高齢化が進むなか、在宅介護で必要になる紙おむつの費用負担を少しでも軽減するために、各自治体では様々な助成制度を設けています。東京都町田市もそのひとつで、一定の条件を満たす高齢者や介護者を対象に、紙おむつの支給や費用助成を行っています。本記事では、町田市のおむつ助成制度の対象者、申請方法、支給内容、注意点などを、町田市の公式情報に基づいてわかりやすく解説します。1. 町田市のおむつ助成制度とは?町田市では、要介護状態にある高齢者など、日常的に紙おむつを必要とする方を対象に、「紙おむつ支給事業」として支援を行っています。この制度は、介護するご家族の経済的・精神的負担を軽減することを目的としており、年4回(6月、9月、12月、3月)に定期的に紙おむつを無償で支給する仕組みです。1回あたりの支給上限は7,000円(税込)までで、専用カタログの中から希望する商品を選びます。さらに、2025年度からは置き配が原則となり、家族不在時でも受け取りが可能になりました。表1:町田市の主なおむつ助成制度の概要制度名内容支給頻度紙おむつ支給事業高齢者に紙おむつを無償支給(カタログから選択、上限7,000円)年4回(6月・9月・12月・3月)医療費控除制度医師の証明書、または市発行の確認書により確定申告時に控除対象年1回(確定申告時)出典:町田市「在宅高齢者紙おむつ支給事業」http://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/old/shiminnokatae/seikatsukurashi/zaitaku/kamiomutushikyu.html2. 対象となる方の条件町田市の紙おむつ支給制度を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。町田市内に住所を有していること65歳以上であること要介護4または5に該当し、常時おむつを必要とする在宅高齢者であること特別養護老人ホームなどの施設に入所していないこと市民税非課税世帯であること生活保護受給中や中国残留邦人等支援給付の受給者ではないこと3. 助成内容と支給方法支給される内容は、町田市が指定したカタログ掲載の商品で、主に以下が含まれます:紙おむつ(テープ型・パンツ型)尿取りパッド表2:紙おむつ支給品の例種類商品名例備考テープ型おむつライフリー テープ止めタイプ夜間や寝たきり向けパンツ型おむつリフレ はくパンツ歩行可能な高齢者向け尿取りパッドライフリー 尿とりパッド吸収量やサイズで選べる配達方式は原則として、町田市が契約した業者が利用者宅まで直接配送(置き配が原則)します。これにより、家族の負担を軽減する仕組みが整えられています。4. 申請の流れと必要書類申請手続きは以下の流れで行います。高齢者支援課(町田市役所)に申請書を提出初回は専用カタログから品番を選び、「利用申請書(第1号様式)」を提出市による審査後、登録完了通知を受ける提出先:町田市 高齢者支援課 高齢者相談・支援担当(〒194-8520 町田市森野2-2-22)締切:各支給月の前月末日必着必要な書類の一例:紙おむつ支給申請書(第1号様式)本人確認書類(住民票など)所得証明書類(市が非課税世帯であるか確認)5. 紙おむつ費用控除との違いと併用の可否「医療費控除」としておむつ代を申告する場合は、医師の「おむつ使用証明書」が必要です。ただし町田市では、医師の証明書の代わりに「おむつに係る医療費控除主治医意見書確認書」を市が発行し、証明書の代替とすることが可能です。対象要件としては、要介護1〜5に該当し、かつ初年度は6か月以上継続しておむつを使用している必要があります。紙おむつ支給事業と医療費控除は併用可能ですが、同じ購入分を二重に申請することはできません。出典:町田市「おむつに係る費用の医療費控除主治医意見書確認書の交付」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/old/shiminnokatae/seikatsukurashi/zeikojo/omutsukoujyo.html6. よくある質問(FAQ)Q. 年度の途中でも申請できますか?A. はい、いつでも申請可能です。ただし、支給は次回分からの対象になる場合があります。Q. 一度申請すれば継続して受け取れますか?A. 原則継続です。変更の連絡がない限り、同じ商品が次回も配送されます。ただし、施設入所・長期入院・転居・支給品の変更などがある場合は、所定の連絡や手続きが必要です。Q. 施設入所中でも対象になりますか?A. 対象外です。在宅での介護を受けている方のみが対象です。7. 助成制度を受ける際の注意点支給対象は「町田市が指定したカタログ掲載製品」のみです。個人が自由に選んだ商品は対象外です。配達は置き配が基本で、日時の指定はできません。希望がある場合は業者に直接相談が必要です。所得証明の確認は市が行いますが、初回申請時には必要に応じて本人確認書類を準備してください。制度の変更や申請締切には十分注意が必要です。8. 制度を上手に活用するポイント紙おむつの支給は、家計面だけでなく介護負担の軽減にもつながります。以下のような工夫をすることで、より効果的に活用できます。ケアマネジャーや訪問看護師と連携して、最適な製品を選定配達スケジュールに合わせてストックを調整医療費控除と比較して、どちらが経済的に有利か試算する表3:制度活用のチェックリストチェック項目実施状況利用申請書(第1号様式)を提出したか?□所得証明(非課税世帯)を確認したか?□提出先・締切を確認したか?□次回支給月を把握しているか?□9. 町田市の福祉サービスとの連携町田市では、紙おむつ支給のほかにも以下のような福祉サービスが提供されています:日常生活用具の給付(障がい福祉分野の紙オムツ)※年3回(3月・7月・11月)、4か月分をまとめて申請障害者向けの福祉サービス(補装具、生活用具など)在宅介護支援(ヘルパー派遣・訪問看護など)これらを組み合わせて利用することで、介護の質を維持しつつ経済的負担を最小限に抑えることが可能です。出典:町田市「日常生活用具の給付」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/syougai_hukushi/nitijoseikatsushien/hosogu/nichijou.htmlまとめ町田市の紙おむつ助成制度は、在宅での介護を支えるための心強い支援策です。申請には一定の条件や手続きが必要ですが、制度を活用することで経済的負担を軽減し、介護するご家族の負担も軽くなります。各種制度を上手に組み合わせて活用し、安心した在宅生活を送りましょう。制度についての詳しいご相談は、ピース訪問看護ステーションまでお気軽にお問い合わせください。関連記事町田市の高齢化と介護支援、訪問看護が果たす重要な役割とは町田市の介護相談はここ!高齢者支援センター・あんしん相談室の利用ガイド介護保険で受けられるリハビリのすべて、種類・内容・利用の流れを解説参考文献一覧町田市「在宅高齢者紙おむつ支給事業」http://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/old/shiminnokatae/seikatsukurashi/zaitaku/kamiomutushikyu.html町田市「おむつに係る費用の医療費控除主治医意見書確認書の交付」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/old/shiminnokatae/seikatsukurashi/zeikojo/omutsukoujyo.html町田市「日常生活用具の給付」https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/syougai_hukushi/nitijoseikatsushien/hosogu/nichijou.html本記事の執筆者・監修者プロフィール【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理に長け、地域医療連携や在宅看取り支援にも積極的に取り組んでいる。