1. 脂肪肝(MASLD/MASH)とは?肝臓に脂肪がたまる病気の基本脂肪肝ってどんな病気?(肝臓に脂肪がたまるしくみ)内容説明定義肝細胞の5%以上に脂肪がたまった状態原因食べすぎ、運動不足、飲酒、糖尿病など種類MASLD(非アルコール性)とASH(アルコール性)改善可能性食事と運動で多くは回復可能脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪が過剰にたまる状態を指します。正常な肝臓では脂肪はごくわずかですが、肝細胞の5%以上に脂肪が沈着すると脂肪肝と診断されます。初期には自覚症状がほとんどなく、健康診断でAST・ALTの上昇によって発見されることが多いです。放置すると炎症(MASH)や線維化が進み、肝硬変や肝がんに移行する可能性があります。早期に生活を見直せば改善が期待できます。出典:日本肝臓学会「MASLD/MASH診療ガイドライン2023」https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/MASLDとMASHの違い(新しい病名の背景)名称意味特徴MASLD代謝異常関連脂肪性肝疾患肥満・糖尿病・高脂血症など代謝異常が背景MASH代謝異常関連脂肪性肝炎炎症と肝細胞の破壊を伴う進行型ASHアルコール性肝炎アルコール摂取が主因従来の「NAFLD/NASH」はアルコールの有無で分けていましたが、現在は代謝異常の有無を重視して分類されます。肥満や糖尿病、高脂血症などの代謝異常を伴う場合はMASLD、さらに炎症を伴うとMASHと診断されます。MASHは線維化や肝硬変に進むリスクが高いため、血液検査や超音波検査による早期発見が重要です。出典:AASLD Practice Guidance 2023肝臓の役割と脂肪がたまると何が起こるか肝臓の主な働き内容代謝栄養をエネルギーに変える解毒アルコール・薬・老廃物を分解胆汁の生成脂肪の消化を助ける貯蔵糖・ビタミン・ミネラルを蓄える免疫細菌や毒素の処理を担う肝臓は「体の化学工場」と呼ばれ、代謝・解毒・貯蔵など多くの役割を担っています。脂肪がたまりすぎると代謝が乱れ、毒素の分解も遅れ、全身のだるさや倦怠感が出ることがあります。肝臓は症状が出にくい臓器ですが、放置すれば線維化が進み、修復が難しくなります。定期的な健診と生活改善が、沈黙のうちに進む肝臓の変化を防ぐ鍵になります。出典:厚生労働省「肝臓の働きと肝疾患の基礎知識」https://www.mhlw.go.jp/2. 脂肪肝の主な原因:食べすぎ・飲みすぎ・運動不足食生活の乱れ(糖質・脂質・果糖のとりすぎ)要因内容改善のポイント糖質ご飯・パン・甘い飲料の過剰摂取主食を適量にし、間食を控える脂質揚げ物や加工食品の摂りすぎ調理法を「焼く・蒸す・茹でる」に変更果糖ジュース・果物の摂りすぎ水やお茶を中心にする糖質や果糖を摂りすぎると、余分なエネルギーが脂肪に変わり肝臓に蓄積します。とくに清涼飲料水やスイーツの常用は脂肪肝の大きな要因です。食べる順番を野菜→たんぱく質→炭水化物に変えるだけでも血糖上昇を緩やかにできます。日常の小さな工夫が、脂肪の蓄積を防ぎ肝臓の健康を守ります。出典:厚生労働省「食生活改善のポイント」アルコールとの関係:どこまでが飲みすぎ?飲み物純アルコール量(目安)注意点ビール中瓶1本(500ml)約20g毎日の飲酒は控える日本酒1合(180ml)約22g週2日の休肝日を設ける焼酎(25度100ml)約20g薄めて少量を楽しむアルコールの摂りすぎは肝臓の代謝を妨げ、脂肪の蓄積や炎症を進めます。かつては1日20g程度が目安とされましたが、現在は「安全な量は存在しない」との見解が広がっています。完全禁酒が難しい場合でも、量と回数を減らし、週2日の休肝日を設けるだけで肝機能の回復が期待できます。無理のない減酒から始め、体調の変化を定期的に確認しましょう。