1. 末期がんが「急に悪化」するときに起こること急変・増悪の定義用語意味医療現場での使い方急変数時間〜1日のうちに容体が大きく変化すること呼吸停止、血圧低下などの救急対応が必要な状態増悪日〜週単位で症状が悪化すること疼痛の持続、食欲不振、倦怠感の進行など末期がんにおける「急な悪化」とは、急変と増悪の両方を含みます。急変は呼吸困難や意識障害など数時間単位で急激に起こる変化を指し、増悪は日から週単位で進行する持続的な悪化を意味します。こうした変化は患者本人や家族にとって強い不安を与え、介護負担や生活の質の低下にも直結します。特に在宅療養中では、急変が夜間や休日に起きることも多く、事前の連絡体制や緊急対応の準備が重要です。また、増悪が進行する過程で見られる食欲不振や倦怠感は、栄養状態や体力を大きく損ない、生活自立度を低下させます。急変と増悪の違いを理解し、医療者との連携を通じて備えることで、患者と家族双方がより安心して終末期を過ごすことが可能となります。出典:厚生労働省「がん対策推進基本計画」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000183313.htmlよくみられる症状の特徴主な症状悪化時の特徴ケアの優先度疼痛強度が急に上がる、夜間も持続高呼吸困難息切れ、喘鳴、痰増加高倦怠感動けない、睡眠時間増加中せん妄意識混濁・幻覚・混乱高疼痛や呼吸困難、倦怠感、せん妄は末期がんでよくみられる代表的な症状です。これらの症状は単独で現れることもあれば、複数が重なり合い一気に生活の質を下げることもあります。特に疼痛や呼吸困難は患者の身体的苦痛に直結し、適切な薬物療法や体位調整が欠かせません。また、せん妄は家族に強い不安を与えるため、周囲のサポート体制が重要になります。症状が悪化する背景にはがんの進行だけでなく、感染や脱水など二次的な要因も関わります。したがって、悪化のサインを見逃さず、早期に医療者へ相談することが症状コントロールと安定した療養生活につながります。出典:日本緩和医療学会「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」https://www.jspm.ne.jp/guidelines/家族が気づく体の変化観察ポイント悪化時のサイン家族ができる対応食事摂取量が急に減る主治医・訪問看護に相談呼吸ゼーゼー・呼吸の乱れ体位調整・医療者へ連絡会話反応が鈍くなる・混乱する落ち着いて声掛けする表情苦悶表情・不安感医療者に疼痛や不安を伝える患者本人は体調の変化に気づきにくいことも多いため、家族による観察が非常に重要です。代表的なのは「急に食べられなくなった」「呼吸が荒い」「呼びかけに反応が弱い」といった変化です。これらは命に関わる急変の兆候である可能性があり、速やかな対応が求められます。家族が観察した情報を訪問看護師や主治医に伝えることで、迅速かつ適切な医療的対応が可能になります。また、観察と同時に、家族が安心して対応できるよう介護の仕方や声かけの工夫を指導してもらうことも大切です。早期に情報を共有することが、患者の苦痛緩和や療養生活の安定につながります。出典:東京都福祉保健局「がん相談支援センター」https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/gansoudan/2. 末期がんの悪化を引き起こす主な原因進行・転移・多臓器不全状態よくある症状生命予後への影響肝不全黄疸・腹水・倦怠感予後を大きく短縮腎不全むくみ・尿量減少数日〜数週間で急変呼吸不全息切れ・低酸素数時間〜数日で危険進行や転移による多臓器不全は急変の最大の原因です。肝臓や腎臓、肺といった主要臓器の機能が失われることで、全身のバランスが一気に崩れ、短期間で命に関わる状況に至ります。臓器不全が進むと薬剤代謝が低下し、治療効果が得られにくくなるため、症状コントロールも難しくなります。たとえば肝不全では腹水や黄疸が急速に進行し、呼吸や消化機能に影響します。腎不全では尿が出なくなり、むくみや高カリウム血症を引き起こします。こうした変化を早期に把握し、緩和ケアチームと連携して対応することが、患者と家族にとっての安心につながります。出典:日本緩和医療学会「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」https://www.jspm.ne.jp/guidelines/感染症の合併主な感染症症状急変への影響肺炎発熱・咳・痰呼吸状態を急激に悪化させる尿路感染症発熱・排尿痛・血尿全身倦怠感・せん妄を誘発敗血症高熱・血圧低下数時間〜数日で命に関わる免疫力が低下した末期がん患者は感染症にかかりやすく、特に肺炎や尿路感染症は全身状態を一気に悪化させるリスクがあります。