認知症の夜間せん妄で眠れないとき家族ができる対処と訪問看護の活用夜になると急に落ち着きを失い、「家に帰る」と言い出したり、いるはずのない人に話しかけたり、興奮して眠ってくれない。日中は穏やかだった同じ人とは思えない変わりように、戸惑い疲れ果てているご家族は少なくありません。これは「認知症の夜間せん妄」と呼ばれる状態で、本人の意思や性格の問題ではなく、脳と身体に起きた一時的な変化が原因です。認知症 夜間せん妄 対処の基本は、本人を力で抑えこむのではなく、興奮の引き金を一つずつ取り除き、安心できる環境と昼夜のリズムを整えること。原因を理解すれば、夜の混乱は「どう乗り切るか」だけでなく「どう減らすか」へと視点が変わります。この記事では、町田市・相模原市で在宅のご家族を支える訪問看護の視点から、夜間せん妄のしくみ・原因・その場での対処・再発予防・相談先までを順に整理していきます。この記事でわかること認知症の夜間せん妄がなぜ夜に強くなるのか、そのしくみせん妄を引き起こす原因と、家庭で見直せる引き金認知症そのものとせん妄の違いと、見分けるポイントせん妄が起きたときに家族が落ち着いて取れる対処の手順環境を整えて再発を防ぐ予防策と、訪問看護・相談先の活用法認知症の夜間せん妄とは、なぜ夜だけ激しくなるのか夜間せん妄とは、認知症のある方が夕方から夜にかけて急に注意力や意識のはっきり具合が揺らぎ、混乱・興奮・幻覚などが短時間で現れる状態を指します。せん妄は、注意を向け続ける力と意識のはっきり具合がともに揺らぎ、そこに認知機能の変化が加わる点が特徴です。認知症が長い時間をかけてゆっくり進む脳の病気であるのに対し、せん妄は数時間から数日という短い期間で急に始まり、時間帯によって良くなったり悪くなったりと波があります。夜に強まりやすいのには、いくつかの理由が重なっています。暗さで視覚情報が減って状況がつかみにくくなること、日中の疲労や脱水が夕方に蓄積すること、体内時計の乱れで覚醒と睡眠の切り替えがうまくいかなくなること。こうした条件が夜にそろうため、混乱が表面化しやすくなります。日本神経学会の「認知症疾患診療ガイドライン2017」でも、せん妄は認知症に合併しやすく、適切に対応すれば改善が期待できる状態と位置づけられています(出典:日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」)。夜間せん妄でよく見られる症状夜間せん妄では、意識の揺らぎを背景に、興奮・幻覚・見当識の乱れといった症状が突然現れます。症状の種類具体的な様子家族が気づくサイン興奮・落ち着きのなさ大声を出す、立ち上がって歩き回る、物をたたく日中とは別人のように荒くなる幻覚・錯覚いない人が見える、壁のしみを虫と言う何もない方向に話しかける見当識の乱れ今が夜か朝か、自宅か分からない「家に帰る」と外へ出ようとする注意のそれやすさ話の途中でぼんやりする、会話がかみ合わない呼びかけへの反応が一定しないこれらは一晩のうちでも強まったり弱まったりします。同じ夜の中でも、深夜にひどく興奮していた人が明け方には眠ってしまうことも珍しくありません。家族にとってつらいのは、症状が読めず、いつ始まり、いつ収まるか予測しづらい点でしょう。落ち着いている時間帯に「さっきはどうしたの」と問い詰めても、本人は覚えていないことがほとんどで、責めても解決にはつながりません。まずは「今、意識が揺らいでいる状態なのだ」と捉えること。これが冷静な対応の出発点になります。「夕暮れ症候群」との関係夕方になると不安や混乱が強まる現象は「夕暮れ症候群」と呼ばれ、夜間せん妄と重なって現れます。項目夕暮れ症候群夜間せん妄起こりやすい時間主に夕方夕方から夜間・深夜中心となる変化不安・落ち着きのなさ意識の揺らぎ・混乱意識のはっきり具合比較的保たれることが多い揺らぐのが特徴きっかけ暗くなる・人の動きが増える時間帯体調・薬・環境など多因子夕暮れ症候群は、日が傾いて部屋が暗くなり、家族が夕食の支度で慌ただしくなる時間帯と重なって起こりやすいといわれます。