出典:厚生労働省「アルコールと健康」太りすぎや生活習慣病との関係生活習慣病肝臓への影響対策糖尿病インスリン抵抗性により脂肪蓄積血糖コントロールが肝機能改善に有効脂質異常症中性脂肪やLDLが上昇魚・食物繊維の摂取を増やす高血圧肝血流の低下を招く塩分を控え、定期運動を行う肥満や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は脂肪肝と密接に関係しています。特に内臓脂肪が多い人は肝臓に中性脂肪がたまりやすく、MASHへ進行しやすい傾向があります。食事の改善と運動習慣の定着で、肝機能だけでなく血圧・血糖・脂質のすべてが良くなるケースが多く報告されています。出典:日本肝臓学会「MASLDと生活習慣病」3. 放っておくとどうなる?脂肪肝が進むと起きる病気脂肪肝→MASH→肝硬変→肝がんへ進む流れステージ主な変化症状の特徴脂肪肝肝細胞に脂肪が蓄積症状はほぼなしMASH炎症が起こり肝細胞が破壊倦怠感・疲労感肝硬変・肝がん線維化が進み再生不能黄疸・腹水・強い倦怠感脂肪肝を放置すると、炎症を伴うMASHに進み、肝臓の線維化が始まります。さらに進行すると肝硬変に至り、肝臓が硬く縮んで機能を失ってしまいます。その先には肝がんのリスクもあります。肝臓は沈黙の臓器ですが、初期段階での改善は十分に可能です。早期発見と生活習慣の見直しで、多くの人が健康な肝臓を取り戻せます。出典:日本肝臓学会「脂肪性肝疾患診療ガイドライン2023」肝臓の線維化と評価の指標(ステージ分類)評価法内容特徴Fスコア(F0〜F4)線維化の進行度を表す国際指標F2以上で進行リスク上昇FIB-4・M2BPGi血液検査で線維化を推定非侵襲的で経過観察に有効エラストグラフィー超音波で肝臓の硬さを測定負担が少なく精度が高い肝臓が長く炎症を起こすと、修復の過程で線維が増え、徐々に硬くなります。この状態を「線維化」といい、F0(正常)〜F4(肝硬変)で評価されます。F2以上になると肝機能の低下が進みやすく、MASHから肝硬変へ移行する危険があります。近年は血液検査やエラストグラフィーなど体に負担の少ない方法で進行度を把握でき、定期的な評価が重症化防止につながります。出典:日本肝臓学会「肝線維化の非侵襲的評価法」放置による全身への影響(心臓・糖代謝への悪影響)合併症主な要因対策動脈硬化・心筋梗塞慢性炎症と脂質異常運動と食事で血管保護糖尿病の悪化インスリン抵抗性増加体重管理と薬物療法慢性腎臓病代謝異常の連鎖定期検査で早期対応脂肪肝は肝臓だけの問題ではありません。肝臓で起こる慢性炎症が全身の血管や代謝に影響し、心筋梗塞や糖尿病、腎臓病の発症リスクを高めます。MASH(脂肪性肝炎)患者では、肝疾患による死亡よりも心血管系疾患による死亡が多いことが報告されています。つまり脂肪肝の改善は、全身の生活習慣病の予防にも直結する重要な対策なのです。出典:WHO「Nonalcoholic Fatty Liver Disease and Cardiovascular Risk」4. 脂肪肝のサインと気づき方:自覚症状が出にくい理由よくある体の変化(だるさ・集中力低下など)症状背景対処法倦怠感・疲れやすさ肝臓の代謝低下栄養と睡眠の改善集中力低下老廃物の処理遅れ軽い運動で代謝を促進胃もたれ・お腹の張り胆汁生成の低下油ものを控える脂肪肝は「沈黙の病」といわれるほど初期症状が少ないのが特徴です。進行すると、体の代謝や解毒機能が落ちて疲れやすくなり、だるさや集中力の低下が現れます。中には胃の不快感やお腹の張りを感じる人もいます。これらの症状は見逃されやすいですが、肝臓のSOSサインであることも多く、早めの検査で進行を防ぐことができます。出典:厚生労働省「肝疾患の基礎知識」https://www.mhlw.go.jp/健康診断で確認すべき肝機能の数値項目正常値の目安ポイントAST・ALT約30U/L以下ALT>30で受診推奨(奈良宣言2023)※基準範囲は施設で異なりますγ-GTP男性50以下・女性30以下飲酒や脂質異常で上昇中性脂肪150mg/dL以下高値は脂肪肝のサイン健康診断でASTやALTの上昇が見られる場合、肝臓に炎症や脂肪蓄積が起きている可能性があります。