のこと。これらを飲んでいる方が頭を打つと、その場は元気に見えても、頭の中で出血が進んでいることがあります。この条件では様子見の判断はせず、相談か受診に進んでください。薬の影響は転ぶ前にも関わります。日本睡眠学会は睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドラインを公開しており、睡眠薬の使い方は主治医と相談する領域です(出典:日本睡眠学会「ガイドライン」)。自己判断で中止せず、転倒があったことを主治医や薬剤師に伝えてください。訪問看護でも、転倒の報告を受けたら必ずお薬手帳を開き、直近で薬が変わっていないかを確認します。歩けるのに骨折している、転倒後に動けなくなる見落としやすい状態気づくきっかけ対応背骨の圧迫骨折寝返り・起き上がりだけが痛い整形外科で画像検査大腿骨の不完全な骨折数日かけて歩けなくなる早めに整形外科転倒後症候群けがはないのに動かなくなる生活動作の再開を支える歩けているのに骨折していることがあります。背骨の圧迫骨折は歩けることが多く、寝返りや起き上がりのときだけ強く痛むのが特徴。骨粗鬆症のある方では、しりもちや重い物を持った動作でも起こります。詳しくは骨粗鬆症の圧迫骨折、在宅生活での注意点にまとめました。もう一つ、けが以上に生活を変えるのが転倒後症候群です。転んだ恐怖から動くことを避け、外出も家事も減り、筋力が落ちてまた転びやすくなる悪循環を指します。骨折のなかった方が1か月後に歩行器なしで歩けなくなる経過を、在宅では何度も見ます。だからこそ、転倒の後は休ませるだけで終わらせません。痛みの範囲内で座る、立つ、短い距離を歩くところまで戻すのが近道。家族だけでは判断しにくいので、訪問看護やリハビリの出番になります。訪問看護でできること|再発を防ぐ環境づくりと一人暮らし・老老介護世帯の見守り訪問看護では、転倒した状況を聞き取って原因を絞り込み、住まいと動作を整え、一人暮らし高齢者や老老介護の世帯には見守りの仕組みを組み合わせます。転倒は、不注意ではなく条件が重なって起きます。夜間の暗さ、薬の影響、履物、血圧の変動、トイレの回数。条件を1つずつ外せば、再発の確率は下げられます。町田市・相模原市の在宅で見ている、転びやすい場面場面現場で多い背景打てる手夜中のトイレ暗さ、寝起きの血圧、急ぐ気持ち足元灯、ポータブルトイレ入浴濡れた床、またぎ動作、疲労手すり、シャワーチェア薬が変わった週ふらつき、眠気主治医・薬剤師への報告町田市・相模原市で訪問看護を提供する中で、転倒の相談がとくに増えるのは真冬の早朝と、梅雨どきの夜間です。町田市の丘陵地では玄関までの階段が長い住宅が多く、相模原市では広い平屋で寝室からトイレまでの距離が長いご家庭もあります。同じ「夜中のトイレ」でも、住まいで手の打ち方が変わります。件数を数えた統計ではありませんが、私たちの訪問先で目立つのは薬が変わって最初の1週間の転倒です。薬の効きが翌朝まで残る、寝起きの血圧が下がりやすくなるといった変化が、暗い中で急いで起き上がる動作と重なる時期だからです。ご家族には、転倒した時刻・場所・直前の動作の3つだけメモしてもらいます。これが揃うと、原因はかなり絞り込めます。一人暮らし・老老介護の世帯で備えておけること備え内容窓口緊急通報システムボタンや火災感知器で通報町田市の救急通報システム事業緊急通報サービス通報機器の貸与と相談相模原市の緊急通報サービス連絡先カード持病・薬・家族の連絡先を1枚に冷蔵庫や電話のそばに貼る一人暮らしで怖いのは、転んだこと自体より、転んだまま誰にも気づかれない時間が長引くことです。町田市は高齢者の救急通報システム事業を設けており(出典:町田市「救急通報システム事業」)、見守りの案内もまとめられています(出典:町田市「高齢者の見守りについて」)。しくみや申請は町田市の救急通報システムの解説記事でも紹介しています。相模原市にも緊急通報サービスがあります(出典:相模原市「緊急通報サービス」)。手すりの設置や段差の解消は、介護保険の住宅改修の対象になる場合があります。窓口は地域包括支援センター(町田市では高齢者支援センター)やケアマネジャーです(出典:厚生労働省「介護・高齢者福祉」)。老老介護では、80代の配偶者が一人で起こそうとして腰を痛めるのが典型です。起こせないときは無理をしない、という取り決めを先にしておいてください。介護する側の負担は老老介護で共倒れしないために、見守り機器は見守りカメラと訪問看護連携で扱っています。