在宅では、ちょうどこの時間に介護者自身も一日の疲れがたまり、対応する余裕が減っている家庭が少なくありません。両者は厳密には別の概念ですが、現場では切り分けにこだわるより、「夕方以降に混乱が強まる時間帯」としてまとめて対策を考えるほうが実用的です。今夜できることとして、まずは日が暮れる前に照明を一つ早めにつけてみてください。それだけでも、暗がりへの不安がやわらぎ、混乱の山がなだらかになります。夜間せん妄の原因と引き金になる要因夜間せん妄は単一の原因ではなく、身体の不調・薬・環境・心理など複数の要因が積み重なって発症します。せん妄は「準備因子(なりやすさ)」「直接因子(引き金)」「促進因子(悪化させる状況)」の三つが組み合わさって起こると整理されます。認知症や高齢であること自体が準備因子となり、そこへ脱水・感染・薬の変更などの直接因子が加わり、さらに環境の変化や不眠といった促進因子が重なると発症しやすくなります。ここで知っておきたいのは、直接因子と促進因子の多くは家庭でも見直せるということ。原因を一つずつ点検することが、再発を減らす近道になります。身体の不調が引き金になるケースせん妄の背景には、見落とされがちな身体の不調が隠れていることが多くあります。身体的な引き金在宅で気づくヒント家族ができる初期対応脱水尿の回数・量が減る、口の中が乾くこまめな水分、難しければ受診相談便秘数日排便がない、お腹が張る排便状況を記録し主治医へ相談発熱・感染体が熱い、食欲低下、ぐったり検温し、続くなら受診痛み表情のしかめ、特定部位をかばうどこが痛むか観察し共有睡眠不足昼夜逆転、日中うとうと日中の活動と日光浴を増やす高齢の方は、肺炎や尿路感染が起きても高い熱や強い痛みを訴えず、「なんとなく元気がない」「夜だけ混乱する」という形で最初の異変が現れることがあります。せん妄が急に始まったときは、まず身体の不調を疑うのが原則です。実際、町田市内で在宅の高齢者を訪問していると、「3日前から夜だけ落ち着かない」というご家族からの相談を受け、お腹を確認すると4日間排便がなく、便秘が引き金になっていたといった場面に出会います。脱水や隠れた尿路感染が背景にあることも珍しくありません。本人が言葉でうまく訴えられないぶん、家族や訪問看護師による日々の小さな変化の観察が、原因の早期発見につながります。家庭でも、前回の排便がいつだったか、その日に飲んだ水分やお茶がコップ何杯だったかをカレンダーの隅に一言メモしておくと、引き金の見当がつきやすくなります。発熱がなくても脇の下を触れて熱っぽさを感じたり、いつもより口の中が乾いていたりするときは、身体の不調が隠れているサインとして受診相談の材料になります。薬・環境・心理的な引き金身体の不調以外にも、薬の影響・環境の変化・心理的な不安がせん妄の引き金になります。引き金の種類具体例見直しの方向薬剤睡眠薬・複数薬の飲み合わせ・新規追加自己判断で中止せず主治医・薬剤師に相談環境変化入院・転居・部屋替え・施設入所できる範囲で慣れた物や習慣を残す感覚の遮断眼鏡や補聴器を外す、暗い部屋必要な補助具を装着、適度な明るさ心理的不安一人にされる、慣れない人の出入り安心できる声かけ・なじみの存在特に注意したいのが薬の影響です。眠れないからと睡眠薬を増やすと、かえって日中のぼんやりや夜間の混乱を招くことがあり、薬の種類や量の調整には専門家の判断が欠かせません。気になる薬があっても、家族の自己判断で中止・増減はしないでください。必ず主治医や薬剤師に相談しましょう。また、入院や引っ越しといった環境の急変は、せん妄の大きな引き金になります。やむを得ず環境が変わるときは、使い慣れた寝具や時計、本人の写真など、安心の手がかりになる物を一緒に持ち込むだけでも混乱を和らげられます。