日本肝臓学会は、ALTが30U/Lを超えた時点で医療機関受診を推奨しています。脂肪肝では一般的にALT>ASTとなる傾向がありますが、アルコール性ではAST/ALT比が2を超えることもあります。数値は検査機関で基準が異なるため、結果は医師と確認し、必要に応じて精査を受けましょう。出典:日本肝臓学会「奈良宣言2023」https://www.jsh.or.jp/体型からわかる脂肪肝リスク測定項目基準注意点BMI25以上で肥満標準体型でも内臓脂肪が多い人は要注意腹囲(男性)85cm以上内臓脂肪100cm²に概ね対応する日本基準腹囲(女性)90cm以上糖尿病・脂質異常のリスク上昇体重が標準でも、お腹まわりに脂肪が多い「隠れ肥満」の人は脂肪肝になりやすい傾向があります。腹囲が男性85cm・女性90cmを超えると内臓脂肪が多い目安とされ、生活習慣病のリスクも高まります。BMIが25を超える人は早めの体重管理が大切です。脂肪肝は減量で改善可能な「治せる病気」なので、少しずつ体重を落とす習慣を持つことが予防の第一歩です。出典:厚生労働省「特定健診・特定保健指導」https://www.mhlw.go.jp/5. 検査と診断:血液・画像・非侵襲的評価で分かる肝臓の状態血液検査で肝機能と線維化をチェック検査項目意味解釈AST・ALT肝細胞の損傷を反映上昇時は炎症や脂肪蓄積を示唆γ-GTPアルコールや脂質代謝関連高値は飲酒や胆道障害もFIB-4・M2BPGi線維化マーカー肝硬変リスクの予測に有効血液検査は最も基本的で有効な脂肪肝の評価方法です。ASTやALTは肝細胞のダメージを反映し、脂肪肝ではALTの上昇が先行することが多く見られます。また、FIB-4やM2BPGiなどの線維化マーカーを用いることで、体に負担をかけずに進行度を予測することが可能です。数値の変化を定期的に確認することで、病状の早期発見と管理ができます。出典:日本肝臓学会「肝疾患の非侵襲的評価法」https://www.jsh.or.jp/画像検査(超音波・CT・MRI)で脂肪の量を確認検査方法特徴メリット超音波(エコー)脂肪が多いと白く映る痛みがなく簡単に受けられるCT検査脂肪の分布をより正確に把握肝臓全体の状態を評価可能MRI・PDFF法脂肪量を数値で測定正確な脂肪量評価が可能画像検査は肝臓の脂肪量や線維化の進み具合を可視化できる重要な手段です。特に超音波検査(エコー)は体への負担が少なく、健診でも広く行われています。MRIを用いたPDFF法では、脂肪量を数値で正確に測ることができ、治療効果の経過観察にも役立ちます。医師の判断で、必要に応じて複数の検査を組み合わせて評価します。出典:厚生労働省「肝疾患の検査方法」https://www.mhlw.go.jp/肝生検と線維化の評価(必要な場合のみ実施)評価法内容注意点肝生検肝組織を採取し炎症・線維化を確認最も確実だが侵襲的エラストグラフィー肝臓の硬さを超音波で測定負担が少なく再検査に向くFスコアF0〜F4で線維化を段階分類F2以上は進行リスク高い脂肪肝が進行しているかをより正確に知るには、肝生検で実際の組織を確認する方法があります。ただし、体への負担があるため、現在ではエラストグラフィー(超音波による硬さ測定)など非侵襲的な方法が主流です。これらを組み合わせて判断することで、治療方針の決定や予後の見通しを立てやすくなります。出典:日本肝臓学会「脂肪性肝疾患診療ガイドライン2023」https://www.jsh.or.jp/6. 脂肪肝の治療と生活改善:まずは3〜5%の減量から減量の目標と効果体重減少率改善の内容3〜5%肝脂肪が減少し肝機能改善7〜10%炎症(MASH)の改善が期待10%以上線維化が進んだ肝臓の回復が期待脂肪肝の治療の基本は「体重を少し減らすこと」です。