「夜中に何度も起きてしまう」「エアコンを切って寝たら、朝になってぐったりしていた」。真夏の夜、高齢のご家族の眠りにこうした心配を抱えるご家庭は、町田市や相模原市でも年々増えています。熱帯夜に高齢者が眠れないという訴えは、単なる寝つきの悪さではありません。体が暑さを逃がしきれず、体温と水分のバランスが崩れかけているサインであることが少なくないからです。しかも夜間はご家族も眠っています。発見が朝までずれ込み、気づいたときには意識がはっきりしないところまで進んでいた。そうした事態が実際に起こります。この記事では、熱帯夜に高齢の家族が眠れない夜に何を整えればよいのかを訪問看護の視点でまとめました。夜間熱中症の仕組み、初期サインの見分け方、エアコンの設定温度とつけっぱなしの是非、寝室の湿度対策、夜中に目が覚めたときの手順まで、その日の夜から使える形で解説します。この記事でわかること高齢者が熱帯夜に眠れなくなり、夜間熱中症を起こしやすい理由夜間の熱中症・脱水の初期サインと、受診をためらってはいけない目安室温28度以下・湿度70%以下を保つエアコンの設定と冷え対策夜中に目が覚めたときの4ステップの対応手順家族だけで抱えないための訪問看護の使い方熱帯夜に高齢の家族が眠れない夜、まず知っておきたいこと熱帯夜で高齢者が眠れない夜は、睡眠の問題としてではなく夜間熱中症・脱水のリスクとして捉え、寝室の温度と湿度を数字で確かめたうえでエアコンを朝まで運転し続けることが基本の対応になります。熱帯夜とは、夜間の最低気温が25度を下回らない夜を指します。日中に上がった室温は、日が沈んでもすぐに下がりません。とくに鉄筋コンクリートの集合住宅や、西日の入る木造住宅の2階。深夜も壁や天井に熱がこもり、外気温より室温が高い状態が続きます。眠れないという訴えは、その環境に体が耐えかねている合図です。見落とされやすいのが「夜だから涼しいはず」という思い込みです。環境省のマニュアルは、熱中症が屋内でも起きていること、平成30年から令和5年まで亡くなった人の8割以上が65歳以上だったことを示しています(出典:環境省「熱中症環境保健マニュアル ~総論~(2025年7月版)」)。搬送データも同じ方向です。2023年の全国の熱中症搬送者数は91,467人。年齢区分別では65歳以上が最も多く、発生場所別では住居が最多でした(出典:日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」、元データは総務省消防庁「熱中症情報 過去のデータ一覧」)。夜のサイン家族が思いがちなこと実際に疑うべきことその夜にすること何度も寝返り・寝つけない年のせい、昼寝のせい室温・湿度が高すぎる温度を測り、28度以下に下げる布団をはいで寝ている寝相が悪くなった深部体温が下がりきっていないエアコンを切らずに継続運転明け方に汗びっしょり汗をかいてすっきりした夜間に脱水が進んでいる起床時にコップ1杯の水分朝の受け答えが鈍い寝起きが悪い夜間熱中症・脱水の疑い涼所で冷却し、早めに受診上の表は、訪問先でご家族から実際に聞く言葉と、その裏で起きている可能性を並べたものです。左の列だけを見ていると、どれも「よくあること」で片づいてしまいます。判断を分けるのは、温度計と湿度計の数字を確認したかどうか。環境省も、熱中症を防ぐ行動として「室内でも温度を測りましょう」と呼びかけています(出典:環境省熱中症予防情報サイト「熱中症の予防方法と対処方法」)。ご本人が「暑くない」と言っていても、室温が30度を超えている例は珍しくありません。感覚ではなく数字で管理する。これが夜間の安全を守る最初の一歩です。高齢者が熱帯夜に眠れなくなり夜間熱中症になりやすい理由とは高齢者が熱帯夜に眠れなくなる主な理由は、加齢によって暑さやのどの渇きを感じ取る力と、汗をかいて熱を逃がす力の両方が低下し、そこに睡眠そのものの質の変化が重なるためです。「年をとると暑さに弱くなる」とはよく言われます。体の中で何が起きているのかまで知るご家族は多くありません。仕組みが分かると、なぜ我慢させてはいけないのかが腑に落ちます。