認知症との違いを正しく理解する夜間せん妄と認知症は混同されやすいものの、発症の速さ・症状の波・回復の可能性という点で大きく異なります。この違いを理解することは、家族の心の負担を軽くするうえでも役立ちます。せん妄は適切に原因を取り除けば改善が期待できる一時的な状態であり、「認知症が一気に進んでしまった」と悲観しすぎる必要はありません。一方で、せん妄を放置すると体力の消耗や転倒につながり、結果として認知機能の低下を早めることもあります。だからこそ早めの対応が肝心です。両者を見分ける視点を持っておくと、いつ相談すべきかの判断がしやすくなります。せん妄と認知症の見分け方せん妄と認知症は、始まり方と症状の変動の有無で見分けるのが基本です。比較項目せん妄認知症始まり方急(数時間〜数日)ゆっくり(数か月〜数年)症状の波一日の中で大きく変動比較的安定して持続意識のはっきり具合揺らぐ通常は保たれる経過原因が取れれば改善しうる基本的に徐々に進行注意力著しく低下しやすい進行に応じて低下最も分かりやすい手がかりは、急に始まったかと、一日の中で症状に波があるか。昨日まで普通に過ごしていた人が今日の夜だけ別人のようになり、朝には少し落ち着いている、という波があれば、せん妄の可能性が高いと考えます。逆に、年単位でじわじわと物忘れや判断力の低下が進んでいる場合は認知症の経過です。ただし、認知症のある方にせん妄が重なって起こることも多く、現場では両方が混在します。見分けに迷ったときは無理に家族だけで判断せず、後述の相談先に状況を伝えるのが安全です。認知症の種類による特徴の違いを整理した認知症の種類と特徴を徹底解説した記事もあわせて参考にしてください。認知症の周辺症状(BPSD)との関係夜間せん妄は、認知症の行動・心理症状(BPSD)の悪化と重なって現れ、両者は密接に関係します。区分主な内容夜間との関わり中核症状記憶障害・見当識障害・判断力低下せん妄時に一時的に強まるBPSD興奮・徘徊・幻覚・不安・暴言夜間せん妄として表面化しやすいせん妄意識の揺らぎを伴う急な混乱BPSDを一気に悪化させる引き金にもBPSDは、記憶障害などの中核症状を土台に、不安・環境・体調が影響して現れる症状群です。夜間の興奮や「家に帰る」という訴え、幻覚などは、BPSDとしても、せん妄の症状としても現れます。国立長寿医療研究センターが公開する認知症の情報でも、BPSDにはまず身体の不調や環境要因への対応を優先し、薬に頼りすぎない関わりが推奨されています(出典:国立長寿医療研究センター(認知症情報ページ))。落ち着きのなさへの具体的な対応は認知症による落ち着きのなさとその対応方法を解説した記事でも詳しく扱っています。ここで意識したいのは、症状名の区別そのものより、「なぜ今この行動が出ているのか」を探り、引き金を減らす視点を持つことです。夜間せん妄が起きたときの家族の対処法夜間せん妄が起きたときは、無理に止めず、本人の安全を守りながら落ち着いて声をかけ、興奮の引き金を減らすことが基本です。混乱している最中の本人は、強い不安や恐怖の中にいます。家族が慌てて大声を出したり力で押さえつけたりすると、本人はさらに脅かされたと感じ、抵抗が強まる悪循環に陥ります。「説得して納得させる」ことを目標にせず、「安全を確保しながら時間が過ぎるのを待つ」くらいの構えが、結果として早く落ち着くことにつながります。ここでは、その場でできる具体的な手順を整理します。その場でできる落ち着かせ方せん妄の最中は、否定せず・急がせず・安心させる関わりが基本になります。場面してほしい対応避けたい対応興奮している静かな声でゆっくり話す大声で制止する、叱る幻覚を訴える「怖かったね」と感情を受け止める「いない」と強く否定する帰宅を訴える「お茶を飲んでから」と話をそらす力ずくで引き止める立ち上がるそばで見守り転倒を防ぐ無理に座らせ押さえこむ幻覚や妄想を真っ向から否定しても、本人にとっては現実に見えているため、かえって不信感を強めてしまいます。