高齢者や体力の低下した患者では発熱や咳などの典型的な症状が出にくく、「なんとなく元気がない」といった変化から急変が始まることもあります。敗血症に進展した場合は短時間で血圧低下や意識障害を引き起こし、救命が困難になることもあります。そのため、日常生活の中での衛生管理や口腔ケア、排泄ケアが重要となります。早期発見と医療者への速やかな報告が命を守る鍵になります。出典:厚生労働省「高齢者の感染症予防」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/index.html栄養障害と悪液質状態特徴影響食欲不振摂取量低下急速な体重減少サルコペニア筋肉量の低下歩行困難・転倒リスク悪液質炎症・代謝異常による体重減少予後不良の要因栄養障害や悪液質は末期がんで非常に多く見られる合併症です。食欲が低下するだけでなく、体内でエネルギーの使い方が変化し、筋肉や脂肪が急速に減っていきます。悪液質は単なる栄養不足ではなく、炎症や代謝異常が関与しているため、点滴や高カロリー食のみでは改善が難しいとされています。結果として体力の消耗が進み、転倒や感染のリスクが高まります。近年は栄養士やリハビリ専門職を交えた包括的なケアが推奨されており、食欲低下がみられた段階で早めに支援を受けることが重要です。患者本人の「食べたい気持ち」を尊重しながら、体調に合わせた工夫を行うことで生活の質を維持することができます。出典:WHO「Cancer cachexia」https://www.who.int/3. 末期がんで見られる代表的な症状疼痛とブレイクスルー痛種類特徴ケアの方法持続痛常に痛みがある定期的な鎮痛薬の使用突発痛(ブレイクスルー痛)突然強い痛みが出現速効性鎮痛薬を追加末期がん患者に最も多く見られるのが疼痛です。持続痛は長時間続く痛みで、オピオイドを中心に定期的な薬物投与で管理されます。一方、突発痛(ブレイクスルー痛)は咳や体位変換、排泄行為などを契機に急激に起こる強い痛みであり、速効性の鎮痛薬を使用することが推奨されます。痛みのコントロールが不十分だと食事・会話・睡眠など日常生活全般に影響し、患者の尊厳を損なうことにつながります。最近では貼付剤や持続静注ポンプなど、多様な方法が導入されており、痛みの波を安定させる工夫も広がっています。家族が痛みの表情や行動の変化に気づき、早めに報告することが適切な調整につながります。出典:日本緩和医療学会「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」https://www.jspm.ne.jp/guidelines/呼吸困難状態特徴支援方法労作時呼吸困難動くと苦しい安静・在宅酸素療法安静時呼吸困難動かなくても苦しいオピオイド投与・体位工夫末期がん患者の多くは呼吸困難を経験します。肺転移や胸水の貯留、筋力低下によって呼吸が難しくなるケースが多く、初期は活動時のみの息切れでも、進行すると安静時にも症状が出現します。呼吸困難は強い不安や恐怖心を伴うため、精神的ケアも重要です。緩和ケアではオピオイド少量投与が呼吸困難の軽減に有効であり、日本緩和医療学会のガイドラインでも推奨されています。加えて酸素療法や体位調整(ファーラー位など)、吸引による痰の除去なども症状緩和に寄与します。家族は「苦しそうな呼吸」や「呼吸数の増加」に気づいたら、医療者に早めに相談し、適切な対応を受けることが大切です。出典:日本緩和医療学会「進行性疾患患者の呼吸困難の緩和に関する診療ガイドライン」https://www.jspm.ne.jp/guidelines/せん妄種類特徴家族の対応過活動型興奮・幻覚・不眠安全確保・医師に相談低活動型ぼんやり・反応鈍い声かけ・環境調整末期がん患者ではせん妄が比較的高頻度でみられます。せん妄は急激な意識混濁や認知機能の障害を特徴とし、薬剤の副作用や感染、脱水、疼痛の悪化などが誘因になります。過活動型では幻覚や興奮が見られ、夜間せん妄として不眠や徘徊を伴うこともあります。一方、低活動型は反応が鈍く、周囲からは「ただ眠っているように見える」ため見逃されがちです。日本サイコオンコロジー学会のガイドラインでは、環境調整(照明・音・日中の活動性確保)や適切な薬物療法による対応が推奨されています。家族は混乱している患者を無理に制止するのではなく、安全を確保しつつ医療者へ迅速に相談することが望まれます。出典:日本サイコオンコロジー学会「せん妄に関するガイドライン」https://jpos-society.org/4. 末期がん患者に起こりやすい体の変化栄養状態の低下変化特徴影響食欲不振摂取量減少体重減少・体力低下嘔気・嘔吐薬剤副作用や腸閉塞栄養不足が進行味覚異常味がわからない食事意欲の低下末期がん患者においては栄養状態の低下がよく見られます。