研究では体重の3〜5%を減らすと脂肪が減り、7〜10%で炎症が改善、10%以上で線維化改善が見られると報告されています。短期間の極端なダイエットではなく、1か月に1〜2kgのゆるやかな減量が理想です。食事と運動を無理なく継続することで、肝臓は十分に回復する力を持っています。出典:日本肝臓学会「脂肪性肝疾患の管理」https://www.jsh.or.jp/食事療法の基本(バランスと控えめ)食事のポイント内容糖質主食を減らし、甘い飲料を避ける脂質揚げ物・バターを控え、魚やオリーブ油を選ぶたんぱく質鶏肉・豆腐・魚など良質なたんぱく質を摂る食物繊維野菜・海藻・きのこを積極的にとる食事療法では、糖質や脂質を控えめにし、栄養バランスを整えることが最も重要です。ご飯やパンの量を減らし、野菜・魚・豆製品を増やすと肝臓の脂肪蓄積を防げます。清涼飲料水や果物の摂りすぎにも注意し、果糖を減らす工夫も効果的です。食べる順番や時間を意識するだけでも脂肪肝改善が進みます。出典:厚生労働省「食事バランスガイド」https://www.mhlw.go.jp/運動療法の取り入れ方(続けられる運動を)運動の種類内容効果有酸素運動ウォーキング・サイクリング脂肪燃焼・肝脂肪の減少筋力トレーニングスクワット・かかと上げなど代謝を上げて再発予防ストレッチ就寝前の軽い運動血流を改善し肝機能維持脂肪肝の改善には、運動習慣が欠かせません。ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を週150分以上行うことが推奨されています。筋トレを組み合わせると代謝が上がり、脂肪がたまりにくい体質に変わります。「続けられる運動を少しずつ」が成功の秘訣です。階段を使う、夜に軽くストレッチするなど、小さな積み重ねでも十分効果があります。出典:WHO「Physical Activity Guidelines」https://www.who.int/7. 食事でできる脂肪肝対策:バランスと控えめを意識糖質・脂質・果糖をとりすぎない工夫栄養素摂りすぎによる影響改善ポイント糖質(ご飯・パン・麺類)エネルギー過多で肝臓に脂肪が蓄積主食を適量にし、野菜を先に食べる脂質(揚げ物・加工食品)悪玉コレステロール増加油の種類を変え、調理法を工夫果糖(ジュース・果物)中性脂肪増加・肝機能低下甘い飲み物を控え、水やお茶を中心に糖質・脂質・果糖の摂りすぎは脂肪肝の大きな要因です。特に甘い飲み物やお菓子、夜遅い食事は肝臓の脂肪合成を促進します。食事の最初に野菜を食べると血糖値の上昇を抑え、脂肪の蓄積を防ぐことができます。主食を減らし、副菜とたんぱく質を増やす「ゆるい糖質コントロール」が、無理のない改善の第一歩です。出典:厚生労働省「食事バランスガイド」https://www.mhlw.go.jp/食物繊維を増やして脂肪をためにくくする食物繊維が多い食品1日の目安量主な効果野菜(ブロッコリー・ほうれん草)350g脂質の吸収を抑えるきのこ類・海藻適量便通改善・腸内環境を整える雑穀・玄米・オートミール主食に混ぜて血糖上昇をゆるやかにする食物繊維は脂肪や糖の吸収をゆるやかにし、肝臓に脂肪がたまりにくくする働きがあります。野菜・きのこ・海藻・穀物を意識的に摂ると、便通が改善し、腸から肝臓への負担も減ります。特に水溶性食物繊維は善玉菌を増やすため、腸肝相関の観点からも脂肪肝の改善に効果的です。出典:日本肝臓学会「脂肪性肝疾患と食事療法」https://www.jsh.or.jp/飲み物・お菓子・間食の上手な選び方カテゴリー避けたいものおすすめの代替飲み物ジュース・甘いカフェラテ水・麦茶・炭酸水お菓子チョコ・スナック菓子ナッツ・ヨーグルト・果物少量間食タイミング夜間・寝る前午後の軽い間食にする脂肪肝改善には「間食と飲み物」の見直しが欠かせません。