「そう見えて怖いんだね」とまず感情に寄り添い、それから別の話題や行動にそっと注意を向けると、興奮が和らぎやすくなります。また、夜間に何度も「家に帰る」と訴える場合、論破しようとせず「もう遅いから明日にしましょう」「一緒にお茶を飲もう」と時間や行動でやわらかく区切るのが有効です。相模原市で在宅介護を続けるご家族からは「夜11時に毎晩のように玄関へ向かう義母と言い合っていたが、受け止める関わりに変えたら、興奮する時間が30分から10分ほどに短くなった」という声を聞きました。対応を変えるだけで、夜の負担が目に見えて軽くなった一例です。受診・救急を考える目安ふだんと明らかに違う急変や、安全が脅かされる状況では、ためらわず医療につなぐ判断が必要です。状況対応の目安高熱・呼吸が苦しそう・意識がもうろう救急要請・夜間救急を検討頭を強く打った、転倒してけがをした受診を検討、出血や嘔吐は救急急に手足が動かない・ろれつが回らない脳血管の異常を疑い救急要請数日続く夜間せん妄、原因が分からない翌日、主治医・訪問看護に相談夜間せん妄のすべてが救急対応を要するわけではありませんが、「いつもの混乱」と「明らかな急変」を見分ける目安を持っておくと安心です。発熱や呼吸の苦しさ、強い痛み、意識がいつもより明らかに悪いといった身体症状を伴う場合は、感染や別の病気が隠れている可能性があり、夜間でも医療機関に相談してください。一方で、転倒の危険があるだけで身体症状がはっきりしないときは、安全を確保しながら朝を待ち、翌日に主治医や訪問看護へ相談する形でも対応できます。判断に迷うときに電話で相談できる相手を、平時から一人決めておく。それが、いざというときの大きな支えになります。夜間の混乱に困ったときは、ピース訪問看護にご相談ください。環境を整えて再発を防ぐ予防策夜間せん妄は、生活リズムと睡眠環境を整え、引き金を減らすことで再発の頻度を下げられます。その場しのぎの対応だけでは、家族の疲労は積み重なる一方です。せん妄は「起きてから収める」よりも「起きにくくする」ほうが、結果的に介護負担を大きく減らします。鍵になるのは、昼と夜のメリハリをつけること、夜に安心して眠れる環境を用意すること、そして身体の不調を早めに摘み取ることの三つ。完璧を目指す必要はなく、できることから一つずつ取り入れるだけで、夜の混乱は少しずつ落ち着いていきます。昼夜のリズムを整える工夫体内時計を整えることが、夜間せん妄の予防の土台になります。時間帯工夫ねらい朝カーテンを開け日光を浴びる体内時計をリセットする日中散歩・体操・会話など活動を入れる適度な疲労で夜の眠りを促す夕方早めに照明をつける暗がりによる不安を減らす夜静かで一定の入眠儀式をつくる眠りへの切り替えを助ける人の体内時計は、朝の光を浴びることでリセットされます。日中に寝てばかりいると夜に眠れず昼夜が逆転し、せん妄が起きやすくなるため、朝に光を取り入れ、日中はなるべく身体を動かす習慣が予防につながります。とはいえ「散歩に出るのが難しい」という在宅のご家庭も多いものです。その場合は、窓辺で過ごす時間を増やす、座ったままできる体操を取り入れる、決まった時間に好きな音楽を聴くなど、無理のない範囲で構いません。デイサービスを活用して日中の活動量を確保する方法もあります。日中の過ごし方については認知症の進行を防ぐデイサービスの効果と活用ポイントを解説した記事も参考になります。睡眠と安全のための環境づくり夜に安心して眠れる環境を整えることが、せん妄の予防と転倒防止の両方に役立ちます。工夫の対象具体策期待できる効果明るさ足元灯をつけ真っ暗を避ける起きたときの混乱・転倒を防ぐ音静かな環境、急な物音を減らす覚醒・不安の引き金を減らす室温暑すぎ寒すぎを避ける不快感による中途覚醒を防ぐ動線寝室からトイレまで障害物を片づける夜間の転倒リスクを下げる手がかり時計・カレンダーを見える位置に時間や日付の混乱を和らげる夜間に目覚めたとき、部屋が真っ暗だと自分がどこにいるのか分からず、不安から混乱が始まることがあります。