加齢で暑さを感じにくくなる体の変化加齢による変化体で起きていること熱帯夜の夜に現れること皮膚の温度センサーの感度低下暑さの信号が脳に届きにくい室温32度でも「暑くない」と言う発汗量の低下・汗が出るまで時間がかかる気化熱で熱を捨てにくい体に熱がこもり、寝つけない体内の水分量が減る熱を蓄える余力が小さい少しの発汗で脱水域に入る口渇中枢の反応低下のどの渇きを自覚しにくい水分をすすめても断る心機能・血管の予備力低下皮膚への血流を増やしにくい熱を体表から逃がせない体温調節は、皮膚から熱を逃がす仕組みと、汗の気化熱で冷やす仕組みの二本立てです。高齢になると、どちらも働きにくくなります。日本救急医学会のガイドラインでも、高齢であること自体が発症リスクとされています。体温調節機能の低下に加え、水分摂取などの行動がとれないこと、暑い環境にいること自体を認知できないことが背景です(出典:日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」)。高齢者向けのリーフレットでも、若い人より体内の水分量が少なく不足しがちだと注意が促されています(出典:環境省・厚生労働省「高齢者のための熱中症対策」)。本人の申告ではなく、温度計の数字と皮膚の状態で決める。それだけで防げる事態がかなりあります。高齢者の睡眠は浅く、途中で目が覚めやすい睡眠の特徴若い頃との違い熱帯夜に起きる悪循環深いノンレム睡眠が減る物音・暑さで覚醒しやすい暑さで何度も起きる中途覚醒が増える一晩に2〜4回起きることも起きるたびに体温が上がる早寝早起き傾向(睡眠位相の前進)20時に就寝、3時に覚醒最も暑い時間帯に寝つく夜間頻尿トイレで2〜3回起きる水分を控えて脱水が進む日中の活動量低下昼寝が長くなる夜の睡眠圧が下がる加齢に伴って睡眠は浅く、分断されやすくなります。病気ではなく生理的な変化ですが、熱帯夜と重なると悪循環を生みます。暑さで目が覚め、動いて体温が上がり、寝つけないまま室温がさらに上がる。この繰り返しです。厄介なのが夜間頻尿との関係で、トイレが嫌で夕方以降の水分を控える方がとても多くいます。本人には合理的な工夫でも、熱帯夜には脱水を加速させます。夜間の不眠は認知症の夜間せん妄で眠れないとき家族ができる対処と訪問看護の活用でも別の角度から解説しています。夜間に脱水が進みやすい生活の背景背景具体的な状況夜間の水分収支への影響夕方以降の水分制限トイレを気にして飲まない就寝前の水分がゼロに近い利尿薬・降圧薬の服用心不全・高血圧の治療中尿量が増え体液が減るエアコンの除湿・冷房空気が乾き不感蒸泄が増える気づかないうちに水分が抜ける食事量の低下夏バテで食が細る食事由来の水分が減る一人暮らし・老老介護声をかける人がいない補給のきっかけがない人は眠っている間にも、呼吸と皮膚から水分を失っています。この目に見えない喪失を不感蒸泄と呼び、熱帯夜には通常より多くなります。そこに夕方以降の水分制限が重なれば、朝までの7〜8時間で体液が大きく目減りします。日中にこまめに補い、就寝前と起床時に確実に摂る配分が現実的です。服薬内容も見落とせません。前出のガイドラインでは、心疾患・糖尿病などの基礎疾患に加え、降圧薬・利尿薬・向精神薬の使用が発症リスクの因子に並んでいます。ただし心不全や腎臓の病気で水分制限の指示が出ている方は、自己判断で量を増やさず、必ず主治医に確認してください。脱水そのものについては高齢者の脱水症状に要注意!季節別の原因と予防・対処法まとめにも詳しくまとめています。夜間の熱中症・脱水のサインの見分け方夜間の熱中症と脱水は、汗の出方、皮膚と口の乾き具合、受け答えの様子という3点を見れば、医療者でなくても初期段階で気づくことができます。夜のサインが難しいのは、暗いことと本人が寝ていることです。日中のような動作の変化が見えないぶん、触って分かる情報と声かけへの反応が頼りになります。見逃してはいけない初期サイン観察部位正常な状態注意が必要な状態額・首の後ろほんのり湿っている汗が止まって乾いている/熱く火照っている手の甲の皮膚つまむとすぐ戻るつまんだ跡が2秒以上残る口の中・唇しっとりしている舌の表面が乾いて白っぽいわきの下湿っているさらさらに乾いている尿の色・量薄い黄色濃い黄色・回数が明らかに減った声かけへの反応すぐ目を開けて答える呼びかけに時間がかかる、返事が噛み合わない熱中症の初期には、まだ意識ははっきりしています。