糖分を多く含む清涼飲料やスナック菓子は中性脂肪を増やします。ナッツやヨーグルトなど、腹持ちが良く栄養バランスの取れたものを選びましょう。夜の間食は脂肪蓄積を招くため、午後早めの時間に少量とるのが理想です。出典:厚生労働省「間食と肥満予防」https://www.mhlw.go.jp/8. 運動で肝臓を元気に:無理なく続けるコツ有酸素運動(ウォーキング・自転車など)の効果運動の種類目安時間・頻度効果ウォーキング1日30分・週5回脂肪燃焼・肝脂肪の減少サイクリング週2〜3回血糖値・脂質の改善水泳・水中歩行週2回全身運動で代謝アップ脂肪肝の改善には「有酸素運動」が最も効果的です。軽く息が上がる程度のウォーキングを週5回続けるだけでも肝脂肪の減少が確認されています。サイクリングや水中運動は関節に優しく、体力に自信がない人にもおすすめです。日常の中で「歩く・動く」を増やすことが、肝臓の元気を取り戻す第一歩です。出典:日本肝臓学会「脂肪肝に対する運動療法」https://www.jsh.or.jp/筋トレで代謝を上げる(簡単な自宅トレ)トレーニング方法ポイントスクワット10回×2セット太ももの筋肉を鍛えて代謝を上げるかかと上げ20回×2セットふくらはぎの筋ポンプ作用を強化壁腕立て伏せ10回×2セット上半身を無理なく鍛える筋肉は脂肪を燃やすエンジンです。脂肪肝の改善には筋肉量の維持が欠かせません。特に下半身の筋トレは基礎代謝を上げ、脂肪がつきにくい体に変えます。スクワットやかかと上げ運動など、器具を使わないトレーニングを1日数分続けるだけでも十分な効果があります。出典:厚生労働省「健康づくりのための運動指針(アクティブガイド)」https://www.mhlw.go.jp/睡眠・ストレス管理で代謝リズムを整える習慣内容肝臓への効果睡眠7時間前後を目安代謝ホルモンを整えるストレス軽減深呼吸・趣味の時間コルチゾールの過剰分泌を防ぐ生活リズム一定の睡眠時間を維持体内時計の安定化運動と並行して、睡眠とストレス管理も脂肪肝改善に重要です。睡眠不足やストレスはホルモンバランスを乱し、脂肪をためやすくします。7時間前後の質の良い睡眠とリラックス時間を確保しましょう。体と心を休めることが、肝臓の再生力を引き出します。出典:WHO「Healthy Lifestyle Recommendations」https://www.who.int/9. アルコールとのつき合い方:禁酒・節酒のコツ飲みすぎラインを知る(純アルコール量の目安)飲み物純アルコール量(目安)コメントビール中瓶1本(500ml)約20g男性は1本、女性は0.5本が目安日本酒1合(180ml)約22g毎日飲酒は避ける焼酎(25度100ml)約20g薄めて少量を楽しむアルコールの摂取について、WHOは「安全な飲酒量は存在しない」と明言しています。特に脂肪肝がある場合は、少量でも炎症を悪化させる可能性があります。まずは量と頻度を減らし、週2日の休肝日を設けることから始めましょう。できれば禁酒に移行し、肝機能の回復を優先するのが理想です。出典:WHO「Alcohol and Health」/厚生労働省「アルコールと健康」禁酒・節酒を続ける工夫方法内容効果ノンアル飲料の活用味や雰囲気を楽しみながら減酒習慣化を防げる飲酒記録をつける週ごとの量を可視化自覚を高める専門家へ相談医師・保健師・カウンセラー継続支援を受けやすい「やめたいけどやめられない」方も多いですが、いきなり禁酒より「減らす」方が長続きします。ノンアル飲料を取り入れ、飲む日や量を記録して振り返るのが効果的です。専門家に相談すると心理的サポートを得られ、成功率が上がります。自分に合った方法で、少しずつ肝臓を休ませましょう。出典:国立健康・栄養研究所「アルコール摂取の適正化」アルコール性脂肪肝(ASH)で注意すべきこと状況注意点対策飲酒を続ける肝細胞が炎症を起こす禁酒と医師の診察が必要栄養不足ビタミン欠乏・筋肉減少食事改善と栄養補給眠れない・不安アルコール依存の初期サイン早めに相談窓口へアルコール性脂肪肝は、放置すると肝炎や肝硬変に進行します。