豆球や足元灯でほのかな明るさを残しておくと、目覚めても状況がつかみやすく、トイレへの移動時の転倒も防げます。相模原市のご家庭では、人が近づくと自動で点く人感センサー付きのライトを廊下に置いたところ、夜中に手探りで壁のスイッチを探す不安がなくなり、起き出して混乱する回数が減った例もありました。光の色は、寝つきを妨げにくい暖色のものを選ぶと、目覚めたあとも再び眠りに戻りやすくなります。また、夜中に起きてトイレに行く動線に物が置かれていると、つまずいて転倒し、せん妄をさらに悪化させかねません。家具の配置を見直し、夜間の移動経路をすっきりさせておくこと。これが夜の安全を守る基本です。徘徊や夜間の外出が心配な場合は、見守り機器の活用も選択肢になります。認知症の徘徊対策とGPSデバイスの選び方を解説した記事も役立ちます。訪問看護が夜間せん妄の家族支援に果たせる役割訪問看護は、夜間せん妄の原因の見立て・主治医との連携・家族への助言を通じて、在宅での混乱と介護負担を減らす役割を担えます。夜間せん妄は、家族だけで抱えこむと「対応のしかたが分からない」「相談先がない」という孤立に陥りやすいものです。訪問看護師が定期的に入ることで、身体の不調の早期発見、薬の調整に向けた主治医への橋渡し、生活環境の具体的な見直しまで、専門職の視点で一緒に考える体制がつくれます。医療と生活の両面から関われること。それが訪問看護の強みです。訪問看護が行う具体的な支援訪問看護は、観察・連携・指導を組み合わせて夜間せん妄に対応します。支援内容具体的な関わり家族にとっての効果身体状態の観察脱水・便秘・感染・痛みの確認隠れた原因を早期に発見主治医との連携症状を報告し薬や治療を相談適切な治療調整につながる環境・ケアの助言照明・動線・生活リズムの提案家庭で実践できる予防策が分かる家族へのサポート対応方法の指導・気持ちの傾聴介護不安と孤立感が和らぐ緊急時の相談対応受診の要否を一緒に判断夜間の不安に備えられる訪問看護師は、家族が見落としがちな身体のサインを定期的にチェックし、せん妄の引き金になりうる脱水や便秘、感染の兆しを早めにとらえます。気になる変化があれば主治医に報告し、薬の調整や受診が必要かを専門職として判断する橋渡しを担います。家族が「これは様子を見ていいのか、受診すべきか」と迷う場面でも、相談できる相手がいることは大きな安心になります。たとえば訪問時に水分の摂り方や排便の記録を一緒に確認し、脱水や便秘の兆しが見えたら早めに主治医へつなぐ。そうした地道な観察の積み重ねが、夜の混乱を未然に減らすことにつながります。日中の混乱が中心の場合も含め、認知症のある方の在宅生活全般を支える体制を整えられるのが、訪問看護の役割です。在宅で家族の負担を支える視点訪問看護は、本人へのケアだけでなく、介護する家族の心身を支える視点を大切にしています。家族が抱えやすい負担訪問看護の支え方夜眠れず疲弊する睡眠リズム改善の助言・サービス調整対応が分からず不安その場の対処法を具体的に指導相談相手がいない定期訪問で気持ちを受け止める一人で抱えこむ多職種・地域資源につなぐ夜間せん妄が続くと、介護する家族自身が慢性的な睡眠不足と緊張にさらされ、心身ともに限界に近づきます。介護者が倒れてしまえば在宅生活そのものが続けられなくなるため、訪問看護では本人のケアと同じくらい、家族の状態にも目を配ります。町田市・相模原市で訪問する中でも、「眠れない夜が続いてもう無理だと思っていたが、相談できる相手ができて気持ちが楽になった」という声を数多くいただきます。介護負担そのものへの向き合い方は介護疲れを防ぐための実践ガイドでも詳しく解説しています。家族が一人で抱えこまない仕組みづくりこそ、在宅介護を長く続ける土台になります。