この段階で気づければ、涼しい環境で休ませ、水分と塩分を補うだけで回復に向かうことが多いものです(出典:厚生労働省「熱中症を防ぎましょう 普及啓発用資材(リーフレット等)」)。訪問看護師が最初に確認するのは、わきの下と口の中です。外気の影響を受けにくく、体の水分状態を反映しやすいためです。わきが乾いて舌がざらついていれば、脱水はすでに進行しています。手の甲をつまむ方法は高齢者では判定が甘くなるので、単独では使いません。受診をためらってはいけないサイン重症度の目安現れる症状その場での対応軽い段階めまい、立ちくらみ、こむら返り、大量の汗涼所へ移す、水分・塩分、体を冷やす中等度頭痛、吐き気、嘔吐、だるさ、集中力の低下自力で水分が摂れなければ受診重い段階呼びかけへの反応が鈍い、けいれん、まっすぐ歩けない、体が異常に熱いためらわず119番、救急車を待つ間も冷却熱中症は症状の重さで3段階に整理します。医療現場の共通のものさしが日本救急医学会の熱中症重症度分類で、上の表はその考え方を家庭で見分けやすい形に置き換えたものです。判断の分かれ目は、自分で水が飲めるかどうか。反応が鈍い、むせて飲み込めない状態で無理に飲ませると、誤嚥して肺炎を起こす危険があります。飲めないと感じたら、飲ませるより冷やすことと救急要請を優先してください。夜間に迷ったときは、東京都・神奈川県ともに救急相談窓口の#7119が使えます。相談員が症状を聞き取り、救急車を呼ぶべきか朝まで様子を見てよいかを助言してくれます。症状の段階は熱中症の症状とは?初期症状から重症化までの段階と対処法もご覧ください。判断の線引きを家族だけで抱えると、夏のあいだ気が休まりません。訪問看護なら、日中の訪問で「この方はどこが危険ラインか」を一緒に決められます。迷いを減らす備えとしてお問い合わせからどうぞ。眠っているご家族の様子をどう確認するか確認のタイミング見るところ起こさずにできる確認就寝前室温・湿度、寝具、水分の位置温湿度計を枕元に置く家族の就寝時呼吸のリズム、掛け物の状態部屋の入口から30秒観察夜中に起きたとき額の汗、首すじの熱さ手の甲で軽く触れる明け方寝具の湿り、寝返りの跡シーツの汗じみを見る起床時受け答え、立ち上がりの安定名前を呼んで返事を待つ毎晩何度も起きて確認するのは現実的ではありません。ご家族に提案しているのは、回数を減らす代わりに、確認する内容を決めておくやり方です。就寝前に温度と湿度を数字で押さえ、枕元に飲み物を置き、翌朝は名前を呼んで返事を見る。この3点だけでも発見は早くなり、見守りの負担が軽くなります。夜間の室温とエアコンの正しい使い方(設定温度・つけっぱなし・湿度管理)夜間は寝ている人の高さで測った室温28度以下・湿度70%以下を目安とし、就寝前から起床までエアコンをつけっぱなしにする使い方が、高齢者にとってもっとも安全です。「電気代がもったいない」「体が冷える」という理由でタイマー設定にしているご家庭は今も多くあります。しかし切れた後の2〜3時間は室温が急に上がり、家族全員が最も深く眠っている時間帯と重なります。ここが夜間熱中症の起きやすい時間です。熱中症診療ガイドライン2024でも、冷房を使っていない人・設置していない人であることが発症リスクの因子に挙がっています。我慢は節約ではなくリスクの上乗せです。設定温度は何度にすればよいか項目目安補足寝室の室温28度以下設定温度ではなく実際の温度を測るエアコン設定温度26〜28度から調整部屋の断熱・階数で必要な設定は変わる室温と外気温の差5〜7度以内が目安差が大きいと体への負担が増える温湿度計の置き場所寝ている人の高さ床から1m以下に置く就寝1時間前先に冷やしておく壁や天井の熱を抜く28度以下・湿度70%以下は、訪問看護の現場で夏の寝室の目安に使っているラインです。環境省のマニュアルも、暑さ指数(気温に湿度と輻射熱を加えた指標)が28を超えると危険性が高まるとして、室内では室温の上昇に注意するよう促しています。暑さ指数と室温は別の指標ですが、温度と湿度の両方を見る点は同じです。大切なのは、28度が設定温度ではなく実際の温度だという点。