がんそのものの進行に加え、薬の副作用や消化器症状により食欲不振や嘔気、嘔吐が起こります。味覚異常も重なり、食事意欲が大幅に低下することがあります。こうした栄養障害は体力の低下や免疫力の低下を招き、感染症や褥瘡など二次的な合併症を引き起こすリスクを高めます。そのため、早期から少量頻回の食事や栄養補助食品の活用などの工夫が必要です。また、無理に食べさせるよりも「食べたいものを食べられる時に」という考え方を優先し、生活の質を保つことが大切です。出典:国立がん研究センター「がん情報サービス 栄養と食事」https://ganjoho.jp/public/support/condition/nutrition/index.html皮膚トラブルと褥瘡状態特徴ケア皮膚乾燥バリア機能低下保湿ケア・清潔保持褥瘡長時間同じ体位で発生体位変換・体圧分散寝具皮下出血抗がん剤や栄養障害で増加圧迫・保護体力が落ちて寝ている時間が増えると皮膚トラブルや褥瘡が発生しやすくなります。皮膚が乾燥しバリア機能が低下すると、かゆみや感染の原因となります。また、褥瘡は一度できると治りにくく、痛みや感染リスクが高まるため予防が最重要です。2時間ごとの体位変換やエアマットなどの体圧分散寝具の活用が有効です。さらに、皮下出血も抗がん剤や栄養障害で起こりやすいため、日常的な皮膚の観察が欠かせません。訪問看護師は皮膚の変化を早期に発見し、適切な処置や医師への報告を行います。出典:日本褥瘡学会「褥瘡予防・管理ガイドライン」https://www.jspu.org/精神面の変化変化特徴支援不安将来への恐怖カウンセリング・傾聴抑うつ意欲低下・無気力薬物療法・心理支援孤独感支援不足家族・地域とのつながり末期がん患者には精神面の変化も大きく現れます。がんの進行や症状悪化により、「先の見えない不安」「孤独感」を抱えることが多く、抑うつ状態になることもあります。こうした心理的苦痛は身体症状をさらに悪化させる悪循環につながることがあります。緩和ケアチームでは心理士や精神科医も関わり、カウンセリングや薬物療法を通じて精神的安定を支援します。家族や地域の支えも大切で、孤立感を軽減する取り組みが求められます。精神的ケアは単なる付加的支援ではなく、全人的苦痛を和らげる緩和ケアの中核です。出典:WHO「Palliative care」https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/palliative-care5. 急な悪化が起きたときの対応方法救急搬送が必要なケースサイン具体例対応呼吸不全息ができない・チアノーゼ119番通報・酸素投与循環不全血圧低下・脈が触れない救急要請意識障害反応なし・けいれん緊急搬送在宅療養中に救急搬送が必要なケースが生じることがあります。代表的なのは呼吸不全や循環不全、意識障害です。呼吸困難で息ができない、皮膚が紫色になるチアノーゼが見られた場合は直ちに救急要請が必要です。血圧が測れない、脈が触れないといった循環不全や、呼びかけに反応しない意識障害も同様です。家族は冷静に観察し、ためらわず119番へ連絡することが命を守る第一歩となります。ただし、事前に主治医と「救急搬送を希望するかどうか」を話し合っておくことも重要です。出典:東京都福祉保健局「救急医療体制」https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kyuukyuu/医師や訪問看護師への連絡状況連絡先対応症状の急変主治医・訪問診療医診察・処方変更ケアの相談訪問看護師医師への報告・処置夜間・休日24時間連絡体制の看護師緊急訪問急変時の第一対応として大切なのは医師や訪問看護師への速やかな連絡です。主治医が訪問診療を行っている場合は緊急時の連絡体制が整備されています。訪問看護師は医師に症状を報告し、必要に応じて吸引や点滴、疼痛コントロールを行います。夜間や休日でも24時間連絡体制のあるステーションを利用すれば安心です。事前に「誰に、どの番号へ、どう伝えるか」をメモしておくと混乱を防げます。出典:厚生労働省「訪問看護の利用対象」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000661085.pdf家族ができる応急対応状況家族の対応補足呼吸困難上体を起こす・換気医療者へ連絡出血圧迫止血救急要請不安・せん妄落ち着いた声掛け安全確保急変時、家族ができる応急対応もあります。呼吸困難時は上体を起こすことで呼吸が楽になります。鼻や口からの出血は清潔なタオルで圧迫して止血します。