家族が一人で抱え込まないための相談・支援先夜間せん妄に悩んだときは、家族だけで抱えこまず、医療・介護・地域の相談先を早めに頼ることが何より大切です。「もっと頑張らなければ」と一人で背負いこむほど、対応の幅は狭まり、心身は追い詰められていきます。地域には、認知症や介護の悩みを受け止める窓口が複数あり、無料で相談できるものも少なくありません。どこに何を相談すればよいかを知っておくだけで、いざというときの行動が早くなります。主な相談先と役割相談先は内容に応じて使い分けると、必要な支援に早くたどり着けます。相談先主な役割こんなときに主治医・かかりつけ医病状・薬の相談、治療方針症状の急変・薬の調整訪問看護ステーション在宅での療養支援・観察・連携日々のケアと夜間の不安地域包括支援センター介護・福祉の総合相談、制度案内介護保険やサービス全般ケアマネジャーケアプラン作成・サービス調整デイ・ショートステイの利用認知症の電話相談窓口不安・悩みの傾聴、情報提供誰かに話を聞いてほしいときまず身近な窓口になるのが、お住まいの地域包括支援センターです。介護保険の利用やサービスの組み立て、認知症に関する相談まで幅広く受け付けており、町田市・相模原市にもそれぞれ地域ごとに設置されています。介護保険を利用していればケアマネジャーがサービス調整の中心となり、デイサービスやショートステイで日中の活動や家族の休息を確保する方法も相談できます。医療的な不安は主治医や訪問看護へ、制度や生活面の不安は地域包括支援センターやケアマネジャーへ、と内容で使い分けると効率的です。介護保険・公的サービスの活用介護保険サービスを活用することで、夜間せん妄に伴う家族の負担を制度面から軽減できます。サービス内容夜間せん妄での活かし方訪問看護看護師等による在宅療養支援原因の見立てと家族指導デイサービス日中の活動・入浴・機能訓練日中の活動量確保で夜の眠りを促すショートステイ短期入所での宿泊ケア家族の休息・レスパイト福祉用具・住宅改修手すり・段差解消など夜間の転倒予防夜間せん妄が続くと、家族は休む間もなく疲弊していきます。そんなときに頼りになるのがショートステイ。本人を短期間預けて家族がまとまった休息を取る「レスパイト」は、在宅介護を続けるうえで欠かせない仕組みです。介護保険の住宅改修や福祉用具を使えば、夜間の転倒予防のための手すり設置や段差解消も自己負担を抑えて行えます(出典:厚生労働省「介護・高齢者福祉」)。これらのサービスは、要介護認定を受けたうえでケアマネジャーと相談して組み立てます。町田市で認知症の家族を支える地域資源の全体像は町田市で認知症の家族を支える方法を解説した記事でも紹介しています。制度をうまく使うことが、家族の心と体を守る現実的な手段になります。よくある質問(FAQ)Q1. 夜間せん妄はいつか治りますか。せん妄は、原因が取り除かれれば改善が期待できる一時的な状態です。脱水や便秘、感染、薬などの引き金に対応することで、数日から数週間で落ち着くことも少なくありません。ただし認知症が背景にある場合は再び起こりやすいため、予防の工夫を続けていきましょう。Q2. 興奮しているとき、どう声をかければよいですか。静かな声でゆっくり話し、まず本人の不安や恐怖の気持ちを受け止めてください。幻覚や訴えを強く否定すると逆効果になりやすいため、「怖かったね」と共感し、別の話題や行動にそっと注意を向けると落ち着きやすくなります。Q3. 眠れないので市販の睡眠薬を飲ませてもよいですか。家族の自己判断での服用や中止は避けてください。睡眠薬の中にはせん妄を悪化させるものもあり、種類や量の調整には専門家の判断が必要です。眠れない状態が続くときは、主治医や薬剤師、訪問看護師に相談してください。Q4. 夜間に救急車を呼ぶべきか迷ったときの目安は。高熱や呼吸の苦しさ、強い痛み、意識がいつもより明らかに悪い、頭を強く打った、急に手足が動かないといった身体症状を伴う場合は、夜間でも医療機関への相談や救急要請を検討してください。