28度に設定していても、断熱の弱い部屋や2階の寝室では30度を超えたままです。訪問先で実測すると、設定と実際が3度以上ずれている例は珍しくありません。設定の数字を信じず、寝ている人の顔の高さで測ってください。壁や天井の熱は空気より遅れて下がるため、眠る1時間前から運転を始めておくと朝までの室温が安定します。エアコンをつけっぱなしにしても体に悪くないのか心配されること実際に起きる原因対策体が冷えて風邪をひく設定温度が低すぎる、風が直接当たる26〜28度に設定し風向きを上向きに関節や腰が痛くなる明け方の冷えすぎ明け方だけ1度上げる予約設定だるさが残る外気温との差が大きすぎる差を5〜7度以内にのどが乾燥する除湿しすぎ湿度50%を下回らないようにする電気代が心配こまめな入切による立ち上がり運転連続運転のほうが効率がよい場合が多い連続運転そのものが体に悪いのではありません。体調を崩す原因は、温度が低すぎること、風が直接当たること、乾燥の3つです。これらを避ければ、朝までの運転は高齢者にとってむしろ安全な選択になります。風向きは水平か上向きに固定し、ベッドの真上から風が落ちてこない位置へ。設定は26〜28度で、ご本人が寒さを訴えない温度を探ります。冷えが心配な方には薄手の長袖と腹部を覆う寝具を使い、首と足首を守ります。切らずに、緩める。この考え方にすると、多くのケースで折り合いがつきます。明け方の冷えが気になるなら、午前4時ごろに設定温度が1度上がるよう予約する方法もあります。詳しくはエアコンで防ぐ熱中症、正しい使い方と室温・湿度管理の完全ガイドもご覧ください。寝室の湿度は何%を目安にすればよいか湿度体感と体への影響対応70%以上汗が蒸発せず熱がこもる、寝苦しい除湿運転、扇風機で空気を動かす60〜70%やや蒸し暑い、寝つきが悪くなる冷房と除湿を併用50〜60%快適に眠れる範囲現状維持40〜50%快適だがやや乾くのどが渇くなら加湿を検討40%未満のど・鼻の粘膜が乾く除湿しすぎ、設定を見直す湿度が高いと汗が蒸発せず、気化熱による冷却が働きません。同じ28度でも、湿度50%と80%では体にかかる負担がまるで違います。温度は下がっているのに寝苦しいなら湿度を疑ってください。扇風機の併用も効きます。ただし直接当て続けると体表から水分が奪われ、脱水を助長します。壁や天井に向けて送り、空気を回すのが基本です。高齢者がエアコンを嫌がる・寒がるときの伝え方嫌がる理由背景にある思い伝え方の例体に悪い気がする昔の冷房で体調を崩した記憶「28度なら冷房というより除湿です」電気代がもったいない家計への遠慮、子どもへの気兼ね「熱中症で入院するほうが負担が大きいです」寒いから嫌だ実際に冷えを感じている「温度を上げて、風が当たらない向きにします」暑くないから不要暑さを感じ取れていない「今の室温は31度です」と数字を見せるもったいない世代の価値観我慢は美徳という感覚「家族が安心して眠るためにお願いします」説得するほど、かたくなになる方が多いものです。訪問看護では正しさで押し切らず、入口を探します。数字を見せる。除湿という言葉に言い換える。家族の安心のためと伝える。この3つはよく効きます。とくに温湿度計を見える場所に置き、一緒に数字を確認するやり方は有効です。「暑くない」と言っていた方が、31度の表示を見て自分からスイッチを入れた例は何度もありました。感覚が鈍っているぶんを数字で補うわけです。環境調整をご家族だけで続けるのが難しいと感じたら、無理をせず専門職を頼ってください。ピース訪問看護ステーションでは、訪問時に寝室の温度・湿度を実測し、その家に合う使い方を提案しています。お問い合わせからご相談ください。夜中に目が覚めたときの家族の対応手順夜中にご本人が目を覚ましたり、家族が異変に気づいたときは、室温の確認、水分補給、体の冷却、再入眠という4つのステップを順番に行い、5分以内に受診が必要かどうかを判断します。夜中は判断力が落ちています。だからこそ順番をあらかじめ決めておくと、迷う時間を減らせます。4ステップの具体的な手順ステップやること具体的な方法判断の分岐1. 環境を測る室温・湿度を確認温湿度計を見る、エアコンの運転状況を確認28度超なら設定を2度下げる2. 