せん妄で混乱した場合は無理に制止せず、安全な環境を整え落ち着いた声掛けをします。ただし、応急対応はあくまで医療者につなぐまでの時間稼ぎであり、必ず医師や訪問看護師に連絡することが大切です。出典:日本赤十字社「家庭でできる応急手当」https://www.jrc.or.jp/education/education/first-aid/6. 急変時に役立つ医療・介護の制度とサービス在宅療養支援診療所サービス内容メリット24時間連絡医師へいつでも連絡可能安心感の向上緊急往診夜間・休日も往診可能急変に対応医療連携看護・介護との連携チームで支援在宅療養支援診療所は急変時に心強い存在です。24時間体制で医師への連絡が可能で、必要に応じて夜間・休日も往診に対応します。また訪問看護や介護サービスと密接に連携し、チームで患者を支える体制が整っています。在宅での療養を希望する場合、この体制がある診療所を選ぶことが重要です。出典:厚生労働省「在宅医療の推進」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/医療保険・介護保険の併用制度対象利用例医療保険医師の指示による処置点滴・吸引介護保険要介護認定を受けた人訪問看護・訪問リハ併用医療と介護の双方を利用状況に応じて使い分け医療保険と介護保険を適切に使い分けることで負担を減らし、必要な支援を受けることができます。例えば点滴や吸引は医療保険、日常生活を支える訪問リハは介護保険で利用するなど、併用が可能です。ケアマネジャーや訪問看護師に相談し、最適な制度活用を行うことが急変時の安心につながります。出典:厚生労働省「介護保険制度」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kaigo_kaigo_koureisha/kaigo_hoken/index.html緊急時の地域支援体制支援内容担い手24時間連絡体制急変時の相談窓口行政・地域包括支援センター在宅看取り支援看取り期の医療・看護訪問診療・訪問看護地域連携医療・介護の情報共有多職種チーム地域には包括的な支援体制があります。地域包括支援センターや行政の窓口では、24時間体制で相談を受け付ける地域もあります。在宅での看取りを希望する場合も、訪問診療や訪問看護が連携し、最後まで自宅で安心して過ごせるよう支援します。地域の医療・介護機関が情報を共有し合うことは、急変時の迅速な対応につながります。出典:厚生労働省「地域包括ケアシステム」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/7. 急変を予防するための日常生活での工夫栄養管理と水分補給ポイント方法効果食事少量頻回、消化に良い食品負担を減らし摂取量を確保水分補給こまめに少しずつ脱水予防・意識の安定栄養補助栄養補助食品やゼリー必要な栄養素を補う末期がん患者では、栄養障害や脱水が急変の引き金になることがあります。そのため、栄養管理と水分補給は極めて重要です。一度に多く食べられない場合は、少量を数回に分けて摂る方法が有効です。水分補給も一度に大量ではなく、口に含む程度を頻回に行うことが望まれます。栄養補助食品やゼリーなどを活用するのも効果的です。これにより体力や免疫力を維持し、感染や体調不良を防ぐことにつながります。家族が工夫を取り入れながら支えることで、日常生活の安定が図れます。出典:厚生労働省「栄養・食生活」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/感染予防と口腔ケアケア内容方法効果手指衛生手洗い・アルコール消毒感染予防口腔ケア歯磨き・口腔清拭肺炎予防環境整備室内換気・清掃生活環境の衛生維持免疫力の低下した末期がん患者にとって感染予防は急変防止の大切なポイントです。特に誤嚥性肺炎を防ぐためには口腔ケアが効果的であり、毎日の歯磨きや口腔清拭が推奨されます。また、手洗いやアルコール消毒を徹底することで、日常生活に潜む感染リスクを大幅に下げることができます。さらに、室内の換気や清掃も環境整備として欠かせません。小さな積み重ねが急変を予防し、安心して在宅療養を続けるための基盤になります。出典:日本歯科医師会「高齢者の口腔ケアと誤嚥性肺炎予防」https://www.jda.or.jp/規則正しい生活と体調観察工夫方法効果睡眠日中の活動量を確保夜間の安眠につながる排泄規則的にトイレ誘導便秘・尿路感染を防ぐ観察体調日誌・体温・血圧測定悪化の早期発見規則正しい生活を維持することは、体力の保持と急変予防に役立ちます。日中に少しでも体を動かすことで夜間の睡眠の質が改善されます。また、排泄を規則正しく行うことは便秘や尿路感染の予防に効果的です。