訪問看護が転倒後にしていること場面訪問看護の関わり転倒の報告を受けたとき状況の聞き取り、全身の観察、緊急度の確認と主治医への報告受診に迷うとき主治医への連絡と相談、♯7119の使い方の説明受診が決まったとき情報提供書の作成、家族が伝える内容の整理落ち着いた後住環境の調整、動作練習、服薬内容の見直し提案転倒の後、ご家族が一番心細いのは「この判断で合っているのか」を確かめられないときです。訪問看護が入っていれば、転んだ直後に電話で状況を聞き取り、必要なら臨時訪問で観察し、主治医に連絡するところまで一続きで動けます。その後はしばらく訪問頻度を上げ、痛みと動作を追いかけます。動かなすぎても無理をしすぎても回復が遅れるためです。手術後の過ごし方は大腿骨骨折の術後、自宅に戻ってからの生活を参考にしてください。よくある質問Q1. 転んだ直後、すぐに抱き起こしてもいいですか?いいえ、すぐには起こしません。まず声をかけて意識を確かめ、出血、痛みの場所、手足の変形の4点を見ます。足のつけ根を痛がって立てない、明らかな変形がある、意識がはっきりしないときは、動かさず119番してください。Q2. 頭を打ったけれど元気そうです。受診しなくても大丈夫ですか?その日は元気に見えても安心はできません。頭痛、吐き気、嘔吐、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らないといった変化があれば、その日のうちに脳神経外科へ。血液をさらさらにする薬を飲んでいる方は、症状がなくても相談に進みます。Q3. 血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)を飲んでいると何が変わりますか?出血が止まりにくくなり、頭の中で出血が起きるリスクが上がります。日本脳神経外科学会広報委員会などの疾患情報サイトでも、慢性硬膜下血腫のリスクとして高齢者の抗血栓療法(抗凝固薬・抗血小板薬)が挙げられています。頭を打ったら元気に見えても様子見にはせず、♯7119やかかりつけ医に相談してください。Q4. 救急車を呼ぶか迷ったときはどうすればいいですか?(♯7119の使い方)♯7119に電話してください。町田市など東京都内は東京消防庁救急相談センターが24時間365日対応し、多摩地区は042-521-2323からもかけられます。相模原市など神奈川県内は、かながわ救急相談センターが24時間365日年中無休で対応し、042局番の固定電話からは045-232-7119へかけます。Q5. 転んだ数日後に様子がおかしいのですが転倒と関係ありますか?(慢性硬膜下血腫)関係している可能性があります。慢性硬膜下血腫は、軽微な外傷後3週間から3ヶ月で血腫が生じ、徐々に増大して脳を圧迫し症状が現れるとされています(出典:日本脳神経外科学会広報委員会・日本脳神経外科コングレス「慢性硬膜下血腫」)。頭が重い、歩きにくい、物忘れが増える形で現れ、加齢や認知症の進行と間違われやすいので、直近の転倒を伝えたうえで脳神経外科を受診してください。Q6. 転んだことを本人が覚えていない場合はどうすればいいですか?様子見にはせず、相談か受診に進んでください。転倒の記憶がない場合、一時的に意識が途切れた可能性や、失神・めまいが先に起きた可能性があります。家庭でこれを区別するのは困難です。床の状況や家具のずれを写真に残しておくと、受診時の説明に役立ちます。Q7. 足のつけ根を痛がって歩けない場合、骨折を疑うべきサインは何ですか?立てない、歩けないこと自体が重要なサインです。日本整形外科学会も大腿骨頚部骨折について、股関節部に痛みがあり、ほとんどの場合は立つことも歩くこともできなくなると説明しています。脚が短く見える、つま先が外を向いたままという所見があれば、動かさず119番してください。Q8. 一人暮らしの高齢者が転んだときに備えてできることは何ですか?通報と発見の手段を、本人が動けない前提で用意しておきます。町田市の救急通報システム事業や相模原市の緊急通報サービスなど、自治体の仕組みを使えるか確認してください。持病・服用薬・家族の連絡先を書いたカードを電話のそばに貼り、玄関の鍵を家族や近隣が開けられるようにしておくと、救急隊の到着後が早く進みます。まとめ高齢者が家で転倒したその後の対応は、起こす前に意識・出血・骨折・変形の4点を確かめるところから始まります。意識がはっきりしない、止まらない出血、明らかな変形、足のつけ根の痛みで立てないといったサインがあれば、動かさず119番してください。危険なサインがなく、自力で立てて痛みも軽ければ様子を見てよい場合が多く、迷うときは♯7119やQ助で確認できます。注意したいのは、頭を打った後の慢性硬膜下血腫のように数週間たってから出てくる変化と、歩けてしまうために遅れる骨折です。