声をかける意識と反応を見る名前を呼び、簡単な質問をする受け答えが噛み合わなければ次項へ3. 冷やす首・わき・太もものつけ根を冷やす保冷剤をタオルで包んで当てる体が熱いまま下がらなければ受診4. 水分を摂る経口補水液か水を少しずつ一度に飲ませず、少量を数回に分ける自力で飲めなければ119番冷やす場所には理由があります。首、わきの下、太もものつけ根は太い血管が皮膚の近くを通り、冷やすと血液が冷えて全身に回ります。保冷剤がなければ、濡らしたタオルを当てて扇風機の風を送るだけでも効きます。氷を直接肌に当てると凍傷の危険があるため、必ずタオルで包んでください。水分は一気に飲ませないことがこつです。嚥下の力が落ちているとむせやすいため、ひと口ずつ、数回に分けるやり方が安全になります。経口補水液については経口補水液の効果とは?熱中症・脱水症の強い味方を徹底解説にまとめています。就寝前・夜間の水分補給はいつ、どれくらいかタイミング量の目安内容ねらい夕食時汁物を含めて通常どおり味噌汁、スープ食事から水分と塩分を摂る就寝1時間前コップ1杯(150〜200ミリリットル)水、麦茶夜間の水分喪失に備える枕元に常備いつでも飲める量ふた付きの水筒、ストローつきコップ起きたときすぐ飲める夜中に目覚めたときひと口〜半分水、経口補水液眠りを妨げない量に抑える起床直後コップ1杯水、経口補水液一晩で失った分を戻す就寝前と起床時は、夜のあいだに失う水分を前後から挟み込むタイミングです。厚生労働省も、高齢者向けにこまめな水分補給と適切な冷房の使用を呼びかける資材を公開しています。夜中に大量に飲ませるとトイレで何度も起き、睡眠が細切れになります。就寝前と起床時に確実に摂り、夜間はひと口にとどめる配分が現実的です。枕元に水を置くときは、倒れにくいふた付きの容器を。暗がりでコップを倒し、片づけようとして転倒する事故が実際に起きています。必要な水分量の考え方は高齢者の水分摂取量ガイド:健康維持のために必要な知識と実践法を紹介で扱っています。救急要請を迷わないための判断基準状況判断連絡先呼びかけに反応しない、けいれんしているためらわず救急要請119番自力で水が飲めない、繰り返し嘔吐する救急要請または夜間救急119番/#7119頭痛・吐き気があるが会話はできる相談のうえ判断#7119冷却と水分で15分以内に改善した朝まで様子を見て翌日受診かかりつけ医判断に迷うまず相談する#7119、訪問看護の緊急連絡先夜中に救急車を呼ぶことをためらうご家族はとても多いです。「大げさではないか」「近所に迷惑では」という気持ちが働きます。しかし熱中症は進行すると数十分単位で状態が変わります。反応が鈍い、けいれんしている。この2つがあれば迷わず119番を。訪問看護を24時間対応で利用していれば、夜間も緊急連絡先に電話できます。看護師が状況を聞き取り、必要なら緊急訪問や主治医への連絡を行います。判断を家族だけで背負わない体制が、夏の在宅生活を支えます。訪問看護だからできる夜間の見守りとサポート訪問看護は、日中の訪問で寝室の環境と体の状態を先回りして整えることにより、家族だけでは気づけない夜間熱中症のリスクを実際に減らします。夜に立ち会えなくても、できることはあります。夜の危険は日中の準備で回避できます。訪問時に行う夜の環境アセスメント確認項目見ているところ提案する内容寝室の室温・湿度実測値と体感のずれ温湿度計の設置場所、設定温度の調整エアコンの状態フィルターの目詰まり、風向き清掃の依頼、風向きの固定日射と間取り西日、2階、風の通り道遮光カーテン、寝る部屋の変更寝具・寝衣通気性、汗の吸収素材の見直し、吸湿性の高い寝衣へ水分の置き場所枕元に手が届くかふた付き容器、ストローの導入服薬内容利尿薬、降圧薬の有無主治医への確認、飲む時間の相談町田市内では、夏場に「寝室が2階で、冷房は1階にしかない」というお宅に毎年出会います。相模原市の丘陵地でも、坂の上の一戸建てで熱がこもりやすい間取りをよく見かけます。昨夏、町田市内で一人暮らしをされている利用者さんのお宅で2階の寝室を実測したところ、室温32度・湿度75%。ご本人の申告は「暑くない」で、夜は一晩に3回ほど目が覚めるとのことでした。