家族が体調日誌をつけて観察することで、微細な変化にも早く気づけます。たとえば「熱が出やすい」「むくみが強くなった」などを記録することで、医師や訪問看護師が適切な判断をしやすくなります。こうした取り組みが大きな急変の予防につながります。出典:東京都福祉保健局「在宅療養のすすめ」https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/8. 訪問看護・訪問リハビリ・地域支援の活用訪問看護の役割項目内容具体例病状観察体温・脈拍・呼吸状態のチェックがんの進行に伴う変化の確認医療処置吸引、点滴、カテーテル管理経管栄養や在宅酸素療法への対応痛み緩和モルヒネ投与・貼付薬管理症状に応じた調整訪問看護は在宅療養の中心的役割を果たします。医療処置や体調管理だけでなく、患者と家族への心理的支援も担います。特に末期がんでは痛みや呼吸困難といった苦痛が強く出ることが多いため、訪問看護師が医師と連携し、モルヒネや酸素療法、体位調整など多角的な方法で症状を和らげることが重要です。また、家族に介護方法を指導することで不安を軽減し、在宅での看取りを支える役割も果たします。出典:厚生労働省「訪問看護の利用対象」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000661085.pdf訪問リハビリの支援項目内容具体例身体機能維持筋力低下予防・関節可動域訓練ストレッチ・歩行訓練呼吸リハ呼吸筋強化・排痰介助息切れ軽減の運動療法生活動作支援食事・排泄・入浴の動作練習ベッド⇔車椅子の移乗訓練訪問リハビリは生活の質を維持するための重要なサービスです。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が関わり、患者の身体機能をできる限り維持することを目指します。呼吸リハでは呼吸筋を鍛え、息苦しさを軽減する効果が期待できます。また、生活動作の訓練や住環境の調整を行うことで、家族の介護負担を減らすことが可能です。医療とリハビリの両輪で支えることが、安心した在宅療養に不可欠です。出典:厚生労働省「訪問リハビリテーションの手引き」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000183313.html町田市でのご相談はピース訪問看護ステーションへスタッフ体制(2025年10月時点、事業者提供情報)人数特徴看護師9名医療的ケア・夜間対応も可能リハビリスタッフ14名理学療法士・作業療法士・言語聴覚士在籍ケアマネジャー7名医療と介護をつなぐ役割特徴詳細夜間対応夜間の急な体調不良や転倒にも対応可能(24時間連絡体制)リハビリ専門職の充実在宅生活に合った支援が受けられるケアマネジャー連携医療・介護・リハビリをまとめてサポート看取り支援の経験豊富多数の症例に関わり専門性を蓄積地域連携町田市内のクリニックと定期的に勉強会を開催、近隣と密に連携ピース訪問看護ステーションは町田市を拠点に、地域の医療機関や介護サービスと密接に連携しながら、安心して在宅生活を送れるようサポートしています。必要に応じていつでも相談できる体制を整えており、「もしものときに頼れる存在」です。看護師・リハビリスタッフ・ケアマネジャーが一体となって支援し、本人と家族に寄り添うケアを提供します。特に看取り支援の経験が豊富で、ご本人の体調管理はもちろん、ご家族の介護負担を軽減する取り組みに力を入れています。利用者が住み慣れた自宅で安心して暮らせるよう、全力でサポートを続けています。👉 ぜひ町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーション にご相談ください。9. よくある質問(Q&A)Q1. 急に食欲がなくなったときはどうすればいいですか?A. 少量頻回で食べやすい食品を工夫し、水分補給を優先してください。無理に食べさせる必要はなく、医療者に相談して栄養補助食品の利用を検討します。Q2. 点滴や胃ろうは必要ですか?A. 点滴や胃ろうは状況によって有効な場合がありますが、体に負担となる場合もあります。メリット・デメリットを踏まえ、本人の希望を尊重しつつ医療者と相談して選択することが大切です。Q3. 急に呼吸が苦しくなったときの対応は?A. 上体を起こす、室内を換気するなどで呼吸が楽になることがあります。同時に訪問看護や主治医へ連絡してください。症状が続く場合は酸素療法や薬物療法を検討することもあります。Q4. 自宅で看取ることはできますか?A. 訪問診療や訪問看護を利用すれば可能です。在宅緩和ケアチームが支え、家族への介護支援や心理的サポートも受けられます。Q5. 家族だけでは不安ですがどうしたらよいですか?A. 