まだ転倒が起きていないご家庭は、持病・服用中の薬・家族の連絡先を書いたカードを1枚つくり、電話のそばに貼るところから始めてください。ピース訪問看護ステーションにご相談くださいこんな方はぜひご相談ください:親が家で転んだが、受診すべきか様子見でよいか判断できない方一人暮らしの家族が転倒を繰り返し、見守りの方法を探している方老老介護で、転んだときに起こせる自信がない方ピース訪問看護ステーションができること:転倒後の全身の観察で緊急度を確認し、主治医と相談したうえで受診の要否を判断転倒の状況から原因を絞り込み、住まいと動作、服薬の見直しを提案転倒後に動く量が減った方へのリハビリと、生活動作を戻す支援東京都町田市・多摩市、神奈川県相模原市・大和市・川崎市麻生区を中心に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。関連記事高齢者の転倒予防と対策:健康寿命を延ばすためにできること【専門家監修】高齢者の大腿骨骨折の原因・治療・リハビリ・予防法まで徹底解説大腿骨骨折の術後、自宅に戻ってからの生活と再骨折の予防骨粗鬆症の圧迫骨折、在宅生活での注意点と家族が支える回復のコツ老老介護で共倒れしないために|介護する人が限界を迎える前にできること見守りカメラと訪問看護連携、家族が異常を発見して活かせる仕組み参考文献一覧各URLは2026年9月11日に閲覧し、本文の引用箇所がページ内に記載されていることを確認しています。出典:消費者庁「10月10日は「転倒予防の日」、高齢者の転倒事故に注意しましょう!-転倒事故の約半数が住み慣れた自宅で発生しています-」https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_040出典:総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)ってナニ?」https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate007.html出典:総務省消防庁「全国版救急受診アプリ(愛称「Q助」)」https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate003.html出典:東京消防庁「東京消防庁救急相談センター」https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kyuu_adv/soudan-center.html出典:神奈川県「かながわ救急相談センター(♯7119)」https://www.pref.kanagawa.jp/docs/t3u/kksc7119.html出典:日本整形外科学会「大腿骨頚部骨折」https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/femoral_neck_fracture.html出典:日本脳神経外科学会広報委員会・日本脳神経外科コングレス「脳神経外科疾患情報ページ 慢性硬膜下血腫」https://square.umin.ac.jp/neuroinf/medical/306.html出典:日本睡眠学会「ガイドライン(睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン)」https://jssr.jp/guideline出典:町田市「救急通報システム事業」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/old/shiminnokatae/seikatsukurashi/moshimo/kinkyutuhoshisutemu.html出典:町田市「高齢者の見守りについて」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/old/shiminnokatae/seikatsukurashi/mimamori/index.html出典:相模原市「緊急通報サービス」https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kosodate/fukushi/1026635/korei_shien/1006378.html出典:厚生労働省「介護・高齢者福祉」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理、地域医療連携、在宅看取り支援に積極的に取り組んでいる。island-piece.jp 株式会社isLand|訪問看護・居宅介護支援・訪問介護|町田市