寝る場所を1階の和室に移し、就寝1時間前から冷房を入れる運用に変えたところ、翌週に確認した夜間の室温は27度台、湿度は60%前後。目が覚める回数は一晩1回に減り、朝の受け答えもはっきりしていました。家具の配置を変える、遮光カーテンを1枚足す、寝る場所を変える。医療行為ではありませんが、こうした調整が夜の安全に直結します。その家で実測しないと分からない部分です。フィルターの目詰まりも見落とされがちです。冷房能力が落ちて設定した温度まで下がりません。脚立に乗るのは危険なため、ご家族やヘルパー、業者へつなぎます。医師・ケアマネジャー・家族をつなぐ役割連携先訪問看護が伝えること期待できる結果主治医夜間の体温・水分摂取量・服薬状況利尿薬の調整、点滴の指示ケアマネジャー環境上の問題、家族の疲労サービスの追加、福祉用具の検討家族観察のポイント、受診の目安迷いの減少、夜間の安心薬剤師飲み忘れ、暑さによる食欲低下服薬時間・剤形の見直し地域包括支援センター独居高齢者の見守り体制近隣・行政の支援へつなぐ訪問看護師は、日中に測った体温や血圧、水分摂取量、皮膚の状態を主治医に報告します。夏場に体重が短期間で減っていれば脱水を疑い、指示があれば在宅で点滴を行います。介護保険や医療保険で訪問看護を利用する手続きは、ケアマネジャーや主治医への相談から始まります(出典:厚生労働省「介護・高齢者福祉」)。ご家族から最もよく聞かれるのが「夜中に何かあったらどうすればいいのか」という不安です。24時間対応の体制と、受診すべきサインを紙に書いて冷蔵庫に貼る二つで応じています。電話できる先があるだけで眠りの質が変わったと言われます。町田市での活用方法は【熱中症対策にも有効】町田市で訪問看護を活用する理由とは?もご覧ください。熱帯夜が続く時期は、ご本人よりご家族が先に疲れてしまいます。介護する側の睡眠も守る。それも在宅を続けるための立派な目標です。限界が来る前にご相談ください。よくある質問(熱帯夜と高齢者の睡眠)Q1. 高齢者はなぜ熱帯夜に眠れなくなるのですか。暑さを感じ取る力と汗で熱を逃がす力が加齢で低下し、体に熱がこもるためです。そこに深い睡眠が減る変化が重なります。眠れないという訴えは、寝室の環境が体に合っていないサインです。Q2. 夜間のエアコンは何度に設定すればよいですか。設定温度ではなく実際の室温を28度以下に保つことを目標にしてください。設定は26〜28度から始め、温湿度計の実測値を見ながら調整します。断熱の弱い部屋や2階の寝室では、設定28度でも30度を超えます。温湿度計は寝ている人の顔の高さに。Q3. 就寝中のエアコンをつけっぱなしにしても体に悪くないですか。適切な温度と風向きであれば、朝までの連続運転で差し支えありません。体調を崩す原因は、温度が低すぎること、風が直接当たること、乾燥の3つ。風向きを水平か上向きにし、薄手の長袖で首と足首を守れば冷えは防げます。Q4. 夜中に目が覚めたときはどう対応すればよいですか。室温の確認、声かけによる反応の確認、首やわきの冷却、少量の水分補給の順です。28度を超えていれば設定を2度下げます。受け答えが噛み合わない、自力で水が飲めないときは、飲ませるより冷やすことを優先して119番を。迷うときは#7119へ。Q5. 就寝前と夜間の水分補給はどのタイミングで行えばよいですか。就寝1時間前にコップ1杯、起床直後にコップ1杯を基本とし、夜中に目覚めたときはひと口にとどめます。夜間に大量に飲むとトイレで何度も起き、睡眠がさらに細切れになるためです。水分制限の指示がある方は必ず主治医に従ってください。Q6. 夜間の熱中症・脱水の初期サインはどう見分けますか。わきの下が乾いている、舌の表面が白っぽい、尿の色が濃い、呼びかけへの反応が鈍い、この4点です。わきと口の中は外気の影響を受けにくいためです。汗が止まって皮膚が熱く乾いた状態は、体温調節が破綻しかけているサインです。Q7. 高齢の家族がエアコンを嫌がる・寒がる場合はどうすればよいですか。説得ではなく、数字と言い換えと安心の3つで入ってください。温湿度計を見える場所に置いて一緒に室温を確認する、「冷房ではなく除湿です」と言い換える、「家族が安心して眠るためにお願いします」と伝える、という順です。寒がるなら設定を1度上げます。Q8. 