身体症状がなく安全が確保できる場合は、翌日に主治医や訪問看護へ相談する形でも対応できます。Q5. 訪問看護は夜間せん妄でも利用できますか。利用できます。訪問看護師が身体の不調の確認、主治医との連携、生活環境の見直し、家族への対応指導などを通じて在宅生活を支えます。医療保険または介護保険で利用でき、まずは主治医やケアマネジャー、訪問看護ステーションに相談してください。Q6. 家族の介護疲れが限界です。どうすればよいですか。一人で抱えこまず、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談してください。ショートステイで休息を取る、デイサービスで日中を預ける、訪問看護で相談相手を持つなど、負担を分散する方法があります。介護者が倒れないことが、在宅介護を続ける前提になります。まとめ認知症の夜間せん妄は、本人の意思や性格ではなく、脳と身体に起きた一時的な変化が原因で、適切に対応すれば改善が期待できる状態です。その場では否定せず安全を守りながら落ち着いて関わり、脱水・便秘・感染・薬・環境といった引き金を一つずつ点検することが対処と予防の基本になります。今夜できることは、日が暮れる前に照明を一つ早めにつけること。今週のうちに、排便や水分のとれ具合を数日分メモしておくこと。そして今月中に、地域包括支援センターか訪問看護に一本電話を入れて相談先を一つ確保すること。昼夜のリズムを整え、夜に安心して眠れる環境をつくれば、再発の頻度は下げられます。何より、家族だけで抱えこまないでください。相談先を早めに頼り、介護する側の心と体も守りながら、在宅の暮らしを続けていきましょう。ピース訪問看護ステーションにご相談ください眠れない夜が何日も続き、「自分が倒れたらこの人はどうなるのか」と一人で抱えているなら、その重さを少し下ろしてみませんか。夜間せん妄は、原因を一緒にほどいていけば、家族の眠りを取り戻せる状態です。こんな方はぜひご相談ください:夜になると家族が興奮・混乱して眠れず、対応に疲れ果てている方夜間せん妄の原因が分からず、受診すべきか迷っている方認知症の家族の在宅介護を一人で抱えこみ、相談相手がいない方ピース訪問看護ステーションができること:脱水・便秘・感染など、せん妄の引き金になる身体状態の観察と主治医への連携昼夜のリズムや睡眠環境の見直しなど、家庭で実践できる予防策の助言夜間の不安に備えた相談対応と、ご家族の介護負担を支える伴走町田市・相模原市・多摩市など東京都南部を中心に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。関連記事認知症の種類と特徴を徹底解説!違いがわかる一覧表&訪問看護の活用方法認知症による落ち着きのなさとその対応方法について徹底解説徘徊GPS完全ガイド:認知症の徘徊対策と最新デバイスの選び方認知症の進行を防ぐには?デイサービスの効果と活用ポイントを解説町田市で認知症の家族を支えるには?訪問看護と見守り支援を徹底ガイド介護疲れを防ぐ!訪問看護で変わる家族の介護負担、疲弊しないための実践ガイド参考文献一覧出典:日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」https://www.neurology-jp.org/guidelinem/index.html出典:国立長寿医療研究センター(認知症情報ページ)https://www.ncgg.go.jp/出典:厚生労働省「介護・高齢者福祉」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理、地域医療連携、在宅看取り支援に積極的に取り組んでいる。island-piece.jp 株式会社isLand|訪問看護・居宅介護支援・訪問介護|町田市