通所リハビリと訪問リハビリは、いずれも要介護者の自立支援を目的とした重要なリハビリサービスです。介護保険制度上、通所と訪問のリハビリは、原則的にはそれぞれ単独での利用が基本とされていますが、一定の条件を満たす場合には併用も可能です。この記事では、両者の違いや併用可否の制度背景、例外的に認められる条件、そして現場の工夫について解説します。1. 通所リハビリと訪問リハビリの違い通所リハビリ(デイケア)は、施設に通ってリハビリを受けるサービスで、入浴や食事などの生活支援も行われます。一方、訪問リハビリは、理学療法士や作業療法士が自宅に訪問し、生活環境に即したリハビリを提供します。両者の主な違いは「場所」と「訓練内容」にあります。通所は施設設備を活かした訓練が可能で、訪問は在宅生活に直結した動作練習が中心です。利用者の状態や生活環境に応じて選択・併用が検討されます。2. 併用が制限される背景制度上、通所リハビリと訪問リハビリの併用には注意が必要です。特に「同一日に同様の目的で提供されるリハビリ」は、過剰な給付とみなされ、介護保険の適正な運用を妨げる恐れがあります。ただし、厚生労働省の通知では「通所だけではADLの自立が困難な場合」など、必要性が認められるときは併用が可能とされています。つまり「一律に禁止」ではなく、目的や必要性に応じた柔軟な対応が制度上認められているのです。また、同一日に提供される場合でも、時間帯や目的が明確に分けられていれば、制度上併用が認められることもあります。3. 併用が認められる具体的なケース以下のような条件を満たす場合、通所と訪問のリハビリを併用することが可能です:医師の指示により、訪問リハビリによる生活環境への直接的な支援が必要とされた場合通所リハビリと訪問リハビリで目的が明確に異なる(例:通所で身体訓練、訪問で住環境への適応訓練)それぞれ別の事業所で提供され、別々のリハビリ計画に基づいている場合同一日利用でも、時間帯・目的が明確に区別されている場合併用を行うには、ケアマネジャーや主治医が適切に判断し、リハビリテーション会議などで必要性を説明することが求められます。4. 現場での工夫と注意点現場では「制度的にグレーだが、利用者にとって必要」というケースも多く、次のような工夫がされています:利用日を週単位で調整し、通所と訪問を使い分けるリハビリの目標や担当を明確に分担する(通所で体力強化、訪問で生活動作訓練など)サービス担当者会議を頻繁に実施し、計画の整合性を保つまた、地域ごとに運用が異なる場合があるため、自治体への確認や最新の制度解釈を把握することが重要です。まとめ通所リハビリと訪問リハビリは、介護保険制度上で併用が制限されることがありますが、「通所のみでは不十分」と判断されれば併用も可能です。医師やケアマネジャーの判断と、明確な計画・目的に基づく運用が前提となります。制度の正確な理解と、利用者本位の柔軟な対応が、リハビリの質向上と自立支援につながります。関連記事【要注意】屋外歩行訓練はできる?訪問看護・リハビリで実施するための条件と注意点訪問看護とは?できること・できないことをわかりやすく解説訪問看護は医療保険?介護保険?迷ったときの使い分けガイド町田市で訪問看護や介護サービスについて知りたい方は、ピース訪問看護ステーションの公式サイトもあわせてご覧ください。▶ https://island-piece.jp/service/houmonkango