寝室の湿度は何%を目安にすればよいですか。50〜60%を快適な範囲とし、70%を超えないようにしてください。湿度が高いと汗が蒸発せず、同じ室温でも負担が大きくなります。温度は下がっているのに寝苦しいときは除湿に切り替えを。ただし40%を下回るとのどや鼻の粘膜が乾きます。まとめ熱帯夜で高齢者が眠れない夜は、睡眠の悩みではなく夜間熱中症と脱水の入口です。室温28度以下・湿度70%以下を数字で確認し、就寝1時間前から朝まで冷房を運転し続けることが、もっとも確実な対策になります。ご本人の「暑くない」は安全の証明になりません。わきの下と口の中の乾き、呼びかけへの反応を手がかりに、初期のうちに気づいてください。夜中に目が覚めたときは、室温確認、声かけ、冷却、少量の水分補給の順で対応し、反応が鈍ければ119番を。環境調整と相談先の確保には、専門職を使ってください。ピース訪問看護ステーションにご相談くださいこんな方はぜひご相談ください:熱帯夜に高齢のご家族が眠れず、夜間の体調が心配な方エアコンを嫌がる親御さんへの伝え方に困っている方一人暮らしや老老介護で、夜間の見守りに不安がある方ピース訪問看護ステーションができること:訪問時の寝室の室温・湿度の実測と、その住まいに合った環境調整の提案体重・皮膚・尿の状態から脱水の兆候を早期に把握し、主治医へ報告24時間対応体制での夜間の電話相談と、必要時の緊急訪問町田市・相模原市・多摩市など東京都南部を中心に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。関連記事高齢者の熱中症サイン|家族が見逃さない室内チェックエアコンで防ぐ熱中症、正しい使い方と室温・湿度管理の完全ガイド高齢者の脱水症状に要注意!季節別の原因と予防・対処法まとめ高齢者の熱中症対策完全ガイド、予防・症状・室内での注意点まで【熱中症対策にも有効】町田市で訪問看護を活用する理由とは?参考文献一覧出典:環境省「熱中症環境保健マニュアル ~総論~(2025年7月版)」https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_ov_full_high.pdf出典:日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/pdf/heatstroke2024.pdf出典:環境省熱中症予防情報サイト「熱中症の予防方法と対処方法」https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness.php出典:厚生労働省「熱中症を防ぎましょう 普及啓発用資材(リーフレット等)」https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/pamph.html出典:環境省・厚生労働省「高齢者のための熱中症対策」(2023年5月版)https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/pdf/heatillness_leaflet_senior_2022.pdf出典:総務省消防庁「熱中症情報 過去のデータ一覧」https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post4.html出典:厚生労働省「介護・高齢者福祉」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html【執筆者】作業療法士都内の回復期リハビリテーション病院に7年間勤務し、その後東京都町田市内で訪問看護・訪問リハビリに携わり5年。AMPS認定評価者、CI療法外来の経験を持ち、またOBP(作業に基づく実践)を中心とした在宅支援の豊富な実践経験を有する。【監修者】看護師(訪問看護ステーション管理者)大学病院での急性期看護を経て、訪問看護ステーションの管理者を務める。終末期ケアや慢性疾患管理、地域医療連携、在宅看取り支援に積極的に取り組んでいる。island-piece.jp 株式会社isLand|訪問看護・居宅介護支援・訪問介護|町田市