肝臓は回復力がありますが、飲酒を続ける限り再生が追いつきません。特に「眠れない」「不安」などが出ている場合は依存の初期段階かもしれません。早めに医療機関や地域の相談窓口を利用し、回復への第一歩を踏み出しましょう。出典:日本肝臓学会「アルコール性肝疾患診療ガイドライン2023」https://www.jsh.or.jp/10. 腸と肝臓の関係:腸内環境を整えると肝臓も元気に腸内細菌と脂肪肝のつながり(腸肝相関)項目内容肝臓への影響腸肝相関とは腸と肝臓が血流で影響し合う関係腸の不調が肝炎症につながる腸内細菌の乱れ悪玉菌増加で炎症物質が流入MASH進行の要因善玉菌の増加腸内バランスを整える肝機能の回復を助ける腸と肝臓は「腸肝相関」という仕組みで密接につながっています。腸内環境が悪化すると炎症性物質が血流に乗って肝臓に届き、脂肪肝やMASHを進行させることがあります。逆に、善玉菌を増やして腸内を整えると肝臓の炎症が抑えられ、肝機能が回復しやすくなります。腸の健康を守ることが、肝臓の健康にも直結します。出典:日本肝臓学会「腸肝相関と脂肪肝の関係」https://www.jsh.or.jp/発酵食品・ヨーグルト・食物繊維の効果食品の種類主な成分効果ヨーグルト・乳酸菌飲料乳酸菌・ビフィズス菌腸内の善玉菌を増やす納豆・味噌・キムチ発酵菌・酵素腸の働きを整え、便通を改善野菜・海藻・大麦食物繊維悪玉菌の増加を防ぐ発酵食品や食物繊維は、腸内環境を整える強い味方です。腸内細菌のバランスが整うと、炎症物質の産生が減り、肝臓の負担も軽くなります。毎日の食事にヨーグルトや納豆、味噌汁を取り入れるだけでも効果があります。便通を整えることは、肝臓の解毒機能を保つ上で欠かせません。出典:厚生労働省「腸内フローラと健康」https://www.mhlw.go.jp/便通を整えることが肝臓ケアにつながる状況改善方法肝臓への効果便秘気味水分と食物繊維を増やす老廃物の排出を促進不規則な排便食事と睡眠を整える体内リズムを安定化下痢・腹部不快感発酵食品や整腸食を摂取腸内炎症を防ぐ腸の状態は肝臓に直結します。便秘が続くと有害物質が腸内で再吸収され、肝臓の解毒負担が増します。逆に、規則正しい排便を維持することで、体の代謝や免疫が整い、肝臓への負担も軽くなります。毎日水をこまめに飲み、野菜・海藻・発酵食品を意識的にとることで、腸も肝臓も元気になります。出典:WHO「Gut-Liver Axis and Metabolic Health」https://www.who.int/11. 再発を防ぐために:継続的な生活管理が肝心食事・運動を「習慣化」するコツ工夫内容継続のポイント食事記録摂取量を可視化食べすぎ防止・自覚の向上運動スケジュールカレンダーに予定化習慣として定着しやすい家族・仲間と実践互いに励まし合う挫折しにくくなる脂肪肝の再発を防ぐためには、食事と運動を「一時的な努力」で終わらせないことが重要です。1日の食事内容や運動を記録するだけでも意識が高まり、継続率が上がります。また、家族や友人と一緒に取り組むと楽しみながら続けられます。完璧を目指すより、「少しずつ、長く」を意識することで、肝臓を守る生活が無理なく続けられます。出典:厚生労働省「健康づくりのための運動指針」https://www.mhlw.go.jp/定期的な検査と医師のフォローアップ検査頻度確認項目血液検査3〜6か月ごとAST・ALT・中性脂肪など画像検査年1回程度脂肪量・線維化の進行体重・腹囲毎月変化を記録して維持を確認脂肪肝は改善しても、再び生活が乱れると元に戻ることがあります。定期的に血液検査や超音波検査を受け、AST・ALT・中性脂肪の変化を確認しましょう。体重や腹囲を記録しておくと、小さな変化にも気づけます。