訪問看護・訪問リハビリ・ケアマネジャーの支援を受けることで、家族の負担が軽減されます。必要に応じて24時間連絡体制のあるステーションを活用してください。Q6. 町田市に住んでいますが相談先はありますか?A. はい。町田市にはピース訪問看護ステーションがあり、地域連携を通じて在宅療養を総合的にサポートしています。まとめ末期がんでは急な悪化が起こり得ますが、予防や対応方法を知り、訪問看護や訪問リハビリなどの支援を受けることで、患者と家族は安心して在宅で過ごすことができます。医療と介護の制度をうまく活用し、本人の希望を尊重することが大切です。ぜひ町田市およびその近隣にお住まいの方は、ピース訪問看護ステーションにご相談ください。関連記事介護疲れを防ぐ!訪問看護で変わる家族の介護負担、疲弊しないための実践ガイド訪問看護のサービス内容を徹底解説、対象者・保険制度・利用の流れまでわかる癌末期の安心自宅ケアとは?訪問看護の現場から解説末期癌の在宅看取りで後悔しないために、訪問看護・リハビリと準備のすべて参考文献一覧厚生労働省「がん対策推進基本計画」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000183313.html日本緩和医療学会「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」https://www.jspm.ne.jp/guidelines/日本緩和医療学会「進行性疾患患者の呼吸困難の緩和に関する診療ガイドライン」https://www.jspm.ne.jp/guidelines/日本サイコオンコロジー学会「せん妄に関するガイドライン」https://jpos-society.org/東京都福祉保健局「がん相談支援センター」https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/gansoudan/厚生労働省「高齢者の感染症予防」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/index.htmlWHO「Cancer cachexia」https://www.who.int/国立がん研究センター「がん情報サービス 栄養と食事」https://ganjoho.jp/public/support/condition/nutrition/index.html日本褥瘡学会「褥瘡予防・管理ガイドライン」https://www.jspu.org/WHO「Palliative care」https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/palliative-care東京都福祉保健局「救急医療体制」https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kyuukyuu/厚生労働省「訪問看護の利用対象」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000661085.pdf日本赤十字社「家庭でできる応急手当」https://www.jrc.or.jp/education/education/first-aid/厚生労働省「在宅医療の推進」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/厚生労働省「介護保険制度」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kaigo_kaigo_koureisha/kaigo_hoken/index.html厚生労働省「地域包括ケアシステム」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/厚生労働省「栄養・食生活」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/日本歯科医師会「高齢者の口腔ケアと誤嚥性肺炎予防」https://www.jda.or.jp/東京都福祉保健局「在宅療養のすすめ」https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/厚生労働省「訪問リハビリテーションの手引き」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000183313.html本記事の執筆者・監修者プロフィール【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。