医師や栄養士と相談しながら経過を見守ることが、長期的な健康維持につながります。出典:日本肝臓学会「MASLDの管理指針」https://www.jsh.or.jp/12. 在宅療養を支える訪問看護・訪問リハビリの活用訪問看護でできるサポート(医療的ケアと健康管理)項目内容健康チェック血圧・脈拍・体重・むくみなどの確認肝機能の変化観察倦怠感・食欲・黄疸などの変化を観察医師連携異常時は主治医に連絡し迅速に対応夜間対応24時間体制で急変にも対応可能肝臓疾患や脂肪肝を抱える方にとって、在宅での健康管理はとても重要です。訪問看護では、看護師が定期的に体調をチェックし、肝機能の変化を細かく観察します。急な体調変化にも夜間を含めて対応でき、医師との連携体制が整っています。自宅で療養しながらも、医療の安心を身近に感じられるのが訪問看護の大きな特徴です。出典:厚生労働省「訪問看護の利用対象」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000661085.pdf訪問リハビリで体力・代謝を改善リハビリ内容目的有酸素運動指導体脂肪燃焼と持久力アップ筋力トレーニング代謝向上・転倒予防日常動作練習生活の自立をサポート訪問リハビリでは理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が自宅に訪問し、利用者の体調や肝機能に合わせたプログラムを行います。軽い有酸素運動や筋力トレーニングを取り入れることで、筋肉量が維持され、脂肪の燃焼効率も高まります。体力や代謝を改善することで、肝臓の再生力をサポートできるのが特徴です。出典:日本訪問リハビリテーション協会「訪問リハビリの役割」https://www.japanhvrehab.jp/町田市在住の方へ:ピース訪問看護ステーションのご案内スタッフ体制職種人数看護師9名理学療法士・作業療法士・言語聴覚士14名介護支援専門員(ケアマネジャー)7名職種別の主な対応内容医療スタッフ(看護師)医療的ケア・症状観察・夜間対応も可能リハビリスタッフご利用者の体調に合わせた在宅支援を実施ケアマネジャー医療と介護をつなぐ総合的な支援ステーションの特徴詳細夜間対応24時間の緊急対応で、急な体調変化にも迅速対応リハビリ職の充実体調や肝臓疾患にも配慮した個別支援が可能ケアマネ連携医療・介護・リハビリを包括的にサポート継続的な健康管理肝機能・体重・むくみを継続的に観察地域連携町田市内クリニックと密に連携し継続ケアを実施ピース訪問看護ステーションは、町田市および近隣地域にお住まいの方を対象に、肝臓疾患を含む在宅療養支援を行うチームです。看護師が定期的に血圧・脈拍・体重・肝機能の変化を確認し、必要に応じて主治医と連携します。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が倦怠感や息切れなどに合わせた個別リハビリを行い、24時間対応体制と地域医療連携により、安心して自宅で療養を続けられる環境を提供しています。👉 ぜひ町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。13. 脂肪肝に関するよくある質問(Q&A)Q1. 脂肪肝は自然に治りますか?→ 軽度なら食事と運動で改善可能です。体重を3〜5%減らすだけで肝脂肪が減少し、血液検査の数値も改善する例が多くあります。焦らず、1か月に1〜2kgのペースを意識しましょう。Q2. お酒をやめたらすぐによくなりますか?→ 個人差はありますが、禁酒を続けると数週間〜数か月で肝機能が改善することが多いです。再び飲み始めると元に戻る可能性があるため、休肝日やノンアル活用で禁酒・節酒を継続しましょう。Q3. 脂肪肝と糖尿病は関係ありますか?→ 深く関係しています。糖尿病があると肝臓に脂肪がたまりやすく、MASHに進行するリスクが高まります。血糖コントロールは脂肪肝の改善にも直結します。Q4. 運動が苦手でも改善できますか?→ ウォーキングやストレッチなど軽い運動でも効果があります。通勤・買い物時に歩く距離を増やすだけでも脂肪が減ることが分かっています。まずは日常の中で「+10分」から。Q5. サプリや薬で治せますか?→ 基本は生活改善が中心です。サプリだけで治すことは難しく、医師の指導のもとで必要な薬を併用します。自己判断よりも専門家と相談しながら進めましょう。14. まとめ脂肪肝(MASLD/MASH)は、放置すると肝炎や肝硬変、肝がんなどへ進行することもありますが、早期の生活改善で回復が十分可能な病気です。食事の見直しや運動習慣の導入、禁酒・節酒などを継続することで、肝臓の機能は少しずつ正常化していきます。もし健康診断で肝機能異常を指摘されたら、放置せず早めに専門医へ相談してください。また、在宅療養や健康管理に不安がある方は、訪問看護や訪問リハビリの活用をおすすめします。専門職が定期的に健康状態を見守り、医師と連携して支援してくれるため、安心してご自宅で療養が続けられます。👉 ぜひ町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。関連記事肝臓が悪いと出る症状とは?数値の見方と食生活・在宅ケアのポイントを徹底解説心臓が痛い?放置は危険!胸の痛みの原因・症状別チェックと受診の目安『心臓に水が溜まる』は何のサイン?心不全・胸水・心嚢水の違いと受診目安心臓がバクバクする原因と対処法、動悸・不整脈・ストレス・訪問看護まで徹底解説咳をすると肺や胸が痛い?考えられる病気と受診の目安・対処法参考文献一覧出典:日本肝臓学会「MASLD/MASH診療ガイドライン2023」https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/出典:日本肝臓学会「脂肪性肝疾患診療ガイドライン2023」https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/出典:日本肝臓学会「奈良宣言2023:ALT基準値と早期受診の推奨」https://www.jsh.or.jp/出典:日本肝臓学会「肝疾患の非侵襲的評価法」https://www.jsh.or.jp/出典:日本肝臓学会「アルコール性肝疾患診療ガイドライン2023」https://www.jsh.or.jp/出典:厚生労働省「肝臓の働きと肝疾患の基礎知識」https://www.mhlw.go.jp/出典:厚生労働省「食事バランスガイド」https://www.mhlw.go.jp/出典:厚生労働省「健康づくりのための運動指針(アクティブガイド)」https://www.mhlw.go.jp/出典:厚生労働省「アルコールと健康」https://www.mhlw.go.jp/出典:厚生労働省「訪問看護の利用対象」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000661085.pdf出典:日本訪問リハビリテーション協会「訪問リハビリの役割」https://www.japanhvrehab.jp/出典:WHO「Physical Activity Guidelines」https://www.who.int/出典:WHO「Gut-Liver Axis and Metabolic Health」https://www.who.int/出典:国立健康・栄養研究所「健康食品情報」https://hfnet.nibiohn.go.jp/出典:国立健康・栄養研究所「アルコール摂取の適正化に関する情報」https://www.nibiohn.go.jp/本記事の執筆者・監修者プロフィール【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。